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太宰治の辞書 の商品レビュー

3.4

114件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    36

  3. 3つ

    34

  4. 2つ

    10

  5. 1つ

    4

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2023/11/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 青森銘菓「生れて墨ませんべい」があるそうですw。本当ですか(^-^) 三島由紀夫は芥川龍之介「舞踏会」を評価、太宰治「女生徒」は嫌悪していたとか。「舞踏会」も「女生徒」もロココ的だそうです。ロココとは、重厚なバロックに比べ、優美軽快で洗練された装飾を特徴とする。芥川の本質は理知ではなく抒情。太宰は惜しみなく奪う。身勝手のチャンピオン。率直よりも演出を好む。「女生徒」は「有明淑の日記」の何か月分を見事に1日にまとめている。朝から始まり、夜で終わっている。北村薫「太宰治の辞書」、2015.3発行。

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2023/05/24

思ってた感じと違っていたので残念でした。北村薫の作品はこれで2冊目なんですが、同じ女性編集者の「私」でも『8月の6日間』と違ってマニアックな本の探求がメインでした。大正時代に活躍した芥川龍之介にはじまり、三島由紀夫から太宰治、教科書レベルの知識しかないので心境とか深く知りませんで...

思ってた感じと違っていたので残念でした。北村薫の作品はこれで2冊目なんですが、同じ女性編集者の「私」でも『8月の6日間』と違ってマニアックな本の探求がメインでした。大正時代に活躍した芥川龍之介にはじまり、三島由紀夫から太宰治、教科書レベルの知識しかないので心境とか深く知りませんでしたが共に自決した人達。 太宰治に至っては愛人と心中とかかなり世間を騒がせたようです。『女生徒』について書かれていたので太宰Web文庫で読んでみました。いやこれを30代の男が書いたと思うと気持ち悪い。無邪気で小悪魔のような少女の感性がキレキレのナイフのようで、ロココ料理作っていたと思うと刻まれそうで、むやみに話しかけないほうがいいと思いました。このロココ料理とゆうとこが太宰治のアレンジだとか書いてましたけど。2匹の犬がじゃれあう様子をみて愛犬のシャピイに見せる愛情と真逆に雑種のカアには可愛くないから早く死ねばいいと言い放つ女王様ぶりに退きました。本書では、有明淑の日記と対比させ太宰治のアレンジが如何に凄いかを絶賛しているのですが、私には日記のパクリとしか見えませんでした。 興味を持って調べれば太宰治のダメ人間ぶりが際立ちました。 作品を越えて作家のプライベートまで覗き込んで使ってた辞書まで探るとか、そこまでのファンじゃないし、特に自殺した人のは死にいたる思考に取り憑かれそうで退いてしまう。山で遭難死した人の本とかも同様に読まないようにしてるのですが、ある線を越えて深淵を覗くと死にいたる病にかかってしまうかもと思えるからなんです。 多感な時期は過ぎてますので図太くなれば好奇心がでてくるかもですがそこまでの熱量はないなあ。

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2023/02/09

覆面作家としてデビューした著者の、円紫さんシリーズの現在の最新作。日常の謎という一ジャンルを生み出した記念碑的なシリーズで、『空飛ぶ馬』を読んだ時には衝撃を受けた。人が死なないミステリなんて誰が想像できた? 主人公の私も社会人となって子どももいる。大学生だった私も成長したが、文学...

覆面作家としてデビューした著者の、円紫さんシリーズの現在の最新作。日常の謎という一ジャンルを生み出した記念碑的なシリーズで、『空飛ぶ馬』を読んだ時には衝撃を受けた。人が死なないミステリなんて誰が想像できた? 主人公の私も社会人となって子どももいる。大学生だった私も成長したが、文学ミステリは一つの到達点に至った。最高です、北村薫先生。

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2021/11/16

文体が好き。円紫さんも「私」も正ちゃんも好ましい人達だ。大人になった「私」に会えて嬉しい。しかし、これは空飛ぶ馬とはもう違うものなのだろう。日常の謎ではなく、小説の、作家の謎を旅する話。

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2023/05/14

2015年に出版されたときにすぐに購入し、「花火」を読み終えたところで、本を閉じ、そのままずっと本棚に立てたままにしていました。 芥川龍之介が最も好きな作家です。読書感想文とかレポート、卒論、修論と芥川を対象にしてきました。作品の中では「蜜柑」「舞踏会」がお気に入り。そんな私には...

2015年に出版されたときにすぐに購入し、「花火」を読み終えたところで、本を閉じ、そのままずっと本棚に立てたままにしていました。 芥川龍之介が最も好きな作家です。読書感想文とかレポート、卒論、修論と芥川を対象にしてきました。作品の中では「蜜柑」「舞踏会」がお気に入り。そんな私には「花火」の面白さ、この上ないものでした。そして、おそらく、この後の《私》シリーズはないだろう、最終巻だろうという雰囲気に残り2編、読み終えてしまうのがもったいなくて、ずっと置いたままになりました。 その本を読み終えました。ずっと温めていた思いが、やはり間違いでなかったと実感しました。 作品論、評伝、それを小説の形で発表してくれたようです。端正なお話、というイメージを持ちました。 品の良い語り口がとても安心できましたし、懐かしい人々との再会がとても嬉しい。 登場人物だけではなく、かつてお世話になった太宰研究の先生のお名前にも触れることができ、生前の姿がよみがえるようでした。 小説が出来上がっていく過程、そして読者によって育っていく過程を共に歩むことができたように思います。 円紫師匠の落語を聞きたく思います。 読み終わってしまったのが、楽しい思い出とともに大きな寂しさを連れてくる稀有な小説です。

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2018/12/27

文学探訪、書評、エッセイ、論文、さらにはミステリーといった要素を合わせもった小説である。 幻惑されそうな内容だが、読み進むうちに曰く言い難い魅力に絡めとられてしまう。 こうした小説を読むのは初めてである。 主人公の《私》は小さな出版社に勤める40代の女性。 無類の読書家であるが...

文学探訪、書評、エッセイ、論文、さらにはミステリーといった要素を合わせもった小説である。 幻惑されそうな内容だが、読み進むうちに曰く言い難い魅力に絡めとられてしまう。 こうした小説を読むのは初めてである。 主人公の《私》は小さな出版社に勤める40代の女性。 無類の読書家であるが、小説の細部が気になる性質。 そしていったんそれが気になると、とことん追求せざるをえなくなる。 そんな《私》が芥川龍之介の『舞踏会』を評した三島由紀夫の「ロココ的」という言葉に触発され、その繋がりから太宰治の『女生徒』のなかで書かれた「ロココ料理」という言葉に行きあたる。 さらに太宰が辞書で調べた「ロココ」という語彙の意味「華麗のみにて内容空疎の装飾様式」という文章に辿りつくが、果たしてそれがほんとうに太宰が辞書を引いて調べた言葉なのかどうかという疑問が沸き、その真偽を確かめるための探索が始まることになる。 そうした流れの中で三島由紀夫、江戸川乱歩、萩原朔太郎、江藤淳、ピエール・ロチ、フランソワ・モーリアックといった様々な文学者や文学作品が採り上げられる。 さらに助言や協力を仰ぐ人たちが登場、例えばそれは会社の上司であったり、出版を担当する大学の教師であったりするが、なかでも重要なのは大学時代からの友人・高岡正子と落語家の春桜亭円紫のふたり。 高岡正子からは「ロココっていえば、太宰だな」という助言があり、愛読した文庫本『女生徒』を手渡される。 それをきっかけに太宰文学の世界へと入り込んでいくことになる。 また円紫の場合は、寄席で彼の落語を聴いて楽しんだ後、行きつけの居酒屋でふたりで酒を酌み交わす。 そこで交わされる太宰についての話題のなかで、円紫から「太宰治の辞書」についての助言をもらうことになる。 それが次なる探索へと繋がっていく。 またこの会話のなかでさらに興味深い話を聴かされる。 それは太宰の言葉としてよく知られている「生まれて、すみません」が、実は太宰の言葉ではないということ。 そのことについては小説の中で詳しく書かれているが、太宰らしいエピソードで非常に興味深い。 そして同時にそのことは『女生徒』が太宰のファンだった有明淑から贈られた日記を下敷きに書かれたという事実とも重なるものがあり、そうした考察のなかから太宰文学の本質に迫ろうとする。 非常にミステリアスで知的好奇心を大いに刺激された。 贅沢で豊かな時間だった。 そして小説を深く読むとは、こういうことなのだということを教えられたのである。 調べてみると、これは「円紫さんと私」シリーズの6作目ということだ。 作者のデビュー作である『空飛ぶ馬』がシリーズの第1作目で、以後『夜の蝉』、『秋の花』、『六の宮の姫君』、『朝霧』と続き、この作品が16年ぶりの新作ということだ。 そういうわけで後追いになるが、他の5作品もぜひ読んでみたいと思っている。 そしてもちろん太宰の小説も。

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2018/05/25

まさか20年後の「私」のお話を読めるとは思いませんでした!まずびっくりしたのは結婚して母親になってたこと!なんとなく結婚しないんじゃないかって、勝手に思ってました。息子、野球部なんですね。旦那さんとのエピソードはあまり語られず、そこはあんまり関係ないかと納得したり残念だったり。 ...

まさか20年後の「私」のお話を読めるとは思いませんでした!まずびっくりしたのは結婚して母親になってたこと!なんとなく結婚しないんじゃないかって、勝手に思ってました。息子、野球部なんですね。旦那さんとのエピソードはあまり語られず、そこはあんまり関係ないかと納得したり残念だったり。 第2話はしょうちゃんと再会できました。そして最後は円紫さん。なかなか出てこないからもしや?と心配しちゃいました。 内容は太宰治に関する考察のような内容で、興味がないわたしには今ひとつだったんですが、それこそ同級生の消息が伝え聞こえてきたみたいな、そんな出来事でした。

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2018/05/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「円紫さんと私」シリーズ。 前作からいきなり20年ぐらいの時がたち、私は中学生の子供のいる40代になっていてびっくり。 相変わらず作者の文学に対する知識の多さにびっくりするが、個人的には以前の円紫さんや正ちゃんとの小気味いいやり取りが好きだったなあ(今回も少しはあったけど)。 ただ、これもかなり昔に見た薬師丸ひろ子主演の映画「野蛮人のように」であまり話とは関係ないのかもしれないが、妙に記憶に残っていた「ヴィのような花火」の由来が出てきて、個人的にはそれだけでも満足だった。

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2018/02/13

北村薫さんの「円紫師匠と私」シリーズ。発行も久しぶりなら、本の中の時代も移り変わっているという構成。ファンなら読んでも良いとは思うけど、学術書(太宰治分析)に近い内容なので、個人的には初期作品の方が好みかな。

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2017/12/26

図書館で。シリーズ最後なのかなぁ? 段々「私」さんの文学論みたいになってきた。北村薫の文学エッセイならこういう考えなのかなと思うけど…主人公の口を借りて語らせているのがなんかちょっと鼻に付く感じであまり面白く読めませんでした。エンシさんの出番も少ないしねぇ。大体、これ小説なのかな...

図書館で。シリーズ最後なのかなぁ? 段々「私」さんの文学論みたいになってきた。北村薫の文学エッセイならこういう考えなのかなと思うけど…主人公の口を借りて語らせているのがなんかちょっと鼻に付く感じであまり面白く読めませんでした。エンシさんの出番も少ないしねぇ。大体、これ小説なのかなぁ? 私はどちらかというと作品を愛する人なので、その作品を創作した人物の方にはあまり関心をもたないので(人物像を知って幻滅する事の方が多いので正直作品とは切り離して鑑賞したいタイプ)こういう作品の読み方もあるんだろうけれども…と言った感じ。太宰の辞書があるからってだからどうした?とか言ったらオシマイですな。でも普通の人、そこまで気にして本読まない(笑)それにしても「生まれてきてすみません」は違う方の詩だったんですねぇ。寺山修二なんかも他の方の詩やフレーズを使うので有名ですが、あの当時はそう言う著作権系はゆるかったんだな、と思うばかりです。 個人的には太宰治は中高生ぐらいの時読んでスゴイ!と思ったものの大人になるにつれちょっとこの人どうなの?という感じになり、斜陽は実は愛人が書いていた日記がベースだったという事を知り、それって純粋な創作っていうのか?と憤慨した記憶があるので(しかも心中された女性の方の伝記を読んだのでさらに怒り心頭)…そうか、似たような事ずっとやってたんだな、太宰…と女子高生?女子生徒?の辺りも冷めた目で読んでしまいました。 この時日記を提供した女性は「太宰」になったのだって…それは作家にとってはムシが良すぎるよなぁ。生まれてすみませんの人もそりゃあ腸煮えくり返っただろうな… そして段々「私」さんの人物像が女性らしくなくなってしまって、男性と言われた方がしっくりくるなぁ、この方と思いました。大学生なら一人でふらっと寄席に行ったり、好きな調べものに没頭したり…と言う贅沢な時間の使い方も出来たでしょうが子供が居て(中学生だか高校生になり手が離れたとはいえ)、旦那が居るのに一人で休日に出かけるとか…なんか違和感。良くも悪くも既婚女性って連れ合いや子どもの予定に合わせる人が多いですし。大体、友達は居ないのか?女性はつるんで行動する人が多いぞ?たまの休みに洗濯・掃除・買い出し等しなきゃいけない家事に追われないのか?という辺りも疑問。 ダンナの影も薄すぎてこれなら結婚したって設定にしなくてもよかったんじゃない?と思わなくもない。独身で仕事熱心で、ぐらいの方がまだ納得できる身軽さだよなぁと思いました。 それにしてもなんか重箱の隅をつつくような三島と芥川の対談を指摘しながら太宰の桜桃を読んでなさそうな描写とか…なんか色々とちぐはぐで…  全体として自分には合わなかったのかなぁとシリーズ全作?読んでから思うのも変な話ですがまあそう言う感想です。

Posted byブクログ