災厄の町 新訳版 の商品レビュー
『ハヤカワ海外ミステリハンドブック』で紹介されていたので読んでみたかった。 『Xの悲劇』『Yの悲劇』とは違って、人間ドラマが濃くてクリスティーのような感じ。 結婚式直前に失踪したジムが突如ライツヴィルの町に戻ってきた。3年間彼の帰りを待っていたノーラと無事に式を挙げ、ようやく...
『ハヤカワ海外ミステリハンドブック』で紹介されていたので読んでみたかった。 『Xの悲劇』『Yの悲劇』とは違って、人間ドラマが濃くてクリスティーのような感じ。 結婚式直前に失踪したジムが突如ライツヴィルの町に戻ってきた。3年間彼の帰りを待っていたノーラと無事に式を挙げ、ようやく幸せな日々が始まったように見えたが…。 ミスリードがわかりやすいので、早い段階で犯人など色々気付いてしまう。自分だけでなく気付いてしまう人は多いと思う。 最後まで予想を裏切ることなく終わってしまった。 謎解きメインではなく人間ドラマを読むシリーズなのかな。
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最初は正直これがそんなに評判なのか?と思うような展開だった。 しかし、あらゆる要素によって犯人がただ1人しかありえないという分かりきった状況が続く中、物語が終わりに近づくにつれてその驚愕の真相と隠れた真の悲劇がその姿を見せていったのには見事に騙されて言葉が出なかった。 これ...
最初は正直これがそんなに評判なのか?と思うような展開だった。 しかし、あらゆる要素によって犯人がただ1人しかありえないという分かりきった状況が続く中、物語が終わりに近づくにつれてその驚愕の真相と隠れた真の悲劇がその姿を見せていったのには見事に騙されて言葉が出なかった。 これから読むという人に言いたいのは、この作品を楽しみたいなら変に探ろうとせず気楽に騙されてくださいということである。
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1942年発表のエラリー・クイーンシリーズ第15作。架空の町ライツヴィルを舞台にした新シリーズが幕を開ける。国名シリーズを代表とするバッキバキのロジカルなミステリとは一味違う、人間ドラマに重きを置いた骨太作品。クリスティ作品に慣れている読者なら、裏に流れる物語の脈流を読みきってし...
1942年発表のエラリー・クイーンシリーズ第15作。架空の町ライツヴィルを舞台にした新シリーズが幕を開ける。国名シリーズを代表とするバッキバキのロジカルなミステリとは一味違う、人間ドラマに重きを置いた骨太作品。クリスティ作品に慣れている読者なら、裏に流れる物語の脈流を読みきってしまうかもしれない。しかし、結末を読みきってもなお、終始底知れない悪意と恐怖を煽りゾクゾクとさせる演出の妙技は抜群。未曾有の災厄に見舞われたクイーンだか、はたして再びライツヴィルに戻って来れるのか。
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エラリー・クイーンなんて、いつぶりに読んだか分からないくらい。 今回新訳版が書店の平積みになっていたので、衝動買い。 日本で「配達されない三通の手紙」という題名で映画化されているらしい。 (映画は愛憎ドロドロらしい) で、本書は正統派ミステリー。 エラリー・クイーンが本人役...
エラリー・クイーンなんて、いつぶりに読んだか分からないくらい。 今回新訳版が書店の平積みになっていたので、衝動買い。 日本で「配達されない三通の手紙」という題名で映画化されているらしい。 (映画は愛憎ドロドロらしい) で、本書は正統派ミステリー。 エラリー・クイーンが本人役で全編登場する。(他のエラリー作品もそうなのか?) 舞台となる街ライツヴィル。三部作的な後書きがあったが、実際はどうなんだろうか?
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さしたる印象がない。普通の小説的である。 しかし、20世紀初頭、殺人以外でも、病気でもなんでも、人は死ぬ。 架空の町、ライツヴィルをしばらく離れて、また、この町の駅に立つ、エラリークイーン。随分、前のことのように。 「おお、惨めな人生は流し! 幸福は短し!」 ”苦悩する者は、物事...
さしたる印象がない。普通の小説的である。 しかし、20世紀初頭、殺人以外でも、病気でもなんでも、人は死ぬ。 架空の町、ライツヴィルをしばらく離れて、また、この町の駅に立つ、エラリークイーン。随分、前のことのように。 「おお、惨めな人生は流し! 幸福は短し!」 ”苦悩する者は、物事を悪く考える。” 死んで償って、後でわかる。そんな、悠長なことしてていいのか、エラリークイーン。
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「中途の家」に続き、読了。その間の作品は読んだ事がないが、6年でここまで作風が変わるのか。 ライツヴィルものの第1作。国名シリーズとは比べ物にならないほど、人間を描いている。それまでの作品とは違う意味で傑作と言われるのも納得。 人物やドラマに重きを置いている為、なかなか事件は起き...
「中途の家」に続き、読了。その間の作品は読んだ事がないが、6年でここまで作風が変わるのか。 ライツヴィルものの第1作。国名シリーズとは比べ物にならないほど、人間を描いている。それまでの作品とは違う意味で傑作と言われるのも納得。 人物やドラマに重きを置いている為、なかなか事件は起きないが、登場人物の魅力が増し、長くは感じなかった。そして、ジムの裁判などはまるで映画を見ているかのごとく、映像が頭に浮かぶほどの盛り上がり。 それにしても、エラリーからエラリィと表記が変わっている彼だが、キャラクターもだいぶ変わったな。ヒロインにアタックし、偽名で濃厚な人間関係の中に身を隠し出過ぎた捜査もしない。
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96点:「ぼくならできました」 エラリイクイーンが単なる外部の観察者ではなく、事件の当事者として裁判で証言をする。名探偵というものと行動の不自然さ、一般常識とミステリロジックの衝突、世間からみた探偵のいかがわしさが裁判の中であきらかになり、ただそういったものをロジックで突破する...
96点:「ぼくならできました」 エラリイクイーンが単なる外部の観察者ではなく、事件の当事者として裁判で証言をする。名探偵というものと行動の不自然さ、一般常識とミステリロジックの衝突、世間からみた探偵のいかがわしさが裁判の中であきらかになり、ただそういったものをロジックで突破するところは大きな爽快感を感じる。 世界文学としてもミステリとしてもクイーンシリーズとしても圧倒的におもしろい‼️
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「早川ミステリハンドブック」で新発見いっぱいのクラシックミステリであがっているので読んだ。クイーンは中学生の時にⅩとYを読んだきり。粛々と謎解きが進むといったような内容だったと思うが、それに比べこれはどうだ。シュールで騒々しく極彩色な面々と行動、それを覆う街。テリー・ギリアムの「ゼロの未来」の画面をなぜか思い浮かべてしまった。う~ん、名作だというがなじめなかったなあ。でも映画にしたらおもしろいかもと感じた。 ライツヴィルという小さな町を舞台にライト家の三姉妹がからむ。長女は離婚して町に戻ってきていて、二女ノーラは3年前の結婚式直前に新郎ジムが雲隠れ、裕福な親が用意した家は空き家になっていてそこに作家エラリー・クイーンが借家する、が突然ジムが帰ってきてめでたくノーラと結婚。クイーンは隣の母屋に間借りし直すが、ノーラは夫の蔵書の間から「妻を殺す・・」という3通の手紙をみつける。クイーンは三女パットとともに真相を追うが・・ そのうち夫ジムの姉だというローズマリーが新居にやってきて居座ってしまい・・ この姉、最初から姉じゃないだろうという気はするんだよなあ。 「災厄の街」CALAMITY TOWNという題名のように、街を襲ったライト家と街の人々の騒動。 1942発表 2014.12.15発行 2021.8.25第4刷 図書館
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エラリー・クイーンのライツヴィルシリーズ第一弾。新訳版で。国名シリーズを半分ほど、レーン四部作は読了済み。 正直、エラリー・クイーンはパズラーとしての側面が強く、登場人物もそこまで掘り下げないイメージだったが、今作はいい意味で裏切られた。 前半は殺害予告と殺人に至るまでの過程、中盤は白熱の裁判シーン、後半はある一つの事実でひっくり返る真相。そこに、クイーンらしからぬ人物描写が加わり、より魅力的な作品に仕上がっている。ライツヴィルという町の空気感も独特。 真相も凄い。 一つの事実が分かった途端、全ての見え方が変わる。クイーン作品では今までXの悲劇が一番面白いと思っていたが、今作はそれを上回る良さだった。ハヤカワミステリ文庫の新訳シリーズ、楽しみになってきた。 で、作中のクイーン氏、結構なキス魔でチャラいので、国名シリーズのクイーン氏が好きな人は注意笑
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初めて読んだエラリイ・クイーンの小説。 前半では、田舎町の良い面も描かれるが、事件後は圧倒的に悪い面が多く描かれる。 登場人物たちの濃い人間関係によって拗れていく事件が、緻密な人間描写によって、なんの無理もなく展開されていく様子は、圧巻だった。 こうした、ドロドロとした関係のミステリ、そして、探偵が気付くのがあまりにも遅いミステリは、イライラして読むのが辛いこともあるのだが、今作は、エラリイの人柄もあって、スルスルと読めた。 真犯人が被害者となるはずだったノーラであることに関しては、状況的に考えて、わりとすぐわかるのだが、ジムの姉にまつわる謎解きは、最後までわからなかった。 何より、意外だったのは、ノーラが、夫を犯人に仕立て上げた事で、物語序盤から、魅力的なパットに感情移入させられてしまっていたので、読者もエラリイも、ノーラの狂気に気づくことができない、という仕掛けを、作者は作っていたのかなと思った。
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