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それを愛とは呼ばず の商品レビュー

3.6

70件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

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  3. 3つ

    23

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2015/05/16

女優への夢を断たれた行き場のない沙希が、妻を失いつつある新潟の亮介と出会い、そして掛け違った歯車が少しずつ壊れていくような感じで彼に気持ちが向かう。淋しさから愛やささやかな幸福を求め、歪な形で現出させた沙希に言い知れぬ怖さを感じた。

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2015/04/30

今までの桜木作品とは少し趣の違う作品。 紗希が狂気を孕んでいく過程が淡々と描かれ、蜘蛛の巣のように読み手をも絡めとってくる。 彼女の中の愛は、相手が小さな幸せを感じている瞬間を止めること。「それを愛と呼んではいけないのでしょうか。」紗希の叫びが余韻として残る。 いつもの桜木作品の...

今までの桜木作品とは少し趣の違う作品。 紗希が狂気を孕んでいく過程が淡々と描かれ、蜘蛛の巣のように読み手をも絡めとってくる。 彼女の中の愛は、相手が小さな幸せを感じている瞬間を止めること。「それを愛と呼んではいけないのでしょうか。」紗希の叫びが余韻として残る。 いつもの桜木作品の力強さや生きていく希望が感じられない作品でした。

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2015/04/29

う~ん 最後に思いがけない展開がおとずれると聞いてはいたが、まさかこうなるとは… 唸ってしまうばかりである 恐るべし、桜木紫乃。 しかしエッチはこの程度にとどめた方が桜木紫乃の力が伝わってくるんじゃなかろうか。

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2015/04/29

新聞掲載。重く暗くカビ臭い感じがよく伝わってくる。始まるか始まらないかの愛の様子がもどかしい。けれどやっぱり始まらないし、そもそも、愛ではないんだ。

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2015/04/25

それは愛だ!ぜったいに。 それを愛と呼んでいいと思う。 屈折していない、キレイでまっすぐな愛だと思う。 大事に大事に、その瞬間のままでとっておきたい。

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2015/06/07

何となく、これまで読んだ桜木さんの感じとは違った。 相変らず桜木さんの小説は暗いのだけど、今回のこの『それを愛とは呼ばず』はいつもにまして暗い。 そして重くて、とにかく怖い。 暗い、重い、怖いという小説。 これまでの暗さは澄んだ水のような感じの暗さだった。 キンとした冷たさ、...

何となく、これまで読んだ桜木さんの感じとは違った。 相変らず桜木さんの小説は暗いのだけど、今回のこの『それを愛とは呼ばず』はいつもにまして暗い。 そして重くて、とにかく怖い。 暗い、重い、怖いという小説。 これまでの暗さは澄んだ水のような感じの暗さだった。 キンとした冷たさ、底が見えるほどの透明感、星の光を反射させてキラキラと揺れて輝く水面。 でも今回の暗さはずしんとくる。 垂れ込めた低い雲、なま暖かくまとわりつくような空気、血や土や消毒液などのイヤな臭いがする。 それだけ桜木さんという作家がすごいということでもある。いや、本当に、すごい作家さんだと思う。 私は『氷平線』の方が好きだけれど、『それを愛とは呼ばず』はすごい作品だと思う。 前半、読みはじめた時は「桜木さんぽくないなぁ。あんまり好きじゃないなぁ」と思ったけれど、後半はスゴイ。どんどん暗くなって重くなって怖くなる。 本当に怖い話だった。あっという間に読んでしまったのだけど、あまりの暗さと重さと怖さに、読み終えてから私の精神が悪くなってしまって動悸と目眩を起して慌てて精神安定剤を飲んだくらい。 心の弱っていないときに読むことをおススメします(苦笑)

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2015/04/19

年上の妻を失った男と夢を失った女の物語。愛しみをかなしみと呼ぶ感覚はお話の内容から伝わってくるがラストの展開があまりに唐突すぎて共感も心が揺さぶられる事もなく読了。自分の読解力が甘いのか感性が鈍いのか。

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2015/04/02

最後の数ページに驚愕しました。 そして新聞小説だったことにも唖然。 新聞小説=細切れのイメージです。 今回の作品にそれは一切なく、 ただただ疾走していくイメージです。 今回は珍しく性描写が少なかった。 それでも、人間の温度がページを進めるごとに 痛みとも呼べるような重さをもっ...

最後の数ページに驚愕しました。 そして新聞小説だったことにも唖然。 新聞小説=細切れのイメージです。 今回の作品にそれは一切なく、 ただただ疾走していくイメージです。 今回は珍しく性描写が少なかった。 それでも、人間の温度がページを進めるごとに 痛みとも呼べるような重さをもって のしかかってきます。 その鈍とした、 桜木さんからいつも感じる深度に ぞっとします。 気持ちが悪いからぞっとするのではないのです。 こめかみを押さえるような共感が合って その共鳴とも呼べるような何かに、 引きずりこまれるからです。 読み進めて最後の数ページで 自然に泣いていました。 そのクライマックスの上昇も 形容しがたい。 贅沢な一冊でした。

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2015/03/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

それは愛だと、私は思う。 その感情に名前をつけるとするならば、たとえ世間一般の定義とはずれていようとも、やはり「愛」なのだと思う。 「僕たち法律家は、それを愛とは呼ばないんです」という検察官の言葉の、なんと陳腐なことか。しかし、陳腐だけれども、それが世間の常識というものだ、ということもわかる。 愛を常識で定義することが、そもそも無理なことなのかもしれない。 「ひとはささやかな幸福の中でこそいちばん良い死を迎えられる」という主人公の信念に強く共感してしまった。 終盤近くまで、この先どうなるのか不安だった。ありふれた男女関係になってしまうのならつまらないと思っていた。 だから、最終章で現れた一文に、「そうか、そう来たか」とむしろ安堵する気持ちになった。 読み終わったあとに、心がしんとなる作品だった。

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2015/03/10

唐突に現れたその一行を、何度も何度も読み直しました。 なぜ、そうなるんだ?どこにそんな含みがあったんだ?なにが彼女を… 「愛」にはいろんな形があると思う。お互いを必要とし求め合う愛、親から子への与え続ける愛、自分の中だけで完結する一方的な愛。けれど、そこには必ずなにかどこか温かみ...

唐突に現れたその一行を、何度も何度も読み直しました。 なぜ、そうなるんだ?どこにそんな含みがあったんだ?なにが彼女を… 「愛」にはいろんな形があると思う。お互いを必要とし求め合う愛、親から子への与え続ける愛、自分の中だけで完結する一方的な愛。けれど、そこには必ずなにかどこか温かみがあるはずで。報われない愛だとしても、そこにはまぎれもなく相手を思う心の温度がある。 そういう、いろんな愛のその全てを封印して生きて来た女にとって、それを共感し、育てていくなんてことはからだ中どこを探しても、かけらもないものだったのだろうか。 「愛」と書いて「かなしみ」と読む男に出会ってしまったことが彼女の中に多分だれとも共感できない「愛」のタネを植え付けてしまったのだろう。 誰もそれを「愛」と呼ばなかったとしても、その瞬間、彼女は深い「愛」に包まれていたことは間違いないはず。それが全く心の温度を伴わないものだったとしても。

Posted byブクログ