夏の裁断 の商品レビュー
現在と回顧が行ったり来たりしながら進んでいく。不誠実で自分に興味を向けるだけで責任は取らない男に読んでて、なんで?ってなる。「カエサルの物はカエサルに。」という言葉がそのままに場面も含めて生きている。自炊の本と違って行動はしても、感情は裁断と言うほどすっきりと割り切るのは難しいけ...
現在と回顧が行ったり来たりしながら進んでいく。不誠実で自分に興味を向けるだけで責任は取らない男に読んでて、なんで?ってなる。「カエサルの物はカエサルに。」という言葉がそのままに場面も含めて生きている。自炊の本と違って行動はしても、感情は裁断と言うほどすっきりと割り切るのは難しいけど、夏に汗がでていくようにじんわりと癒えていくんだろうな。
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2度目の読了。1度目は発売してすぐに読んだので高校生の頃。大学進学でひとり暮しするにあたり新宅に持ってきた数冊のうちの1冊で、読書不足解消の皮切りになればと再び読みました。 初めて読んだ時も短くてさくっと読めそうやな〜くらいの気持ちで手に取ったのだけれど、蓋を開けてみると内容が重くて重くて…。 私はアホみたいに感情移入してしまったので、他の人のレビューを見て全く共感できなかった人が結構いることに驚いた。でもよく考えると、こんな理不尽で残忍な柴田にどうしたって惹かれてしまう千紘にも、人を傷つけることに長けた柴田にもできれば共感したくもして欲しくもないよな。 と言いつつ、ここ数年漠然と抱えていた自分の中の矛盾やうまく説明できない気持ちに対する不安を小説として活字にしてもらったようで、「私だけじゃないんだ…!」と安堵した。これは2度目に読んで感じたことですが。 読んでいて、というか読み終えた今もずっと気になっていることがあって。作者が千紘の立場だとすると、柴田に溺れる気持ちがわかるのはわかる。それから、何をしてどんなことを言えば千紘の心に効果的に干渉できるのか知っている柴田を書けるのもまだわかる。だけど千紘を好きで思い続ける猪俣や彼女の心のど真ん中に現実をぶっ刺しながら諭してくれる教授がま〜〜〜〜あ印象的で上手で。作者・島本理生さんは一体どこに属する人なの??全員の立場に立ち得る人なの??そもそも彼女は彼らの誰かに感情移入しているの??もとより小説って100%想像で書けるものなの??? これは小説を読んでいたら私は少なからず考えることなのですが、あんまりにも自分にとってリアルだったので面食らっています。 千紘みたいな女も柴田みたいな男も現実にいる。決してフィクションの中にだけ存在する者ではないなぁと思うからぞっとする。だけど猪俣や教授のような人もいるはず!という希望も持てる。後味は決して良くないがとても好きな本です。 ちなみに千紘はメンヘラでだらしない女と言ってしまえば簡単だけれど、猪俣に縋りきらなかった(っていうのが正しいかはわからない…面倒を嫌っただけかもしれないし…。)のは強さだと思った。自分に対してひたむきな人に、言っちゃえば絶対側にいてくれる人に、嘘でも「好き」とは言わなかったのってかなりすごくない??そんなことないかな??私はここで「あぁ、腐ってない…!」って喜びました。
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鎌倉が好きなんですよね。皆さんの評価が低いのは消化不良?結果、結論がもう少しほしかったか?他人、男性に依存する女性の書き方。あるあるだがステレオタイプであまり好きではない。島本さんカラーはしっかりでています。
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読み始めから5分の3くらいまでの流れ、クソだと思ってごめんなさい。 いくらなんでも主体性がなさすぎるとイライラしていましたが、終盤の展開が良すぎて印象が一転しました。 「バリ島なんて、と私は呟いた。行きたくねえよ。」 特にこのひと言が秀逸(笑) ここから柴田さんと猪俣君、それぞれの関係がスッキリ整理されてくる感覚も良かったし、ラストの2行もとても良かった。 「じきにたくさんの怖かった男の人たちの年齢を追い越していく。 だけど本当の私は、この夏にまだ生まれたばかりらしい。」
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家庭環境はやっぱりその後の恋愛に深く影響するな、と改めて。 自分も自己肯定を拗らせているほうだとは思っていたけれど、全てにおいて=自分が悪いんだ と思い込んで諦めてしまう千紘はなかなか… あまりの主体性のなさに少し苛立ちをおぼえる場面もあった。 でも、柴田からの連絡を待ちなが...
家庭環境はやっぱりその後の恋愛に深く影響するな、と改めて。 自分も自己肯定を拗らせているほうだとは思っていたけれど、全てにおいて=自分が悪いんだ と思い込んで諦めてしまう千紘はなかなか… あまりの主体性のなさに少し苛立ちをおぼえる場面もあった。 でも、柴田からの連絡を待ちながらも猪俣からのメールにうっすら喜ぶ、なんて描写にはつい、分かるなあ〜と思ってしまったり。 「誰にも自分を明け渡さないこと。選別されたり否定される感覚を抱かせる相手は、あなたにとって対等じゃない。自分にとって心地よいものだけを掴むこと」 今後の人生の教訓にしたいような言葉。
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最後、生まれ変われた感じが伝わってきたので良かった。 久しぶりに恋愛ものを読んだので、こんなもんだったかな?という読了感。
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夏の鎌倉で、祖父の蔵書をひたすら自炊することとなった作家の千紘。 それは、辛い男性体験との決別の作業のようでもあった。 登場人物の誰にも共感できないですが、小説として読むには、とても興味深く、好きなテイストでした。 柴田がとにかく最悪で。 その柴田に、洗脳されるように振り回さ...
夏の鎌倉で、祖父の蔵書をひたすら自炊することとなった作家の千紘。 それは、辛い男性体験との決別の作業のようでもあった。 登場人物の誰にも共感できないですが、小説として読むには、とても興味深く、好きなテイストでした。 柴田がとにかく最悪で。 その柴田に、洗脳されるように振り回される千紘が、自分だったらありえないと思うものの、トラウマの結果なのかもと思わされます。 現在と過去が、ある意味入り乱れて書かれているのですが、その表現の仕方に、私も振り回され、止められなくなりました。 再生物語と言うほど、千紘は再生しないですが、最後に少しだけいい風が吹いている感じがして、ほーっと長い息を吐いて、読み終えました。
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薄い本であっという間に読み終わった。が、内容がめちゃくちゃ重たい。島本理生の暗さが全面に出ている感じ。心理学を学んだ人間が、うまいこと洗脳されていくところが結構リアル。本来、島本理生のぼんやりとしているのに的確な書き方が好きなんだけど、それを良くない方向に使っちゃった気がする。
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うーん難解。読みやすいし綺麗な文章なんだけど難しいなと感じた。 切ない気持ちだけがちょっと残りました。
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アメトークの読書芸人の回で又吉さんがオススメであげていたので読みました。 私の中では「サラサラしてる」部類かな。 結構ドロドロしてるのが好きなので私の好きなタイプの本ではないけど、普通に読めました。 多分、私も人に触られるのがダメで、理由も同じで共感できる部分があったからと思われ。 あとはあまり共感できず。 サラサラ系ってあまり共感できない事が多いから読んでても途中で飽きちゃうんだけどこれは飽きずに読めました。 まぁ本の厚みもないのですぐ読み切れるってのもある。
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