ワンダー の商品レビュー
重度の口蓋裂のオーガストが家族や友達、学校のことを話す章と、姉ヴィア、親友ジャック、サマーたちがオーガストとの関係を語る章で構成されてます。 中でも私が印象的だったのは、姉ヴィアの話。小さい時はオーガストを中心に家族が回っていて、両親はいつもオーガストのことばかり。それは自然に...
重度の口蓋裂のオーガストが家族や友達、学校のことを話す章と、姉ヴィア、親友ジャック、サマーたちがオーガストとの関係を語る章で構成されてます。 中でも私が印象的だったのは、姉ヴィアの話。小さい時はオーガストを中心に家族が回っていて、両親はいつもオーガストのことばかり。それは自然に当たり前ってヴィアは思ってた。でも高校に入って、その生活に違和感を感じるようになります。成長とともに、支えていく家族の有り様は変わっていくことを考えさせられました。 人の本質を知って認めることは、時には勇気が必要だったり、気持ちが通じ合うために、全部晒し合う努力だったり。重くなりがちなお話なのに、前向きでテンポよく進みます。
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顔に障害を持つオギーと彼を優しく強く見守る家族、友達の話。 様々な人物の視点を通して物語が紡がれていくので、周囲の人たちの葛藤、内に秘めた想いも伝わってくる。 ここ数年で一番感動した。胸が熱くなった。 修了式のシーンなんてもう…。 児童読み物になるんだろうけど、ぜひ大人の人にも読んで欲しい。 あらゆる人の心を震わせる、児童文学の新たな傑作。
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障害児だった彼は10歳まで学校に行かなかったが、学校に通い始めいじめや差別の連続ではあるが、何か考えずにはいられない。明るい主人公が魅力的。 この物語の良いところは、主人公オギーだけでなく、彼の回りの色々な人々の視点が描かれているところ。何が正しいとかよくないとかではなく、登場人...
障害児だった彼は10歳まで学校に行かなかったが、学校に通い始めいじめや差別の連続ではあるが、何か考えずにはいられない。明るい主人公が魅力的。 この物語の良いところは、主人公オギーだけでなく、彼の回りの色々な人々の視点が描かれているところ。何が正しいとかよくないとかではなく、登場人物の誰かについて、あ、自分も同じような気持ちになるだろうな、とか、もしかしたら同じようなことをしてしまうだろうな、とか、自分のこととして捉えやすい。どこか遠い世界の話ではなく、とても身近な、いつ自分が出会っても不思議ではないそんな距離感を感じる。
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ぼくの名前はオーガスト。 外見については説明しない。 きみがどう想像したって、きっとそれよりひどいから―。 主人公のオーガストは生まれつき顔に障害のある男の子。 ちょっとやそっとの生易しいものではなく、火傷の痕のように引き攣れ、歪んだ顔は初めて目にする者を驚かせる。 子供とい...
ぼくの名前はオーガスト。 外見については説明しない。 きみがどう想像したって、きっとそれよりひどいから―。 主人公のオーガストは生まれつき顔に障害のある男の子。 ちょっとやそっとの生易しいものではなく、火傷の痕のように引き攣れ、歪んだ顔は初めて目にする者を驚かせる。 子供というのは大人よりも正直で、時に残酷だ。 勇気を出して初めて行った学校で、彼は無遠慮な視線にさらされ、心無い言葉で傷つけられてしまう。 せっかくできた友達の「ぼくがあんな顔だったら、自殺しちゃうよ」という言葉が何よりオーガストの心をえぐる。 普段から周囲の不躾な視線や言動には「慣れている」というオーガスト。 10歳の男の子が、そんな状況に慣れてしまうって、なんて悲しい世の中だろうと思う。 そんなのいつまで経っても慣れるわけがない。彼はその度に傷ついてる。 そんな彼がハロウィーンが一番好きという理由が、また切ない。 彼がハロウィーンを好きなのは…仮装してお面をかぶれば、顔が隠れて皆と同じ「普通の子」でいられるから。 普段いかに外見で人を判断しているかっていう事を、あらためて考えさせられる。 オーガストは顔こそ人とは大きく異なるけど、頭が良いし、とても気の良い奴で、ユーモアもある男の子。 話せば彼の良さに気付くのに、周りは彼の顔を怖がり、バイキン扱いして近づく事さえしない。 心で見ないとわからないっていうのは、こういう事だと思うんだよね。 トゥシュマン先生が本から引用した「いつも、必要だと思うより、少しだけ余分に親切にしてみよう」という言葉、それってすごく大事だと思う。 この世界は悪意に満ちているけど、でも同じくらい優しさにも溢れている。 オーガストにとってはまだまだ生き辛い世の中で、この先辛い思いも、苦しい思いもするだろう。 でも一人一人が少しだけでいい、いつもより余分に親切に、優しくなれたら、世界は変わるんじゃないかな。 オーガストのような子達が暮らしやすい、もっともっと優しい世界になれば良い。
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正しいことをするか、親切なことをするか、どちらかを選ぶときには、親切を選べ。 ウェイン・W・ダイアー
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オーガストはごくふつうの男の子。生まれつき顔に障害がありぎょっとされることが多いのです。10歳で通い始めた学校での同級生の反応や友だちとの関係、学校生活がオーガスト、友人、姉や両親、先生と視点を変えて描かれていて、共感したり想像したりするうちに引きこまれる物語です。
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ヴィアにとってのおばあちゃん。 こんなおばあちゃんになりたいな。 人は、人に傷つけられるけど、人によって癒されて、前に進めるのですね! 一歩を踏み出す勇気を持ちたいね!
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オーガストが、すごく正直でいいやつなんだよね。 がまんするところはするけど、どうしようもなくなるまで心を閉ざしたりはしないで、お姉ちゃんなりお父さんなり、もちろんお母さんなり、そのときどきで必ず誰かに助けを求めてる。それに知性もあるし、ユーモアもある。 だからすごくきびしい境遇...
オーガストが、すごく正直でいいやつなんだよね。 がまんするところはするけど、どうしようもなくなるまで心を閉ざしたりはしないで、お姉ちゃんなりお父さんなり、もちろんお母さんなり、そのときどきで必ず誰かに助けを求めてる。それに知性もあるし、ユーモアもある。 だからすごくきびしい境遇ではあるけど、ゆっくりと、ほんとうの友だちを作っていける。 ジャックも、ミランダも、サマーも、ほんとにすてきな子で、心のゆれも含めて愛さずにはいられない。 ただ、ジュリアンと彼の母親が、ちょっとわかりやすく悪役をになっているのが惜しいような。さっき原書のほうのレビューを見ていたら、ジュリアンの章というのもあとからつけたされたのかな? それもちょっと読んでみたかったかも。 昨年の『わたしの心のなか』(シャロン・M・ドレイパー)に比べると、とてもハッピーな形で物語が終わっているけれど、まあそれはそれでいいとして、その転換点に二度とも、ジュリアンとグローバー学園という「外敵」が関わっているのが、少し簡単すぎる気がした。
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この頃の日本のYAは、いじめ、孤立、不登校ネタばかりでうんざり。その点翻訳ものは、設定に勇気がある。 主人公の顔に障害があるなんて設定を使っていい児童書を書ける日本人作家がいるだろうか。それも、暗いところで見た人が叫ぶほどの顔。少しアザがあるとか、火傷のあとがあるとかじゃない。 ...
この頃の日本のYAは、いじめ、孤立、不登校ネタばかりでうんざり。その点翻訳ものは、設定に勇気がある。 主人公の顔に障害があるなんて設定を使っていい児童書を書ける日本人作家がいるだろうか。それも、暗いところで見た人が叫ぶほどの顔。少しアザがあるとか、火傷のあとがあるとかじゃない。 同じような障害を持つ人が読んでも不愉快にならず、納得してもらえるかを考えると、尻込みしてしまうだろう。自分にその障害がなけれぱ。 これは、主人公だけでなく、障害を持つ弟を持ってしまった姉の苦しみ、友達の心情もきちんと書いていて、障害を持たない者の気持ちにも寄り添っている。 しかし、世の中には、子どもの障害が元で離婚したり、障害を持つ子どもを虐待する親もいるからね…。裕福な上に、素晴らしい家族を持った主人公は幸せすぎる気もする。
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