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帰ってきたヒトラー(下) の商品レビュー

3.8

67件のお客様レビュー

  1. 5つ

    14

  2. 4つ

    26

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    2

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2017/12/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

下巻も笑えるシーンやヒトラーのいう事に頷けるシーンも多いですが、どんどんなんだか不穏な感じに…。 映画でもそうでしたが、特にクレマイヤー嬢の祖母のシーンはつらいです。 でも映画とは途中から展開が結構変わり、ラストも違うのでどっちもみてよかったです。 ヒトラーが話してることは表面上他人と噛み合ってるようにみえて考えてることは全然違うとこなども怖いです。 やはりなにか違う、怖い人なんだと…。 最後はまつり上げられていく中で終わるという今後が不安になるなんとも言えない終わり方。 解説?にもありましたが、ヒトラーはだめだ悪い怖いと言われるよりこういう面白さの中にゾッとするものがあるほうがさらに怖さが伝わってくる気がしました。 ヒトラーのような人物をまつりあげていってしまう人の心理は最初はこんなようなものだったのかもしれません。 今後こういう人が現れた時にちゃんとした対応ができるのか…できますように。

Posted byブクログ

2017/12/01

上巻からテンポよく進み、下巻ではナチス問題の本質の1つであるユダヤ人虐殺についても書かれている。原作者の意向で訳注が付けられなかったらしいが、注釈版もあれば読みたい。民主主義を掲げる独裁者に対抗するシステムをいかに維持するか、ポピュリズムの危うさへの警鐘となる本。小説なので深く考...

上巻からテンポよく進み、下巻ではナチス問題の本質の1つであるユダヤ人虐殺についても書かれている。原作者の意向で訳注が付けられなかったらしいが、注釈版もあれば読みたい。民主主義を掲げる独裁者に対抗するシステムをいかに維持するか、ポピュリズムの危うさへの警鐘となる本。小説なので深く考えなくても楽しめるし考えさせられる。

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2017/11/14

テーマは、ポピュリズムの危うさ。 現代にヒトラーが生まれ変わっても、同じように熱狂を受けてのし上がってしまう恐怖。 しかし、トランプやBRIXITなど、 常に人々は変化を求めていて、 間違った選択や危険な選択をする可能性は高い。このヒトラーが持ち上げられていく様を誰が笑えるの...

テーマは、ポピュリズムの危うさ。 現代にヒトラーが生まれ変わっても、同じように熱狂を受けてのし上がってしまう恐怖。 しかし、トランプやBRIXITなど、 常に人々は変化を求めていて、 間違った選択や危険な選択をする可能性は高い。このヒトラーが持ち上げられていく様を誰が笑えるのか。

Posted byブクログ

2017/10/19

どんな結末になるのかと,スマホやいまの文化に対する風刺も面白がりながら読み進めていったら,最後にゾーっとした…。途中主人公がおちゃめにみえてしまったりしてたのもあって余計に。

Posted byブクログ

2017/10/08

上巻に引き続いて読んだ。 この巻では、よみがえったヒトラーが、「ユーチューブ・ヒトラー」として大ブレイクし、再び政治家を志すまでが描かれる。 マスコミとの戦い、ネオナチからの襲撃、そして自由を擁護するアーティストとして祭り上げられた彼は、あらゆる政党からラブコールを受ける。 上巻...

上巻に引き続いて読んだ。 この巻では、よみがえったヒトラーが、「ユーチューブ・ヒトラー」として大ブレイクし、再び政治家を志すまでが描かれる。 マスコミとの戦い、ネオナチからの襲撃、そして自由を擁護するアーティストとして祭り上げられた彼は、あらゆる政党からラブコールを受ける。 上巻より広がりが出ている感じがした。 ヒトラーの演説は(本人はいたってまじめにやっている)、ブラックジョークとして誤解される。 そんな風に笑いものにしていく風潮を、こちらもそんなものかと思って読んでいると、シビアな場面が現れる。 秘書の「クレマイヤー嬢」の祖母のエピソードだ。 彼女はユダヤ人で、ホロコーストで家族をすべて失っている。 その彼女が、孫娘が「ユーチューブ・ヒトラー」の秘書をしていると聞いて激怒するのだ。 あの時、1930年代の頃だって、みんなヒトラーのことを笑っていたじゃないか、と。 社会が道を誤っていくときって、こんな風なのかもしれない。 訳者森内さんがいうように、ヒトラー的なものはクラウド的に遍在し、いつの間にかそれに慣れ親しんでしまう。 それは突然やってきたものではないのに、気づいた時には手遅れの状態になっている。 そう思うと、他人ごとではない。 背筋が寒くなった瞬間だ。

Posted byブクログ

2017/09/18

つまり現在のドイツで実はヒトラーはそれほどの違和感なく受け入れられてしまうのではないか、という皮肉なお話。繰り返されるナチスはあくまでも民主主義的な手続きを経て政権を取ったという事実は重いし、今の諸国の政治体制がポピュリズムに傾きつつある時代にこの小説の微温的なハッピーエンドが薄...

つまり現在のドイツで実はヒトラーはそれほどの違和感なく受け入れられてしまうのではないか、という皮肉なお話。繰り返されるナチスはあくまでも民主主義的な手続きを経て政権を取ったという事実は重いし、今の諸国の政治体制がポピュリズムに傾きつつある時代にこの小説の微温的なハッピーエンドが薄気味悪さを漂わせる。

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2017/09/07

現代に甦ったヒトラー。 そっくりさんだと思っている人たちと、ヒトラーとの会話は、噛み合わないけれど成立していて、それが面白かったです。 知識が深ければ、更に面白く読めたでしょう。 その後が気になる結末でした。

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2017/06/24

あの「ナチス」のアドルフ・ヒトラーが現代に甦ったらどうなるかという、ブラックユーモアにも感じる作品。 ドイツで大反響となり、250万部を売り上げ、映画では240万人を動員したベストセラー。 日本で出版された文庫本も上下巻累計24万部を売り上げた。 1945年からタイムスリップ...

あの「ナチス」のアドルフ・ヒトラーが現代に甦ったらどうなるかという、ブラックユーモアにも感じる作品。 ドイツで大反響となり、250万部を売り上げ、映画では240万人を動員したベストセラー。 日本で出版された文庫本も上下巻累計24万部を売り上げた。 1945年からタイムスリップしてきたヒトラーは、現代ではヒトラーのそっくり芸人という扱いをうける。当の本人は、タイムスリップしてきたという事実と現代での扱われ方を生き抜く術として受け入れ、テレビ業界に紹介されるや、テレビやインターネットで政治風刺演説を繰り広げ、一躍時の人に。 当たり前だが、まるで本人の生き写しのような容姿や演説に、賛否両論が起こるも、YouTubeでは70万回の再生回数を3日間の間に成し遂げ、民衆の人気を勝ち取っていく。 それでも世界の禁忌に触れる芸風では敵も多く、新聞の攻撃に会うが、その新聞までも屈服させる快進撃。徐々に現代ドイツが抱える問題を改善する意識も芽生え、ある事件をきっかけに各政党から引っ張りだこになるほど勧誘される立場となる。 今や「ナチス」やヒトラーに関する話題は、あらゆる方面から禁忌とされている。ヒトラーとは、ほんとにただ残忍で冷徹な指揮官だったのか。今となっては真実を知ることも難しいが、あれだけドイツ国民を熱狂させ、きちんとした国民選挙で選ばれ総統となった絶大な魅力、改革を実行していった手腕と行動力は、今の政治家には感じられないものばかり。ある出来事や考え方だけに注目すれば、決して人権的とは言えず、現代では考えられない手法を用いていることもあるが、もしも現代に甦ったとしたら、ドイツ国民とは言わず世界中が彼の魅力に惹き付けられ、再び総統のポジションを得ることになるのかもしれない。

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2017/02/12

20170203〜0211映画も見たくなった。ドイツにおいて、ようやくナチスを相対化して論じたりネタ扱いしても良くなってきたと言うことかな?

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2017/01/28

まずはとにかく、なんと言ってもおもしろい。とくにヒトラーが眼を醒ましたあと、現代の社会に順応するまでのくだりはまるでアンジャッシュのすれ違いコントを見ているようで、腹が捩れるかと思ったほど。「マインスイーパー」にハマるなど、ときどきどうしようもなくお茶目な部分が垣間見えて、そこが...

まずはとにかく、なんと言ってもおもしろい。とくにヒトラーが眼を醒ましたあと、現代の社会に順応するまでのくだりはまるでアンジャッシュのすれ違いコントを見ているようで、腹が捩れるかと思ったほど。「マインスイーパー」にハマるなど、ときどきどうしようもなくお茶目な部分が垣間見えて、そこがまたすごくおもしろい。ただ、本作は単純なコメディではない。元来が政治家を扱っているだけあって、やはり全体的に諷刺の雰囲気が流れている。ヒトラーの演説内容にしても、今日では的外れだったり、またいかにも「ヒトラー的」だったりする、差別的言辞に満ちたものももちろんすくなくないのであるが、しかし、現代になってもちっとも古びていなくて、ドがつくほどの正論と思えるものも散見されてドキリとしてしまう。今日ではヒトラーについてはすこしでもポジティヴな評価を与えることはタブー視されているが、もともとその政策面については先進的なところもあったというのは以前から指摘されているところで、本作ではそういった事情も踏まえているから、われわれはヒトラーをたんなる独裁者、大量殺人の元凶というような一方的な見方で片づけることもできない。ヒトラーのそういった実態についてじゅうぶんに眼を向けてこなかった、ドイツをはじめとする世界に対しても、痛烈な皮肉となっているのである。本作はいろいろな立場から読むことはできるが、ヒトラーと自分を同一視することはもちろん危険だし、かといってひたすら眼を背け続けるのもまた違う。誰の視点に立ったところで、それぞれ問題があって、じつに難しい決断を迫られることになる。ヒトラーはむしろ現代の複雑な世の中を象徴するような、そんな諷刺に満ちた存在なのかもしれない。なお、余談だがこの飜訳者の言葉遣い、漢字表記には気に入らない部分があって、ちゃんと「禁錮」とか「独擅場」とかを使ってほしかった。そんなことを気にするのはわたしだけかもしれないが。

Posted byブクログ