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あこがれ の商品レビュー

3.8

112件のお客様レビュー

  1. 5つ

    24

  2. 4つ

    40

  3. 3つ

    30

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    1

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2016/07/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

作者は子供そのものなのか、そう疑ってしまう。 主人公の周囲に対する感じ方は、新鮮で丁寧で純粋。そして、使われる言葉は平易でありながら的確に物事を捉えている。 子供の感性が物語に巧みに表現されていて、その子の目線を通じて世界をのぞくことができたように感じる。 小学校4年生の男の子の話も、小学校6年生の女の子の話も、それぞれの気持ちに真摯に向き合っている姿が印象的だった。 大人になっても、トムのように素早く動くことはできないし、ましてや主人公たちのように自分の気持ちに向き合い素直に行動することさえもできない、そんな自分について考えるきっかけにもなったと思う。

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2016/07/12
  • ネタバレ

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麦彦とヘガティー、二人の小学生の物語。 麦彦がサンドイッチ屋の店員にほのかな恋心を抱く「ミス・アイスサンドイッチ」 ヘガティーが父に自分以外の娘がいたことを知って悩む「苺ジャムから苺をひけば」 二人は考え、悩み、泣いて、走って次のステップを踏み出した。小6の冬、二人は大きな何かを得たのだと思う。 自分のことだけではなく人に思いを馳せるということを。想像するということを。 だから、もう大丈夫。それは優しさの原点なのだから。

Posted byブクログ

2016/12/07

思春期の濁流に飲み込まれる前の小さな震えみたいなもの。 よかった。 あの頃は簡単な気持ちさえ言葉にできなくて、そんな言葉にならない思いを積み重ねて大人になるのだな。 読んで思い出した。小学生の終わり、幼なじみの家に飾られていた中学の制服。私も着るはずだったのに着られなかったもの...

思春期の濁流に飲み込まれる前の小さな震えみたいなもの。 よかった。 あの頃は簡単な気持ちさえ言葉にできなくて、そんな言葉にならない思いを積み重ねて大人になるのだな。 読んで思い出した。小学生の終わり、幼なじみの家に飾られていた中学の制服。私も着るはずだったのに着られなかったもの。イメージだけが今でもはっきり残ってる。けど、今言葉にするなら「寂しかった」だろうな。皆そんな言葉にならない思いを積み重ねて大人になるのかな

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2016/07/05

これまで川上未映子の小説をいくらか読んできたけど、『ヘヴン』含めて小学生主人公の方が、獰猛で消化しきれない女の怒りの匂いがしなくて、読みやすいし好きだなと思った。ジュブナイル感の拭えなさ(特に苺ジャムの方)が気になるけど、でもジュブナイルに出来るくらい完成度というか筆力を高めてい...

これまで川上未映子の小説をいくらか読んできたけど、『ヘヴン』含めて小学生主人公の方が、獰猛で消化しきれない女の怒りの匂いがしなくて、読みやすいし好きだなと思った。ジュブナイル感の拭えなさ(特に苺ジャムの方)が気になるけど、でもジュブナイルに出来るくらい完成度というか筆力を高めているということなのかなと思う。女しか読めない本ではなくなってきてる。 ミス・アイスサンドイッチはほんとうに、美しいなぁと思った。アイシャドウのとろとろした輝きがなんともおいしそうに感じられた。

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2016/06/17
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会いたいひとがいて、会えるなら、会えるうちに会った方がいい。 明日また会えるのは、会い続けているから。

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2016/05/16
  • ネタバレ

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二人の小学生の、「あこがれ」の物語。 語り手が小学生ということもあり、一文一文がやたら長かったりする。しかしそれがいかにも小学生の話し言葉のようだな、と思った。それを表現した川上さんはさすが。 麦くんのような異性の友達が欲しかったなぁ。 ヘガティーがお姉さんに会いに行った後、麦くんと喧嘩して走り出した時の、お母さんへの思いに胸がキュッとなった。 会える人と会えない人と、会えるけどわかりあえなかった人と。 なかなか上手くはつながらないけど、それでも会えるなら会っておきたいよなぁ、会っておかなきゃなぁと思わせてくれました。

Posted byブクログ

2016/05/05

ぼくこと麦君と わたしことヘガティーの成長物語。 子どもも大人と同じくらい、ひょっとしたらそれ以上にいろんなことを考え、気を使い、一生懸命だ。 二人が一緒にいられて良かったと本を閉じながら思った。

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2016/05/04

ミスアイスサンドイッチに対する「あこがれ」は恋愛感情なのかな。 2話目のタイトルの意味が解らなかった。 まだ見ぬ姉への「あこがれ」。 最初は受け入れられなかった状況なのだが、頭の中で次第に姉に対する妄想が大きくなっていく。 2人が対面した時、姉のアオがヘガティーに語ったドライで...

ミスアイスサンドイッチに対する「あこがれ」は恋愛感情なのかな。 2話目のタイトルの意味が解らなかった。 まだ見ぬ姉への「あこがれ」。 最初は受け入れられなかった状況なのだが、頭の中で次第に姉に対する妄想が大きくなっていく。 2人が対面した時、姉のアオがヘガティーに語ったドライで現実的な感情が好き。

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2016/04/24

特に好きだったところは、2ヶ所。 ヘガティーがよそよそしくなってしまったところ(67ページ) ヘガティーが麦に、ミス・アイスサンドイッチに会いたいのなら、会いに行かなきゃ会えなくなってしまう、会いたいときに、会いたい人がいて、会えるのなら、絶対会っておいた方がいいというところ(7...

特に好きだったところは、2ヶ所。 ヘガティーがよそよそしくなってしまったところ(67ページ) ヘガティーが麦に、ミス・アイスサンドイッチに会いたいのなら、会いに行かなきゃ会えなくなってしまう、会いたいときに、会いたい人がいて、会えるのなら、絶対会っておいた方がいいというところ(71ページ)

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2016/04/24

川上未映子「あこがれ」http://www.shinchosha.co.jp/book/325624/ も読んだ。こんな本が書かれるなんて、そしてそれを読めるなんて、本当にすばらしい。今年の一冊は決まった。小学4年(その後6年)という男女に分化するぎりぎり手前の人間の話。子供目線...

川上未映子「あこがれ」http://www.shinchosha.co.jp/book/325624/ も読んだ。こんな本が書かれるなんて、そしてそれを読めるなんて、本当にすばらしい。今年の一冊は決まった。小学4年(その後6年)という男女に分化するぎりぎり手前の人間の話。子供目線の子供の話ではない(つづく もちろん、父親/母親不在の寂しさや他愛もない遊びを楽しむとか、思春期にも至らない初々しさみたいな、子供としての感受性は物語の中にたくさんあるけど、子供の可愛らしさとか無垢さを描いた話では全くない。自分を取り巻く世界を見て考えて生きている人間の話。肩を組む二人の話(つづく あだ名の奇妙さも手伝って、最初は性別も国も年頃もはっきりしない。本の中で起こることだけ追っていくことになり文体の効果もあって、主人公の目で見た世界を見るように読んだ。何も説明していないのに膨大な情報がちゃんと書かれている。川上未映子ってこんななのか。読後放心した。はー。。(おわり

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