リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください の商品レビュー
日頃からマスコミで自称「リベラル」の人達の意見に呆れることが多く、なんとなく反感を抱いてた。しかし、そうは言いても、それに対して明確に誤りであることが指摘できず、消化できずにいたが、筆者が快刀乱麻を断つという感じで説明してくれた。9条の問題での軍事情勢の認識では筆者の認識を受け入...
日頃からマスコミで自称「リベラル」の人達の意見に呆れることが多く、なんとなく反感を抱いてた。しかし、そうは言いても、それに対して明確に誤りであることが指摘できず、消化できずにいたが、筆者が快刀乱麻を断つという感じで説明してくれた。9条の問題での軍事情勢の認識では筆者の認識を受け入れるのは留保するものの、価値観が多様化し、社会情勢が複雑化する現在にこそ、自分価値観を明確化していく必要性を強く感じた。筆者があとがきで挑戦したという「平易」と「明晰」の両立は成功していると思う。読後に自分が賢くなったのでは?と錯覚してしまう本である。
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法哲学、特にリベラリズムについてのインタビュー形式での入門書。語り口調で、平易に述べられているが、中身は深い。しかもかなり論争的な内容になっている。うまく言えないが、著者の考えには、納得できるものと違和感を覚えるものが混在していた。また、全部理解できたとはとてもいえないが、リベラ...
法哲学、特にリベラリズムについてのインタビュー形式での入門書。語り口調で、平易に述べられているが、中身は深い。しかもかなり論争的な内容になっている。うまく言えないが、著者の考えには、納得できるものと違和感を覚えるものが混在していた。また、全部理解できたとはとてもいえないが、リベラリズムの根本的考え方をなんとなく掴むことができたと思う。自分はどちらかというと価値相対主義にシンパシーを感じているが、多様な価値観の共存は必要だが、価値相対主義はダメ(なんらかの真理は前提とすることが必要)という著者の主張もわからなくはないと感じた。
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リベラリズムとは、啓蒙と寛容。 どちらにもネガとポジがある。 啓蒙のポジは、純粋理性批判(理性の限界を見極める)の内包。ネガは、独断的絶対主義。 寛容のポジは、違う考え方を前向きに受け入れる。ネガは不寛容なものへの寛容。 それらのポジを合わせたものを正義と呼んでおりそれがリベ...
リベラリズムとは、啓蒙と寛容。 どちらにもネガとポジがある。 啓蒙のポジは、純粋理性批判(理性の限界を見極める)の内包。ネガは、独断的絶対主義。 寛容のポジは、違う考え方を前向きに受け入れる。ネガは不寛容なものへの寛容。 それらのポジを合わせたものを正義と呼んでおりそれがリベラルの核心。 『正義には反転可能性によって正当化される。自分の他者に対する行動や要求が、自分の視点だけでなく他者の視点からも正当化できるか。』 集団的自衛権についての否定的意見 1.敵と味方の線引きを問題視。国際社会による集団的安全保障が理想。 2.米国に代替不可能なアジアの戦略拠点を提供している。その拠点が攻撃されるリスクを負っている。よって、武力によって日本がアメリカを守る義務はない。 戦争の正義を4タイプに分類。積極的正戦論、無差別戦争観、消極的正戦論、絶対平和主義。 9条については原理主義的護憲派、修正主義的護憲派に分類。前者は自衛隊も安保も×。後者は両方○。 井上さんは憲法原理主義的な消極的正戦論者である。特定の安全保障観を憲法に固定することへ疑念。9条を削除して法律にすべきと考えている。 私は、原理主義的な絶対平和主義者もしくは消極的正戦論者であるので井上さんの立場あるいは、現象の憲法のままで、自衛隊や安保廃止すべきだと考えている。 徴兵制について。 戦力を保有するのであれば、徴兵制を採用するべきである(戦争の抑止力になる)。その上で、絶対平和主義者に対しては良心的拒否権の容認。ただしその対価として厳しい代替的役務を負うべし。 安全保障について。
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●アメリカはもとより国際的に見ても、アジア女性基金のように、法的責任ではなく道義的責任として、戦争責任の問題に踏み込んで「他国民」に賠償・謝罪した例はないはず ●価値相対主義は自己の価値判断に対する他者の批判の可能性を閉ざす点で、独断的絶対主義と変わりない。われわれの価値判断の可...
●アメリカはもとより国際的に見ても、アジア女性基金のように、法的責任ではなく道義的責任として、戦争責任の問題に踏み込んで「他国民」に賠償・謝罪した例はないはず ●価値相対主義は自己の価値判断に対する他者の批判の可能性を閉ざす点で、独断的絶対主義と変わりない。われわれの価値判断の可謬性を認めるなら、価値相対主義も斥けられなければならい ●中世は多様な諸勢力の相互制約で成り立っていた、それが主権によって崩されていく中で、その制約として人権が生まれた。主権と人権が対立するのではなくて、人権が主権に内在する制約としてとらえられる。 ●国家主権にあって他の主体(グローバル企業、NPO)に無いもの→答責性 ●西欧リベラルが、自分たちの価値観は非欧米世界には妥当しないと考えるようになってきた。人権も民主主義も未完の課題であるのに、それを西欧の伝統のようにとらえ、外の奴らには関係がないとみなし、普遍的な正義の探求を放棄する傾向が出てきた。
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筆者がインタビュアーの質問に答える形なので読みやすい。そして著者のめざした通り、特別に政治や哲学の勉強をしてこなかった一般人(の私)でも『忍耐強く』読めば、政治について、目指すべき社会のあり方について、正義について。そして今の政権の正統性について‥考えざるを得ない。 読みながら何...
筆者がインタビュアーの質問に答える形なので読みやすい。そして著者のめざした通り、特別に政治や哲学の勉強をしてこなかった一般人(の私)でも『忍耐強く』読めば、政治について、目指すべき社会のあり方について、正義について。そして今の政権の正統性について‥考えざるを得ない。 読みながら何度もなるほど!と目から鱗がポロポロ落ちました。
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政治の現状に対する多くのモヤモヤが晴れ、視界が開ける。反転可能性、や、正義概念、といった明晰な視座が与えられた。
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「皇族には人権がない。皇族とは日本最後の奴隷である。彼らを解放しなければならない」 マジメで役に立つ話だなーと思って読んでいるうちに、だんだんヒートアップしてきて若干ウザい感じに。血管浮き出てそうな語り口だなーと思って読み進めたら最後にオチがついて、ほっこりした。 (引用)私...
「皇族には人権がない。皇族とは日本最後の奴隷である。彼らを解放しなければならない」 マジメで役に立つ話だなーと思って読んでいるうちに、だんだんヒートアップしてきて若干ウザい感じに。血管浮き出てそうな語り口だなーと思って読み進めたら最後にオチがついて、ほっこりした。 (引用)私は、若いころ低血圧だったのに、グローバルな規模で不正がのさばっている現実に怒り、それに呑み込まれてゆく哲学の死に怒り、最近は高血圧化してしまって、降圧剤を飲み始めています。しかし、今の状況を見ていると、還暦すぎたからといって円くなっていられない。「怒りの法哲学者」として、角を立てて生きていきますよ。 メモ: ポッゲのグローバルジャスティス論。ユダヤ人を600万人ころしたホロコーストをあれだけ人類史上最大の犯罪だと批判していたその人々が、年間1800万人が死んでいる貧困の問題 (poverty related death) について積極的な支援の義務がないといっているのは欺瞞だという怒り。 p.157 本当は人権も民主主義も西欧においてすら未解決の課題なのに、欧米人はそれらを自分たちの独占物として、伝統として血肉化していると考える。外の奴らはイスラムだろうと何だろうと関係ないという態度、偏見。これはオリエンタリズム。 p.189
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まず、リベラリズムが自由主義ではないということに驚いた。リベラルは、本来は「正義主義」とでも訳すべきでると。公正、公平を最も重んずる思想であると。その中で、グローバルジャスティス、世界正義という概念が現れる。僕も正義とは胡散臭いと思っていた。どの陣営も正義を謳うが、その正義が争い...
まず、リベラリズムが自由主義ではないということに驚いた。リベラルは、本来は「正義主義」とでも訳すべきでると。公正、公平を最も重んずる思想であると。その中で、グローバルジャスティス、世界正義という概念が現れる。僕も正義とは胡散臭いと思っていた。どの陣営も正義を謳うが、その正義が争いを引き起こすと。しかし、それは本来の正義ではない。実は、正義というものは厳然と存在するが、どの正義も、それらの解釈に過ぎず、その解釈の差異で争いがおこる。しかし、世界正義というものを構築していくことは無駄ではなく、必要なことだと本書から感じた。価値を相対化するだけでは後ろ向きだ。様々な価値を受け入れつつ、それでもなお、すべてを包含する正義を探求する。それこそ人類の使命ではないか。
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150919 中央図書館 日本の法哲学の第一人者・・なのかな? ちょっと格好つけすぎ、の感、自分の著書の宣伝が多い、というのも・・・・。
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正義論について、直近の出来事を踏まえつつ、アカデミックな対談がまとめられている。ダブルスタンダードは不正義というシンプルな原則を確認すると同時に、ある価値観の普遍性、他者への強制をどこまでできるのか、すべきなのか考えさせられた。 英米のダブルスタンダードを批判しつつも、価値相対主...
正義論について、直近の出来事を踏まえつつ、アカデミックな対談がまとめられている。ダブルスタンダードは不正義というシンプルな原則を確認すると同時に、ある価値観の普遍性、他者への強制をどこまでできるのか、すべきなのか考えさせられた。 英米のダブルスタンダードを批判しつつも、価値相対主義にも批判的で、グローバルジャスティスを確立すべきとする著者が、どこで落とし所を探っていくのか見ていきたい。
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