七十歳死亡法案、可決 の商品レビュー
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リーマンショックで円高株安の最悪の時代の話。 70歳で安楽死させられる最悪の法律なのに、意外なことに大半の人達がこの法案を受け入れていることに驚く。 それほど当時としては未来に希望が持てない状況だったんだな。まぁ思い返してみても、確かに一気に景気が悪くなった感じがあったわ。 後半で、母親の東洋子が家出して、息子の正樹や父親の静夫が家事や介護を自分の仕事だとは思わずに、他の女性に仕事を押し付けようとしてるところがホントにイライラした。 だけど、結果的に東洋子の家出が契機となって、いい方向に変わっていったのが、良かったといえば良かったんだけど、何かモヤモヤしちゃうよなあって感じ。 そうでなかったらホントに誰も東洋子の犠牲を何とも思わなかったんだ…。自分もそうだけど、そういう損な役回りの人ってやっぱりいるんだな、と思った。 私も社畜でブラック労働してるからついつい仕事を引き受けてしまうんだけど、むしろいなくなったほうが労働環境改善されるかもしれない。 最後は、みんなが自立していく話に落ち着いたのは良かった。 でも、増税総理だけはアカン!どうしてか、この時代に書かれる政治家って何か増税派で、書いてる作家も「やりにくいことに立ち上がる総理かっけー」みたいなスタンスなんだよね。当時のマスコミの影響だろうか…。
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面白かったけど、なんか登場人物がみんなちょっとアレな人たちばっかりで。。。でも家庭という狭い世界の中で、外との交流もないとなると、それも致し方なしということなのだろうなって思った。もちろん家族や他人への思いやりは大切だけど、自分を犠牲にしてまではちょっと違うと思う。そんな状況の中で峰千鶴の登場で状況が一変し、全ての物事がうまく進むようになったのは良かった。まぁ現実にはそんな好人物が都合よく現れるとは思わないけど。 いずれにせよ、考えさせられる内容であることは確か。
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初めての垣谷美雨さんの作品を読んだ。彼女の本で読みたいものがいっぱいリストアップしてある。 今回は「七十歳死亡法案、可決」 強烈すぎるタイトルと最初はどんよりしてて、この先どうなるんだろうと思っていたけどそれぞれが気づき持って家族が再生されていく姿がスカッと気持ち良かった。また、この法案を作った総理のような政治家が日本に本当に現れて欲しいと切に願う。 本当に面白かった!
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すごく面白い設定。 目次の言葉選びが辛辣なのも良い。 第一章 早く死んでほしい 第二章 家族ってなんなの? 第三章 出口なし 第四章 能天気な男ども 第五章 生きててどうもすみません 解説を書かれた永江朗さんの文章も今度読みたい。
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寝たきりになった義母を介護する中年女性のお話。 我儘な義母、無関心で自分の事しか考えない旦那、後ろめたさは感じながら一人暮らしをはじめる娘、引きこもりの息子。 さまざまな政策を成功させた馬飼野総理の元、七十歳死亡法案が可決される。年金や医療費などで圧迫する日本の財政を、回復させるための政策である。当然、高齢世代からは、激しい反対もあるが若い世代は賛成する。 現在の日本に当てはまる問題を、1つの家庭を通して描き出す物語。 母の家出をきっかけに、いっときはパニックに陥るが、それぞれが努力することで、変化がもたらされる。最終的には、馬飼野総理はは死亡法案を廃案にする。狙いは、国民の心の変化であった。 発想はとても面白かったです。
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とっても現実的だけど70歳になった人全員安楽死せざるを得ないありえない法律が数年後に施行されると言う内容。 70になったら死ぬんだと決められた人間はどう生きるのか、介護の世界、社会で働く難しさ、老人の苦しさについて考えさせられる。 若者は70歳志望法案に大賛成、老人は大反対と...
とっても現実的だけど70歳になった人全員安楽死せざるを得ないありえない法律が数年後に施行されると言う内容。 70になったら死ぬんだと決められた人間はどう生きるのか、介護の世界、社会で働く難しさ、老人の苦しさについて考えさせられる。 若者は70歳志望法案に大賛成、老人は大反対と興味深い意見の分かれ方についても考えるべき内容だと思った。
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この家族と同じ境遇ではないけれど、東洋子の思いはまるで自分自身!?なんて思ってしまった。 しかし…。夫の静夫の態度、考えにあきれる。 もし実際にこの法律が施行されたら…。私なら80歳くらいならいいかもなぁ。
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少子高齢化、引きこもり等のシリアスな題材ではあるが楽しんで読めた。主婦の家出をきっかけに夫、寝たきり母、引きこもり息子が動きだすところが面白かった。働く人がいなければ今までさぼっていた人が動き出すところなどパレートの「80対20の法則」すら思い起こさせた。
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かなりぶっ飛んだテーマではあるが、介護や男女平等、引きこもりといった複数の問題を抱えた一家がメキメキと変わっていく様が爽快だった
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夫、家族、姑、息子、娘、全員に殺意が芽生えるほどクソすぎる。さすが垣谷先生。こういう描写が上手い。 正直もうちょっと家族には苦しんで欲しかった。
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