リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください の商品レビュー
あとがきで「本書は、『平易な哲学書』をめざしている」と述べているとおり、細かい事項に深入りすることなく、平易な語り口調で、井上の思想の全体を概括している。第一部では主に日本の戦後リベラルの展開を批判的に論じ、第二部では正義の諸構想についての学説を紹介しながら正義概念に関する自身の...
あとがきで「本書は、『平易な哲学書』をめざしている」と述べているとおり、細かい事項に深入りすることなく、平易な語り口調で、井上の思想の全体を概括している。第一部では主に日本の戦後リベラルの展開を批判的に論じ、第二部では正義の諸構想についての学説を紹介しながら正義概念に関する自身の理論を敷衍する。タイトルに違わず、リベラルの腐敗からリベラリズムを救い出す、という意識が本書全体に通底している。完成された理論ではなく井上の思考の道筋を辿っていく感覚はかなり面白い。砕けた言葉遣いの端々に、思想的に自殺したリベラルに対する「怒りの法哲学者」の憤懣が滲んでいた。しかし、井上の難解な専門書に慣れている読者にとっては満足できない企画かもしれない。テーマが右往左往して読みにくく、また井上自身の理論よりも分野全体を概観することに重きが置かれているため、彼の思想を批判的に検討するには他の著書を参照すべきだろう。
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日本法哲学界のドン、井上達夫による独自の法哲学入門。自説バリバリの本ゆえの長所と短所が。 いい点としては、分かりやすく簡潔で、バラエティに富んだ内容で飽きが来ない。200ページほどの分量ながら、第1部ではリベラリズムの概説と現代的な論点への言及、第2部では井上の研究生活に沿って...
日本法哲学界のドン、井上達夫による独自の法哲学入門。自説バリバリの本ゆえの長所と短所が。 いい点としては、分かりやすく簡潔で、バラエティに富んだ内容で飽きが来ない。200ページほどの分量ながら、第1部ではリベラリズムの概説と現代的な論点への言及、第2部では井上の研究生活に沿ってこれまでの法哲学の流れを通覧と、さまざまな話が展開される。 ロールズやサンデルなど大家の理論でも、井上が誤りだと思うものは容赦なく切って捨てている。そのため中立的な入門書にありがちな、どの説もそれなりに正しく聞こえて結局何が言いたいのか分からない、ということが起こらず論旨が明快。説明の巧みさもあり、これ以上分かりやすい本はないと言える。 裏返しになるが、井上の見解が前面に出過ぎているのが悪い点。自説と異なるものをきっぱり「ミス」とか「誤った論理」と断定しているが、失礼ながらイマイチ信用できない。ロールズやサンデルほどの学者が、素人の私が一読して分かるようなミスをするとも思いづらいし、せいぜい価値判断の違いなんじゃないか。 もう一つ、本書の第1部では憲法9条や天皇制といった現代的な問題も扱っているが、「天皇制は現代に残る奴隷制だから廃止すべき」みたいな空中戦が多くて、個人的にはあまり意味のない議論に感じられた。 総じて厳密で信頼のおける本ではないが、ライトに読むにはこの上なくおすすめ。井上が自分の文脈で喋っている分、専門的発展的な内容が急に出てきたりするので当たり障りのない新書よりも満足度は高いんじゃないかと思う。
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近年の日本の「リベラル」の憲法論のダブル・スタンダードぶりから、ロールズ正義論の問題まで、時局問題から出発しつつ原理的な問題や自らの学問的遍歴までを、インタビューに答えるというかたちで世に問う著作。リベラリズムを正義への積極的なコミットメントとして再解釈し、何でもあり式の寛容論や...
近年の日本の「リベラル」の憲法論のダブル・スタンダードぶりから、ロールズ正義論の問題まで、時局問題から出発しつつ原理的な問題や自らの学問的遍歴までを、インタビューに答えるというかたちで世に問う著作。リベラリズムを正義への積極的なコミットメントとして再解釈し、何でもあり式の寛容論や価値相対主義を斥ける議論は、著者によればポパーの批判的合理主義の立場から出てくるものである。かつてほど顧みられていないポパーの議論からリベラリズムの哲学的基礎を再建しようとする議論は非常に興味深い。
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難しかった。。本当に法哲学入門なのか。。 しかし、分からないなりにも、リベラルについて興味を持つことができた。 本書ではリベラルを正義主義と訳している。(はっきりとではないが。。) 正義は、自分の視点を特権化せず、相手の視点からもその行動が正当であることを示す必要がある。 自...
難しかった。。本当に法哲学入門なのか。。 しかし、分からないなりにも、リベラルについて興味を持つことができた。 本書ではリベラルを正義主義と訳している。(はっきりとではないが。。) 正義は、自分の視点を特権化せず、相手の視点からもその行動が正当であることを示す必要がある。 自分がリベラルな考えかのか、保守的な考えなのかについて考察できた。
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自分の思想が保守的に少し偏っているのではないかということで、リベラリズムの論調も知りたいと思い読んだ。 明晰で平易。論理的で実証的。まさに本書の狙い通り、リベラリズムに対する考え方が変わった。政治哲学、法哲学についての理解や考察が深まった。非常に面白い。今後さらにリベラリズムにつ...
自分の思想が保守的に少し偏っているのではないかということで、リベラリズムの論調も知りたいと思い読んだ。 明晰で平易。論理的で実証的。まさに本書の狙い通り、リベラリズムに対する考え方が変わった。政治哲学、法哲学についての理解や考察が深まった。非常に面白い。今後さらにリベラリズムについても勉強していき、自身の考えを確立させたい。
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続編も読んだほうがいいのかな。入門としては使えないだろうけど自分語りもおもしろくて快適に井上先生入門できた感じ。ただやっぱり独創性はかなり強いんだろうなと思った。
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著者は9条削除論を唱えている日本のリベラリズムの権威。 本書はタイトルから想像できる通り、リベラルとリベラリズムの違いについて説明するとともに、正義論に関して、そもそもの正義の必要条件(どの正義思想にもなくてはならない必要最低限の条件、反転可能性テストで判断可能)から丁寧に説明し...
著者は9条削除論を唱えている日本のリベラリズムの権威。 本書はタイトルから想像できる通り、リベラルとリベラリズムの違いについて説明するとともに、正義論に関して、そもそもの正義の必要条件(どの正義思想にもなくてはならない必要最低限の条件、反転可能性テストで判断可能)から丁寧に説明し、最終的にはリベラリズムのあり方にまで展開している。 インタビュー形式なので、内容が難解であるにも関わらず、読み易かった。
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第一部は主に日本でいうリベラルとはなんぞや。面白く読めたが、第二部は専門的な話も多く難しかった。文体は平易だが、自分に法哲学の基礎がないのが理由だが。 ロールズやらサンデルやら著名な哲学者の名前がバンバン出てくるが、トマスポッゲってたしかセクハラ疑惑あったよね、、。哲学者も人間な...
第一部は主に日本でいうリベラルとはなんぞや。面白く読めたが、第二部は専門的な話も多く難しかった。文体は平易だが、自分に法哲学の基礎がないのが理由だが。 ロールズやらサンデルやら著名な哲学者の名前がバンバン出てくるが、トマスポッゲってたしかセクハラ疑惑あったよね、、。哲学者も人間なんですかね笑笑
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正義を巡る立場、正義概念、反転可能性という考え方、リベラルであるために正義を希求すること、政府の答責性などなど、もう少ししっかり学ばないといけません。著者の熱い思いから紡ぎ出された言葉がとても印象的で、しっかり正面から考えて、自身の振る舞いにつなげたいと感じました。
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タイトルに反してかなり難解な個所も多い。井上達夫セルフレビューの感が強いが、同時におそらく正しくリベラリズム入門書となっている。何より人間的な温かさと主張の熱さが文章から噴き出して、それがむしろ真摯に刺さり信頼を置きたくなってしまうのだ。
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