捏造の科学者 STAP細胞事件 の商品レビュー
【このままの幕引きは科学ジャーナリズムの敗北だ】笹井芳樹CDB副センター長と自殺直前までやりとりを続け、事件の当事者に深く入ってスクープを連発した毎日新聞記者が初めて書く。
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TVのニュースやwebのニュースでつまみ食い的に読んでいた「STAP細胞論文ねつ造事件」について、取材の経過を丁寧に追う事でその「ほぼ全貌」が明らかになる。 本書を読む前までは「写真の差し替え」が主な事だと思っていたけれど、肝心の試験体の作成・管理があまりに杜撰でこれは果たして故...
TVのニュースやwebのニュースでつまみ食い的に読んでいた「STAP細胞論文ねつ造事件」について、取材の経過を丁寧に追う事でその「ほぼ全貌」が明らかになる。 本書を読む前までは「写真の差し替え」が主な事だと思っていたけれど、肝心の試験体の作成・管理があまりに杜撰でこれは果たして故意なのかミスなのか。 結局「何故」という疑問にだけは迫ることができなかった感。
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2014年1月29日、小保方氏、笹井氏、若山氏の衝撃的な記者会見から始まったSTAP細胞事件。 著者の須田氏は、それまでの取材過程から、笹井氏と近い関係にあり、当初からやや特別扱いの状態で詳細な取材ができていた様子。会見前日に笹井氏から、あなたなら絶対来るべきとのコメントを貰い、...
2014年1月29日、小保方氏、笹井氏、若山氏の衝撃的な記者会見から始まったSTAP細胞事件。 著者の須田氏は、それまでの取材過程から、笹井氏と近い関係にあり、当初からやや特別扱いの状態で詳細な取材ができていた様子。会見前日に笹井氏から、あなたなら絶対来るべきとのコメントを貰い、それに値する(と考えた)内容にすっかり心躍って勇んで記事を書いた当日。そこから徐々に疑義が出始めて、もしや捏造かもと思い始め、そしてそれを確信する過程が、当の笹井氏や若山氏とのメールのやり取りを通じて再現されて読みながら胸が痛くなった。 結局STAPはどう考えても小保方氏の捏造なのだが、さすがに本書でそれは断定されない。ただ状況証拠から読者は容易に想像できる。 **** ところで、私は某大学で研究者をしていることもあり、今回のSTAP論文(Nature誌に載った2報)は直ぐにダウンロードして読み、院生たちに紹介した。 門外漢からすると、凄い、としか思えなかったが、早くも2月中旬から世界各国で追試が成功しないこと。論文の画像に加工の跡があることなどが海外で話題になっていることも比較的早期に把握していた。 当時の院生とのやりとりをみると、2/21時点でそのことを院生に知らせ、2/25の時点ではまだ全体が捏造とは考えていなかったこともわかる。3/9には捏造の可能性が高いと考え院生に残念とのメールを書いていた。 そう、外部の人間からすると、科学者であれば門外漢でも既に2月にはもう、これ怪しいぞ、と考える程度の内容だったのだ。 それなのにそれなのに、理研の中枢は、本当かもと一縷の望みをいつまでもいつまでも捨てず、果ては世界的頭脳である笹井氏の自殺まで招いてしまった。 あぁなんて勿体無い、と思うのは私だけではないはず。STAP細胞というのがとにかく現象としては魅力的なだけに、強烈なアンカリングバイアスが、一線級の科学者にすら働いた。げに恐ろしきは魅力的な仮説であることよ。 **** 本書は、「日経サイエンス」2015年3月号の「STAP細胞の全貌」特集と併せて読むことで価値が倍増する。 本書が、著者と関係者とのメールのやり取りを中心として、新聞記者の著書なだけに社会的側面が強く描かれているのに対して、日経サイエンス特集は、遺伝子データ解析を通じての科学的推論によって『捏造』という真実に至る過程が描かれていて、好対照である。 STAP細胞事件がこの日本で起きたことは残念ではあるが、安易な博士号取得過程や、研究費獲得のための業績追求なども含めた、日本の科学者の持つ様々な問題点が炙りだされたことを考えると、今後の日本の科学界が正しく発展していくための警告にはなったと信じたい。
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細部のエピソードに面白いのがいくつかあった。例えば小保方氏が単独会見のときにSTAP細胞の再現実験として第三者の「インディペンデントな成功例」もあると訴えた件もこの毎日新聞の後追い調査によればウソだったとのこと。
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報道だけでは窺い知ることのできない事件の背景がつぶさに記されている。 理系に対しては、学部時代から研究室の指導が厳しい印象を持っていて、不備だらけの論文が提出・受理されるなんてありえないんじゃないかと思っていた。でも、学部、修士課程、博士課程とコロコロ研究分野や指導教官を変えてい...
報道だけでは窺い知ることのできない事件の背景がつぶさに記されている。 理系に対しては、学部時代から研究室の指導が厳しい印象を持っていて、不備だらけの論文が提出・受理されるなんてありえないんじゃないかと思っていた。でも、学部、修士課程、博士課程とコロコロ研究分野や指導教官を変えていて、かつプレゼン能力があるような人だったら、見破るのは大変かもなぁ…。
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そのとき何が起こっていたか、記者の視点で書かれた作品。 マスコミがネットやテレビを通して伝える情報はけっこう断片的で、 流れが見えなかったのだけれど、 この本で、あの発表からその後の経緯と顛末が 全部ではないかもしれなけれ度、わかる。 こういうのを知りたかったし、もっと知りたい...
そのとき何が起こっていたか、記者の視点で書かれた作品。 マスコミがネットやテレビを通して伝える情報はけっこう断片的で、 流れが見えなかったのだけれど、 この本で、あの発表からその後の経緯と顛末が 全部ではないかもしれなけれ度、わかる。 こういうのを知りたかったし、もっと知りたい。
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久々に寝るのも後回しにして読み進めている最中。 そもそも科学的な発見というより、既にスキャンダラスでセンセーショナルな事件として扱われざるを得ないような内容だけど、著者が毎日新聞科学部の記者さんということで購入を決めました。 骨の髄まで文系人間だけどSTAP細胞関連の記者会見は(...
久々に寝るのも後回しにして読み進めている最中。 そもそも科学的な発見というより、既にスキャンダラスでセンセーショナルな事件として扱われざるを得ないような内容だけど、著者が毎日新聞科学部の記者さんということで購入を決めました。 骨の髄まで文系人間だけどSTAP細胞関連の記者会見は(時間帯の関係で)ほとんどライブ中継を見ていて、いつだったか忘れたけれど、毎日新聞の女性記者の理路整然としていて、一歩も引かない感じの質問がカッコよくって印象に残っていたものですから。(読んでわかったのだけど、小保方氏の単独記者会見時の記者質問の時のことだったようです) うちの上司(そろそろ60代、男性)が「小保方さんが可愛いから信じてあげたかった」と言っているのを耳にして、これって小保方氏の周囲の男性研究者にも共通してる感覚なのじゃないかと思って、口ポカーンになりました。 私はとりあえず、割烹着姿の時点で胡散臭いと思ってしまいました。科学的な根拠はありませんけど。 今回のことで、現在頑張ってる、またはこれから目指そうとしてる女性(女子じゃなく女性)がやりづらくならないことを、それと日本の研究者が色眼鏡で見られないことを願います。 一社会人としても、退職願をとっとと認めて、クビを切ろうにも切れないなんて状況はアホかと思って納得できませんよ……。
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三大誌に一度掲載拒否された問題の論文。 この時の査読者は、基本的に「この論文いろいろおかしいぜ」という反応。 その後、笹井さんが著者に加わったら、Natureの査読コメントが明らかに好意的になった。 この、明らかな権威主義に、科学はどう立ち向かえばいいのだろうか。 科学者は科...
三大誌に一度掲載拒否された問題の論文。 この時の査読者は、基本的に「この論文いろいろおかしいぜ」という反応。 その後、笹井さんが著者に加わったら、Natureの査読コメントが明らかに好意的になった。 この、明らかな権威主義に、科学はどう立ち向かえばいいのだろうか。 科学者は科学的真実を追う。 科学的真実は、科学的真実として存在し、それは人間の行為とは乖離している。 しかし、その科学的真実を追うのは人間自身の行為であり、この行為の過程に、人間的要素(例えば性善説とか権威主義とか)を排除するのは難しい。 科学者は、科学的真実に近いところに居るから、科学者自身が科学的真実に覆われているという無意識があるように思う。 しかしこれは明らかに間違いで、科学をしている者、取り巻く環境が、いつも科学的真実と共にあるなどと、決しておごってはいけない。 人間はいつも多少の間違いを含んでいる。 これを前提に社会(すなわち科学を追う環境)は設計されなければならないだろう。
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誰が悪いんだろ。。 きちんと論理的にすべてもっと調査結果をだしたほうが いいと思う。 なんにせよ小保方さんは想いが強い、頑固、想念が 強そうで危うい感じに想いました。
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読了後「STAPがあるかどうか」と問うことが虚しくなること間違いなし。「論文に不正(捏造)があったか?」を重視すべきだったのでは、と思うことしきり。 この本の記事を読んでも「難病で苦しんでいる人のことを云々」「STAPがあるかどうかが大事」「小保方さんは陰謀に巻き込まれた」とかい...
読了後「STAPがあるかどうか」と問うことが虚しくなること間違いなし。「論文に不正(捏造)があったか?」を重視すべきだったのでは、と思うことしきり。 この本の記事を読んでも「難病で苦しんでいる人のことを云々」「STAPがあるかどうかが大事」「小保方さんは陰謀に巻き込まれた」とかいう人がいるなら、その考えのほうが問題だと思いますね…。 なお、この本に対してお願いしたいのは、2014年12月以降のSTAPの状況も活字にしてもらいたいと言うこと。その時は続編になるのかもしれませんが。
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