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2016/06/23
  • ネタバレ

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葛飾北斎の娘・栄の物語,表紙の絵は「吉原格子先之図」で西画風~絵師に嫁げば好きなだけ絵筆を執れると思ったが夫の吉之助は絵を見て気に入らず,家を飛び出して親爺殿の許に帰った。カナアリアは馬琴が置いていったもので,小僧の五助が可愛がっているが,栄にとっての地獄の使者・甥の時太郎が逃がしてしまった。親爺殿の弟子・善次郎は絵の腕を競い合った仲だが,揚羽の黒色を出したいと連れて行かれた吉原で芸者になった三人の妹の音曲を聴いた。オランダの先生・シーボルトから西画で江戸の暮らしを描く注文が入り,栄は花魁と禿を担当したが,出来はイマイチで,出島に出入りする絵師には何かをやりたい意気を感じると見透かされてしまった。善次郎の妹・ゆきの祝言で,姉さん芸者・滝の手踊りを観て幸せな気分を味わったが,帰ると親爺殿が中気で倒れていた。母・小兎は甲斐甲斐しく世話を焼くが,やる気を出させたのは滝沢馬琴で,柚を摺って呑ませろと置いていったが,馬琴に教えたのは善次郎で,半年後の回復と引き替えに母が息を引き取り,栄は善次郎と理無い仲になる。いつまでも続けられる仲ではないが,二人を引き裂いたのは火事だった。すっかり回復した北斎親爺は孫が世話になっている西村堂の窮地を救う一大博打を,富士山の絵で成し遂げた。親爺殿が小布施に出掛けている最中に訪ねてきた善次郎は夜桜美人図なら井戸を書き込まないと意趣が通じないと云うが我を通してみた。三曲合奏図はどうしても善次郎の三妹が気になるが,善次郎の訃報を聞いて俄然描く気が燃え上がる。親爺殿絶筆になる富士越龍図は,客が絶えた正月明けに五助がやってきて,手伝って仕上げたものだ。御家人になった実弟の役宅に住まうようになったが,義妹が煩く,吉原格子先之図に自分の名を描いて,聖天町に帰ろうと決めた~大阪の人なのに江戸の画家の娘の話かい? ま,ストーリー・テルは上手だね。女の心は1959年生まれでよく知っている・2014年の直木賞作家

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2017/10/29

北斎を父に持つお栄は、画才を父からも認められ、とくに美人画の腕前は一目置かれていたといいます。 肉筆画にはこれまでの浮世絵にはない技法が盛り込まれ、たいへん興味深い作品でした。 応為の作は10あると言われています。後半はその絵が完成するまでの葛藤や描写の場面があり、想像をかきたて...

北斎を父に持つお栄は、画才を父からも認められ、とくに美人画の腕前は一目置かれていたといいます。 肉筆画にはこれまでの浮世絵にはない技法が盛り込まれ、たいへん興味深い作品でした。 応為の作は10あると言われています。後半はその絵が完成するまでの葛藤や描写の場面があり、想像をかきたてられます。 男勝りで、家事のたぐいは一切せず、酒をたしなみ、煙草をくゆらせながら生きるお栄は、画業に生きたひとでした。 心の通った男との関係も秘め事として裡にしまい、絵を描くことだけに腐心します。 母との確執もあり、極道の甥に苦しめられながらも、お栄は画業ひとすじ。さいごまで粋な作品でした。

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2016/06/13

葛飾応為の絵にかける想いでできた物語.女であることと絵師であることの難しさ,偉大すぎる父,母との確執,悪魔のような甥っ子,善次郎への片恋.盛りだくさんの人生が作品となって収斂していく.とても面白い物語だった.

Posted byブクログ

2016/06/08

絵に生きた「お栄」の物語。 表紙に使われている作品が何とも言えず美しい。この絵の陰影をうまく描いている作品。

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2016/06/03

葛飾北斎の娘「お栄」さんの話。 北斎との話も交えて、物語が気持ちよく進む。威勢のいい、江戸言葉が心地よく響く。 物語も、史実を巧みに織り交ぜながら、人物の感情もよく伝わる。 ただ少し、冗長な部分もあると感じたが、大いに満足できた。

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2016/04/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

葛飾北斎の娘・栄(号は応為)の物語。先日彼女を主人公にした映画『百日紅』を見たけれど、どんな絵を描いたのかは全く知らず、この表紙の絵がその一つと知って驚いた。現代人が描いたと言われても信じてしまいそう。晩年にこの絵を描くまでの精進と葛藤、画業一筋の人生。眩しいほどに鮮烈。中風で倒れた北斎を馬琴が見舞うシーンがよかった(『みをつくし料理帖』の清右衛門もあんなこと言いそう^^)。

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2016/04/13

杉浦日向子さんの『百日紅を読んでいたので 背景や、関係性などは、すぐに理解でき 想像もできたのだけど 小説の世界に引き込む力は半端ない 絵を描くことに対してのひたむきさや 人間臭さとあきらめと恋と 生きていく上での葛藤する気持ちが 心の中に押し寄せてくるような感じ 朝井まかてさん...

杉浦日向子さんの『百日紅を読んでいたので 背景や、関係性などは、すぐに理解でき 想像もできたのだけど 小説の世界に引き込む力は半端ない 絵を描くことに対してのひたむきさや 人間臭さとあきらめと恋と 生きていく上での葛藤する気持ちが 心の中に押し寄せてくるような感じ 朝井まかてさんの歴史小説は 本当に面白いと思います

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2016/04/13

1959年生まれの朝井まかてさん、2008年「実さえ花さえ」でデビュー、2013年「恋歌(れんか)」で直木賞受賞。その後、井原西鶴の生涯を描き、今回は葛飾北斎とその娘お栄の生涯を。「眩(くらら)」2016.3発行です。史実に忠実な朝井まかてさんだからやや堅苦しい作品になってはいま...

1959年生まれの朝井まかてさん、2008年「実さえ花さえ」でデビュー、2013年「恋歌(れんか)」で直木賞受賞。その後、井原西鶴の生涯を描き、今回は葛飾北斎とその娘お栄の生涯を。「眩(くらら)」2016.3発行です。史実に忠実な朝井まかてさんだからやや堅苦しい作品になってはいますが、絵師としての矜持はひしひしと伝わってまいります。

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