ムーンナイト・ダイバー の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
《ネタバレです》 久々の天童さん、今回も重いです。 東日本大震災によって、海に沈んでしまったもの。 建物、車、家財道具、様々なものを海に入って、引き上げてきて手掛かりになりそうなものを心当たりにある人に手渡す、ビジネスとして、密かに。 被害にあって残された人達は、どんなものでも手掛かりが欲しい、そして手掛かりを見つけたときに、心に踏ん切りをつけられることもあります。 その気持ちは痛いほどわかるので、毎回海に潜って探し物をする主人公と一緒にドキドキしていました。 女の子のおもちゃのカバン、髪飾り、片方になった靴、アルバムなどなど・・・ 他人にはガラクタでも家族にはかけがえのない品物。 貴金属やお金は持ち帰らないというおきてを破り、依頼人の一人の亡くなった夫の指輪を持ち帰り、その苦しくてつらい仕事に区切りをつけます。 震災から5年と少し経ちましたが、依然なんの手がかりもないまま宙ぶらりんの気持ちで過ごされている方々も大勢いらっしゃることと思います。 気持ちの整理などというものは簡単にできるものではありませんし、しようもありません。 一日も早く心安らげる日が来ることを心からお祈りするばかりです。
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ちょっと盛り上がりに欠けたでしょうか・・・ が、被災された方々の希望とか悲しみとか、あらためて考えさせられました。。。
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震災後の現地の事をあまりにも知らない自分。すっかり置き去りにしている自分をまずは痛感。 で自分にストイックというか厳しい彼。性格もあるのだろうがまわりを亡くすとそうなってしまうのか。僕なら飛びついてしまう。
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震災から5年。 昔山だったところが海に沈み 海だったところが山となる 人は何をもって生を感じるのか 生きているという実感を得られるのか 未来を見るためには 過去をあきらめることが必要だ。 では何を基準に諦めればよいのか。 答えは出ない
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ずっと読みたかった本。途中、読んでいて辛くなる場面ももちろんあったけど、一気に読んでしまった。読後は、自分が生きていること、大事な人の体温を隣に感じられることが有り難く思えるような気持ちになった。性的な描写が多いのにびっくりしたけど、冷たく暗い海の中と、生きた人間のぬくもりの対比...
ずっと読みたかった本。途中、読んでいて辛くなる場面ももちろんあったけど、一気に読んでしまった。読後は、自分が生きていること、大事な人の体温を隣に感じられることが有り難く思えるような気持ちになった。性的な描写が多いのにびっくりしたけど、冷たく暗い海の中と、生きた人間のぬくもりの対比が強烈で、これこそが生き残った自分と亡くなった人との間で苦悩する被災者の気持ちを表現しているんじゃないかと思った。
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天童荒太さんの新作は、 3・11から5年目となるフクシマの海にもぐるダイバーの物語だった。 彼は遊びや趣味で潜っているのではない。 地震発生と同時に人と街をさらい、 今だに原子汚染で立ち入り禁止となったフクシマの海。 その海底深くに眠る行方不明者やその遺品、 思い出の品々を陸へ...
天童荒太さんの新作は、 3・11から5年目となるフクシマの海にもぐるダイバーの物語だった。 彼は遊びや趣味で潜っているのではない。 地震発生と同時に人と街をさらい、 今だに原子汚染で立ち入り禁止となったフクシマの海。 その海底深くに眠る行方不明者やその遺品、 思い出の品々を陸へ上げる仕事をしているのだ。 もちろん、政府からの依頼、ではなく、 私的な会を立ち上げた個人からの頼みで 満月から二日ぐらいたった明るい月夜に舟をこぎだし、 こっそりと、遺品探しのダイバーをしているのだ。 自らも肉親を地震で失い、漁師という職もなくし、 子どもたちの生活のため、 追われるようにフクシマを去って生活している主人公が その夜だけはフクシマに戻ってきて、 汚染地帯の海底深く潜る。 あの日の傷跡をいまだに、深くとどめている海の底をのぞくたび、 生き抜いた自分の現在の姿を思いうかべ 救ってやれなかった人たちへのやるせない気持ちに苛まれる主人公。 それでも遺品探しはやめることなく続けている。 かつてこの海が暴れる前、ここで暮らしていた人々がいて、 平和な毎日があったという証拠。それらが静かに眠るフクシマの海。 フクシマはあれからどうなったのか。 ずいぶん、復興したという話も聞くが、 果たして人々の生活はどこまで戻ったのだろう。 この作品は、遺品探しをするダイバーの話だが、 地震災害の後のむなしさと空虚さ、 それでも未来へ向かって生きている人々の逞しさを 鮮明に書き表していると思った。
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震災後の、すべてが沈んだ海に密かに潜るダイバーの話。 遺品を持ち帰るのが仕事。 金目のものは一切持ち帰らないのがルール。 危険度や倫理観などで、実際には不可能なのかもしれないけど こんなのを望んでる人もいるかもしれない その人たちのために と主人公たちにとても好感を持って読んだが...
震災後の、すべてが沈んだ海に密かに潜るダイバーの話。 遺品を持ち帰るのが仕事。 金目のものは一切持ち帰らないのがルール。 危険度や倫理観などで、実際には不可能なのかもしれないけど こんなのを望んでる人もいるかもしれない その人たちのために と主人公たちにとても好感を持って読んだが どうしても性欲のくだりは そうなんだろう、そうあっていい、とわかっていながらも 嫌悪感。
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今年は東北の震災から5年経ち、先月に熊本地震が起こったので、色々と考えさせられながら読了。震災で失ったものを見つけるために被災された方の思いを背負い、潜り、誰もやらないから、自分がやらないとという責務を感じ、亡くなった方を悼む思いを感じながら、探す姿が焼き付けられる。主人公の妻や...
今年は東北の震災から5年経ち、先月に熊本地震が起こったので、色々と考えさせられながら読了。震災で失ったものを見つけるために被災された方の思いを背負い、潜り、誰もやらないから、自分がやらないとという責務を感じ、亡くなった方を悼む思いを感じながら、探す姿が焼き付けられる。主人公の妻や、指輪が見つかった被災者の言葉が胸に突き刺さる。死亡認定のこと、指輪が見つかり、家族は永遠に戻ってこないという気持ちの整理をつけないと前進できないのが辛い気持ちになる。いつか光が差し込む日が来るのを願わずにいられないと思う。
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津波で、たくさんの家や人が海に流された。 海底にそれらが残されているという想像をしたことがなかったことを、まず情けなく思う。 直後から海中の捜索がなされていたのはもちろん知っているが、それは頭で知っていただけで、海中の様子を想像したこともなければ、ダイバーの心情も想像したことがな...
津波で、たくさんの家や人が海に流された。 海底にそれらが残されているという想像をしたことがなかったことを、まず情けなく思う。 直後から海中の捜索がなされていたのはもちろん知っているが、それは頭で知っていただけで、海中の様子を想像したこともなければ、ダイバーの心情も想像したことがなかった。 全くダメだ。全く他人事だ。そんなつもりはなかったのに、弁解の余地はない。 何もわかっていない。 「いとこが津波で流され、遺体が見つかっていない」と言っていた仙台の知り合いはその3年後に亡くなってしまった。震災とその死は、多分関連はないと思うものの、亡くなったご家族に連絡もしていない。でも、その電話が最後になってしまったこと、散々、口ではお見舞いしていたのに、すごく浮かれた写真付きの年賀状を次の年に送ったことが、ずっと悔やまれている。
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自らも被災しながら、生き残ってしまったという思いに苦悩する人々 それはとてもよかったんですが、この作品における女って、肉と打算でできてるなにかですね
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