目の見えない人は世界をどう見ているのか の商品レビュー
身近に視覚障害者はおらず、よくある印象を抱いていました。 それは、目が見えなくなると他の器官が鋭く感知がはやくなるという。 小学生の時に読んだローラインガルスの伝記漫画でローラの姉が病気で失明した後、耳が良く聞こえるようになって周りよりはやく馬車がくるのを察知したり。SAMURA...
身近に視覚障害者はおらず、よくある印象を抱いていました。 それは、目が見えなくなると他の器官が鋭く感知がはやくなるという。 小学生の時に読んだローラインガルスの伝記漫画でローラの姉が病気で失明した後、耳が良く聞こえるようになって周りよりはやく馬車がくるのを察知したり。SAMURAI DEEPER KYOに出てくるアキラというキャラクターが盲目になったことで剣技がより強くなったり。 なんとなくそういうもの、と思っていました。 深く考えることなく、ひとつ減った器官に割く必要がなくなったから他の器官が冴えると思っていたのですが、実際どんな風に障害者の方が視覚なしでどのように日常を過ごしているのか、丁寧に文章で書かれていて大変わかりやすく、また初めて聞くこと、触れる世界でとても興味深く面白かったです。 『王様ランキング』で、障害者を差して、自分があんな状況だったら生きていられないと蔑む内容を言った登場人物に対して、”あのものはそれを乗り越えて生きている、強者”といった内容を従者が返すシーンが印象的だったのですが、その通りだなと感じます。 過剰に持ちあげたいわけではないのでニュアンスが難しいですが… 晴眼者は視覚障害者を欠けてるとして無意識でも意識的にでも劣って見ている節がある気がします。 でもそれは思い上がりも甚だしい気がします。 誰もが誰かを評価したり品定めしたりする権利はないと思うので。 障碍者/障がい者という表記についての著者の意見、障害者の定義が個人視点ではなく社会が不自由にさせてしまったという観点は納得できました。 社会全体、晴眼者においてもたまたま社会の仕組みを作った側の性質に似通った人は過ごしやすいかもしれないけれど、それに反発心を抱く側からしたら上に立つ人たちに不信感は抱くし、その人たちから非難されたとしても、たまたまそっちは合致しただけなのになんで偉そうなの、と思います(わかりづらい文章ですみません)。 自分が社会不適合者かなと自責して生きてきましたが、最近は国民をラベル付けして型抜きおにぎりにして搾取して一部の特権階級だけの意見が通ってマイノリティの声を無視する方がおかしいと思えるようになりました。 思うことはひとつ、当事者を無視して話を進めない方が良い。 当事者が「そう」だというのなら、部外者が「そうではない」と消すことは良くない。 女性にしても、セクシャルマイノリティにしても、障害者にしても。 世界はシスジェンダー男性に都合良すぎる。 あっ すみません。日頃の鬱憤が出てしまいました。乱暴に一緒くたにしてはいけないですね。 こうすればよいだろうと対岸から見て勝手にするのではなく、 相手のフィールドに歩み寄って対話して希望を聞いてどうすればよいか考えていくのが良いのだろう、著者のいう『変身』の経験を通して…。
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これはとても面白い本でした! 情報だけではなく意味で交流する。 ダイアログ・イン・ザ・ダーク 美術館でのソーシャルビュー 福祉の視点だけではなく、お互いを面白がるという視点。
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パラリンピック東京大会の頃から、障害者のことを「かわいそう」とか「障害があるのにすごい」という目では見なくなっていたけれど、では、それをどう言い表したら良いのだろうと考えていたところ、本書の根底に流れる、障害者を隣人として見るスタンスに触れることができて、非常に心地よかった。 目...
パラリンピック東京大会の頃から、障害者のことを「かわいそう」とか「障害があるのにすごい」という目では見なくなっていたけれど、では、それをどう言い表したら良いのだろうと考えていたところ、本書の根底に流れる、障害者を隣人として見るスタンスに触れることができて、非常に心地よかった。 目からの情報がないことでどんな不便があるのかを知ろうとすることが最初のステップだとして、私たちは、彼らが視覚以外の感覚を使ってどんな風に情報を得ているのかを知るべきだし、さらに、私たちと同じような情報を得なくても良い(私たちが彼らに同じ情報を伝えなければいけないと思い込んでいる)とさえ思っている人がいることをもっと知るべきだと思った。 パスタソースのエピソードからは、見えていようがいまいが、現実を楽しむヒントを得た気がした。
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タイトルにひかれて読んだのだが、読みたかった内容が書か れているのはごく一部で、全体としては視覚障害者とどう つきあえば良いのかという内容だったのではないかな。別に それが悪いわけではないし、新鮮な気付きもあったのだが、 視覚障害者がどのような世界観・宇宙観を持っているか、 例え...
タイトルにひかれて読んだのだが、読みたかった内容が書か れているのはごく一部で、全体としては視覚障害者とどう つきあえば良いのかという内容だったのではないかな。別に それが悪いわけではないし、新鮮な気付きもあったのだが、 視覚障害者がどのような世界観・宇宙観を持っているか、 例えて言えばどのような「OS」で動いていて、それはわれ われ目の見える人間と同じなのか、違うとしたらどのように 違うのか、その辺りを知りたかったというのが正直なところ である。
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感想を見てたら「オーディオブックで読みました」という方がちらほらいて、その点も含めて素晴らしい本。 個人的に自分の中でお、と思ったところ •波は砕けないと音がならない→たしかに… •美学とは「自分と異なる体を持った存在への想像力を啓発する」「言葉にしにくいものを言葉で解明してい...
感想を見てたら「オーディオブックで読みました」という方がちらほらいて、その点も含めて素晴らしい本。 個人的に自分の中でお、と思ったところ •波は砕けないと音がならない→たしかに… •美学とは「自分と異なる体を持った存在への想像力を啓発する」「言葉にしにくいものを言葉で解明していこう」という学問→こんなにわかりやすくかつ人をグッと引き寄せる学問の説明が… •月の裏側に秘密基地がある、というのは見える人の感覚→おお… 書き出し切れない… とくに第四章「言葉」、目から鱗がだかだか落ちるくらい面白い。付箋たくさん貼って楽しく読んだ。
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麻生鴨さんの『伴走者』を読み終えた後だったので、興味関心がバチっとハマったタイミングに読めた。 著者の「目の見えない人」に対する新鮮な気づきが、新鮮なまま伝わってくる文章表現。是非とも読んでほしいのだが、まず、興味を引き込まれた序章の文章を紹介したい。 <見える人が目をつぶるこ...
麻生鴨さんの『伴走者』を読み終えた後だったので、興味関心がバチっとハマったタイミングに読めた。 著者の「目の見えない人」に対する新鮮な気づきが、新鮮なまま伝わってくる文章表現。是非とも読んでほしいのだが、まず、興味を引き込まれた序章の文章を紹介したい。 <見える人が目をつぶることと、そもそも見えない事はどう違うのか。(中略) それはいわば、四本脚の椅子と三本脚の椅子の違いのようなものです。(中略) 足が一本ないと言う「欠如」ではなく、三本が作る「全体」を感じると言うことです。> 「障害」と聞くと、アンタッチャブルな話題と構えていた。しかし、本書に示される、見える人と見えない人の差異を「面白がる」視点を通すと、新しいアイディアや付き合い方が見える、豊かな話題、ポジティブな感情が持てるようになった。
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インパクト4 かかった時間 90分くらいかな 視覚障害者の世界の見え方を説明している本。たとえば、空間把握や美術鑑賞などについて、優劣ではなく、目が見える人と見えない人の「ちがい」を書いている。 内容はとてもおもしろい。 ただ、自分の好みの問題で、この本のベースには「この人...
インパクト4 かかった時間 90分くらいかな 視覚障害者の世界の見え方を説明している本。たとえば、空間把握や美術鑑賞などについて、優劣ではなく、目が見える人と見えない人の「ちがい」を書いている。 内容はとてもおもしろい。 ただ、自分の好みの問題で、この本のベースには「この人たちは自分より見えないけれど、見える人にはわからない/できないことが、わかる/できるんだよ!」というような、筆者の(それ自体は素敵なことであろう)驚きや感動が流れていて、それはそれでなるほどなと思う部分はあるけれど、個人的には、これまで経験してきた、健常者?でありながら障害者に積極的にアクセスする人たちへの胡散臭さとか懐疑とかにひっぱられて、ある種の気持ち悪さがぬぐえなかったところがある。 素敵な書き手だし、書いてあることは非常に興味深いとは思うが、おそらくこのスタンスは自分とは合わない(今は)。
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見えない人から見た世界とは?完全に理解できた訳ではない(そもそも理解できるとも思っていないが)けれど、こんな捉え方なんやと新しい発見がたくさんあった。知らないことを知っていくのは楽しい。面白かった。 欠陥した状態ではなく、もともとそのような状態。欠陥でもなんでもない。(生まれつ...
見えない人から見た世界とは?完全に理解できた訳ではない(そもそも理解できるとも思っていないが)けれど、こんな捉え方なんやと新しい発見がたくさんあった。知らないことを知っていくのは楽しい。面白かった。 欠陥した状態ではなく、もともとそのような状態。欠陥でもなんでもない。(生まれつきの場合)だから、それが当たり前として生きている。聞こえない自分も同じ。
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読了。視覚障害者との美術鑑賞の話が興味深かった。あとは序盤に出てくる視覚障害者の方の生活(部屋のレイアウトや服選びのこと)には興味があるので、特に当事者の書いたものをもう少し読んでいきたい。
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ソーシャルビューという面白い取り組みを知ることができたのが、まず大きな収穫。 目が見えているからこそ見えていないこと(盲点)、見えていないからこそわかるとというのはそれこそ盲点だった。新しい考え方をインストールしてくれる良書。
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