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の商品レビュー

4.3

88件のお客様レビュー

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2017/02/17

読めて良かったとシミジミ感じながら、読み終えられた一冊だった。北斎や、その娘でこの本の主人公であるお栄さんの絵をネットで調べながら読んだ。ホンモノを見てみたくなった。お栄さんの生き様に勇気をもらえた。

Posted byブクログ

2017/02/09

手に職を持ったお栄はいいなあという情けない感想で終わってしまった。 「あたしは、どこにだって行けるのだ。」と窮屈な弟一家を出ようとする結末は清々しかった。 「もう六十かもしれないが、先々のあたしから見たら、今日のあたしがいっち若いじゃないか。」 時代小説は苦手だが、こんな現代に...

手に職を持ったお栄はいいなあという情けない感想で終わってしまった。 「あたしは、どこにだって行けるのだ。」と窮屈な弟一家を出ようとする結末は清々しかった。 「もう六十かもしれないが、先々のあたしから見たら、今日のあたしがいっち若いじゃないか。」 時代小説は苦手だが、こんな現代に通じる主人公には励まされる。 対照的なのは、母の小兎。最初は、お栄の仕事の邪魔ばかりする古臭い母親で、嫌な感じがした。 ところが、次のような場面に差し掛かった時、お栄の言葉を通してだが、昔ながらの(という言い方もおかしいが)妻であり母である小兎の気持ちが痛いほど感じられた。 "おっ母さんはあの時、少し寂しかったのだろうか。 いつも家にいない亭主と娘が、己の手の届かない絵の世界で生きている二人がやっと家にいつくようになったのだ。けれど病が癒えれば、またも見送らねばならない。 おっ母さんが作った小さな巣はまた、誰にも顧みられなくなった。" 154ページ "使いもしない、本当は欲しくもない安物を目につくままに買っては気を紛らわせていたのだろうか。そう思うと、切なかった。" 186ページ 手に職もなく、一人で生きていくことが難しい私だが、元気に生きていきたい。 "お栄はいつしか、毎朝、目が覚めると、こう唱えるようになっていた。 うん、あたしはへっちゃらだ。" 203ページ

Posted byブクログ

2018/04/07

通勤の電車の中で、少しずつ読みました。 日々の間中、頭の片隅にお栄さんが居続けた気がします。 ――どこで生きても、あたしは絵師だ。 いさぎよし。

Posted byブクログ

2017/02/03

北斎の娘、お栄の人生を描いた作品。お栄の存在を知らず、北斎などの人生との絡みを含めてなかなか面白かった。作品もネットで実際の物を見ながら読んだので、興味深かった。ただ、引き込まれたかと言われればもう一つ。結局時太郎は何だったんだろう。北斎が借金を重ねて貧乏だったことの原因として?

Posted byブクログ

2017/01/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

朝井まかての得意技?有名な芸術家の娘の視点で物語を描くヤツ。 最初は「阿蘭陀西鶴」の二番煎じかと一瞬思いもしたが、実際そう読めばそうなんだが、それでもこの小説はオモロい。まぁワンパターンや得意技を二番煎じと批判してたら、吉本新喜劇もヘビーメタルもクレイジーキャッツも全否定になってしまうわな… 閑話休題、主人公お栄(応為)の絵に対する情熱が凄いのである。何かの道の天才や鬼才がその道に一途になって執着して、狂うかのように淫するかのように、一心不乱になる…そういう物語はあまたあるが、お栄の一心不乱っぷりはなんともカッチョ良いのである。あてつけがましくない悲壮感が良い。絵に狂っていても「それでも描くしか道はない」って分かっているところも良い。借金まみれで着るものに無頓着で食うものもテケトーで絵のことばっかり考えているその姿に惚れてしまう。 人間いっつも前ばっかり向いてられないけど、それでも、こういう基本的に前を向くような性分を持ち合わせた生き様を見せられると「よし頑張ろうか」と思うのである。純粋な努力を観てしまうと「俺も集中しよう」と思うのである。 「見た目」や「財力」は魅力である、惚れてしまう。でもその暑さはシリコンスチーマでレンチンした、みたいなもんですぐ冷めてしまう安モンである。本当の魅力は「培って伸ばしてきたスキル」である。土鍋でじっくり煮込んである本モンである。しかもその土鍋はまだ努力というトロ火にかかっている可能性が高い。 表紙の絵にその本モンの片鱗が伺える。この本を読んでこの絵を間近で見たら、俺みたいな性根座ってない人間でも、きっとお栄が積み重ねてきたモノに圧倒されて、クラクラと立ち眩んでしまうに違いないのである。

Posted byブクログ

2017/01/18

感想が難しい。 落陽や、恋歌、西鶴の話よりも胸に響いてこないんだけど、だからといって決して本作が悪いというわけではない。 話の内容に救いがないからだろうか? 葛飾北斎の娘の絵師の話なのだけど、救いがないというな日の光が差し込んだかと思うと、すぐに陰ってしまうかんじが、寂しい。

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2017/01/07

北斎の娘、応為の一生を書いた作品。絵とともに生きた女性、当時は女性の地位が低く、女性絵師の生きづらい面、周りからの評判、理解してもらえない人もいるだろう。その苦難などを心に溜めながらも、懸命に絵を書き、構想を凝らし、理想とする絵への探究心を追い求める姿、応為から見た北斎の父として...

北斎の娘、応為の一生を書いた作品。絵とともに生きた女性、当時は女性の地位が低く、女性絵師の生きづらい面、周りからの評判、理解してもらえない人もいるだろう。その苦難などを心に溜めながらも、懸命に絵を書き、構想を凝らし、理想とする絵への探究心を追い求める姿、応為から見た北斎の父としての面、娘として父に孝行できることを尽くし、看取る姿は、絵師だけでなく人間としての魅力溢れた人物だと感じる。北斎の生涯最後の絵図を書く場面、応為の吉原格子先之図を書く場面は心に沁みる、感動であった。

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2017/01/07

2016.12.実在の葛飾北斎の娘のお栄の一生を描いた作品。この人の作品を見ていればもっと楽しめただろうと思った。

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2016/12/23

『恋歌』ほどは引き込まれなかったけれど、良かった。 つい『百日紅』のイメージに引きずられてしまった。 漫画の持つ力は、良くも悪くも強烈だ。 日本画を描くに当たっての、下準備が細かく描写されているのが興味深かった。 北斎を側で支え続けた応為の視点ならではだと思う。 また、応為の目...

『恋歌』ほどは引き込まれなかったけれど、良かった。 つい『百日紅』のイメージに引きずられてしまった。 漫画の持つ力は、良くも悪くも強烈だ。 日本画を描くに当たっての、下準備が細かく描写されているのが興味深かった。 北斎を側で支え続けた応為の視点ならではだと思う。 また、応為の目で見る、色彩豊かな世界描写も良かった。 一方で、卒中や晩年の北斎を支える生活は、まさに介護。 その様は現代と何も変わらない。 悪も醜も隠さず、そこにある現実が描かれている。でも、嫌な感じがしない。辛く苦しい場面でも、どこか清々しさを纏っている気がする。 だから読了後が気持ちいい。『恋歌』もそうだった。 これがこの著者の描く文体、世界観なのだろうか。 『阿蘭陀西鶴』もぜひ、読まなくては。

Posted byブクログ

2016/12/20

葛飾北斎の娘・応為こと栄の絵描人生の物語。 応為は初めて知りました。 冨嶽三十六景など有名な絵の話も出てくるので、親しみを感じられますが、号を変えた話や住処を変えた話という話も盛り込まれていて、いっぱしの葛飾通になりそう。 代表作の吉原格子先之図は表紙を飾る絵ですが、最終章を読み...

葛飾北斎の娘・応為こと栄の絵描人生の物語。 応為は初めて知りました。 冨嶽三十六景など有名な絵の話も出てくるので、親しみを感じられますが、号を変えた話や住処を変えた話という話も盛り込まれていて、いっぱしの葛飾通になりそう。 代表作の吉原格子先之図は表紙を飾る絵ですが、最終章を読みながら絵を鑑賞するには電子本よりもハードカバーの方が良いでしょう。 絵を見に行きたくなる本です。

Posted byブクログ