ムーンナイト・ダイバー の商品レビュー
東日本大震災から5年が経った。海の底に沈む遺品を拾うため、主人公は立ち入り禁止区域の海に潜る。大切な人の遺品を手にしたいと思う人たちと、彼らに雇われ海に潜る主人公は、どちらも悪いことはしていないのに、見つからないよう細心の注意を払っている。なぜこんなに隠れなければいけないのだろう...
東日本大震災から5年が経った。海の底に沈む遺品を拾うため、主人公は立ち入り禁止区域の海に潜る。大切な人の遺品を手にしたいと思う人たちと、彼らに雇われ海に潜る主人公は、どちらも悪いことはしていないのに、見つからないよう細心の注意を払っている。なぜこんなに隠れなければいけないのだろう。突然大切な人と会えなくなり、5年目になっても遺体が見つからない時に、遺品を見つけて欲しいのか、見つけて欲しくないのか。その話を聞いたダイバーが、遺品を探すのか、探さないのか。見つけたらどうするのか。重いなぁ。
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東北震災を正面から題材にするのは作者としても難しいものがあるだろう。確かに、天童さんなら、と納得する部分はある。癒えない苦しみとかやるせない思い、海に潜って遺品を探す主人公の生き残って家族が無事という後ろめたさ、それなら何をすれば償えるという迷い。設定、描写、人物像も狭い範囲にと...
東北震災を正面から題材にするのは作者としても難しいものがあるだろう。確かに、天童さんなら、と納得する部分はある。癒えない苦しみとかやるせない思い、海に潜って遺品を探す主人公の生き残って家族が無事という後ろめたさ、それなら何をすれば償えるという迷い。設定、描写、人物像も狭い範囲にとどまってると思うが、まだそうしないと無理なんだろう。だから、展開も弱い。まだ、時間が必要なんだろうなぁ・・
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もう5年半が経った。この話はたぶん1年ぐらい前。だけど、何が変わっただろうか。 たくさんの深い思いが言葉にされているので、読むのは辛いところもある。でもすごく大事。大事だけど振り返りにくいことを、振り返らせてくれた本。 2016/10/30読了
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
津波と原発に家族の思い出を奪い去られて人たちへの鎮魂の物語。 悼む人の大震災バージョンとも思いましたが、主人公は結構、肉食系でした。 それにしても、この小説を見た政府や東電関係者は、自分たちのすべきことを自覚してほしいですね。
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震災からの復興がまだ終わっていないことはなんとなく分かっている。もちろん陸は、少しづつ人の手が入れられている。だが、海の中には、腐敗し形を失いつつある、誰かの物や、思い、なげき、に似たようなものが、手付かずのまま、存在している。舟作たちのやっていることが正しいことなのか、彼ら自身...
震災からの復興がまだ終わっていないことはなんとなく分かっている。もちろん陸は、少しづつ人の手が入れられている。だが、海の中には、腐敗し形を失いつつある、誰かの物や、思い、なげき、に似たようなものが、手付かずのまま、存在している。舟作たちのやっていることが正しいことなのか、彼ら自身も分かっていないし、私も分からない。だけど、舟作の行動で透子は何かの呪縛から解かれたのではないかな、と思った。生と死の堺の領域を体験した、登場人物たちの生きることの葛藤や希望が感じられる作品だった。
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震災後の海に潜り、遺族のために遺品を引き揚げるダイバーの舟作。そして、夫が海で行方不明の女性。なぜ潜るのか、なぜ指輪を見つけたくないのか、人々の漂流する想いが痛く、静かだけれど深い小説でした。 賛否両論ありそうですね。
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震災というテーマは、やっぱり難しいと思う。正解がなくて、それぞれが、納得するかしないか、しかないから。
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震災後の家族を失った痛みや寂寥感をどのようにして乗り越えるかという一つの形を提示したような小説.危険な夜の海に震災の遺品を探して潜る舟作を守るように現れる死者達の声は,大いなる存在の見守りのようでもあり,啓示の様でもあった.
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震災後の海に戻り遺品などを集める話。遺品を集める会や、品物を見た会員の思いは、非常によく練られていると思った。 ただ、実際の主人公やヒロインの心理に今一つはいりこめなかった。個人的に歯車がきれいにかみ合わなかっただけで、合う人にとっては非常に深い作品にはなる気がする。
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いつ警察(海上保安庁)に見つかるか、流れにさらわれて遭難するかとドキドキ。読みながら海にいるかのような緊張感がイイ。
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