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残り者 の商品レビュー

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2017/04/04
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明治維新の江戸城御引き渡し前日、江戸城に残った大奥詰めの女性達の物語。 よー、こんなシチュエーション思いついたなぁとまず感心した。 大奥と聞くと、男は(というか俺は)淫薇と陰気をゴチャまぜにしたような、怖くて近寄り難い女の園、ってなことを想像するのだが、実際そういう部分もありぃの、でもお役所仕事・官僚仕事的な(当時は立派な行政機関であるわけで)部分もありィの…もう、絶対近寄りたくないような、魑魅魍魎でケッタイな世界。 そこに居残った登場人物たち、今風に言えば、親会社倒産と企業合併に伴い、明日から職場がなくなる女性のバリバリキャリア官僚(将軍のお手付きがない立場の人ばっかりです、ちなみに)たちがおりなす物語。 プライドは高い・スキルは高い・未来は暗い・今まで生き凌いできた複雑怪奇な重層カーストは瓦解する…、激動の明治維新にはこんな風に苦労した人たちもいたんだなぁと、そんな気持ちで読み進めつつ、さすがは朝井まかて。決して物語を暗くすることはなく、むしろ滑稽風味を最大限に生かす展開でクライマックスやラストまで進んでいく。 歴史的な大事件が市井(というにはエリート社会すぎるが)の生活に沁み広がる圧倒的な影響力と、そんな影響力の元でもしたたかに元気に前を向く登場人物たちの生き様に、読者のこちらまで勇気をもらえるような、気持ち良い小説だった。

Posted byブクログ

2017/03/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

江戸幕府の終焉に伴う江戸城明け渡しの日、大奥の女たちが去った後にまだ残る五人の女の一晩の話。 その後の篤姫や和宮の話は取り上げられることもあるが、名もなき奥女中や更に下の女中たちから見た江戸城明け渡し、大奥への想いなどは興味深く、新鮮だった。 この五人の女たちはこの一晩があったからその後の時代の変化にも上手く乗れたようだが、大奥でしか生きられない女たちもいたはずで、その後の人生は様々なだったのだろうなとも思うと切なくもなる。

Posted byブクログ

2017/03/01

幕末、江戸城受け渡しの前日、天璋院篤姫や静寛院和宮が去った後の大奥。大奥で働いていた女性5人が、それぞれの事情で城に残り、出会って、共に一夜を過ごす。 女性が自分1人の才覚で生きていくことが難しかった時代。若いうちに大奥に入り、一生をそこで生きると覚悟を決めていた女性達が、自分で...

幕末、江戸城受け渡しの前日、天璋院篤姫や静寛院和宮が去った後の大奥。大奥で働いていた女性5人が、それぞれの事情で城に残り、出会って、共に一夜を過ごす。 女性が自分1人の才覚で生きていくことが難しかった時代。若いうちに大奥に入り、一生をそこで生きると覚悟を決めていた女性達が、自分では如何ともしがたい時代の趨勢によって突然居場所を奪われることになるのだが、時代に翻弄されて尚保たれる矜恃、意地、芯の強さなどがとても素敵で、痛快だった。徳川家の江戸城最後の時に偶々出会った似た境遇の女性達が、身分を超えて共感し連帯しあう様が清々しかった。 どハマりした、何年も前の大河ドラマ「篤姫」を思いながら読んだけれど、これはこれとして映像化されても面白そう。

Posted byブクログ

2017/01/22
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大政奉還後、大奥退去の日のお話し。あまり今まで大奥の奥女中の立場から大奥退去を見た話を読んだ事がないので興味深かったけれど、一番盛り上がるかと思っていた官軍が江戸城に入場する場面があっさりでやや物足りなかった。ただ明治になって残りものだった5人が、ちゃんと時代に乗り遅れることなく元気に過ごしている様子が最後に描かれていたのにはホッとした。

Posted byブクログ

2017/01/03

江戸城明渡し前夜、大奥に務める様々な職階・境遇の5人の女を出会わせ、大奥の内部事情や働く矜持を見せてくれます。ありえない話ですが、ユーモアがあったり、人情話であったり、話の運びが巧みで最後まで読ませてしまいます。まかてさんの物書きとして器用な一面を知りました。

Posted byブクログ

2016/11/26

大奥解散の日。 奥女中の見届けた江戸城明け渡しである。 江戸開城自体が大きな事件なので、これといった事件は起こらず、女中たちの目から見た明治維新、そして篤姫、和宮が淡々と語られる。 天璋院篤姫に仕える奥女中たち、『呉服之間の「りつ」』『御膳所の「お蛸」』『御三之間の「ちか」』...

大奥解散の日。 奥女中の見届けた江戸城明け渡しである。 江戸開城自体が大きな事件なので、これといった事件は起こらず、女中たちの目から見た明治維新、そして篤姫、和宮が淡々と語られる。 天璋院篤姫に仕える奥女中たち、『呉服之間の「りつ」』『御膳所の「お蛸」』『御三之間の「ちか」』『御中臈「ふき」』 静寛院和宮に仕える『呉服之間「もみぢ」』 5人の女たちは、それぞれ胸に秘めたものから、朋輩たちがすでに退去してしまった江戸城に残り、夜を迎える。 仕事の内容が異なる故、今まで顔を合わせる事は無かったが、いまや仕切りは取り払われたのだ。 彼女らは、探り合い、いさかいをしたりしながら、己を語り始めるのだった。 日本史上何本の指に入るだろうか… 大量失業! しかも女だけの! それはそれは、いろいろあっただろう。 天璋院は、彼女らの再雇用先や縁談を身も財もつくして心を砕いたという。

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2016/11/11

L 思えばこの視点のはなしを読んだことがなかったので新鮮。大奥トップの話ではなく、それぞれ階級や出自も違う女中どもの嬉々交々。たった1日が長い。長いけれど退屈せずに読ませてもらったと思う。十数年大奥にいたら、徳川や仕える主人達への想いや忠誠も半端なく、そりゃ下界を恐れる気持ちも...

L 思えばこの視点のはなしを読んだことがなかったので新鮮。大奥トップの話ではなく、それぞれ階級や出自も違う女中どもの嬉々交々。たった1日が長い。長いけれど退屈せずに読ませてもらったと思う。十数年大奥にいたら、徳川や仕える主人達への想いや忠誠も半端なく、そりゃ下界を恐れる気持ちもわかるわ。

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2016/11/06

江戸城明け渡しの際に、それぞれの事情で江戸城に残った大奥の女たちの話。いよいよここから盛り上がるか、と思ったら話が終わってしまった。もっと真相みたいなのがあるかと思った。

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2016/10/31

最近気に入りの、朝井まかてさん。 まかてさんの描かれる女性は、時代的な背景もあって慎ましいながら凛としていて、胸がすくような人が多い。 これもまた、江戸時代でありながら、天璋院さん始め、己が足で立てる女性たちの物語。 江戸城開城。それぞれの思惑で居残った女性5人が共に過ごした一夜...

最近気に入りの、朝井まかてさん。 まかてさんの描かれる女性は、時代的な背景もあって慎ましいながら凛としていて、胸がすくような人が多い。 これもまた、江戸時代でありながら、天璋院さん始め、己が足で立てる女性たちの物語。 江戸城開城。それぞれの思惑で居残った女性5人が共に過ごした一夜を描く。 読後感の良い1冊でした。

Posted byブクログ

2016/10/30

幕末、大政奉還、江戸城明け渡しの様子を、大奥を舞台に書かれた本。 閉ざされた世界で、自分の仕事に誇りをもって務めていた人達。 不安定な幕末の世に、大奥から逃げ出す人たちが出て、仕事の負担が増え、疲弊していく人たち。 江戸城を明け渡した後の、未知の世界に不安を覚える人たち。 何だか...

幕末、大政奉還、江戸城明け渡しの様子を、大奥を舞台に書かれた本。 閉ざされた世界で、自分の仕事に誇りをもって務めていた人達。 不安定な幕末の世に、大奥から逃げ出す人たちが出て、仕事の負担が増え、疲弊していく人たち。 江戸城を明け渡した後の、未知の世界に不安を覚える人たち。 何だか、現代の会社に共通する不安感を感じました。 明け渡しまでの話が長くて、登場人物のその後の生活や活躍の部分がすごく少なかったのが、残念。その部分をもっと詳しく読みたかったな。

Posted byブクログ