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人工知能は人間を超えるか の商品レビュー

4.1

301件のお客様レビュー

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    88

  2. 4つ

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2025/05/05

 二〇一五年の本。少し古いが、人工知能の歴史や仕組み、それに“ディープラーニング”がどうすごいのかまで、わかりやすく書いてあるということで、人工知能についてとりあえず素人がまず知りたいならということでおすすめされて読んだ。  人工知能はすごいだの怖いだの、煽られたり批判されたりを...

 二〇一五年の本。少し古いが、人工知能の歴史や仕組み、それに“ディープラーニング”がどうすごいのかまで、わかりやすく書いてあるということで、人工知能についてとりあえず素人がまず知りたいならということでおすすめされて読んだ。  人工知能はすごいだの怖いだの、煽られたり批判されたりをされてきた側である、人工知能研究の当事者の学者さんの書いたものだからこそ、わかりやすく誠実に語ろうとしているのが伝わったし、実際わかりやすかった。  ディープラーニングすごい、という話がメインテーマだが、それ以外で面白かったのは「強いAIと、弱いAI」の話。  人間と同じやり方で思考することができるとするのが「強いAI」で、「弱いAI」は、同じように思考しているように見えるとしても実はやり方が違う、というような話だったか。それは、飛行機ができたとき、羽ばたかないでエンジンで揚力を生み出すことにしたのと似ているのだそうだ。人工知能研究者たちが“本質でないところにこだわらない”で前に進もうとしてきた努力だとも言える。  「弱いAI」だからといって、“思考ではない”とは言えないのではないか。人間の定義する“思考”に当てはまらなくても、彼ら(?)なりの“思考”や“感情”や“意志”だと捉えても間違いではないのではないか。と思った。

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2025/04/26

AIの第一人者、松尾先生の著作。もう10年以上前の本だが、”人口知能の60年に及ぶ研究でいくつもの難問にぶつかってきたが、それらは特徴表現の獲得、という問題に集約できる"等、示唆に富んでいる。また松尾先生がこうした分野に興味を持つきっかけとして、高校時代に”自分とは何か...

AIの第一人者、松尾先生の著作。もう10年以上前の本だが、”人口知能の60年に及ぶ研究でいくつもの難問にぶつかってきたが、それらは特徴表現の獲得、という問題に集約できる"等、示唆に富んでいる。また松尾先生がこうした分野に興味を持つきっかけとして、高校時代に”自分とは何かを考え眠れない夜を過ごすうちに、認知に興味をもった”とのことで、哲学書も読んでいたとのこと。テクノロジーの最先端をいく方の原点がこうした哲学であることが興味深い。

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2025/04/19

10年前の本なので、チャットGPTや生成系AIは出てきませんが、過去のAIブームからディープラーニング登場までの流れを読み物として楽しく勉強することができました。

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2025/03/17
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率直に学びが大きい本であった。 ディープラーニングによる特徴表現学習がきっかけとなって、今利用している人工知能の大きな進歩がある、といった話が興味深かった。なるほどとなった。現在多くの人が利用しているchatGPT等の生成AIも根本的なロジックは本書の内容が元になっているわけで、仕組みがわかって面白い。 長期的に代替される仕事、については自身も同じことを考えている。決断をして責任を取るということと、人と関わる、という2種が今後重要になって行くと思う。 本書の発行から10年が経ったが、ソフト面は生成AI等、本書の時点より大きく進歩している一方、ハード面の進化が追いついていないと感じた。測定機器の需要とかが今後伸びるのかなーとか思った。 本書で警鐘を鳴らしている、データを持っている組織ほど有利という状況に、現在なってしまった。。

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2025/02/02

2015年の書籍だが、AIに関するこれまでの潮流がわかりやすく整理されている。 技術的な内容の難しさはあるが、現在のAI技術へのつながりを理解するうえで役に立つ1冊

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2025/01/19

強いAI、弱いAIについて学ぶことができたし、AIの歴史についても知ることができた。概要的に知りたい方にはおすすめ!

Posted byブクログ

2025/01/02
  • ネタバレ

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P40 「チューリングマシン」 計算可能なことは、すべてのコンピュータで実現できるという概念 P62 第1次AIブーム 推論・探索の時代 第2次AIブーム 知識の時代 第3次AIブーム 機械学習と特徴量学習 P64

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2024/09/04

いま、日本で人工知能業界を牽引し、多くの人材を輩出している(←これ大切。人を育てまくっている)松尾豊先生の約10年前の著書。 この本に書いてあることは、ふたつ。 人工知能技術の仕組みや魅力の紹介と、これからの予測である。 前者は今も通じる基礎的な教養で、読んでよかった。続く後者...

いま、日本で人工知能業界を牽引し、多くの人材を輩出している(←これ大切。人を育てまくっている)松尾豊先生の約10年前の著書。 この本に書いてあることは、ふたつ。 人工知能技術の仕組みや魅力の紹介と、これからの予測である。 前者は今も通じる基礎的な教養で、読んでよかった。続く後者が、今の時点から読むと興味深い。 ChatGPTが世界に波及したいま、松尾先生の予測が外れているのである。つまり、ホワイトカラーの支援から人工知能の普及が始まっているのだ。 一方で、ここで書かれた問題提起とその予測について今も地続きなものがある。技術普及に伴う人権問題、倫理問題はたしかにそう簡単に収まっていない。 松尾先生は、手を動かして、見通そうとしている。その姿勢はいまももちろん続いていて、その研究者としての胆力が、本書を約2ヶ月で書き上げてしまったのだろう。 この本は知識と情熱が詰まった、人工知能をめぐる書籍の日本におけるひとつの古典といえる。

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2024/08/14
  • ネタバレ

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作者が言いたかったのはこのようなことだと感じた。「人工知能が人類を征服する心配をする必要は無い。人工知能が本当の意味で人間のようになるのはまだまだ遠い先の話だからだ。それよりも過度の軍事目的利用、市場の占有などの方が日本の未来にとって脅威だ。まだまだ発展途上の人工知能の進展を応援するいち研究者として、読者にも人工知能に興味を持って使ってみることをお勧めする。人工知能がもたらす未来はバラ色でも逆に暗黒でもない。少しずつ人間の世界に浸透していき、なくなったり、生まれたりする職業が出てくるだろう。自分事としてこの世界をどんな社会にしていきたいのか、自分は何ができるのか考えながら人工知能を使ってみて欲しい。」

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2024/07/20

大規模言語モデル的転回以前の2015年(ディープラーニングなどの機械学習や深層学習が隆盛した第3次人工知能ブームの時期)の出版なので、既に人口に膾炙している知識も多いが、著者の先見性は今読んでも目を見張るものがある。 2024年の今でもAmazonでは高評価が付けられているので...

大規模言語モデル的転回以前の2015年(ディープラーニングなどの機械学習や深層学習が隆盛した第3次人工知能ブームの時期)の出版なので、既に人口に膾炙している知識も多いが、著者の先見性は今読んでも目を見張るものがある。 2024年の今でもAmazonでは高評価が付けられているので、この分野では古典的な立ち位置になってきているのかもしれない。 AIの基本的な概念や背景については、まずは本書と今井翔太著作『生成AIで世界はこう変わる』を読めば一般的なリテラシーが身に付くと思う。 ーーーーーーー一以下、抜書きーーーーーーー . うまくいけば、人工知能は急速に進展する。なぜなら「ディープラーニング」、あるいは「特徴表現学習」という領域が開拓されたからだ。これは、人工知能の「大きな飛躍の可能性」を示すものだ。もしかすると、数年から十数年のうちに、人工知能技術が世の中の多くの場所で使われ、大きな経済的インパクトをもたらすかもしれない。つまり、宝くじでいうと、大当たりした5億円が手に入るかもしれない、ということだ。 . 人工知能について報道されているニュースや出来事の中には、「本当にすごいこと」と「実はそんなにすごくないこと」が混ざっている。「すでに実現したこと」と「もうすぐ実現しそうなこと」と「実現しそうもないこと(夢物語)」もごっちゃになっている。それが混乱のもとなのだ。   . 人間を特別視したい気持ちもわかるが、脳の機能や、その計算のアルゴリズムとの対応を一つひとつ冷静に考えていけば、「人間の知能は、原理的にはすべてコンピュータで実現できるはずだ」というのが、科学的には妥当な予想である。そして、人工知能はもともと、その実現を目指している分野なのである。 . 私の考えでは、特徴量を生成していく段階で思考する必要があり、その中で自分自身の状態を再帰的に認識すること、つまり自分が考えているということを自分でわかっているという「入れ子構造」が無限に続くこと、その際、それを「意識」と呼んでもいいような状態が出現するのではないかと思う。 . 特徴量というのは「データの中のどこに注目するか」ということであって、それによって、プログラムの挙動が変化する。たとえば、「王手をされているか」というのは1つの特徴量だし、「王将がどのくらい前に出ているか」というのも1つの特徴量である。   . 機械学習とは、人工知能のプログラム自身が学習する仕組みである。そもそも学習とは何か。どうなれば学習したといえるのか。学習の根幹をなすのは「分ける」という処理である。ある事象について判断する。それが何かを認識する。うまく「分ける」ことができれば、ものごとを理解することもできるし、判断して行動することもできる。「分ける」作業は、すなわち「イエスかノーで答える問題」である。   . ある特徴量がほかの特徴量をカバーするように、最適化されていく。ある特徴量に過度に依存した特徴表現がなくなる。そもそも、ある特徴量だけに依存しすぎるのは危険だ。つまり、一部分の特徴量を使えなくすることが、適切な特徴表現を見つけることに有効に働くのである。   . ほんのわずかでも自分よりも賢い人工知能を生み出すことができた瞬間から、人工知能は新たなステージに突入する。数学的には、0.9を1000回かけるとほぼ0だが、1.1を1000回かけると、非常に大きな数(10の41乗)になることから、容易に想像できるだろう。かけ合わせる数が1.0をわずかでも超えると、いきなり無限大に発散することから「特異点」と呼ばれている。 . どのような人工知能をつくればよいかという議論をする際に、「心」の問題は重要だ。心は生命と同等あるいはそれ以上に人間の本質を占め、心を持つ(あるいは一見すると心を持つように見える)人工知能をつくってよいかどうかというのは、大きな論点である。この点を考えておかないと、人工知能に恋愛感情を抱いてしまう、人工知能プログラムを停止させてよいかで争いが起きるなど、さまざまな問題を誘発する可能性がある。

Posted byブクログ