スクラップ・アンド・ビルド の商品レビュー
生きる目的もなく、 娘から煙たがられ、 毎日「死にたい」と言って暮らす老人。 祖父の願いである老衰を叶えるために、 過剰な介護の足し算介護に精を出す孫息子。 そんな家庭の物語り。
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ライトに楽しんだわけでも、重いものを読んでしまったと思うわけでもなく、軽いのか、重いのか、何とも言えない読後感。 語り手である健斗の行動が、文字通り考えて行われているようにも思えるし、それを演じようとしているだけのようにも思えて、その曖昧さが人間らしいと思った。 この場合に人間ら...
ライトに楽しんだわけでも、重いものを読んでしまったと思うわけでもなく、軽いのか、重いのか、何とも言えない読後感。 語り手である健斗の行動が、文字通り考えて行われているようにも思えるし、それを演じようとしているだけのようにも思えて、その曖昧さが人間らしいと思った。 この場合に人間らしいのは、健斗なのか、自分なのか。 読んで面白い、というものではなかったけれど、読まない方が良かったとも思わない。 210207
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最初は健人の考え方は皮肉だと感じていましたが、読むにつれてあまりにも真剣に祖父のことを考えて介護をする健人の姿に“優しさ”すら感じてしまいました。 健人の母の祖父に対する強い口調はあまりにも高圧的でドキッとしてしまうぐらいのショックを毎回読んでいて受けました。私の祖父や祖母に対...
最初は健人の考え方は皮肉だと感じていましたが、読むにつれてあまりにも真剣に祖父のことを考えて介護をする健人の姿に“優しさ”すら感じてしまいました。 健人の母の祖父に対する強い口調はあまりにも高圧的でドキッとしてしまうぐらいのショックを毎回読んでいて受けました。私の祖父や祖母に対する接し方とは真逆なのに、「生きていて欲しい」という思いは健人の母と同じだということに新しい考え方を知れた気がします。 最後には祖父の“生きること”への思いが行動に現れ始め、また、健人も祖父を守る意志がみるみると強くなり、起承転結がはっきりとしていて読んでいて面白かったです。 羽田さんの本は初めて読みましたがこの「皮肉」な感じが羽田さんの本の特徴なのだとしたら、私はとても好きだと思います。
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お年寄りと一緒に暮らしたことも、介護の経験もないので、介護生活の大変さは想像するしかないが、この話を読むと自分に耐えられる気がしない。 できることが増える子どもと違って、できないことが増える人の世話をしていくことは、精神がすり減る仕事だ。 プラス介護、マイナス介護という言葉も初め...
お年寄りと一緒に暮らしたことも、介護の経験もないので、介護生活の大変さは想像するしかないが、この話を読むと自分に耐えられる気がしない。 できることが増える子どもと違って、できないことが増える人の世話をしていくことは、精神がすり減る仕事だ。 プラス介護、マイナス介護という言葉も初めて知った。敢えて自分でやらせる介護(リハビリのようなものかな)の方が、大変そうだ。子育てと一緒で、どんな介護の方法を選ぶのかは、自分の価値観、思想を試される試練のようなものだな。
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昔、これをきっかけに羽田さんにハマった。 そこから羽田さんの本を読みあさり、生活スタイルを真似してみたりしたけど(鶏ハム生活)、最近はご無沙汰だなぁ。 とりあえず、この本が一番まともです。笑
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2020.7.12~2020.7.14 若さと老い。尊厳死、要介護3を5にするための介護、足し算介護か引き算介護か。 祖父は死にたいと言っていても、生への執着心はあるのか。
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よくみるバス旅Zでおなじみ羽田氏。ホテルの予約時に毎回、芥川賞作家の〜下りがあるので流石に覚えてしまい本作を手に取った。 安楽死的なものをテーマに生と死は何か、と言う事を老人と青年の相反する者を通して問いかけている、と言う感じなのかな。 優しさを持ってあれこれ手を差し伸べる事も時...
よくみるバス旅Zでおなじみ羽田氏。ホテルの予約時に毎回、芥川賞作家の〜下りがあるので流石に覚えてしまい本作を手に取った。 安楽死的なものをテーマに生と死は何か、と言う事を老人と青年の相反する者を通して問いかけている、と言う感じなのかな。 優しさを持ってあれこれ手を差し伸べる事も時と場合によっては当人を堕落させてしまう。例えるなら先回りをして子供の事をしてしまう事は大体甘やかせ。世の中の事象は常に表裏一体だ。 最終的に生への執着心を見せた祖父を見る事によって、健斗自身も生についての思いが変化したのだろうか。
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「人生経験や老人の知恵などくだらないと思った。昨日硬かった肉やホウレンソウが、今日も硬いかどうかなんて挑戦してみなければわからない」
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大学生になって1冊目の本。 祖父の介護を通して孫である無職の健斗が成長し、就職するお話でした。 健斗は祖父が常々口にする「死にたい」という言葉を形骸化していたと省み、尊厳死を迎えさせてあげる為に奔走します。しかし、実際健斗がお風呂から目を離した隙に祖父が溺れかけた時、健斗は尊厳死...
大学生になって1冊目の本。 祖父の介護を通して孫である無職の健斗が成長し、就職するお話でした。 健斗は祖父が常々口にする「死にたい」という言葉を形骸化していたと省み、尊厳死を迎えさせてあげる為に奔走します。しかし、実際健斗がお風呂から目を離した隙に祖父が溺れかけた時、健斗は尊厳死させる目標が達成出来ないという後悔や自分のせいで亡くなってしまうという後ろめたさよりも、祖父から嫌われる、また祖父が亡くなってしまうことを恐れ、自分のこれまでの行動が本意ではなかった事に気付きます。健斗は祖父を深く愛しており、祖父もまた健斗を想う祖父と孫の絆を強く感じ、私は胸が熱くなりました。
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「使わない機能は衰える」をテーマに、人間の生への執着を見事に描き切った秀作。 登場人物達は、口は悪いけど悪人は誰一人いない。それでも「正義による悪意」がチラつくのは、誰もが忖度せず、真正直に人生を送っている証拠。面白かった!
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