眩 の商品レビュー
お栄が最後まで格好良かった。 葛飾北斎の娘がこんなに素晴らしい絵師だったと知ったのは、この作品のドラマを見たのが先だった。ドラマがとても良かったので、思い出した様にこの本を手に取った。 北斎の弟子として絵を書き続ける一方で、自分の絵を描きたいと、どこかで葛藤しているお栄。しかし...
お栄が最後まで格好良かった。 葛飾北斎の娘がこんなに素晴らしい絵師だったと知ったのは、この作品のドラマを見たのが先だった。ドラマがとても良かったので、思い出した様にこの本を手に取った。 北斎の弟子として絵を書き続ける一方で、自分の絵を描きたいと、どこかで葛藤しているお栄。しかし実の父親とはいえお栄にとって北斎は偉大過ぎた。 でも実際にお栄の作品を検索してみると、彼女の絵はとても美しく、素人目にも素晴らしいと思う。 仕事の手は抜かないかが、いつもは煙管をふかし、昼間から酒を呑んで、身の廻りのことに頓着しないお栄でも、善次郎を想う女らしい一面もあり、父や母を気遣う優しい一面もありとても人間らしくて好き。 でもやっぱり、時太郎だけは一生許さない‼︎ 27
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近年では1、2を争うほど惹き込まれた1冊。ページを捲るたびに頭の中で人物が生活をし、江戸の町並みがありありと浮かんでくるような、本当にその時代をともにできるかのような空気を含んだ作品。小説を「自分の経験したことのない世界を経験したかのような感覚にさせてくれるもの」と考えたときに、...
近年では1、2を争うほど惹き込まれた1冊。ページを捲るたびに頭の中で人物が生活をし、江戸の町並みがありありと浮かんでくるような、本当にその時代をともにできるかのような空気を含んだ作品。小説を「自分の経験したことのない世界を経験したかのような感覚にさせてくれるもの」と考えたときに、その最高峰だと言えると思う。あまりに熱く、狂的とも言える創作への飢えと渇きにあてられ、死ぬまでに応為の絵を見ておこうと誓った。
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お栄も親父どのも絵の表現は優れていたけれど、自分の感情や言葉での表現は絵ほど巧みにはできなかった様で、なんだか歯痒い様な気もします。 でも、だからこそそれを如何に絵に表現するか精進したのでしょうか。 時太郎のお陰で金銭的に苦しい生活ではあった様ですが、やりたい事がありそれが出来た...
お栄も親父どのも絵の表現は優れていたけれど、自分の感情や言葉での表現は絵ほど巧みにはできなかった様で、なんだか歯痒い様な気もします。 でも、だからこそそれを如何に絵に表現するか精進したのでしょうか。 時太郎のお陰で金銭的に苦しい生活ではあった様ですが、やりたい事がありそれが出来た人生はきっと幸せだったのでしょうね。
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そっかぁ、この本の装画はお栄さんの作品なんだ。陰影が洒落ていて幻想的だし、てっきり現代画だと思っていた。太田記念美術館蔵っあるから、一度訪ねてみたい。まあ、常設展示はされてないかもしれないけど、この本で注目が高まればレプリカくらいは拝めるかも。しかし、不器量で家事には無精で、嫁と...
そっかぁ、この本の装画はお栄さんの作品なんだ。陰影が洒落ていて幻想的だし、てっきり現代画だと思っていた。太田記念美術館蔵っあるから、一度訪ねてみたい。まあ、常設展示はされてないかもしれないけど、この本で注目が高まればレプリカくらいは拝めるかも。しかし、不器量で家事には無精で、嫁としちゃあなってないけど、絵師としては豪気で才気煥発な女性を巧く著している。内輪のこざこざした悲哀描写が多いものの、それがリアリティを高めている。親父どの北斎が最後に画いた『富士越龍図』、ネットで観るにぞくぞくする。
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ドラマを先に見てしまったが、マハさんの「たゆたえども沈まず」の中でも、その凄さが際立って書かれていた北斎。その北斎の違う一面が見えそうで読みたくなった。 「三流のプロでも、一流の素人に勝る」というセリフには、思わず深く頷いた。 余談だが、ドラマの中で善次郎 がお滝 との同居を語...
ドラマを先に見てしまったが、マハさんの「たゆたえども沈まず」の中でも、その凄さが際立って書かれていた北斎。その北斎の違う一面が見えそうで読みたくなった。 「三流のプロでも、一流の素人に勝る」というセリフには、思わず深く頷いた。 余談だが、ドラマの中で善次郎 がお滝 との同居を語った時のお栄(宮崎あおい)の演技は絶品だった。 本の中でも、とても印象的な部分だった。 善さんの優しさは毒だよ・・・。 ドラマでは描かれなかった善次郎の妹達。とても印象的なキャラだった。 そして、友を失った善次郎がその苦悩の出口求め、北斎を訪ねたシーン。 お栄の慰めに、 「そうじゃねえんだよ、俺の気持ちなんかどうでもいいんだよ・・」 やたら泣けました。
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ドラマ見逃したー!と言ってたら、桂さんが貸してくれた。 生涯を追う形式だから仕方ないんだけど、平気で数年経っちゃって…もう少し味わいたいなぁって思った。 あと、色々難しいんだろうけど、いちいちの作品が見たい! 凄い分厚くなるの覚悟で図録とセットで、それぞれの話も切れ目できっちり頁...
ドラマ見逃したー!と言ってたら、桂さんが貸してくれた。 生涯を追う形式だから仕方ないんだけど、平気で数年経っちゃって…もう少し味わいたいなぁって思った。 あと、色々難しいんだろうけど、いちいちの作品が見たい! 凄い分厚くなるの覚悟で図録とセットで、それぞれの話も切れ目できっちり頁あけて…って余韻を持たせる贅沢な作りだったら物語も活きたんだろうな。
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葛飾応為(おうい)こと、葛飾北斎の娘お栄の半生記。 NHKドラマ「眩(くらら)~北斎の娘~」を見て感動し、彼女の描いた「夜桜美人図」や「吉原格子先図」を見て、また感動し、そしてこの本を読んで、またまた感動した次第です。 お栄が描いた「夜桜美人図」「吉原格子先図」を見て、江戸時...
葛飾応為(おうい)こと、葛飾北斎の娘お栄の半生記。 NHKドラマ「眩(くらら)~北斎の娘~」を見て感動し、彼女の描いた「夜桜美人図」や「吉原格子先図」を見て、また感動し、そしてこの本を読んで、またまた感動した次第です。 お栄が描いた「夜桜美人図」「吉原格子先図」を見て、江戸時代にレンブラントのような光と影を自在に操る浮世絵師がいたのは驚きだった。まさに驚愕です。 本書は、江戸の時代背景、そして浮世絵世界の仕組み(板元、絵師、彫師、刷師、そして苛烈な競争社会等)などをきめ細かく描写し、その中からお栄や彼女が恋心を抱く渓斎英泉、父親の北斎等の人となりを巧く描き出している。 また、お栄の資料というものは殆ど残っていないので、著者の描きたいイメージを思い切り膨らますことが出来たのではないだろうか。 このひたすらきめ細かい描き方で感じたのは、以前直木賞選考委員の高村薫が「家康、江戸を建てる」の門井慶喜へ言った批評を思い出した。 (「家康、江戸を建てる」は面白いアイデアが盛り込まれているが、描写はかなり荒っぽい) 「老婆心ながら、小説は面白いアイデアとは別の次元で成立している何ものか、である。」 本書はそういう意味で、高村薫の言う「アイデアとは別の次元で成立している何ものか」の成功例ではなかろうかと思う。 NHKドラマのお栄(宮崎あおい)、渓斎英泉(松田龍平)は小説のイメージとは若干違うが、これも良かった。
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2017.10.28市立図書館 NHKでやったドラマがおもしろかったので、『北斎娘・応為栄女集』も合わせて借りる。が、読む時間がなくひとまず返却。 →2018.10.5 文庫本購入
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主人公は、江戸時代後期の浮世絵師、 化政文化を代表する一人でもある葛飾北斎の娘、お栄。 すでにこたろうどんがレポを書かれています。 北斎の物語ならいくつかあるかもしれませんが、 その娘の話というのは、 杉浦日向子さんの漫画『百日紅(さるすべり)』とか。 私も全然知りませんでした...
主人公は、江戸時代後期の浮世絵師、 化政文化を代表する一人でもある葛飾北斎の娘、お栄。 すでにこたろうどんがレポを書かれています。 北斎の物語ならいくつかあるかもしれませんが、 その娘の話というのは、 杉浦日向子さんの漫画『百日紅(さるすべり)』とか。 私も全然知りませんでしたが、 この作品を読んで、少なくともお栄という女性がいたことがわかります。 このお栄さんは北斎の娘だけあって、遺伝子は北斎、そのもの。 幼少のころ、北斎の絵筆を握っただけで 書きたくなってくらくらと眩暈を覚えたほどです。 才能の開花は徐々に訪れ、 お栄は嫁に行きたいと思わずに絵筆を握り続け、 父である北斎の仕事を手伝います。 そして、一度は同じ絵師に嫁いだものの、 絵師という仕事に没頭したいあまり、家庭に入れ切れず やがて父の元へ出戻ってきます。 同じころ、義姉の一人息子時次郎もわけあって、 北斎の家で育てることになります。 この時次郎、成長するにつれ、悪い連中と繋がりができて賭場通い。 「葛飾北斎の孫」という肩書を武器に、あちこちで借金を作ります。 その請求はすべて北斎の元へ。 いくら名が売れているとはいえ、所詮は書いてなんぼの世界。 北斎の書いた絵は、孫の借金のためにすぐに消えていき、 やがては家屋も質入れにしたりして究極の貧乏に陥ります。 そんななか、北斎自身が中風でたおれて、半身不随。 リハビリ中に北斎の妻小兎が突然死します。 お栄自身も幼馴染のような絵師の善次郎に思いを馳せますが、 善次郎の死によってまた一人に。 葛飾北斎に寄り添うにように生きていく 波乱万丈な女絵師の生きざまが ユーモアをくわえ、生き生きと描かれていました。 お栄という女性、こんなにも男まさりだったのかどうか、 不思議に思うところもありますが、 絵に対する「描きたい」という羨望はひしひしと伝わってきました。 葛飾応為(かつしか・おうい)という雅号ももち、 北斎の絵の一部分を手掛けたりして頑張るお栄。 けれども女性であるがゆえか、 表にでてくることはほとんどありません。 それは、父である葛飾北斎が あまりに有名すぎたのかもしれません。 お栄が江戸時代でなく現代に生まれていたのなら、 また違った絵師としての人生があったかも・・・。ちょっと残念です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
先にドラマを見ちゃったんで、宮崎あおいがチラつくかと思ったら、そうでもなかった。さすが。馬琴の卒中見舞いと善次郎の妹達が印象的。しっかし、この「我が孫なる悪魔」時太郎は、ないわー。
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