狭小邸宅 の商品レビュー
どんなに感動した本でも年月とともに内容が薄れていくものだが、この本は何年経っても鮮明に覚えているような気がする。ちょっと強烈だった。 小説と言うよりドキュメンタリーに近いかも。 日本はまだまだブラックが多いんだろうな。なんでこんな効率の悪いやり方から抜け出せないのだろう。そしてあ...
どんなに感動した本でも年月とともに内容が薄れていくものだが、この本は何年経っても鮮明に覚えているような気がする。ちょっと強烈だった。 小説と言うよりドキュメンタリーに近いかも。 日本はまだまだブラックが多いんだろうな。なんでこんな効率の悪いやり方から抜け出せないのだろう。そしてあえて効率の悪いやり方に執着する。苦行だ。日本人は苦行が好きなのだ。そして苦行の先に待っている救いを求めて働き続けるのだ。さて、「救い」って何だろうね?
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「お前、自分のこと特別だと思ってるだろう。 いや、お前は思ってる。自分は特別な存在だと思ってる。自分には大きな可能性が残されていて、いつか自分は何者かになるとどこかで思ってる。俺はお前のことが嫌いでも憎いわけでもない、事実を事実として言う。お前は特別でも何でもない、何かを成し遂げ...
「お前、自分のこと特別だと思ってるだろう。 いや、お前は思ってる。自分は特別な存在だと思ってる。自分には大きな可能性が残されていて、いつか自分は何者かになるとどこかで思ってる。俺はお前のことが嫌いでも憎いわけでもない、事実を事実として言う。お前は特別でも何でもない、何かを成し遂げることはないし、何者にもならない。」(P97) この部分が全てかな。 少し面白いけど、この本を紹介していた「窓際三等兵」さんのtweetの方が、面白いかな。
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不動産に関するストーリーが読みたくて、試しに手に取ってみた。 帯には「不動産営業、絶賛の共感!」みたいな文言が。これは期待できるかもしれない…。と思い読み進めたものの、途中までの内容はよくあるビジネスサクセス系のストーリーだった。 主人公はちょっとした学歴を持つ、不動産営業担...
不動産に関するストーリーが読みたくて、試しに手に取ってみた。 帯には「不動産営業、絶賛の共感!」みたいな文言が。これは期待できるかもしれない…。と思い読み進めたものの、途中までの内容はよくあるビジネスサクセス系のストーリーだった。 主人公はちょっとした学歴を持つ、不動産営業担当。しかし、在籍する企業は大手でもなんでもなく、上司が部下を罵倒したり、(文字通り)蹴りを入れるような環境。 まったく物件を売ることができなかった主人公は、別の支店に左遷となる。伝説の営業担当が上司となるが、「お前は売れない」と単刀直入に言われてしまう。 しかし主人公は、全社的に課題となっていた売れ残り物件に注力。1ヶ月以内に売れなければ辞める…!と覚悟を決める。(これ、絶対に売れる流れじゃん) 案の定、物件は売れる。たまたま物件を探していた高属性の夫婦がやってきて、たまたまお節介な友人も一緒についてきて、主人公が、というよりもその友人が買うように後押ししてくれるという…。 そして伝説の上司が助言をしてくれるようになり、主人公はまた物件を売れるようになるという…。 いやぁ、これ系のお話にありがちなストーリーw 不正融資の話とか、不動産バブルの話とか、そういう社会問題やマクロな話が読めたらもっと面白かったな〜と思ってしまった。事前の期待が大きすぎた。 ただ、終わり方は良かった。 大学時代の同窓会にたまたま参加してしまった主人公。大企業のサラリーマンたちの仕事の愚痴大会。「世田谷の家ってどれくらいで買えるの?」という不躾な質問。「お前らみたいなカスは世田谷の1億の家は買えない」と言い放つ主人公。いやぁ、すっかり業界に染まってしまった。 それから、担当している購入希望者は、条件を下げずに予算は上げない。現実を伝えるも、逆上されて罵倒される。 なんとも後味が悪いのだけど、でもそれが良い。さすが、すばる文学賞を受賞しているだけあって面白かった。 (書評ブログもよろしくお願いします) https://www.everyday-book-reviews.com/entry/2022/04/16/%E3%80%90%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3%E5%96%B6%E6%A5%AD%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E3%80%91%E7%8B%AD%E5%B0%8F%E9%82%B8%E5%AE%85_%E2%88%92_%E6%96%B0%E5%BA%84%E8%80%95
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友人が突然貸してくれた。新庄耕という著者の名は初めて聞いた。 不動産業界はどこもこんなにブラックなのか?自分が家を購入した時に担当してくれた営業さんはこの本に書かれているようなひどい環境で仕事をしているようには到底見えなかった。それほどおどろおどろしい思いをしながら読んだが、人物...
友人が突然貸してくれた。新庄耕という著者の名は初めて聞いた。 不動産業界はどこもこんなにブラックなのか?自分が家を購入した時に担当してくれた営業さんはこの本に書かれているようなひどい環境で仕事をしているようには到底見えなかった。それほどおどろおどろしい思いをしながら読んだが、人物描写が今ひとつ凡庸でどの登場人物もどこか中途半端な存在だったせいか、物語としてはいささか物足りなかった。ただひとり、途中から主人公の上司となる豊川課長だけは別格で、この人が登場する場面は常に緊迫感に包まれ、その言動にいちいち興味を惹かれた。これが当作の一番の読みどころだった。また、城繁幸(株式会社ジョーンズ・ラボの代表とのことだが、もちろんこの人の名も初めて聞いた)の解説が当作のポイントを非常に鋭く捉えており、この本を良い具合に締め括っていた。
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面白かったードラマみたいに一瞬で読めちゃった。 これから建売戸建てを購入しようとしている人にぜひぜひ読んで欲しい本。 某体育会系不動産の営業受けたことあるけど、まさにそれが本書に載っている手法でびっくり。最初に微妙なとこばっかり見せられるのは焦燥感を募らせるためなのね。そろそ...
面白かったードラマみたいに一瞬で読めちゃった。 これから建売戸建てを購入しようとしている人にぜひぜひ読んで欲しい本。 某体育会系不動産の営業受けたことあるけど、まさにそれが本書に載っている手法でびっくり。最初に微妙なとこばっかり見せられるのは焦燥感を募らせるためなのね。そろそろたくさん見たのに完璧なところはないな、妥協するしかないかな、と思わせるのね。それで一番マシなものを最後に見せると。 これ読んでたらあんな簡単に申し込みしてなかったな…(遠い目)
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オー◯ンハウスの不動産営業をモデルにしたような小説. いやはや大変な世界ですなあ. 一生に一度の買い物をさせるんだからあらゆる営業テクニックで客を興奮させないとダメなんだろうね. 不動産会社では売上が全て. 戸建を売れない主人公は職場で罵倒・暴力・侮辱に晒され腫物扱いされる....
オー◯ンハウスの不動産営業をモデルにしたような小説. いやはや大変な世界ですなあ. 一生に一度の買い物をさせるんだからあらゆる営業テクニックで客を興奮させないとダメなんだろうね. 不動産会社では売上が全て. 戸建を売れない主人公は職場で罵倒・暴力・侮辱に晒され腫物扱いされる. だが蒲田の物件を売ることをきっかけに,不動産営業として目覚め,上司の指導もあり成長を遂げる.一方でそんな営業成績と反比例するように失われる社会性,友,人間性. 不動産販売における営業テクニックも知ることができる. ・完成物件は売れ残り ・紹介物件はまわしと本命 ・「かまし」 ダミー電話で競合がいるかのように演出し,決断を急かす ・押しの営業・引きの営業 「これだとちょっと駅から離れすぎですよね」 ・「できれば」=絶対と読み替える "現代の蟹工船" 「自意識が強く、観念的で、理想や言い訳ばかり並べ立てる。 それでいて、肝心の目の前にある現実を舐める。 腹のなかでは、拝金主義だなんだと言って不動産屋を見下している。 家一つまともに売れないくせに、不動産屋のことを わかったような気になってそれらしい顔をする。 お前、自分のこと特別だと思ってるだろ。 自分には大きな可能性が残されていて、 いつかは何者かになるとどこかで、思っている。」 行動は合理的・発言は断定的 サンドイッチマン ペンシルハウス 安普請 畢竟 恬淡 慇懃 悄然 野卑 阿る 接ぎ穂
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面白かった!サクッと読める。仕事がうまくできなくても辛い、できるようになっても面白い気がするだけで辛い。結局空っぽのままだと満足できないという話でした。
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家を売るためのノウハウが書かれた本。自分も家を不動産屋から買ったので、いろいろ思い当たる節があった。うすくて読みやすいので、これから家を買う人は読んで、変な不動産屋には騙されないようにしてほしい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
狭小邸宅 (集英社文庫)2015/2/25 営業なら道路を覚えろ(細かい路地まで) 2015年6月13日記述 狭小邸宅(きょうしょうていたく) 新庄耕氏の作品。 第36回すばる文学賞受賞作。 2013年2月集英社から刊行。 自分は城繁幸氏のブログで本書が紹介されていて読んでみようと思った。 不動産屋で明確な動機もないまま営業をしている主人公松尾。 不動産業の支店内での生々しい現実が多く書かれていて勉強になる。 松尾が転勤した駒沢支店で出会った豊川課長からの指摘は道路、物件、鍵を覚えろということ。 人に気に入ってもらいやすいとか信頼される何かがある人、つまり営業の才能がある人もいるだろう。 そうでない場合でも道をしっかり覚えると言った基本を覚えきれてない場合があるのではないか。 特に道路を覚えろというのは他の職種、他の営業でも大事だろう。 可能なら時間のある大学生の間にドライブしまくって道を覚える努力をやった方が良いように思える。 才覚も重要だけど覚えるべきことを覚える。 この事は重要。 他の方のレビュワーも紹介していた社長の台詞は自分もかなり印象的だったので記載しておこう。 文庫本P87より 「いいか、不動産の営業はな、臨場感が全てだ。 一世一代の買い物が素面で買えるか、 臨場感を演出できない奴は絶対に売れない。 客の気分を盛り上げてぶっ殺せ。 いいな、臨場感だ、テンションだっ、臨場感を演出しろっ」 本書後半で蒲田での売買を成功させた後の主人公が見事な演出で客に不動産を購入させる事になる。 「お前らは営業なんだ、売る以外に存在する意味なんかねぇんだっ。 売れ、売って数字で自己表現しろっ。 いいじゃねえかよっ、わかりやすいじゃねえかよっ、 こんなにわかりやすく自分を表現できるなんて幸せじゃねえかよ、 他の部署見てみろ、経理の奴らは自己表現できねぇんだ、 可哀想だろ、可哀想じゃねえかよ。 売るだけだ、売るだけでお前らは認められるんだっ、 こんなわけのわからねえ世の中でこんなにわかりやすいやり方で認められるなんて幸せじゃねえかよ。 最高に幸せじゃねえかよ」 ある程度金額の大きい営業で且つ最終消費者相手の営業ならこの社長の台詞、この考えはほぼ似たようなものだろう。 また主人公松尾が大学時代の同期会で世田谷に庭付きの家を買うにはどれくらいの金額がいるか答え、挑発され答えた台詞 「嘘なわけねえだろ、カス。本当だよ。世田谷で庭付きの家なんててめえなんかが買えるわけねえだろ。 そもそも大企業だろうと何だろうと、普通のサラリーマンじゃ一億の家なんて絶対買えない、ここにいる奴は誰ひとり買えない。 どんなにあがいてもてめえらが買えるのはペンシルハウスって決まってんだよ」
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ブラック不動産屋に務める新卒2年目?の松尾君の話。有名大学を出たものの就職活動に身が入らず、周囲からバカにされながら就職した不動産屋でもたいした目標も気概もなく漫然と働き続け営業成績も出ないまま。異動先の駒澤支店でも一軒も売れず、課長にやめろやめろと言い続けられて最後の一ヶ月と決...
ブラック不動産屋に務める新卒2年目?の松尾君の話。有名大学を出たものの就職活動に身が入らず、周囲からバカにされながら就職した不動産屋でもたいした目標も気概もなく漫然と働き続け営業成績も出ないまま。異動先の駒澤支店でも一軒も売れず、課長にやめろやめろと言い続けられて最後の一ヶ月と決めた期間で(それでも背水の陣というほどの覚悟はないものの)ずっと売れ残っていた蒲田の一戸建てに執着した結果見事に成約。それをきっかけに客を回してもらえるようになり、成績も上向き、周囲からの見る目も変わり、ギラギラとした高級時計とスーツに見を包んだゴリゴリ系の不動産営業マンになる。一方で、売れない頃からよくしてくれた同棲相手の真智子には逃げられ、大学の同期には金の亡者と罵る者もおり、全ての商談が上手くいくというわけでもなく。すっきりしないまま最後は契約を逃すことを予感させながら唐突に終わる。 怒鳴られたり蹴られたり、顧客名簿片手にガムテープで受話器を頭に縛り付けて電話をし続けたり、定休日である水曜日も仕事をしていたりと、超絶ブラックな不動産屋が描かれている。実生活で付き合いのある田舎の不動産屋のイメージからは全く想像もつかず、東京にはそんな会社が溢れてるのだろうかと心配になるほどの描写はともかく、客を殺す(=契約に持っていく)までのストーリーづくりは本当か嘘か知らないが、こんな仕組みになっているのかと興味深かった。終盤までなかなかエンジンがかからないくせに、盛り上がってきたと思ったらボロボロに疲れてまた歯車が狂い始めて…というところが生々しくリアル。 話が短い割に、いろいろと背景に興味がそそられる登場人物が多く、続編やスピンオフ?も読んでみたいと思わせる作品だった。横川課長が大手商社にいたときの話や辞めた経緯、ジェイが独立したあとの話、etc...
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