千年鬼 の商品レビュー
地名や時代などの漢字が乱立せず、物語の本筋がとてもわかりやすく書かれており、読みやすく引き込まれました。とても切なくてじんわり温かくなるお話でした。自分の中に鬼が芽生えそうになったら、この本を思い出して戒めたいと思いました。
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結末には色んな感想があるだろうけれども、個人的にはよかった。繋がる先にある、いつかの未来を夢見てる。
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ファンタジーなお話だか、きっちり相対性理論的な説明もあり楽しく読めた。怖いのは鬼ではなく人間なのね。
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※このレビューにはネタバレを含みます
西條奈加さんの作品は好きでよく読んでいます。 内容を全く知らないまま何気なく手に取った本でした。 登場人物が魅力的なことものありますが、展開が読めず先が気になり、あっという間に読みました。 途中、衝撃的な描写があり少し嫌な気分になったのですが、最後まで読んでみるとそこまでの衝撃が必要だったなっと納得。 最後は、なんとも表現のしがたい感動がありました。 内容は重いけれど読みにくさはなく、胸に深く刺さる作品。 最後を知った上でもう一度読んでみるつもりです。 私としては、ジャンル分けができない不思議な作品でした。
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「鬼」と「人鬼」の違い、本当に恐ろしいのは「人鬼」。 西条奈加は「心淋し川」で2020年下期直木賞を受賞。 NHKドラマの「善人長屋」をたまたま見て、ちょっと興味を持ったので読んでみた。 一見すると連作短編集のような構成であるが、短編同士の結びつきはさらに強い。 人情ものの時...
「鬼」と「人鬼」の違い、本当に恐ろしいのは「人鬼」。 西条奈加は「心淋し川」で2020年下期直木賞を受賞。 NHKドラマの「善人長屋」をたまたま見て、ちょっと興味を持ったので読んでみた。 一見すると連作短編集のような構成であるが、短編同士の結びつきはさらに強い。 人情ものの時代劇ではあるが、ひょっとしたらタイムワープもののSF小説かもしれない。 森で知り合った民と小鬼の不思議な物語。脇役の黒鬼がいい味を出している。 ドラマ化(もしくはアニメ化)したときの黒鬼の配役で、できあがりが左右されるような立ち位置なのだ。 テーマは人の心にはびこる「悪心」の存在であるけど、人情ものとしての魅力の方が勝り、一服の清涼感を味わうことができる、良い話でした。
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小鬼と兄分の黒鬼、そして天女様。 どんな話になるのか、少し民話的な話なのか?と、読み出した。 三粒の豆も食べることなく、奉公で、そして、皆から罵倒されながらも、必死で、働く少年。 母の死で、父は酒乱になり、自分が奉公の身に。 鬼の芽は鬼でなく、人に宿ると、・・・ 小鬼の過去見で...
小鬼と兄分の黒鬼、そして天女様。 どんな話になるのか、少し民話的な話なのか?と、読み出した。 三粒の豆も食べることなく、奉公で、そして、皆から罵倒されながらも、必死で、働く少年。 母の死で、父は酒乱になり、自分が奉公の身に。 鬼の芽は鬼でなく、人に宿ると、・・・ 小鬼の過去見で、この少年幸介は、奉公先からも、父親の酒乱からも、改善されて、少し、生きやすくなって来た事に、安堵! 二話目は、自分が恋した人が殺されて、小鬼から、過去見を見せて貰い、殺した男を手元に置き、折檻しながら、側仕えさせるのだが・・・・ 本当に、殺したのは、理由があり、民の苦痛を知り、それは、父親の采配だったことに気付く。 三話目、行商で、針などを売る老婆、2人の女の子の鞠付きに、心が、騒ぐ。 その2人の少女のうちの一人が、川でなくなるのだが、・・・それは、仲良しでも、心に鬼が住み着いていた出来事。そして、老婆の過去も・・・ 四話目、凶作続きの村、一揆をしないと、どうしても、老人と子供達が、殺されてしまうとしった農夫が、考えた事は、自分の身体の一部の腕を切り落として迄、考え抜いた出来事。 そして、やっと、ここで、小鬼と友達になった少女との出来事が、描かれてくる。 ここからが、千年の旅であり、小鬼の命と引き換えに、少女民が、生まれ変わりしながら、この友情が育って行っている。 砂となった小鬼の粒を、一粒ずつ集める民のいじらしさ。 小鬼も、人間として生まれかられるのだろうか?と、思いながら、本を閉じた。 最近、幼児の虐待のニュースが、多い。 若い祖母が、2歳の孫をベビーサークルに入れ、それも、手足を拘束し、食事も水も与えず放置、自分は、観光に・・・ 想像もつかないような、出来事が、・・・この祖母も心の中に鬼が巣くっているのあろうか? それに、幼児2人を車に置きっぱなしで、これも熱中症で死亡させている。 若い母親は、友達の所に遊びに行っていたとか、・・・やはり、どこかに鬼の芽が育ち人鬼になっていたのかも・・・ アメリカでは、子供を車に放置の場合は、厳重に罰せられると聞いている。 自分が家を留守にするときは、子供をベビーシッターをつけなければならない事も・・・ 日本では、子供が犠牲になってから、残念だったと、言うのみで、対処が、遅い様な感じである。 この本の千年の旅ではないが、もっと考えなければいけない出来事だと、本を閉じてから、この幼児たちが、どんなにか苦しかっただろうと、そして、もっと、未来が、一杯あったのに、それも出来ずに断絶された思いは、どれほどだろうか?と胸が辛くなった。
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最初は鬼の目を身内に宿した人間たちと鬼の関わりを写した短編集かと思った。 たったひと時の、たまらなくし幸せな思い出のために、千年もの間命を削ってどうしても1人の女の子に会いたかった小鬼のお話。 小鬼のことを思い出せば女の子の凄惨な過去を思い出させてしまうから、名乗らず、小鬼は千年ずっと姿を変えて現れ、民を愛して守っていた。 見返りを求めずに相手の幸せを願うのが愛なのかと思っていたけど、少しの、たった一つの願いなら、欲しがってもいいのかしら。
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小鬼が一人の少女を救うため、その罪と因果を濯ごうとする物語。 災禍を生む鬼の芽を摘むために過去見を繰り返していく。 俗っぽい黒鬼が良いキャラをしている。
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★3.6 2022.02.17 1000年という気の遠くなるような時間をかけて小鬼は少女を救い続ける。自分の命を削りながら。 少女 民と小鬼はお互いにかけがえのない存在だった。だからこそ1000年かけてお互いを取り戻そうとしているのだと思う。 すれ違い、すれ違い続けてのちの、...
★3.6 2022.02.17 1000年という気の遠くなるような時間をかけて小鬼は少女を救い続ける。自分の命を削りながら。 少女 民と小鬼はお互いにかけがえのない存在だった。だからこそ1000年かけてお互いを取り戻そうとしているのだと思う。 すれ違い、すれ違い続けてのちの、ほんの一瞬の邂逅。 その一瞬が彼らの次の1000年に希望を与える。 何とも切ないファンタジーだった。 ↓↓↓内容↓↓↓ 友だちになった小鬼から、過去世を見せられた少女は、心に“鬼の芽”を生じさせてしまった。小鬼は彼女を宿業から解き放つため、様々な時代に現れる“鬼の芽”―酒浸りで寝たきりの父のために奉公先で耐える少年、好きな人を殺した男を側仕えにして苛めぬく姫君、行商をしながら長屋で一人暮らす老婆、凶作が続く村で愛娘を捨てろと言われ憤る農夫、田舎から出て姉とともに色街で暮らす少女―を集める千年の旅を始めた。精緻な筆致で紡がれる人と鬼の物語。
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これよかったー。好き。 千年に渡り、鬼の芽を集める小鬼と黒鬼。なぜそれが必要なのか、徐々に理由がわかってくる。 最初から引き込まれた。 人間と出会い、過去世を見せ、最後に鬼の芽を回収する。しばらくそのパターンが繰り返されるけれど、まったく飽きなかった。つらさを抱えた人間の心の...
これよかったー。好き。 千年に渡り、鬼の芽を集める小鬼と黒鬼。なぜそれが必要なのか、徐々に理由がわかってくる。 最初から引き込まれた。 人間と出会い、過去世を見せ、最後に鬼の芽を回収する。しばらくそのパターンが繰り返されるけれど、まったく飽きなかった。つらさを抱えた人間の心の危うさにハラハラするし、乗り越えた先の結果に安堵する。小鬼の健気さや、残酷な現実にも心が揺さぶられた。 後半は、民とのエピソード。展開がいちいちつらい。不憫でならないよ。でも救いはある。嫌じゃない終わり方。
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