それを愛とは呼ばず の商品レビュー
桜木紫乃らしい大人の優しくて寂しい心の内を丁寧に描いた作品。これは映像化できないかなあ。最後に普通の幸せは待ってなかったのか。女優は誰かな。白石麻衣でいかがか。
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10歳も年上の手腕女社長に見初められた亮介と、 売れっ子になれずに、タレント事務所を辞めた紗希との、 清らかな恋愛ものかな? と、思ったら、なんと、ラストが衝撃的! 冷たい両親に育ち、暖かい愛を知らずに育った紗希が、 小木田に出会って、どんどん変化していくあたり、 「ささやかな...
10歳も年上の手腕女社長に見初められた亮介と、 売れっ子になれずに、タレント事務所を辞めた紗希との、 清らかな恋愛ものかな? と、思ったら、なんと、ラストが衝撃的! 冷たい両親に育ち、暖かい愛を知らずに育った紗希が、 小木田に出会って、どんどん変化していくあたり、 「ささやかな幸福」を求めていくあたり、狂気的。 亮介が二人の絡新婦に絡められ、動けずにもがき、 周りの人間たちに翻弄されている姿は、歯がゆい。 亮介の妻への思い、紗希の亮介への思い、 「それを愛とは呼ばず」 「愛しい」を「かなしい」と呼ぶのに、納得。
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キレイな人でまっすぐな人。 これだけ聞くと素敵な人なのかなと思う。 けれど内面はわからない。 さらさらーっと日常が進むのに、どこかで歯車がずれていく、どこまで流れていくんだろう。 一気に読了。 また違う桜木さん作品を読みたい。
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なんか変な話なんだけど、納得してしまう部分もあり。。。 白川紗希は、高校卒業後に芸能事務所に所属していたが10年後に契約終了となる。バイト先に客としてきた伊澤亮介を、自分より不幸だと思うせいか、気にかける。 その伊澤を追いかけて北海道に行くことまではよしとして、小木田と春奈をすんなり認めるあたりから「???」となったけど。。。 紗希は、不幸になった人がその中で希望を見つけてささやかな幸福を味わったとき、その幸福が失われないように、その人のために、静かにそのままで終わらせる方法を見つけて、それを遂行したのだね。 それは、、、合意の上で行うのならば、優しさなのかもしれない。
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最後の最後で「おぉぉ」と唸った。 人は相手に自分と同じ弱さや哀しみを見て、親しみを覚えることがあるけれど、それは愛ではなく憐れみのような。 相手のそれを癒すことで自分も癒される、というのはよくあること。 小木田とのエピソードがこう影響するのか、と驚かされました。 紗希が勘違いした...
最後の最後で「おぉぉ」と唸った。 人は相手に自分と同じ弱さや哀しみを見て、親しみを覚えることがあるけれど、それは愛ではなく憐れみのような。 相手のそれを癒すことで自分も癒される、というのはよくあること。 小木田とのエピソードがこう影響するのか、と驚かされました。 紗希が勘違いした自分の役目は、与えてもらったものではなく自分を救うためのもの。 考えさせられました。
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初桜木紫乃さん。 作者にも作品にも全く予備知識なし。 トレンディドラマかと思いながら読み進めて行って最後でちょっとびっくり。 情景が動画で脳内再生されるたいぷの作家さんだね。1番大きな事件を敢えて書かない辺りがこの人のテクニックなのかな。他の話も読んでみよう。
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何かの作品の後ろの紹介欄であらすじを読んで、読んでみたくなった作品。 新潟で飲食店などを経営する「いざわグループ」の副社長の亮介は、ある日10歳年上でグループの社長である妻が事故に遭い、意識が戻らぬまま、義理の息子に会社を追われる。 知人の紹介で不動産会社に職を得た亮介は、銀座の...
何かの作品の後ろの紹介欄であらすじを読んで、読んでみたくなった作品。 新潟で飲食店などを経営する「いざわグループ」の副社長の亮介は、ある日10歳年上でグループの社長である妻が事故に遭い、意識が戻らぬまま、義理の息子に会社を追われる。 知人の紹介で不動産会社に職を得た亮介は、銀座のクラブで芸能事務所をクビになったばかりの沙希と出会う。 大事なものを喪ったばかりの二人が出会うことで起きる出来事が静かに語られる。 サスペンスとあったので、読んでみたのだが、確かにラストだけはサスペンス要素があったが、何をメインで描きたかったのかがよく分からない作品だった。 タイトルどおり、恋愛小説でもないし、何とも微妙… この作品でラブドールと言うのが何なのか、初めて知った。ちょうどそのような内容の映画が公開されるタイミングだったので、意外なところで正体が分かったのは唯一の救い。
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住む場所も歳も離れた傷付いた男女が出会うことから話が展開していく。割と淡々と進んで行く内容に少し退屈さを感じるが、最後まで読んで驚愕する。読み終わったあと、タイトルを思わず口ずさんでしまう作品。とりあえず、最後まで見て欲しい。
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誰からも認められることのなかった女が 辿り着いた、歪みに歪んだ強烈な自己愛、自己陶酔。 小木田や佐野、山本はきっと沙希に 感謝しているだろうし、望まれた事に応えた 沙希を間違ってるとも思わない。 でも亮介はどうだろうと思う。 亮介が本当に死を望んでいたかもわからないのに、 「ささやかな幸せの中でこそ一番良い死を 迎えられる」と信じた沙希の、思い込みと自己陶酔に よって殺されただけではないだろうか。 沙希は自分の行いを「愛」だと思っているけれど、 実際にその「愛」が向けられたのは他者ではなく 沙希自身でしかない。 だから沙希自身しか、それを愛とは呼ばない。 読む手を止められない作品で、非常に読みやすくも あったけれど、「もう一度読みたい」とは思わない。
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男女が人生の浮沈の中で巡り会い、プラトニックの愛の形を考えさせられる作品かと思いきや、最後にタイトルの意味に繋がるこのストーリー展開は面白い。 直木賞を取った、ホテルローヤルより引き寄せられる内容でした。
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