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太宰治の辞書 の商品レビュー

3.4

113件のお客様レビュー

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2017/10/28

小さな出版社に勤める主人公が太宰治の作品の謎を解く。 交遊のある落語家、円紫の言葉に導かれ太宰が使った辞書を探し実物を確認しに行く。 なんとも素晴らしい読書ミステリーだ(そんな言葉あるのか?)

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2017/10/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2015年出版。最近シリーズを読んだ身としてはラッキーなタイミング。。。 文庫でないので、解説がないのが勿体なく感じてしまうけれど。 太宰治の『女生徒』知らない。。。気になる。。 高校時代、文学や文化の人名と作品名をひたすら丸暗記していたけれど、読んでいないし こういう風に中身を知っている人に教わっていたら、興味が持てただろうか。。 『読まずにはいられない~』とか『名短篇~』とかあるようだし、そこらへんもチェックしてみたい。 主人公の私も一児の母。 でも仕事は続けていて、円紫氏とも会い、探究心を失っていない。凄いなぁ。。 さらりさらりと先輩や父親の死について触れていて、でも生きていくうえでそれは一コマとして過ぎて行って。。 恩田陸氏の『クレオパトラ』に兄弟観の見解があったけれど、 あんなに毎回登場した姉が本作には全く影も無くて、 環境が変わると日常もどんどん変わっていくのだなぁ、と。 ついこの間が10年まえだったり、仕事で対応する人がいつの間にか年下になっていたり 「私」の感受性がそのままで嬉しい。 連れ合い、があのチケットの隣の人だったかは明らかにされておらず、恋愛、結婚の際、円紫氏に相談していそうだし 時系列的には戻るけれど、そこら辺も読みたいと思ってしまった。 日常ではなく、ドキドキハラハラの日々に「私」はどんな生き方をするのだろう、と。

Posted byブクログ

2017/10/20

〈私〉シリーズ出版されているものは、これにて完読。かなり大人?中年?なり、子供もいて結婚もしている。もう若いころの私に会えないのは少しさみしいが、太宰治の女生徒が好きなので、興味深く読めた。群馬の焼きまんじゅう食べてみたいです。

Posted byブクログ

2017/08/31

大学生活が終わり、社会人になった。 そして社会人になってから月日が流れ、主人公は結婚をし、仕事も子育てもする歳を迎えていた。 『100年前の新潮文庫 創刊版 完全復刻』から芥川を思い出し、ロココになり、太宰へ繋がる。太宰が執筆した「女生徒」にロココという言葉あり、太宰はどこでロ...

大学生活が終わり、社会人になった。 そして社会人になってから月日が流れ、主人公は結婚をし、仕事も子育てもする歳を迎えていた。 『100年前の新潮文庫 創刊版 完全復刻』から芥川を思い出し、ロココになり、太宰へ繋がる。太宰が執筆した「女生徒」にロココという言葉あり、太宰はどこでロココの意味を調べ解釈したのか?というタイトルの『太宰治の辞書』へ繋がる。 円紫さんもお元気で、正ちゃんも相変わらず、さばさばとした性格で、懐かしさを感じる。 このシリーズは終わってほしくないと願うほどに、温かく時の流れもゆるやかで、ばたばたした日常を休ませてくれる。

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2017/08/30

相変わらず知的好奇心をくすぐられ、ワクワクさせられる、とともに、自分の勉強不足「日本の文学すらまともに読んでないや」という、愕然とするような事実に情けなくさせられながらも、ワクワク感や楽しみの方が上回るのです。 歳月を経た私もまったく違和感がなく、すんなりと受け入れることができま...

相変わらず知的好奇心をくすぐられ、ワクワクさせられる、とともに、自分の勉強不足「日本の文学すらまともに読んでないや」という、愕然とするような事実に情けなくさせられながらも、ワクワク感や楽しみの方が上回るのです。 歳月を経た私もまったく違和感がなく、すんなりと受け入れることができました。いつまでたっても、若い時の思いや感覚と変わることがない、そんなところは、自分自身も歳を重ねている分、分かることなのだと思います。十代、二十代、三十代の若い皆さんはもうしばらくお待ちください。嫌でもわかります。 北村薫ファンのみならず、文学が好き、本が好き、という方はぜひ読んで欲しい作品。今まで「円紫さんと私」シリーズを読んでいない方はぜひ過去の作品も読んでみて下さい。 愛おしい作品たちです。

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2017/06/05

北村薫先生は無類の本好きだということが分かった。 出版社の方が主人公。あるきっかけで、太宰治に関することを調べ始める。一言を目にして耳にして、あれとあれを調べよう。調べるためにはここに資料がある。と、スラスラ流れが出来る。 点と点の知識が繋がっていく様が美しかった。 太宰治の作品...

北村薫先生は無類の本好きだということが分かった。 出版社の方が主人公。あるきっかけで、太宰治に関することを調べ始める。一言を目にして耳にして、あれとあれを調べよう。調べるためにはここに資料がある。と、スラスラ流れが出来る。 点と点の知識が繋がっていく様が美しかった。 太宰治の作品を読んでからの方が楽しめる。

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2017/05/05

普段単行本はほとんど買わない自分が、これはと出版されてから間をおかず購入して、約2年ぶりに再読。焼きまんじゅうの話と、教師の話を思い出したから。GWでよかった。やっぱり本は一気に読むのがいい。花についての記述が多いことに気付いた。表紙にも花だ。長い時間を経て再び書かれ、相変わらず...

普段単行本はほとんど買わない自分が、これはと出版されてから間をおかず購入して、約2年ぶりに再読。焼きまんじゅうの話と、教師の話を思い出したから。GWでよかった。やっぱり本は一気に読むのがいい。花についての記述が多いことに気付いた。表紙にも花だ。長い時間を経て再び書かれ、相変わらず美しいこのシリーズと重ね合わせてしまう。

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2017/05/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

目次 ・花火 ・女生徒 ・太宰治の辞書 目次はそれぞれ短編のようになっているけれど、通して読めばひとつの作品。 読書をすることで次々と繋がっていく謎と解答(例)。 世の中にある謎は「質問1」「質問2」などのように紙に書いてあるわけではないけれど、何か引っかかったものにすっきりとした解釈が現れた時、そこに自分は謎を見ていたのだと気づく。 そしてひとつの解答が次の謎をよび、その解答がまた…。 謎について考える時間も、読書の醍醐味と言えるだろう。 そして正解は一つとは限らないのだから、どれだけ考えてもゴールはない。 芥川龍之介も三島由紀夫もそして太宰治も、ほんのさわりくらいしか読んだことがないので、「私」が次々と連想をめぐらす文学上のあれこれなどは全然わからない。 けれど、太宰治って面白い作家だなあと思った。 自虐的でありながら、そんな自分を笑っている感じ。 それを鼻持ちならないと感じたのが三島由紀夫なんだろうけれど、自分を大きく見せる人より小さく見せたがる人に好感情を持ってしまう性癖が私にはあるので。 (円紫さんと私)シリーズなのに、円紫さんが出てくるのはほんの少し。 それでもその存在感の確かさが、やっぱり嬉しい。 寄席に行ってみたいと毎度思う。 そして今回は、太宰治を何か読んでみようと思った。 水を飲むように本を読みたいと、そうも思った。

Posted byブクログ

2017/04/08

お久しぶりのシリーズ。 「私」も円紫さんも同じだけの年齢を重ねている。 円紫さんの出世より 「私」の結婚・出産のほうが興味深いよ。 太宰治を太宰治の作品をより深く理解しようとするのは 大変興味深かった。 私は決してしないことである。 「私」が大人になって円紫さんと対等なのは...

お久しぶりのシリーズ。 「私」も円紫さんも同じだけの年齢を重ねている。 円紫さんの出世より 「私」の結婚・出産のほうが興味深いよ。 太宰治を太宰治の作品をより深く理解しようとするのは 大変興味深かった。 私は決してしないことである。 「私」が大人になって円紫さんと対等なのは ちょっと感慨深いけれど、 同じような人が二人はいらないよなぁと思ってしまう。 円紫さんのシリーズなら「私」に代わる若い「私」が必要? いずれにしても、もう少し、 以前のような日常のミステリー感が欲しかった。 ちょっと論文読んでるみたいだったもんでねぇ

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2017/03/28

成熟した「私」、そして作者に対して向き合う私が覚えるのは羨望である。 本をこんなに豊かに読むことができる。文章と歴史と著者の背景が地層のように潜む、その幾重のレヴェルを使い分けて、軽やかに、清々しく。なんて素晴らしいことだろう。 「六の宮の姫君」でも思ったけれど、これが作者が実際...

成熟した「私」、そして作者に対して向き合う私が覚えるのは羨望である。 本をこんなに豊かに読むことができる。文章と歴史と著者の背景が地層のように潜む、その幾重のレヴェルを使い分けて、軽やかに、清々しく。なんて素晴らしいことだろう。 「六の宮の姫君」でも思ったけれど、これが作者が実際に調べた道筋を記したもので、それも本を書くためではなく好奇心のままに、と打ち明けられてもそうかと納得するような地に足のついた筆致である。 シリーズ序盤の良さからは遠い地平に来たが、すごく面白かった。そして、この作品を面白いと思える自分が、とても好きだと思う。

Posted byブクログ