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学びとは何か 〈探究人〉になるために の商品レビュー

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63件のお客様レビュー

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2024/06/05

知識とは事実の断片的記憶ではなく、システム 新しいことを学ぶときに行われているのは、今までの自分の知識を組み換えながら、新しいスキーマを再構築していくこと。 熟練、一流の直感、応用力、創造力といったものは、膨大な訓練や練習の積み重ねの上にできあがるもの。一人でずっと考えたり、...

知識とは事実の断片的記憶ではなく、システム 新しいことを学ぶときに行われているのは、今までの自分の知識を組み換えながら、新しいスキーマを再構築していくこと。 熟練、一流の直感、応用力、創造力といったものは、膨大な訓練や練習の積み重ねの上にできあがるもの。一人でずっと考えたり、ひたすら試し続けるしかない。何年も、何十年も。 今まで自分が正しいと信じて学んで作り上げてきた知識体系のスキーマを、一旦壊して再構築することがとても大切だがとても難しい。 趣旨はTHINKAGAINと同じと思われる。 誤って覚えたスキーマを再構築するには、客観的に自分を疑ってみる必要がある。ここでクリティカルシンキングが必要になってくる。 仮説を立てて、検証して、結果を解釈して、解釈に疑問を投げかけてみる。 これの繰り返しが熟練なんだと思う。 新しいことと学び続ける人=探求人 探求人の子供を育てるには、指導者(大人)が探求人になるしかない。 それはそうだと思う。

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2024/04/18

スキーマに対する考え方がとても参考になる。誤った思い込みを捨てて、正しい理論を受け入れることは、コペルニクス的に転換のような革命的な出来事だとすれば、日々の学校の授業はそうしたことが、たくさん生まれるとてもドラマチックな時間だと思う。

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2024/04/06

新書なのもあり内容は平易に整理してくれている印象。 狭義の知識ではなく、身体化された知識やスキーマを含めた学び、それらを通して探究を進めることこそが学びだと認識した。 スキーマはある意味ではコンテキストとも言い換えられるなあと。断片化された情報だけでなく、通じて文脈を含めた総体を...

新書なのもあり内容は平易に整理してくれている印象。 狭義の知識ではなく、身体化された知識やスキーマを含めた学び、それらを通して探究を進めることこそが学びだと認識した。 スキーマはある意味ではコンテキストとも言い換えられるなあと。断片化された情報だけでなく、通じて文脈を含めた総体を認識する努力こそ学びを構成するものだと思った。

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2024/03/24

探求する知識観。知識は自分で発見するもの。使うことで身体の一部にするもの。システムの一部であること…。言語は究極の象徴。

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2024/02/17

知識を増やすことが学ぶということではない。 知識を使って新しいシステムに変化させていくことが学びだ。 つまり、身体を使って体験することで、知識をさらに他のものに転移させていくことが大切だということ。目的を知ることにしてしまうと発展はない。 超一流の熟達者は当たり前のようにそれを...

知識を増やすことが学ぶということではない。 知識を使って新しいシステムに変化させていくことが学びだ。 つまり、身体を使って体験することで、知識をさらに他のものに転移させていくことが大切だということ。目的を知ることにしてしまうと発展はない。 超一流の熟達者は当たり前のようにそれを繰り返している。 やり続ける「根気」と失敗しても立ち上がる「打たれ強さ」。 探究人であり、超一流の熟達者になるための必須条件である。

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2023/10/01

「学び」ということについて、なんとなくモヤモヤと疑問に思っていた様々な点が、とても分かりやすく示されています。 熟達に至るための道筋として、ものごとの理解する解像度を上げること。 また、知識を表面的に覚えるのではなく、相互の知識の連関やつなぎ合わせに意欲的であることが、生きた知識...

「学び」ということについて、なんとなくモヤモヤと疑問に思っていた様々な点が、とても分かりやすく示されています。 熟達に至るための道筋として、ものごとの理解する解像度を上げること。 また、知識を表面的に覚えるのではなく、相互の知識の連関やつなぎ合わせに意欲的であることが、生きた知識にするということ。 さらに、思考の枠組であるスキーマの構築と修正に自覚的で、知識の組合せから生まれた新たな知識を受け、スキーマの方も見直せること。 それらが学びを深めることにつながると感じました。 なお、羽生九段が寄せられた前文が、簡潔かつポイントを押さえたもので導入からワクワクさせていただきました。

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2023/08/23

880 今井むつみ 1989年慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学。1994年ノースウェスタン大学心理学部Ph.D.取得。慶應義塾大学環境情報学部教授。専攻は認知科学、言語心理学、発達心理学。著書に、『ことばと思考』岩波新書、『言語と身体性』岩波講座コミュニケーションの認知科...

880 今井むつみ 1989年慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学。1994年ノースウェスタン大学心理学部Ph.D.取得。慶應義塾大学環境情報学部教授。専攻は認知科学、言語心理学、発達心理学。著書に、『ことばと思考』岩波新書、『言語と身体性』岩波講座コミュニケーションの認知科学第1巻(編著)、『ことばの発達の謎を解く』ちくまプリマー新書、『言葉をおぼえるしくみ──母語から外国語まで』ちくま学芸文庫(共著)、『新人が学ぶということ──認知学習論からの視点』北樹出版ほかがある。 ある分野で熟達を目指した人たちが最も油の乗る時期、すなわ ちピークに達する年齢は、その人が目指す分野の性質によって大きく異なる。では、それぞれの分野で国際的に一流と認められる ようになるには、ふつう何年くらいかかるのだろうか?フロリ ダ州立大学教授で熟達の認知研究の第一人者であるアンダース・ エリクソンによれば、国際的に活躍できる熟達のレベルになるに は、どんな分野においても一万時間程度の訓練が必要になるそう 一日二、三時間、毎日訓練をつづけると一〇年くらいになる。 これを「一〇年修行の法則」という。チェスや楽器演奏、ある種 のスポーツ(とくに身体の肉体的成熟の完成が必須条件でないスポーツ)の ように、一〇代半ばに一流になる、いわゆる「天才」と呼ばれる 個人が出現することがたしかにある。しかし、そのような「天 才」は、ほとんどの場合、非常に年少の頃から音楽やスポーツの 道に進むことを決めていて、一〇代半ばにはすでに一〇年間にお よぶトレーニングの集中期間を経てそこに至っている。 このような臨機応変な対処は、まさに熟練をベースにした創造 的な問題解決そのものだ。長年の熟練により、いつもと違う状況 で、いつもと同じことが通じないときに、他の人とちがうモノの 見方、捉え方ができ、別の対応を考えることができるのだ。逆に 言うと、何もないところから一気にまったく新しいものを生む創 造性は存在しない。実際、多くの分野において創造的なパフォー マンスというのは、まったく存在しない要素を創り出すことでは なく、すでに存在する要素をいままでにないやり方で組み合わせ ることから生まれるのである。 葛飾北斎が死に際に残したことばは、「もう一〇年、いや五年 の命を与えてくれたら、まことの絵師になれただろうに」だった そうである。北斎は七〇歳を過ぎて「富嶽三十六景」を完成させ たときのあとがきにこのように書き残しているそうだ。 七〇歳以前に書いたものはまったく取るに足りないもの 七三歳で鳥やけもの、魚の骨格の何たるかをいくらかは悟る ことができた このまま修行をつづけていれば一〇〇歳で神妙の域に達する ことができるだろう 一一〇歳までつづけられれば一点一画が生きているもののよ うに描けるようになる 私たちは絵を描くとき、程度の差はあれ、すべて自分で観た世界をシンボル化して いる。どんなに精密な具象画でも、日にした世界をある一定の光や環境のもとで切り 取り、自分の解釈を加えて「心で観た世界」を描くのである。 報酬を与えられた子どもは当初は嬉々としてゲームに勤しんだ。しかし、報酬がな くなるとゲームに対する興味は急激に落ち、もともとまったく報酬が与えられなかっ た子どもたちよりもそのゲームをしなくなったのである。

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2023/07/22

学ぶとは何か、知ってるとはどう言うことを言うのか、どのような階層があるのか、「学び」そのものを体系的に学べる。探究人になるには、「知識」を、自分で発見し、体得し、更新するものと捉え、学び続けることが大事。価値観としてこう言う考え方のベースを持ってるか持ってないかで人生を面白がれる...

学ぶとは何か、知ってるとはどう言うことを言うのか、どのような階層があるのか、「学び」そのものを体系的に学べる。探究人になるには、「知識」を、自分で発見し、体得し、更新するものと捉え、学び続けることが大事。価値観としてこう言う考え方のベースを持ってるか持ってないかで人生を面白がれる幅がかなり変わりそうだ。

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2023/07/20

言語学習を具体例にして、そこから得られる学びについて書かれた良書であった。 単語ばかり必死に覚えていた過去の自分に紹介したい。「それは知識システムに統合されてないよ。単語と単語の裏にある意味を自分のストーリーで理解し身体の一部にして初めて学びになるんだ」って。

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2023/07/17

認知科学を専門とする今井むつみ(1958-)が、子どもの発達とりわけ子どもの言語習得の過程に関する研究を参照しながら、あるべき「学習の型」を考察する。2016年。 □ 「主体的で自律的な学習」の在り方について考えさせられた。 「学習」とは、外から与えられる新たな知識を単に記...

認知科学を専門とする今井むつみ(1958-)が、子どもの発達とりわけ子どもの言語習得の過程に関する研究を参照しながら、あるべき「学習の型」を考察する。2016年。 □ 「主体的で自律的な学習」の在り方について考えさせられた。 「学習」とは、外から与えられる新たな知識を単に記憶に貯蔵していくだけの「一方向的な量的蓄積の過程」なのではなく、①新たな知識を自分で発見し、②既存の知識を通して新たな知識に対して主体的に意味を付与し、③既存の諸知識が予め相互に関係づけられて配置されているシステムの内部に新たな知識を位置づけ、④新たな知識が既存の知識のシステムと矛盾する場合はその整合性を保つためにシステムに必要な変更を施し、⑤知識のシステムをより精緻で豊穣なものにしていくことでさらに新たな知識を発見し創造していこうとする、「自己反省的な質的変容の過程」であるといえる。最終的な目的が予め措定されていない弁証法的な過程。 「[略]、子どもの言語の習得の過程とは知識の断片を貯めていく過程ではなく、知識をシステムとしてつくり上げていく過程に他ならない」(p40)。 「子どもは大人が母語を使う(つまり話をする)ことを模倣して母語を学ぶ。しかし、それは決して「猿真似」ではなく、親が使う言語を聞いた時に、インプットに対して分析、解釈を行い、自分で言語のしくみを発見することによって言語を自分で創り直すことに他ならない。結局のところ、模倣から始めてそれを自分で解釈し、自分で使うことによって自分の身体に落とし込むということは言語や運動に限らず、すべてのことの学習・熟達過程において必要なことなのである」(p135-136)。 「言語はあまたの要素が互いに意味をもって関係づけられてつくられたシステムである。語彙の学習を例に挙げれば、単語を覚えるということはドネルケバブの肉片を貼り付けるように、それまでの地点で作られている語彙にさらに新しい単語を加えていくことではないのだ。新しい単語を語彙に入れるために、子どもはその単語の意味を自分で考える。そのときには、すでに知っている単語との関係を考え、語彙のシステムの中での新しい単語の収まる場所を考える。新しい単語が語彙に入れられたら、その単語と関係する単語の意味も変わりうるし、語彙のシステム自体も変動する」(p148)。 重要なのは、「学び」という営みは、単に事実的な知識を増やすことだけなのではなく、そこには「学び方に対する学び」という「学び」それ自体をメタレベルから対象化し反省する視点が内包されている、という点だろう。個々の知識を学習しながら、同時に学習のしかたそのものを学び、学習の質をも向上させていく。そもそも、完全な知識のシステムを一挙に構築することは不可能であり断念されねばならないのだから、自らの「学び」に対して自覚的であること、自らの「学び」に対する批評精神を失わないこと、が求められる。 「「思い込み」に導かれた思考のしかたは、誤った思い込みを生む危険性もある。それでもなお、そのような思考のしかたで素早く知識システムを立ち上げようとするのは、誤りは後から修正すればよいことも子どもは知っているからだ」(p158)。

Posted byブクログ