夏の裁断 の商品レビュー
一応、アパレル業界ですw ってな事で、島本理生の『夏の裁断』 柴田と言う男が嫌と分かっていても、身勝手で強引で身体も心も傷付けられながらも離れられない萱野千絋。 千絋の幼少期の過去に襲い掛かるトラウマが原因なのか……。 母親の店のお客に強姦された事が、男への不信感を抱く...
一応、アパレル業界ですw ってな事で、島本理生の『夏の裁断』 柴田と言う男が嫌と分かっていても、身勝手で強引で身体も心も傷付けられながらも離れられない萱野千絋。 千絋の幼少期の過去に襲い掛かるトラウマが原因なのか……。 母親の店のお客に強姦された事が、男への不信感を抱くのに、相反して恐怖感から暴力的にされると従わないといけないと言う気持ちになり相手の思う様に従って余計に苦しむ事になる……。 苦しい……。 過去の傷は癒えてる様で癒える事なく、誤魔化しながら、消去しようとしながら、記憶をすり替えながら、もがき苦しんで少しずつ生きて行く強さを付けて行くしかないのか……. 2018年37冊目
Posted by
今めっちゃハマっている島本理生先生。 面白かったけど、時系列がわかりにくかった。 柴田さんが女の敵なのは分かったけど、主人公もコラコラって突っ込みたくなる場面もチラホラ。 次の作品に期待w
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
こんな、たった124ページでここまで苦しくて辛くて傷つけられる本は初めてだ 友人に勧められて読んだ島本理生 普段あまり読まないけど、なんというかはっきり言わずフワッと流して書く方なんだなぁと…それでいてフワッとさせ方が上手 だんだんあのパーティーの日に何があったのか、どういう経緯でそうなったのか知ってやるせない気持ちになった 柴田の「僕、萱野さんのこと拒絶しましたっけ?」で急に刺されたしウワー!!!!!!こいつ!!!と叫び出しそうだった 会う度会う度ゼロに戻るようで、かと思うと急に距離を近づけてきたりとこうやって人を操るのに長けてる人いるよね 心理学を学んでいたのに人に操られ、どんどん柴田に絡めとられていく様子が本当に洗脳のようで恐ろしい 逆に学んでいたからこそ操りやすかった…?教授がいい人でよかった 誰にも自分を明け渡さないこと。選別されたり否定される感覚を抱かせる相手は、あなたにとって対等じゃない。自分にとって心地よいものだけを摑むこと(p.117)
Posted by
本の自炊って、この本で初めて知った言葉。 自炊をしながら、過去の男の人との関わりを思い出す。 現実と空想と、どこまでが本当なのか、本当は傷ついて弱い人なのか強い人なのか、最後に向かうほどに混乱して、最後は結局強さを感じた。
Posted by
うーん…。 文章はすごく良いのだけどテーマのわりに今ひとつ心に突き刺さるものがない読後感というか。 主人公は女性作家・千紘。 男性編集者の柴田と出会い、精神的に支配されて翻弄されていく。 彼とのいざこざが終わる夏。亡くなった祖父宅で書籍をデータ化するために本を裁断する作業を負う...
うーん…。 文章はすごく良いのだけどテーマのわりに今ひとつ心に突き刺さるものがない読後感というか。 主人公は女性作家・千紘。 男性編集者の柴田と出会い、精神的に支配されて翻弄されていく。 彼とのいざこざが終わる夏。亡くなった祖父宅で書籍をデータ化するために本を裁断する作業を負う。 鎌倉の自然に囲まれた祖父宅で、作家が本を切るという自傷にも似た行為を繰り返しながら、柴田との関係に想いを馳せ、出口を模索する。 柴田は、気を引かせるような素振りで迫ってくるのに、距離が縮まると相手を突き放すタイプの男。遊び人の一種に、こういうサイコパス気質の男が確かにいる。深追いするとこちらが大火傷を負う恋愛になりがち。以前、島本先生はこの作品について「意地悪な男の人が書きたかった」とおっしゃっていたが、まさにそんな話。 現在と過去の回想が入り交じりながらストーリーが進んでいくが、時系列的にそれほどややこしくなく理解できる。が、「まだ回想が続くのか…」と途中で思ってしまいました。 文章が感性の塊なので、一語一語を味わい考えながらページをめくる手もゆっくりになりがちで、それが良いところなんだけど、すこし冗長で退屈でした。 後半、西藪のおばあちゃんとお守りを買いにいくあたり「このおばあちゃんは何のために登場するのかな…主人公のセンチメンタルを説明するためなのかな…」とか思ってしまいました。あと大学時代の同窓会の誘いとかも「これ要る?」と思っちゃいました。主人公の心理の流れ的には必要かもしれないけど、なんか、失礼な言い方だけど「よくできた日記みたい」とか感じちゃいましたすみません。私が歳を重ねて感性が鈍くなった結果、恋愛に病んでいる女性の心理についていけなくなったのかもしれませんけど…。 幼い頃に性的虐待を受けたような記述も出てきますが、物語にあまりうまく作用していないような? 結局、何だったのという感じでした。 『ファースト・ラブ』は、なるほどなぁと性的虐待の被害者の心理に寄り添えたのですが、今回はあんまり。伝えたいことはわかるけど… 『裁断』というタイトルから滲み出ている残酷さに惹かれて読んだのですが、期待していたほどの闇でもなかったかなぁ。 前半はおもしろく読めたので★3つです。 余談1 最初のほうに主人公が裁断をためらった小説が福永武彦先生の『夢見る少年の昼と夜』だったところ、福永ファンの私としてはときめきポイントでした! 余談2 私だけかもしれないけど、柴田さんって出てくるたびに、アンタッチャブルの柴田さんの顔が浮かんでしまった…柴田さんはきっとイケメンなはずなのに最後までアンタッチャブルだった…
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ノルウェーの森の時と同じ、人間の弱さ、恋愛絡みのどろりとした感情。愛されると生を感じて、必要とされていないと思うと死を感じる。夏に本を裁断するだけでなく、柴田さんをも裁断しようとしてフォークを突き刺した。この感情は理解できないんだけど、こう考えてしまって沼にはまって永遠と抜け出せない被害者もいる。歪んだその場限りの愛情が、必要とされているんだと錯覚して深みにはまってしまう。気持ち悪いくらいの人間らしさと、最後に生まれ変わった結末に星5つでした。
Posted by
登場人物の性質が極端で共感しづらいけれど。好きになり過ぎて相手に翻弄されること、あるなぁと思う。相手の気分のムラを自分のせいだと思い込むのは惚れた方の弱さ。恋愛は判断力をチンパンジー並みにしてしまうと聞いたことがあるけれど…ここまでのサイコパスが相手だと普通の失恋とは比じゃないく...
登場人物の性質が極端で共感しづらいけれど。好きになり過ぎて相手に翻弄されること、あるなぁと思う。相手の気分のムラを自分のせいだと思い込むのは惚れた方の弱さ。恋愛は判断力をチンパンジー並みにしてしまうと聞いたことがあるけれど…ここまでのサイコパスが相手だと普通の失恋とは比じゃないくらいの傷を負うだろうな。 途中と最後の方、教授の言葉にハッとさせられた。
Posted by
子供の頃に性的な痛みをかかえる女性作家。辛い悶々とした様子が痛いほど伝わる。女性作家の事だが第三者の事のようで、考えながら読んだ。
Posted by
幼い時の性的虐待 そういうのとかから闇を抱えた病みがちな女主人公 クソみたいな男への恋とも判別できない感情 回想と現実を織り交ぜながらのストーリー展開 島本理生の今まであった小説の特徴を煮詰めて焦がした感じの物語 良くも悪くも島本理生を感じられるお話だと思いました。
Posted by
ずっと本を読むのを休んでいた。これという理由もなく、ただ、私は文字から吸収することをやめていた。久しぶりに読んだ本。短いものから始めようと思って手に取った。 描写が一つひとつ詳細で、揺らぎや音、重さまで伝わってくる。あぁ、これが作家さんの言葉なのか、私が紡いでいる言葉とは違う...
ずっと本を読むのを休んでいた。これという理由もなく、ただ、私は文字から吸収することをやめていた。久しぶりに読んだ本。短いものから始めようと思って手に取った。 描写が一つひとつ詳細で、揺らぎや音、重さまで伝わってくる。あぁ、これが作家さんの言葉なのか、私が紡いでいる言葉とは違う記号だ。 ただ、ただ、ずしゃんっと、裁断機が振り下ろされるたび、バラバラになっていく自分の身体と心が、湿度の高いじめじめとした空気に晒されていくようだった。
Posted by