目の見えない人は世界をどう見ているのか の商品レビュー
「見えない」から「できない」ことにスポットを当てるのでなく、世界のとらえ方がそもそも違うことを解き明かしていく本。 目は本当にものを見るための器官? 耳じゃ「見」れないの? 私たちの固定観念をからからと笑うように、五感が五つに分けられるほど単純でないことを明かしていく様は読んでい...
「見えない」から「できない」ことにスポットを当てるのでなく、世界のとらえ方がそもそも違うことを解き明かしていく本。 目は本当にものを見るための器官? 耳じゃ「見」れないの? 私たちの固定観念をからからと笑うように、五感が五つに分けられるほど単純でないことを明かしていく様は読んでいて爽快感を覚えました。 個人的に、斜視の読書にも触れてくれたのが嬉しかったのと、見えない人の俯瞰的な空間認知の話が興味深かったです。
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障害者に深く切り込み、目が使えないからこその意識の違いを取り扱っていた本だった。 きちんと障害者に好奇の目を向け合うことは、自分の盲目さを発見することにつながるため、美学を学んだ作者ならではの本であった。美学は分かっているけど言葉にできないものに対応する学問であり、そんな作者が障...
障害者に深く切り込み、目が使えないからこその意識の違いを取り扱っていた本だった。 きちんと障害者に好奇の目を向け合うことは、自分の盲目さを発見することにつながるため、美学を学んだ作者ならではの本であった。美学は分かっているけど言葉にできないものに対応する学問であり、そんな作者が障碍者を3本足の椅子、健常者を4本足の椅子で例えることで根本が違うことを主張していた。 目が見えることで客観的な情報は理解しやすいが、目が見えない人がどのように情報を受け取り、意味として解釈しているかの違いが存在していた。 例えば、目が見えない人は2次元の情報がわからないため、そのものの実際の形である3次元で理解している。そのため、壺の内側に細工をするという健常者では受け取ることのできない意味として目が見えない人は受け取っていた。 また、福祉の問題点として、点字の課題点があげられていた。点字の識字率は12.6%。読み書きのときに反転するため、難しく、触察が楽しいわけでもなく、一般人と同じで公共のものには手を触れたくないため点字が万能でないことを知った。脳の働きとして見えない人が点字を読むときは脳の視覚情報を処理している部分で処理している。そのため、現在では解決方法として、この脳の働くところに電気信号を送り、目の前の情報を電気として見えるようにする技術が開発されている。 目が見えないことは、感覚ヒエラルキーの最高位に位置する高度な情報処理である視覚がないため、健常者に理解できない感覚となっている。しかし最新の技術では、器官と能力が決して固定的でないためそこに解決の糸口があると考えた。 耳で見て、目で聞き、鼻で物食うて、口でかがねば神は分からず
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新たな視点が得られた。 目を閉じてみても理解できないような感覚なんだろうなと思った。 この本に登場する方の意見が全てだとは思わないけれど、誤解していた点もあったのかなと思った。
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小学生の頃位から目が悪いことを自覚するようになり、近視、遠視、乱視、斜視の全部アリ状態なので いつか見えなくなるのではという不安は予てより持ち合わせていた。 売れているらしいことと書名が気になり読んでみた。 発見も多かったがほとんどが中途失明者の話で先天的に視力のない人はどのよう...
小学生の頃位から目が悪いことを自覚するようになり、近視、遠視、乱視、斜視の全部アリ状態なので いつか見えなくなるのではという不安は予てより持ち合わせていた。 売れているらしいことと書名が気になり読んでみた。 発見も多かったがほとんどが中途失明者の話で先天的に視力のない人はどのように見ているのか気になった。 日本の視覚障害者の点字識字率は2006年厚生労働省調査で12.6%。 ★今時、苦労して点字を覚えなくても便利なものがいろいろあるらしい。 4本脚の椅子から脚を1本抜けば、その椅子は倒れるが、元々3本脚の椅子は立てるバランスで設計されているのだ。 ★視覚障害を能力欠損とは考えずに元々なかったものとして考える。 目の見えない人は晴眼者よりも物を空間的に捉えている。見える人は二次元、見えない人は三次元に見ている傾向がある。 富士山を晴眼者は銭湯の絵みたいな台形をイメージすることが多い。しかし、見えない人は立体の円錐をイメージするという。 ★どちらも事前情報があっての再現だと思うのだが、もう少し突っ込んだ説明が欲しかった。 「すごい!」という驚嘆の背後には、見えない人を劣った存在とみなす蔑みの目線がある、 自分はそんなとき「面白い!」と言うようにしている。 ★確かに「こんなこともできるなんてすごい」という見下した意味も含むだろうし、 障害者が「すごい!」と言われて不快感を持つのであれば、そのような発言は控えるべきだろう。 しかし単純に驚けば「すごい!」と言ってしまうし「面白い!」だって 「そんなこと当たり前だ」と不快に感じる障害者もいるすもしれない。 私は「興味深い!」と表現したい。
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目が見えないということがどういうことか少し理解したように思う。 聞かされて「そうだったのか」と思うこともあれば「やっぱりそうなんだな」と思うこともあった。 例えば触覚に関して、点字を読むのは触覚ではないと言われていて、それは想像するとすぐに納得できた。 ただ、目が見えない方の...
目が見えないということがどういうことか少し理解したように思う。 聞かされて「そうだったのか」と思うこともあれば「やっぱりそうなんだな」と思うこともあった。 例えば触覚に関して、点字を読むのは触覚ではないと言われていて、それは想像するとすぐに納得できた。 ただ、目が見えない方の点字の識字率が13%程度と少ないことは知らなかった。大人になってからでは覚えるのがなかなか大変だそう。もっとたくさんの方が読めるものと思ってたので気を付けたい。 他に聴覚に関しては以前読んだ「目の見えない白鳥さんとアートを見に行く」の白鳥さんも出てきて、思いだしながら読み進められて理解が深まった。 触覚や聴覚以外にも章ごとに人間の五感について書かれていてその各感覚の使い方の違いが面白くかった。 意識して視覚意外も使って生活すると新しい見方や発見がありそうに思えた。 障がいに限らず、自分と違う感覚を持った方の生活や仕事、話を聞いたりするのは面白い。 いい読書体験になりました。
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めっちゃ面白い ただ、「福祉」は「健常者が障害者をサポートする」ことを指すのか、ちょっと勉強不足でわからんけど、少なくても本書では「変身」を前提としたアプローチも分けて使用されている。 福祉の現場での実践的な取り組みについても知りたい
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こういう本は、インタビュー→その内容を消化→既存の研究内容とすり合わせて昇華、という構造だと思うのだが、昇華の部分が特に物足りなかった。 インタビューの内容はかなり良い題材だと思う。しかしそれで辿り着く考察が「はぁ普通やな」みたいな話で、イマイチ感動がなかった。 筆者の考察が面白...
こういう本は、インタビュー→その内容を消化→既存の研究内容とすり合わせて昇華、という構造だと思うのだが、昇華の部分が特に物足りなかった。 インタビューの内容はかなり良い題材だと思う。しかしそれで辿り着く考察が「はぁ普通やな」みたいな話で、イマイチ感動がなかった。 筆者の考察が面白くなくて、インタビューの方が面白いねということになっちゃえば、最早インタビューをそのまんま載せた方が役に立つことになってしまう。
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美学のうちの身体論として視覚障害者がどんなふうに認識しているのかを言語化したもの。見えない体になってどんな感じかを想像できる。「障害」の表記にも著者の見解あり。個人の「できなさ」としての障害のイメージは産業社会の発展とともに生まれ、「障碍」「障がい」との表記には個人ができないこと...
美学のうちの身体論として視覚障害者がどんなふうに認識しているのかを言語化したもの。見えない体になってどんな感じかを想像できる。「障害」の表記にも著者の見解あり。個人の「できなさ」としての障害のイメージは産業社会の発展とともに生まれ、「障碍」「障がい」との表記には個人ができないことへの配慮があるとのこと(障害学では障害の個人モデル)。しかし障害とは個人が〇〇の状態にあることではなく、社会の側の壁によってそうした個人を不自由な状態に置いてしまっていることである(障害の社会モデル)。そのことに自覚的になるように「障害」と表記するべきであるという(2011年の改正障害者基本法もこの趣旨の下で障害者を定義)。
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「目の見えない白鳥さんと…」の白鳥健二さんも登場します。あっちは感性鋭いノンフィクション作家、こっちは美学(芸術や感性的な認識について哲学的に探究する学問)の専門家による本。きっと違った視点で語られているのだろうなと手に取りました。 不勉強で美学という学問分野そのものを全く知ら...
「目の見えない白鳥さんと…」の白鳥健二さんも登場します。あっちは感性鋭いノンフィクション作家、こっちは美学(芸術や感性的な認識について哲学的に探究する学問)の専門家による本。きっと違った視点で語られているのだろうなと手に取りました。 不勉強で美学という学問分野そのものを全く知らなかったけれど、なかなか興味深い学問のようです。ただし本書は専門書ではないので表面的な面しか触れていません。それでも、点字を読む能力と文章を読む能力の比較とか、点字を読める人の触覚が特に優れている訳ではない事とか、なかなか面白い内容でした。 個人的には昨今のSDGsやバリアフリーでの支援疲れを感じていたので、最終章の「善意のバリア」や「つかえ」の話が腑に落ちました。
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私は目が見える人のはずだけど(まぁ、かなりの近視ですが)、今まで見えてなかったものが、見えてきそうな気がした。 「牛乳は噛んで飲め(それくらい感覚を研ぎ澄ませよ、ということ)」と教えてくれた大学の恩師を思い出したな。 ヨシタケシンスケの『みえるとかみえないとか』も、優しさがあ...
私は目が見える人のはずだけど(まぁ、かなりの近視ですが)、今まで見えてなかったものが、見えてきそうな気がした。 「牛乳は噛んで飲め(それくらい感覚を研ぎ澄ませよ、ということ)」と教えてくれた大学の恩師を思い出したな。 ヨシタケシンスケの『みえるとかみえないとか』も、優しさがあっていろんなことに気づかせてくれる絵本だったけど、この本の優しさも好きだった。 この著者の経歴も、なんか面白そうで気になる。
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