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ムーンナイト・ダイバー の商品レビュー

3.7

61件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    20

  3. 3つ

    20

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2016/05/02

珠井という人物が依頼してきた仕事。それはあの3.11の震災で、海底に沈んだ「思い出」を探り当ててくる作業だ。それも立ち入り禁止区域から。指輪などの貴重品は持って帰らない。ただ、「思い出」だけを持って帰るのだ。静かな海の底で繰り返される作業。「誰かの死」を認めるためにするのではない...

珠井という人物が依頼してきた仕事。それはあの3.11の震災で、海底に沈んだ「思い出」を探り当ててくる作業だ。それも立ち入り禁止区域から。指輪などの貴重品は持って帰らない。ただ、「思い出」だけを持って帰るのだ。静かな海の底で繰り返される作業。「誰かの死」を認めるためにするのではない。その人の存在を感じるためにする作業なのだ。「夫の死を認めないために遺品の指輪を見付けないで」と願う女性。多くの人がまだ、あの日を受け入れる事ができていないまま、今日を過ごしているのだろう。

Posted byブクログ

2016/04/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 瀬奈舟作は、東日本大震災で被災し、放射能汚染が危惧される海に潜り、家族の遺留品を探している。  原発の建屋の近くの海は、他の海岸と違って、何も近づけない為、そこに引き込まれた家や車等は、誰も全く捜索出来ない。  それでも、遺留品の欲しい家族が見つけだしたのが、舟作だった。  舟作は兄と両親を震災で失っている。 たまたま、腰痛で兄に仕事を替わってもらった日に震災が起き、自分は助かった。  そんなことが起こってしまった時、人は自分が生きていることに対しての申し訳なさを感じてしまうと思う。  だからこそ、今の自分に出来ることとして、危険な海域で、警察に見つかる危険を冒したダイビングに挑戦している。  妻の満恵と一緒に余震の際に子供たちを守る行動が、素晴らしかった。 この家族のささやかな幸せが続いて欲しいと願わずにはいられない。  震災で生かされた人達は、自分だけが助かってしまったという、心に痛手を負っていて、これから前向きに生きていくことへの大変さを強く感じた。  

Posted byブクログ

2016/04/22

驚くほどの期待外れ。 海中の遺品を探すために海へ潜るという設定にもまったく興味を惹かれず、なぜかからんでくる男女の展開にもまったく面白みを感じなかった。この物語に性のエピソードを入れたのは生命力と死との比較がしたかったのか?よく理解できない。天童さんが震災に感じた想いは真摯なもの...

驚くほどの期待外れ。 海中の遺品を探すために海へ潜るという設定にもまったく興味を惹かれず、なぜかからんでくる男女の展開にもまったく面白みを感じなかった。この物語に性のエピソードを入れたのは生命力と死との比較がしたかったのか?よく理解できない。天童さんが震災に感じた想いは真摯なものだとは思うけれど、こういった作品になってしまったのは残念でならない。

Posted byブクログ

2016/04/13

福島の海に潜る一人の男。 被災者の苦悩がよく描かれている。 リアリティーがあり一気に読み進めてしまえる作品。

Posted byブクログ

2016/04/11

メディアを通して被災した地域の状況などは目にしてきましたが、活字となってこのような状況を知るというのは目で見る時よりもまた印象が違い風景も被災した人達の心の中などあらゆるものが暗く今までとは到底想像の出来ないものへと変化しているのが伝わります。 とかく被災をしてから復興へと叫ば...

メディアを通して被災した地域の状況などは目にしてきましたが、活字となってこのような状況を知るというのは目で見る時よりもまた印象が違い風景も被災した人達の心の中などあらゆるものが暗く今までとは到底想像の出来ないものへと変化しているのが伝わります。 とかく被災をしてから復興へと叫ばれていましたが、 物が徐々に動くようになり、風景も少しづつ前のようにと移ろっていきます。被災した人達の心も一見すると前を向いて歩いているようにも思えましたが、 実は心の奥底ではあの日のままで忘れることの出来なくて辛くてどうしようもない心情でいるということが切々と伝わり涙に誘われます。 舟作の秘密の仕事である立ち入り禁止地域での引き上げ作業はメディアでも見たことがありますが、 想像以上に危険な仕事であるけれど、 何もかも一瞬で奪われてしまった物を少しでも良いから あの日の前に戻して欲しいという思いや 何か形ある物を欲しいという思いもあるので、 自分の危険を晒してでも作業に打ち込んでしまうのかと思いました。 海中の風景の描写はダイバーの資格を取っただけあって、暗黒の世界が不気味でいて、時には不思議な魔力を満ちたりして独特な雰囲気が漂っているのが目の前で映っているかのようでした。 依頼会社からのルートではなく直接コンタクトを取ってきた透子は行方不明者である夫の指輪を探さないで欲しいという要望には初めは理解できなかったですが、ストーリーが進んでいくうちに彼女の内心が分かってきてこうゆう愛情もあるのだと思えました。 ここまでの愛情に繋がるにはこのような特別な事態だったからこそだとも思いました。 天童さんの作品は以前『悼む人』を読んで理解するのが やや難しいなと思っていましたが、 この作品はテーマがははっきりとしているの分かりやすかったです。 けれど鎮魂の祈りを込めて書かれたと思うのですが、 途中で透子との接触の仕方や奥さんとの情事などは 少しこの風景とは似つかわしくないようにも思えました。 でもこれを書き入れることで殺風景だった景色に色が入ったように、これまでの舟作とは思えない生きるということへの欲求を際立たせるためにも これが必要なのかと考えることが出来ました。 この本を通してまた改めて被災した人達へ今後どうしていったら良いのかと考えを突きつけられたように思いました。 一体真の復興とはなんなのか? そしてこの作品を通して3.11を風化させることが無いように祈りを込めたいと思います。

Posted byブクログ

2016/04/09

天童荒太氏の物語の世界、 このゆったりとした読後感はなんだろうか?大震災の大変なう世界を描きながら、多くの人々の苦しみの中の前向きな生き方、優しさ、 悪人のいない世界だからだろうか? 大震災の後、神様はなぜ助けてくれないのか?神様がいるのになぜこんなひどい災害が起きるのか?神様...

天童荒太氏の物語の世界、 このゆったりとした読後感はなんだろうか?大震災の大変なう世界を描きながら、多くの人々の苦しみの中の前向きな生き方、優しさ、 悪人のいない世界だからだろうか? 大震災の後、神様はなぜ助けてくれないのか?神様がいるのになぜこんなひどい災害が起きるのか?神様はいないのではないか?被害に遭った人は何か悪いことをしたのか? こんな質問を受けたことを想いだした、神様は本当にいるのだろうか?

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2016/03/29

生命の危険があるというのに、ある思いがあって夜に潜る。 持ち主がわかるようなものを引き上げて、運が良ければ関係者が手にすることができる。 気持ちはわかる。でも、物を手にしても帰ってこない者は帰ってこない。ならば、いっそ目にしないほうが「いつか帰ってくる」と思えるのではないか。 確...

生命の危険があるというのに、ある思いがあって夜に潜る。 持ち主がわかるようなものを引き上げて、運が良ければ関係者が手にすることができる。 気持ちはわかる。でも、物を手にしても帰ってこない者は帰ってこない。ならば、いっそ目にしないほうが「いつか帰ってくる」と思えるのではないか。 確認したいような、確認したくないようなもどかしさ。 物はいつかなくなる。それならば、記憶や思い出、経験など形にできないものを大切にしていきたい。

Posted byブクログ

2016/03/29

自分が言えることじゃないけど、やっぱりあの海の底に引き込まれてはいけないんだなぁ、と前向きな気持ちになれた と、言葉にするのは簡単なんだけどね…

Posted byブクログ

2016/03/27

5年たってしまった。 南三陸の海では3年たっても大型船の入れない港の海中は網やロープ、洗濯機、ガードレールなどがあった。 立ち入り禁止区域となっている福島の海はそれこそ手が入れられるはずもなく、そのままでしょう。 その禁断の海に潜って遺品を回収するという違法ダイバーの物語。震...

5年たってしまった。 南三陸の海では3年たっても大型船の入れない港の海中は網やロープ、洗濯機、ガードレールなどがあった。 立ち入り禁止区域となっている福島の海はそれこそ手が入れられるはずもなく、そのままでしょう。 その禁断の海に潜って遺品を回収するという違法ダイバーの物語。震災の傷もやっと物語として世の中に出てくるようになったのですね。 それでもいまだにあのときの光景を思い出すと涙がこみ上げてきます。 福島の仮設住宅の玄関にあった小さな女の子の靴とお母さんの靴を見たときの衝撃(どんな思いをして目に見えない恐怖から逃れてきたのか)、線量の高い田畑が荒地となった風景、瓦礫として処分しなければならない雛飾り・・・ 現地視察だといって何度か仙台空港周辺を案内しなければならなかった夜は必ずうなされて汗まみれになって起きたことを思い出します。 そして、最近東京出張で見た煌々と照らし出された夜でも明るい町。あの事件はなかったことになってでもいるようで、なんだかやりきれない気分になりました。 「これから」何ができるのか、今一度考えてみる。心に染み入る本でした。

Posted byブクログ

2016/03/19

「悼む人」で衝撃を受けた天童氏が、3.11の後をどのように描くのか、非常に期待していました。期待どおりの素晴らしい切りとり方です。3.11東北人にとって一生背負うことになる出来事。このように評価していただき、一人として、感謝します。

Posted byブクログ