過ぎ去りし王国の城 の商品レビュー
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積読本。読み出したら止まらない一気読みでした。子どもの頃感じていた痛みを思い出しながら登場人物のお互いを思いやる気持ちが痛いほど伝わって来て温かな気持ちになりました。世界が良い方向へ変わってくれて、良かった。
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ミステリーなのかファンタジーなのか、現実的でそうでない世界が広がり、読者を連れ去る。そんな作品です。
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不思議な絵との出会いからこんな展開になるとは…流石です。この世界の伊音ちゃんを救うことができてよかった。
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宮部さんらしい、平凡だけど善人な主人公。偶然手に入れた不思議な絵の中に入れることに気がつき、物語は始まります。 可愛らしいファンタジーかと思いきや、意外な方向に話は進んで行きます。かなり後半までパクさんを疑ってしまって申し訳ないです。
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異世界と現実世界を行き来する話。つい最近別の作者の異世界ものを読んでうんざりぎみではありましたが、こちらは一気に読めました。
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宮部みゆきは逃げません。世に満ちる悪意から暴力から、人の持つ厭な部分から、どうしようもない悲劇から。だから読むとしんどい思いもします。ああ、その箱を開けるのか、その思いを開陳するのかと。 しかしただ露悪的に悪意を書き綴っているのではありません。打ちのめされるけれど、それがこの作品...
宮部みゆきは逃げません。世に満ちる悪意から暴力から、人の持つ厭な部分から、どうしようもない悲劇から。だから読むとしんどい思いもします。ああ、その箱を開けるのか、その思いを開陳するのかと。 しかしただ露悪的に悪意を書き綴っているのではありません。打ちのめされるけれど、それがこの作品の目的ではありません。芯の部分には優しさがあります。だからつらいだけではない読後感があります。どうしようもないつらさの向こうにある希望を見せてくれます。それは作者自身の願いかも知れません。そしてつらさを書きながら希望を感じさせることは、物語が持つ力なのでしょう。宮部みゆきの作品には、そんな力を信じさせてくれるものがあるのです。 偶然手にした古城が書かれた紙。その世界に入り込むことができると知れば試してみたくもなるでしょう。それも中学生男子としてはもちろん。他の宮部みゆきのファンタジーと同じく、ここでも現実と地続きの異世界が用意されています。 まずは現実世界でのできごとがこと細かに描写され、その後異世界の冒険が始まる。そう思っていました。スクールカーストと称されるような学校内での鬱憤としたものが、異世界で晴らされるのかと思っていました。でも異世界で待っていたのは、余りにもつらい現実の結果に過ぎなかったのです。 なかなか冒険が始まらないなと読み進めていたのですが、状況説明だと思っていた現実世界のできごとこそが主題でした。異世界というファンタジーは現実を描くための手段だったと知った時、世界はひっくり返らずそのまま目の前に突き出されます。その突き出されたものに対して、どのように立ち向かうのか。選択肢が示され、登場人物たちはそこから自分がしたいことを選びます。その選択の意味がわかる時、そして選択自体の意味がわかる時、その時こそ世界はひっくり返ります。そして向こう側にある希望に気付かされるのです。
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銀行のロビーで見つけた古城の絵。 思わず真が持ち帰ってきてしまった絵は、不思議なことに、その中に入り込めるのだ。 その絵の中に一緒に入り込む珠美。 と、怪しげなおじさん。 古城の中と現実は「過去」でつながっている。 その「過去」は悲しい過去。 いやいや、そんな悲しい過去なんて、...
銀行のロビーで見つけた古城の絵。 思わず真が持ち帰ってきてしまった絵は、不思議なことに、その中に入り込めるのだ。 その絵の中に一緒に入り込む珠美。 と、怪しげなおじさん。 古城の中と現実は「過去」でつながっている。 その「過去」は悲しい過去。 いやいや、そんな悲しい過去なんて、「どこにでも転がっている」、「珍しくもない」、「よくある」、そう他人は言えてしまうもの。 でも、当事者にとってはたった一人で大蛇に締め上げられ、大猿に襲われているほどの圧倒的な絶望感を持った耐え難いものだ。 もっと苦しい人がいる、なんて決して思えないし、他人がそう言って耐えることを強いてはいけない。 本書はファンタジーではあるけれど、万事がうまくいってめでたしめでたし、あー楽しかった、という物語ではない。 一つが変わっただけで世界のすべてが変わることもないし、全員が救われるわけでもない。 それはとても悲しいことに違いないけれど、救いがあるだけ、現実よりもちょっとマシなのかもしれない。 かいがは古今東西で描かれ、それを題材にした物語も数多く作られてきた。絵とはそれだけ強い心が宿るもので、強く心を動かされるものだったからだ。 その心の揺れが、嬉しい、楽しい気持ちだけであるならどんなに世界は美しかっただろう。 しかし、そうではないから、人は怒りや悲しみ、苦しみを押し込め、それによって誰かが救われてきたのではないか。 残念ながら世界は決して美しいものばかりではなく、綺麗事だけでは回らない。 ただ、そんな世界に生きているからこそ、小さな救いが大きな救いに変わることもあると私は信じていたいし、その一端でありたいと切に願うのだ。
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拾った?訳ありで持ってきてしまった?絵を眺めていたら、絵の中に入れちゃった!っていうファンタジーなのですが、この絵の秘密は?この絵を描いた人は誰?なんの為に?と色々な謎があるので、読んでてすごく楽しい! ただ、主人公の協力者のイジメ問題だったりが絡んできて、平凡な主人公がグルグル...
拾った?訳ありで持ってきてしまった?絵を眺めていたら、絵の中に入れちゃった!っていうファンタジーなのですが、この絵の秘密は?この絵を描いた人は誰?なんの為に?と色々な謎があるので、読んでてすごく楽しい! ただ、主人公の協力者のイジメ問題だったりが絡んできて、平凡な主人公がグルグルしちゃいます。 ラストのスッキリ感はなんだろう?って思ってたけど、例えて言うなら、本を読み終わって現実に戻ってきた的?な感じに似てるのかなぁと、これを書きながらひとりごちてしまいましたw
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ファンタジーの世界に引き込まれるのかと思っていたが、SFなのか、ドラえもんのドアのように、絵の中へ入り込んでいく姿は、興味深々であった。 2人男女の中学生と、中年男性。 しかし、読み進むと、そこには、自分の居場所がない子供が居ることに気付かされる。 ネグレクト、いじめ、孤独、閉塞感、そんな弱い立場にいる人を、助けられるのか? 過去の後悔にさいなまれないように、いい方向へスイッチをオンに入れて、二人は高校生活ヘと、踏み出す最後で、ホッとした。
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ファンタジーでもあり、社会派でもあり。 精緻に描かれた城の絵の中に入り込んだ 少年少女と、中年男性。 城にとらわれた幼い少女を救おうとする パラレルワールドでどうなるか とても厳しく寂しく重たい内容を含みながらも ぐいぐい読ませてしまうのは、さすがの宮部作品
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