やがて海へと届く の商品レビュー
3.11の震災で友人を亡くした女性の喪失と再生の物語。 大切なものを失った後の心情は人によって様々。自分だったらどうだろう?と読みながら思いを巡らせました。 一瞬の大きな悲しみがあって、その後は何も手につかない漠然とした喪失感に薄く広く包まれ、そして想像していたよりも早く日常に...
3.11の震災で友人を亡くした女性の喪失と再生の物語。 大切なものを失った後の心情は人によって様々。自分だったらどうだろう?と読みながら思いを巡らせました。 一瞬の大きな悲しみがあって、その後は何も手につかない漠然とした喪失感に薄く広く包まれ、そして想像していたよりも早く日常に戻る。そんな気がします。 冷たいって思われないように「前に向かって進む」とか「亡くなったあの人もそう願っている」と理由付けは出来るけど本音は、そうすることで辛いことから逃げ出したいという気持ちがそうさせるんだと思う。 大切なものを失うってそういうことじゃないかなと自分自身の考えを整理できました。 こういうことを考えるきっかけが作れるというのも読書のいいところ。 そして感想をもっと端的に書けるようになりたい。
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やはり、”死”の話だった。東日本大震災で命を失った人の物語。 残された人は、忘れてしまうことに嫌悪を覚えて苦しみ、亡くなった人はその命の失われ方の理不尽さに憤り。 通常の死の形ではないから、確かにそうかもしれないな、と思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
自分の大切な友達の事や、3.11のことを思い出しながら読んだ。ものすごく悲しくなって読み進めながら声をあげて泣くことような事はなかったが、静かな悲しみや痛みを感じる作品だった。震災を忘れてはいけない、戦争を忘れてはいけない、その言葉だけが先行し、ポエムみたいで、何を忘れてはいけないのかわからない。 とゆう高校生の2人のセリフに、たしかにそうだ、と共感した。 私自身が子供の頃に平和学習やらで感じていた違和感はこうゆうことだったのかなと考えさせられた。 男女だけではない様々な愛の形が描かれた作品だった。
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書き下ろし 読もうとして、テーマの重さに2度ためらった本。 主人公糊谷真名は、フカクフカク愛し愛されたいと思うあまり、大切な親友のすみれがが震災で行方不明になったことを受け容れられず、すみれを残して自分が楽になってはいけないと思っている。 スミレと同棲していた遠野君が、3年後...
書き下ろし 読もうとして、テーマの重さに2度ためらった本。 主人公糊谷真名は、フカクフカク愛し愛されたいと思うあまり、大切な親友のすみれがが震災で行方不明になったことを受け容れられず、すみれを残して自分が楽になってはいけないと思っている。 スミレと同棲していた遠野君が、3年後に転居のためにスミレの荷物を整理したいと言うと、主人公は激しく反発するが、職場の上司の自殺を経験して、逝ったものと残された者の繋がりを考えるようになる。そして職場の先輩の国木田と一緒にいると楽になれていることに気づく。 一方でこの世にはいないスミレの意識も交互に書かれて行く。津波で死んだ者の思いがこうであってくれたらいいな、と思わされた。
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震災から明日で丸8年、その日にこの本を読む。東北へ一人旅に出たまま行方不明になったすみれ、その親友を死として受け止められない真奈。どんなに近い人も虫の知らせなどない、災害に巻き込まれた人も、まだ死ねないと思いながら戻れなかった…。そんな人が何万人もいた事実を忘れたくないと思った。...
震災から明日で丸8年、その日にこの本を読む。東北へ一人旅に出たまま行方不明になったすみれ、その親友を死として受け止められない真奈。どんなに近い人も虫の知らせなどない、災害に巻き込まれた人も、まだ死ねないと思いながら戻れなかった…。そんな人が何万人もいた事実を忘れたくないと思った。自然は、神は死ぬ運命かどうかなどと選んではくれない。何年経とうが、本当の意味で傷が癒えることはないんだ。
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東日本大震災をモチーフにした作品。 旅先で震災による津波に巻き込まれ行方不明となった友人。友人の母親は早々に葬儀を出す。友人の恋人は引越を理由に部屋に残された彼女の所有物を処分したいと考えている。彼女の生きていた証を守りたいと葛藤する主人公。 難しい課題に正面から向き合っている。
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なんだろう。言いたいことはよくわかるのだけど自分にはよくこの作品が伝えたいことがよくわからなかった。
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たまには装丁で良いと思った本も読んでみよう、と手にとった一冊。 このタイミングで読めて良かった。 今も、大切な人がいなくなってしまったということ、それを周りが受け入れて前に進み始めたことを、認めたくない気持ち、すごくよく分かる。 陳腐な言葉でまとめてしまえば。 あなたの言葉。考え...
たまには装丁で良いと思った本も読んでみよう、と手にとった一冊。 このタイミングで読めて良かった。 今も、大切な人がいなくなってしまったということ、それを周りが受け入れて前に進み始めたことを、認めたくない気持ち、すごくよく分かる。 陳腐な言葉でまとめてしまえば。 あなたの言葉。考え方。私に影響を与えたものの一つひとつが、私になる。もうずっと、私の中に、あなたがいたんだと。これからもずっと、私の一部になって、一緒に生きていくんだと。 そう思わせてくれる、一冊でした。
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部嗚咽で読めなくなるくらい揺さぶられました。近しい人との死別を想い出して辛くなりましたが、生者にも死者にも希望のあるラストに救われました。大切な人を喪っても自分の中に欠片となって残っていると気づけたら幸せです。自分が誰かにとって良い欠片になれたら幸せです。死という最悪の別れの悔し...
部嗚咽で読めなくなるくらい揺さぶられました。近しい人との死別を想い出して辛くなりましたが、生者にも死者にも希望のあるラストに救われました。大切な人を喪っても自分の中に欠片となって残っていると気づけたら幸せです。自分が誰かにとって良い欠片になれたら幸せです。死という最悪の別れの悔しさ悲しさが慰められるような温かい小説でした。東日本大震災を経験し、生々しくたくさんの死と向き合った作者なればこその作品だと思います。この死生観は嫌いではありません。感動しました。
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