過ぎ去りし王国の城 の商品レビュー
読後は悪くないのですが、冒頭からイジメ、スクールカースト、嘲笑…で読むのが辛い作品でした。一枚の絵に入り込むあたりで現実逃避のファンタジーかと思いきや伊音ちゃんは更に過酷な状況でネグレクトを受けていた。自分を救うために、何かを変えるために必死になる各々の登場人物の様子が少しこぢん...
読後は悪くないのですが、冒頭からイジメ、スクールカースト、嘲笑…で読むのが辛い作品でした。一枚の絵に入り込むあたりで現実逃避のファンタジーかと思いきや伊音ちゃんは更に過酷な状況でネグレクトを受けていた。自分を救うために、何かを変えるために必死になる各々の登場人物の様子が少しこぢんまりしていて「現実が変わるのにそんな3人とかでいいの?」と思ってしまったり。登場人物の少なさと現実が変わるという壮大なファンタジーにギャップを感じたり。尾垣くんも城田さんもパクさんも…何でかイマイチ好きになれなかったな。残念です。
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宮部みゆきさんご自身の作品名を挙げて印象を述べると、『英雄の門』の難解さと、『ICO』の消化不良を兼ね備えたような作品だろうか。長さが比較的手頃という点では手を出しやすいが、描き切れていないというか。大変偉そうですみませんが。 学校では空気のような存在の中学生、尾垣真(しん)。家の用事で銀行に来ていた彼の目が、ある絵に吸い寄せられる。地元の小学生の絵が展示されている中で、その写実的な絵は浮いていた。小学生の作品ではないのは明白だった。 その絵を持ち帰った真は、絵に入れるらしいことに気づくのだが、彼の「腕」では限界があった。そこで、真と同じくスクールカーストから弾かれた同級生、城田珠美の「腕」に頼ろうとする。気弱そうな彼にしては、思い切った行動に出たものだが…。 簡単に言ってしまうと、絵の中を冒険する話である。この程度の荒唐無稽さは別に気にならないが、絵の成立過程と、作品世界のメカニズムが理解しにくい。その割に、冒険自体はあっさりしている。というのも、絵の中に長時間滞在はできないのだ。 彼らがここまで躍起になる背景に、学校における境遇がある。帯に並んだネグレクトなどのキーワードに、覚悟して読み始めた。真はともかく、城田は家庭事情も複雑だった。要領よく立ち回るいじめっ子と、問題を大きくしたくない学校。十分辛いし腹立たしいが、そうした描写は少なく、やや拍子抜けした感がある。 近作では『ソロモンの偽証』など、宮部さんが中学生年代を描く例は多いが、彼らはそれぞれ現実と対峙していた。本作ほど現実逃避しているのは初めてだ。それほど学校が辛い場所ということなのか。しかし、達観している2人だけに、その心理はうかがい知れない。最後にそういう方向に行くとは思わなかったが…。 もう1人のキーパーソンについては触れずにおこう。これが3人の転機になるかどうか。うーむ、どうしても誤魔化されたというか丸め込まれたような気がする。それだけうまいとも言えるが、宮部みゆき初心者にはお薦めしにくい作品かな。
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作品とれなれなさんの装丁があまりにもはまっていて驚愕しました。 リアルタイムでないと感じられないこの感覚を得られたことに感謝します。 涙の溢れる場面も多々あり、読みごたえがありました。
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人物の心情表現力はさすが。 でも、ラストがバタバタすぎて最後がいまいち。。 やっぱり宮部さんは現代ミステリーのが好き。
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2015年春の新作。宮部作品に近年増えてきたファンタジーとリアリティの狭間をいく小説。なんてことない人物を魅力的に書き上げるストーリーテリングはもはや十八番。非現実的な描写もさすがの筆力で自然に読ませてしまう。中盤までの盛り上がりには非常にワクワクしたものの、それ以降の展開はちょ...
2015年春の新作。宮部作品に近年増えてきたファンタジーとリアリティの狭間をいく小説。なんてことない人物を魅力的に書き上げるストーリーテリングはもはや十八番。非現実的な描写もさすがの筆力で自然に読ませてしまう。中盤までの盛り上がりには非常にワクワクしたものの、それ以降の展開はちょっと急ぎすぎてる感もあって少し拍子抜け。絵の秘密にしてももう少し裏付け的な何かが欲しい。現代を描く単発ものとしては『小暮写真館』の方がオススメ。
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宮部みゆきのファンタジー小説。 ついこないだ刊行された『悲嘆の門』は大作だったが、今作は割とあっさりしている。もうちょっと長くても良かったんじゃないかな〜。 ともあれ、読み始めると面白かったのでOKか。
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うーん。設定は面白いし読んでるこっちまで絵の中に入ったような感覚にもなるんだかど、なんとなく中途半端な感じ。ファンタジーと現実がいまいち融合していないのだろう。 主人公の真にはイライラさせられるし、会話や主人公の心理が古い。宮部さんにはもう思春期の10代の作品は厳しいのかなぁ。
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いまの現状を引き受けて、 一生懸命に生きている人たち それでも、うまくいかないこと悲しいことがある 想像力がなく、人を傷つけているものたちや それを黙ってみている大部分の人たちのこと ただの悪意と、精いっぱいの善意と 現実のたくさんと、王国の不思議との世界を 夢中になって旅してきた気分 宮部みゆきさんの小説はすごいな
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