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結婚式のメンバー の商品レビュー

3.7

62件のお客様レビュー

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2024/12/14

カーソン・マッカラーズの『結婚式のメンバー』を読んだ(翻訳は村上春樹。出版社は新潮社)。 第二次世界大戦中のアメリカ南部の田舎町に暮らす12歳の少女フランキーのひと夏の出来事を描いた物語。 読み終えた後、しばらくボーッとしてしまって、意味もなくパラパラとページをめくったりして...

カーソン・マッカラーズの『結婚式のメンバー』を読んだ(翻訳は村上春樹。出版社は新潮社)。 第二次世界大戦中のアメリカ南部の田舎町に暮らす12歳の少女フランキーのひと夏の出来事を描いた物語。 読み終えた後、しばらくボーッとしてしまって、意味もなくパラパラとページをめくったりしていた。それくらい読み手を引き込む、濃くて、素晴らしい作品だった。 主人公フランキーの心の動きを、とても丁寧に繊細に描いていたのが印象的だった。彼女の周囲の人々(アフリカ系の家政婦ベレニスや従兄弟、父親、フランキーがカフェで出会う赤毛の若い兵士など)もみんな、とても個性的で複雑。 特にフランキー、ベレニス、従兄弟の少年の3人のつながりが、不思議でおもしろい。それぞれ孤立しているようなんだけれど、ふとした時に、連帯する。すごく仲が良いわけでも、お互いを信頼し合ってるわけでもないのだが、独特なつながりが生まれてる。ある意味で、羨ましい関係性でもあった。3人で食事するシーンもとても好き。 フランキーが兄夫婦の結婚式に参加してから後半にかけては、何とも言えない侘しさ、物悲しさが募っていく。「何とも言えない」けど、深く感じるものがある。読み手の心に、何かを残してくれる。『結婚式のメンバー』はそんな作品だった。

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2024/02/15

The Member of the Wedding(1946年) アメリカ南部の田舎町で生まれ育った12歳の少女 フランキーことフランセス・ジャスミン・アダムズは、 母亡き後、父と暮らし、 家政婦ベレニス・セイディー・ブラウンの世話を受け、 近所に住む従弟ジョン・ヘンリー・ウェ...

The Member of the Wedding(1946年) アメリカ南部の田舎町で生まれ育った12歳の少女 フランキーことフランセス・ジャスミン・アダムズは、 母亡き後、父と暮らし、 家政婦ベレニス・セイディー・ブラウンの世話を受け、 近所に住む従弟ジョン・ヘンリー・ウェストと遊ぶのが 常だったが、いつも退屈し、環境に倦み、 思春期を迎えた自身の肉体と精神を持て余していた。 そんな中、兄ジャーヴィスの結婚が決まった。 彼は新妻ジャニスと ウィンターヒルという町で生活するという。 フランキーは結婚式を機に 兄夫婦と共にウィンターヒルへ脱出しようと目論む……。 自らにとって“正当な”“あるべき場所”へ エスケープしようと足掻き、もがく少女の 得手勝手なドタバタ。 端で見ている側にとってはバカみたいなエピソードの 連続なのだが、当人は至って真剣。 そんな風に環境や変化の途上にある自分自身に 違和感を覚えることなく大人に成りおおせた者は幸いである。 (でも、そういう人って大概つまんないヤツだよな) ※後でブログにもう少し細かいことを書くかもしれません。 https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/

Posted byブクログ

2024/01/03

加島祥造訳『夏の黄昏』バージョンで読んだ。 子どもから大人になる境目の、一番苦しい蛹の時間をていねいに描写した物語。 大きな戦争が起こっていても、人種差別がはびこっていても、人の悩みは今とそんなに変わらない(わたしの悩みは人と違う、と思うところまでそっくりそのまま)。

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2023/11/15

少女の繊細な気持ちが残酷でもあり美しくも表現されていた。村上訳だと訳者本来の作品がチラついて、ちょっと物語に入りづらい気がした。

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2023/10/22

思春期女子ってすごいなぁ。 でもここまでの子はそんなにいないよね。そうでもないのかな。どうなんだろ。

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2023/10/01

テーマは孤独と愛。孤独は世間上あまり良くないイメージらしい。けど孤独はいけないとか悪いとか誰が決めたのかなって思う。自分はかっこいいと思う。逆に群れることしか出来ない人間や独りじゃ何も出来ない人間の方が魅力を感じない。孤独を感じる時が多ければ多いほど人を愛することや優しくすること...

テーマは孤独と愛。孤独は世間上あまり良くないイメージらしい。けど孤独はいけないとか悪いとか誰が決めたのかなって思う。自分はかっこいいと思う。逆に群れることしか出来ない人間や独りじゃ何も出来ない人間の方が魅力を感じない。孤独を感じる時が多ければ多いほど人を愛することや優しくすることは出来るのかなって思う。

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2023/08/20

人生のある時期の衝動。 自分が何者か。どこにいるべきか。何をすべきか。 心も脳もバラバラになるほどヒリついた感情。 全てを壊し、自らさえも壊したくなる。そうしないと自分がここにいることが確かめられない といった感情。 そんなものに瑞々しくあふれている。 これはすごい。

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2023/08/05

読んでいると中学生に戻ってしまう。愛されたいが、簡単に理解されたくない、勝手に孤独になっていくそんな心境。 フランキーは『我ら闇より天を見る』のダッチェスだ。復讐する相手のいないダッチェスだ。

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2023/08/02

73冊目『結婚式のメンバー』(カーソン・マッカラーズ 著、村上春樹 訳、2016年4月、新潮社) 米の女流作家カーソン・マッカラーズが1946年に著した作品。 著者の自伝的要素が多分に含まれており、田舎街での生活に倦む12歳の少女の、広い世界へ旅立つ事への渇望が生々しく描き出さ...

73冊目『結婚式のメンバー』(カーソン・マッカラーズ 著、村上春樹 訳、2016年4月、新潮社) 米の女流作家カーソン・マッカラーズが1946年に著した作品。 著者の自伝的要素が多分に含まれており、田舎街での生活に倦む12歳の少女の、広い世界へ旅立つ事への渇望が生々しく描き出されている。 狂気的と言っても良いほどに暴走してしまう彼女の様は痛々しいが、そこには我々読者も経験した、過ぎし日の相貌がある。 「あたしたちはいろんなことを次々に試してみるんだけど、結局は閉じ込められたままなのさ」

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2023/06/18

なんと言えばいいのだろう。 12歳の少女が体験する、12歳の少女(あるいは少年でも)の誰でもが感じる心の機微を、美しい、それこそ我々が12歳の頃に感じていたような美しい夏を舞台に描き出す。 私が読んだのは新訳の村上訳で、多分に私の色眼鏡が入ってしまっている部分はあるとは思うが、少...

なんと言えばいいのだろう。 12歳の少女が体験する、12歳の少女(あるいは少年でも)の誰でもが感じる心の機微を、美しい、それこそ我々が12歳の頃に感じていたような美しい夏を舞台に描き出す。 私が読んだのは新訳の村上訳で、多分に私の色眼鏡が入ってしまっている部分はあるとは思うが、少女の心、あるいはある猛烈に暑い夏を描くその文章の美しさ。 物語自体は、本当になんとも言えない。しかしなんとも言えない良さがある。 でもそれ以上に、この美しい文章を堪能して欲しい。

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