下り坂をそろそろと下る の商品レビュー
わかりあえないことから、とはまた違う視点で示唆に富む一冊。大学教育に携わる人、地方創生に関わる人はぜひとも読むべき。全面的に賛成できるかどうかは好みもあると思うけど、この視点を知ることに価値があると思う。
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日本はもう成長しないのは薄々みんな感じているのに、目をつぶってみないことにしている。それに真っ向から向かって、いや、もう今までと同じではダメですよ、というところから始まる。 実に誠実な態度だと思う。そして、その認識に立った上で、どのような社会が考えられるのかを示唆する。 これから...
日本はもう成長しないのは薄々みんな感じているのに、目をつぶってみないことにしている。それに真っ向から向かって、いや、もう今までと同じではダメですよ、というところから始まる。 実に誠実な態度だと思う。そして、その認識に立った上で、どのような社会が考えられるのかを示唆する。 これからの社会についてしっかりと考えなくては本当にこの国は滅びるだろう。そうならないためにはどうしたら良いか、考える縁となる一冊。
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日本はもう先進国ではない。 下り坂の下り方を考えなければいけない。 下りというとネガティヴだが、 成長から成熟といえば前向きだ。 人間でいえば、50から60代か。 金儲けに大概の関心を奪われた時代から、 文化的なもの、芸術的なものに関心を向ける、 国がそう志向するのはどういう...
日本はもう先進国ではない。 下り坂の下り方を考えなければいけない。 下りというとネガティヴだが、 成長から成熟といえば前向きだ。 人間でいえば、50から60代か。 金儲けに大概の関心を奪われた時代から、 文化的なもの、芸術的なものに関心を向ける、 国がそう志向するのはどういうことか、 それを具体的に語っている本だと感じた。 特に、地方発信の文化的芸術的生活。 大事なことだ。
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正直な話、タイトルがピンとこなかった。 書き出しのところが、フィットしなかった。 だから、発表された時には、手に取らなかった。 去年、百円均一で見付けた。 ステイホーム期間に、やっと手にした。 硬直化した考えを捨てて良い潔さ。 アイデアなんかは、いくらでも浮かんでく...
正直な話、タイトルがピンとこなかった。 書き出しのところが、フィットしなかった。 だから、発表された時には、手に取らなかった。 去年、百円均一で見付けた。 ステイホーム期間に、やっと手にした。 硬直化した考えを捨てて良い潔さ。 アイデアなんかは、いくらでも浮かんでくる。 それにしても、阪大の演劇って、山崎正和の後に、平田オリザってすごいな。
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まことに小さな国が、衰退期をむかえようとしている。 ――とは『坂の上の雲』の冒頭を引いての贋作だそうだけど、この本はこのフレーズで始まる。これから衰退していくしかない日本の、この先のいき方を示唆している。 「降りていく生き方」という言葉を聞いたのはほぼ10年前のこと。日本のあり方...
まことに小さな国が、衰退期をむかえようとしている。 ――とは『坂の上の雲』の冒頭を引いての贋作だそうだけど、この本はこのフレーズで始まる。これから衰退していくしかない日本の、この先のいき方を示唆している。 「降りていく生き方」という言葉を聞いたのはほぼ10年前のこと。日本のあり方というよりは、身の丈に合った無理のない生き方をしていけばいいんだというような話だったという記憶があるんだけど、この本はそれを日本という国のあり方として考えようというもの。兵庫県の豊岡市とか四国学院大学とかオリザさんがかかわってきた好事例が紹介される。いずれも理想的で希望がもてるような感じ。ワクワクする未来がやってきそうな感じ。 「下り坂をそろそろと下る」ってタイトルはオリザさんが自分でつけたのだろうか。内容と合っていそうで合っていない。紹介されている事例は「そろそろ」でなく大胆に、しかも下っていない感じがするよ。むしろ上っている……いや、昇っている……っていうか閉塞した現代日本とは別の次元に昇っていると思う。下りか、上りか別次元かわからないけどまずは頭を切り替え一歩踏み出せ。そろそろとでもいいから。
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「人口減少社会の未来学」が面白かったのでこちらも。 前書きから示唆に富んでいて面白い。 雇用保険受給者や生活保護世帯の人たちが平日昼間に劇場や映画館へ来てもらって、それに対して「社会とつながっていてくれてありがとう」と言える社会を作っていくべきではないかと。 また子育て中のお母...
「人口減少社会の未来学」が面白かったのでこちらも。 前書きから示唆に富んでいて面白い。 雇用保険受給者や生活保護世帯の人たちが平日昼間に劇場や映画館へ来てもらって、それに対して「社会とつながっていてくれてありがとう」と言える社会を作っていくべきではないかと。 また子育て中のお母さんが子供を保育園に預けて昼間に芝居や映画へ行っても後ろ指さされない社会を作ろうと。 これはちょっと条件反射で「子供を預けてまで…」と私も思ってしまいがちだけど、そもそもの頻度によるし、複数の子供を育てるとなると育児期間も超長距離マラソンだから息抜きとしていたもと違う形で社会とつながることもとても大事よね。 地方に必要なのは文化的な豊かさという主張に、実際に生まれた町を出てきた身としてとても同意。
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やや内容が散らかった感はするものの、社会の根幹となるコミュニティ論を唱える作者の考えには共感することばかり。 前作「わかりあえないことから」もとにかく面白いので必読。
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タイトルが秀逸。縮みゆく社会に合わせて、肥大するのではなくより豊かになっていくことを考えていく必要があるはずなのに、ということをたぶん、10年くらい思っている。年々、「成長神話」への傾斜はひどくなっている気がする。いいかげん諦めないと、あちらこちらに綻びが出ているのに、と、バリバ...
タイトルが秀逸。縮みゆく社会に合わせて、肥大するのではなくより豊かになっていくことを考えていく必要があるはずなのに、ということをたぶん、10年くらい思っている。年々、「成長神話」への傾斜はひどくなっている気がする。いいかげん諦めないと、あちらこちらに綻びが出ているのに、と、バリバリのゆとり世代はおもう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
オーディオブックで聴書 平田オリザさんの著書はいわゆるビジネス書のような主張をまとめ並べ立てる形式ではなく、エピソードを通して示唆を与える点が好きだ。そのため、単純に読み物として面白く、前著「わかりあえないことから」同様楽しく読めた。 本書で最も大きな主張は、 日本は既に工業立国ではなく、 東アジア唯一の先進国でもなく、 再び世界経済の中心となることはできない。 ということから、下り坂をそろそろと下る、つまり上記の事実を認め、世界に勝てなくても捨て鉢にならず日本の良さを見出し、しっかりとした足取りで経済の衰退の道を辿っていくことが必要だとしている。 私自身日本が経済の中心に未だあると思っていたため、現実として突きつけられると暗い気持ちにならざるを得なかった。しかし、昨今日本の素晴らしさを謳うテレビ番組が溢れていたことに対しては、自信を失った日本人の不安のあらわれだと言う示唆がネット上でも度々見受けられ、日本人の現実逃避として気持ち悪さを感じていたところであり、本書でズバッと切り捨てて頂いた事に心地よさを覚えたものである。 さて、もうひとつ本書で重要となるテーマは文化資本である。物事を指示通りに正確にこなす能力はもはや世界での価値を失っており、これからの時代は、豊かな想像力とそれを人に伝える能力が必要だ。その能力をいかに育むかの点において、都会と地方で質の高い芸術に触れる機会に格差があることを問題としている。現状のままでは、都会で育った人々に地方出身者が太刀打ちできなくなるだろうとのことだ。実際、私はそれほど芸術好きではないが、ネットで伺い知れる範囲において、最先端の文化や芸術に触れるには都会に行かなければならない、そしてそういった文化的教養のある人々がネットビジネスにおいても成功していると感じている。 いち一般市民としては、自分や家族が今後いかにして良質な文化に触れることができるのか模索し、文化的素養を身に着けていきたいと感じた。
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面白かったーーー 読んだことをベースに語り合いたいって思わせてくれる本って良書だよね。 私は生まれた時からバブルが崩壊してて、好景気の時を知らない所謂、ゆとり世代、悟り世代、堅実主義、ミレニアル世代…だけど、 読んでいて団塊世代が抱える寂しさというか、そういう気持ち、あるんだ…...
面白かったーーー 読んだことをベースに語り合いたいって思わせてくれる本って良書だよね。 私は生まれた時からバブルが崩壊してて、好景気の時を知らない所謂、ゆとり世代、悟り世代、堅実主義、ミレニアル世代…だけど、 読んでいて団塊世代が抱える寂しさというか、そういう気持ち、あるんだ…って思った。 既に色んなことを諦めてる感はあって(私の友達も「幸せとは諦めること」って大学生の時に既に言ってる子いたし、それもそうだなって感じてた)、 でも寛容に幸せに楽しく暮らしたいし、ほどほどに夢も持って、それでも根を張って生活を築いていければって思ってる。 別にお金持ちになりたいとか成功者になりたいとかはない。 それでも、生きている限りは自分や家族のためだけじゃなくて誰かのため社会のために何かできればと思ってるし、でもどうしたら正解なのか分からない。 「創り出せる」ことが苦手なのかもしれない、というより、慣れていないだけなのかもと思う。 何でもいいから数打ちやってみて、失敗したら軌道修正すればいいよねって最近は思い地道に実践するけど、 やっぱりすぐ結果が出ないと「あー、向いてないのかも」「やっぱやーめた」って簡単に諦めちゃう。 それはある世界では(たとえば結果を求める短期的な世界では)賢明なのかもしれないけど、そうじゃないよね、っていう。 そういう例がたくさんあって、なんか、なんか、どうすればいいんだろう私、みたいな気持ちになりました。笑 長いものに巻かれない。自分が巻き込むものになる。そしてそれは楽しいもの、自信のあるもの、比べないもの、妬まないもの。 どうしたら作っていけるのかなぁ。
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