『罪と罰』を読まない の商品レビュー
「ビフォア・アフターの至福」 「一人の若者が老婆を殺害してしまい、そのことにあれやこれや悩む話」―なんとなくざっくりとは知ってるけど読んだことはないという4人が集い、ドストエフスキーの『罪と罰』とは果たしてどんな小説なのかを推理していく。 読んだ事も無い本の内容を推理する、...
「ビフォア・アフターの至福」 「一人の若者が老婆を殺害してしまい、そのことにあれやこれや悩む話」―なんとなくざっくりとは知ってるけど読んだことはないという4人が集い、ドストエフスキーの『罪と罰』とは果たしてどんな小説なのかを推理していく。 読んだ事も無い本の内容を推理する、荒唐無稽といえば荒唐無稽だ。六部からなる『罪と罰』を一部毎に基本一回だけくじを引くように1ページだけ選んで読み、そのページに書かれた状況からあーでもないこーでもないと好き放題な推理が繰り広げられていく。頼りになるのは各人の情報と経験のみのため時として話はまったく不毛に陥ったりする。ドストエフスキーも苦笑いである。 ドストにラスコ、マメ父などと、まるで会社かご近所のウワサ話をするかのノリで、読んでいないにもかかわらず(いや最終的には皆さんお読みになるのですが)この大部の小説を語り倒しちゃうというアクロバティックな対談は、世に「文人」として名を知られた四方でこその知的な遊びだろう。 「読まずに読む」という壮大な試みを終えた三浦しをんさんが次のように語っている。 〈もしかしたら、「読む」は「読まない」うちから、すでにはじまっているのかもしれない。世の中には、私がまだ手に取ったことのない小説が無数にあります。そして、まだ語られず、私たちのもとに届けられていない物語も、これから無数に生まれてくるでしょう。それらはいったい、どんな小説、どんな物語なのか。愛と期待を胸に思いめぐらせるとき、私たちはもう、「読む」をはじめているのです。〉 形は違うかもしれないが、本を手にした時、ページをランダムに開いて推理まではしないものの(笑)タイトルや表紙の装丁に「どんな物語なのかなあ」と少なからず期待を持って扉を開ける。時間をかけてその本を読み終え改めてタイトルと表紙を見直した時の、ビフォア・アフター感を味わう瞬間がたまらない。本書は「読まずに読む」ことによって、その読書のビフォア・アフターの至福を体現してくれている。
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作家の人達が、読んだことのない「罪と罰」の一部を聴いてどんな話か想像するという、企画を聴いただけであたりのような内容。(^^ あんまり色々あり得なさそうな推理が出てくるので、かえって、ちゃんと「罪と罰」を読みたくなるという効果があります。(^^; できればシリーズ化して欲しいけれ...
作家の人達が、読んだことのない「罪と罰」の一部を聴いてどんな話か想像するという、企画を聴いただけであたりのような内容。(^^ あんまり色々あり得なさそうな推理が出てくるので、かえって、ちゃんと「罪と罰」を読みたくなるという効果があります。(^^; できればシリーズ化して欲しいけれど、それなりに有名な作品で、且つ誰も読んだことのないものって割と難しいかもしれませんね。
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この四人で、読んでない本の内容を推理?妄想?する…て、読む前からもう楽しい。 推理の後の、読後感想を言い合うのも楽しそうで、罪と罰、読んだことないけど、読んでみたいな…そのあとまたこっち読んで、一緒にあーだこーだ言ってる気分になりたいな…。て思う。 あとがきの三浦しをんさん...
この四人で、読んでない本の内容を推理?妄想?する…て、読む前からもう楽しい。 推理の後の、読後感想を言い合うのも楽しそうで、罪と罰、読んだことないけど、読んでみたいな…そのあとまたこっち読んで、一緒にあーだこーだ言ってる気分になりたいな…。て思う。 あとがきの三浦しをんさんが、「読む前から、どういう話かな…とか楽しみにしてる時点で読む行為は始まっていて、読んだ後もふとおもいだしたり、身体に刻まれて、ずっと読む事は終わらない」ということを言っていて、ほんとそうだな、本っていいな、と思った。 今ってなんでもすぐ検索できてしまうからこういう想像遊びって久しくしてないな、とさみしくもなった。
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めっちゃ面白い!これ、自分も友だちとやってみたいです。作品へのツッコミ、作者へのツッコミ、笑いっぱなしでした。罪と罰、読んでみようかな。
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とてもおもしろい企画だと思う。しをんさんがいたからこそ、だけど。 とにかく、しをんさんの妄想(笑)がスゴイ。ひとつのことばや文章から、こんなにもいろんなことが想像できるのかと… 学校の国語の授業も、こんな風にして著者の考えや伝えたいことを想像したら楽しいかも知れないなぁ〜。
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プロによる「未読の読書会」を本にしてしまおうという大胆な試み。『罪と罰』を読んでいない4人の文筆家が、わずかな手がかりからその作品の世界観を掘り下げてゆく。読まずに語るという行為が、ある意味で読む行為それ自体よりも創造的でありうる。それは「読む」という行為がいかに多義的でとらえ...
プロによる「未読の読書会」を本にしてしまおうという大胆な試み。『罪と罰』を読んでいない4人の文筆家が、わずかな手がかりからその作品の世界観を掘り下げてゆく。読まずに語るという行為が、ある意味で読む行為それ自体よりも創造的でありうる。それは「読む」という行為がいかに多義的でとらえがたいものであるかということを示しています。実は、読む前から「読む」行為は始まっている。その意味で、この本はある種の読書論を実践しているのであり、それは読書があまり好きではない人(わたしのように)にも、読書の最上の楽しみ方を教えてくれるものでもあると思います。いいな、こういうふうに本が読みたい、と思わせてくれる本です。 マルメラードフをマメ父と呼ぶのも自由、ラスコーリニコフを”すぐ帰るマン”などと呼ぶのも自由、空想バンザイ! じっさいに読めば、さらにバンザイ!
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『罪と罰』を読まずに読んでみる。 当然、私も読んでいない。 内容うんぬんは言わずもがなであるが、 そもそも、「読む」と「読まない」の違いは何なのか。 いつから「読んで」いて、その始まりと終わりはどこなのか。 そちらのほうが自分にとっては重要だったのかも。
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面白かった!罪と罰という名作を、読んでなかったり、読んだけど内容忘れていたりして、集まった4人が繰り広げる読書座談会は、まさにその場で一緒に参加しているような感覚。 想像力や勝手に登場人物に覚えやすいようにとあだ名をつけたり、途中読むページの勝手な語呂合わせなどなど、飲み屋で...
面白かった!罪と罰という名作を、読んでなかったり、読んだけど内容忘れていたりして、集まった4人が繰り広げる読書座談会は、まさにその場で一緒に参加しているような感覚。 想像力や勝手に登場人物に覚えやすいようにとあだ名をつけたり、途中読むページの勝手な語呂合わせなどなど、飲み屋で喋ってる風で本当に可笑しかった。 罪と罰、実は途中で、挫折してしまったのだが、もう一度読んでみよう。本はもう読む前から、読むことが始まっているという名言は、本当にそうだなーと納得。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ニヤニヤから笑いを堪えすぎて鼻から何か出てしまいそう。電車で読み進められず、時間がかかってしまった。 この企画、やはりしをんさん無しでは成り立たないだろうな。 「罪と罰」を読んだことのない錚々たるメンバーによる物語の推理?大会。 しをんさんの妄想と迷走が素敵すぎる。 発言が台詞だし、物語だし。 素面? 途中、ヒントのために読み上げられる一部が意味深でドキドキする。 劇画タッチの漫画で読んだ記憶があるな。 「ああ、無情」と一緒に。 手塚治虫も読んだと思うけど、こちらの記憶は更に曖昧。 その曖昧さが、みなさんとほぼ同じでツボ。 A:それにしても、ラスコ---. M:なんか説教くさいこと言ってましたね。 K:説教ぶちかましてました。 M:こいつ、ほんと嫌なヤツだ。 H:自分のことを棚にあげて。 K:めちゃくちゃ頭が高い。 M:高すぎですよ。なんなの、この男。 そして、あらすじを挟んで読後にまた集う。 今度は作家視点での会話が楽しい。 みなさん、やはりプロなので読み込みもそうとうで、読んでみなくちゃっていう気持ちに。 多分、読まないけど。 M:出てくる人がみんな頭おかしい。 K:おかしい、おかしい。まともな人が二人ぐらいしか出てこなかった。 M:え、誰がまともでした? いったいどんな話なのか! チャラい修造は出てくるし、ヴィゴ・モーテンセンのスベ。 ソーニャは教祖になってるし。 読んでない本でここまで楽しめるって不思議。
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読前:このメンバーで読まないわけにはいかない!! 読後:このメンバーで他の作品も「読まない」をやってほしい!!
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