マチネの終わりに の商品レビュー
前半ちょっと退屈気味だったけど、ぐんぐん引き込まれました。 えぇ・・・、 わぁぁ・・・、 と、思わず、ため息が出る。 ありありと光景が浮かんでくる物語で、読み終わった時は、良い映画を見たときのような満たされ感でいっぱいになりました。
Posted by
感情に身を任せる自己中心的な恋愛ではなく、理性で相手や相手の家族を思いやるという愛の形。新聞小説で、この完成度。この伏線。恐れ入りました。
Posted by
平野啓一郎はSF作家なのだと思った。『空白を満たしなさい』では池端を使い、『マチネの終わりに』には教養ある登場人物を配した。
Posted by
互いに相手のことを慮り、すれ違ってしまうふたり。端から見てると非常にもどかしく、なんでもっと相手にぶつかっていかないのかと思ってしまう。それが大人というものなのか。こんなに最高のパートナーに巡り会えることなんて滅多にないのになぜ遠慮する?なぜ妙な分別をする?あーもどかしい。あんな...
互いに相手のことを慮り、すれ違ってしまうふたり。端から見てると非常にもどかしく、なんでもっと相手にぶつかっていかないのかと思ってしまう。それが大人というものなのか。こんなに最高のパートナーに巡り会えることなんて滅多にないのになぜ遠慮する?なぜ妙な分別をする?あーもどかしい。あんな別れ方をしたらそりゃあ引きずるよ。でも結婚できなかったからこそ、二人の関係が永遠になるんだろうな。相手のことを美しい思い出の中でずっと思い続けられるから。 「未来は過去を変えられる」にはハッとさせられたが、美しい思い出に塗り替えてしまう危うさに引っかかった。過去は過去のままでいいと思う。美化する必要はないし、過去があって今(未来)があるのだから。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
すべてが難しいとしか言いようがない。設定も、会話の内容も、未来も、心も。 この先、蒔野が責任を持って家庭を維持していくのが常識的なところだが、万一余命2年とでもあれば、万難を排して二人で…もありかなって感じ。 自分の中にない物語。
Posted by
大人の恋愛モノ。よく読む簡単な恋愛モノとは違って、大人だからこその、思い、配慮、色々なものが、まだまだなお子ちゃまな私だが、今のどうにもならない自分と共感するものもあって…。もどかしいけど、こういう事もあるのかなーと思いながら、途中からは引き込まれるように読んだ。ハッピーエンドが...
大人の恋愛モノ。よく読む簡単な恋愛モノとは違って、大人だからこその、思い、配慮、色々なものが、まだまだなお子ちゃまな私だが、今のどうにもならない自分と共感するものもあって…。もどかしいけど、こういう事もあるのかなーと思いながら、途中からは引き込まれるように読んだ。ハッピーエンドが好きな私ですが、たまにはこういうストーリーも面白かった!2016/6/8完読
Posted by
一言で言うなら 抗わない大人の愛。 感情が自分の為にあり無意識の欲求を孕むのなら、理性が相手の為に働き愛を育むということなのかな… 「未来は常に過去を変えていける」がキーワード。読書なのにギターの音色が聞こえてくる心地良さ…。 再読を心待ちする時間さえ愛しい。
Posted by
しっとりとした大人の愛の物語。 「過去は変えられる」 本当にそうと納得してしまう。 これはどういうことかしらと 何度も文章の上をを行ったり来たりして 読むのに時間がかかってしまった。
Posted by
芥川賞作家、平野啓一郎さんの新作恋愛小説。 Facebookでは毎日、平野さんの投稿を拝見しているが 実は、平野さんの作品を読んだことがなかった。 さらに、なんとかの森、がトラウマになり 恋愛小説は避けて通っていた。 しかしあれから30年も経っている。 平野さんの作品を読み始め...
芥川賞作家、平野啓一郎さんの新作恋愛小説。 Facebookでは毎日、平野さんの投稿を拝見しているが 実は、平野さんの作品を読んだことがなかった。 さらに、なんとかの森、がトラウマになり 恋愛小説は避けて通っていた。 しかしあれから30年も経っている。 平野さんの作品を読み始めるにあたり 新作であるこの本から始めようと思った。 最後の一行を読み終わった時 まるでスイッチが入ったかのように 涙が噴き出し、しばし声を上げて泣いた。 人の世はそんなものだ、という 諦めなのか絶望なのか、逆に希望なのか。 そんな理由はどうでもよかった。 ただ泣きたかった。 恋愛とは、人を愛するとは、愛する人とともに生きるとは... 一度、他人にそうした感情を持ってしまった以上 そこに純・不純、正・誤などないと私は思っている。 しかし、生まれたばかりの赤子のような想いも すぐに現世の手垢にまみれて 「私たちの恋愛」は二次元的なものになり 行く末に思いを馳せれば馳せるほど それはプレゼン相手のいない企画書の山 のような無意味なものになる。 蒔野と洋子が出会い、一直線に描かれた線には 4年の間に、複数の他者の線がからみつき どんなに二人が望んでも 太い一本の線であり続けることができなかった。 しかし人間関係の線というものが 結んだり、切れたりの繰り返しである以上 それは永遠に変わり続けるはずだ。 目の前に、背中合わせで立っている絶望と希望に いつでも微笑みかけられる余裕を持ちたい。 ことほどさように「恋愛」について考えさせられたが 何よりも、この小説を骨太にしているのは 洋子の言う「ヴェニスに死す症候群」や イラクからパリに逃れて来た友人の苦境 といった、現代の人間の生き方や政治的な問題が 確かな目線で描かれていることだ。 ここには書かないが、残しておきたい言葉がたくさんあった。 この小説のコアでもある蒔野のこの言葉だけ書いておく。 「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。 だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。 変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。 過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」 蒔野に会う前の自分は、もう今の自分ではないと洋子は思う。 この世に変わらないものなどない。 それこそが生き続けなければいけない人間の 唯一の希望なのだと私は思う。
Posted by
おしゃれですなぁ、大人ですなぁ~。 でも、この何とも言えない 人生のすれ違いの連続、 もどかしいのが堪りません! ちょっと翻訳もののような文体は 読みづらかったものの じらしてじらしての 終盤でのコンサートのシーンは 鳥肌ものでしたわ。
Posted by