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災厄の町 新訳版 の商品レビュー

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36件のお客様レビュー

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2021/03/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

殺人は一件だけで、しかも百ページを超えてもまだ起きない。トリックも軽量級で、迂生でさえ最初の手紙の下りで、ほぼこの先の展開が読めてしまった。そんなわけで「エラリー・クインの最高傑作」てな惹句に惹かれて、緻密過ぎる謎解きや、凝りまくったトリックを期待すると当てが外れる。巻末の解説に依ると、本作はエラリー・クインが所謂パズラーに一種の行き詰まりを感じていた時期の作らしい。なるほど。とは言え、読んでてすごく楽しかったのは事実。

Posted byブクログ

2021/02/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 本格推理と言うよりも、家庭小説と呼んだ方がいい作品ですね。  クイーンがこのライツヴィルの作品で変わったというのが、よくわかります。  勿論、小説の基本は推理だともいわれるわけですので、これだけの力量があるのは当然だったのだと思うのですが、離れてしまったがゆえにこれまで読まなかったことに大後悔です。  とても家庭的な悲劇な作品でした。読みごたえがありました!

Posted byブクログ

2021/02/07

中学生のころ、エラリー・クイーンのいわゆる"国名シリーズ"をいくつか読んで、「エラリーってかっこいい…」と憧れていたことを思い出した。はっきりと「美形」として描かれていたのか覚えていないが、若く、長身?で、切れ者?で、そして鼻眼鏡だか縁なし眼鏡だかをしょっちゅ...

中学生のころ、エラリー・クイーンのいわゆる"国名シリーズ"をいくつか読んで、「エラリーってかっこいい…」と憧れていたことを思い出した。はっきりと「美形」として描かれていたのか覚えていないが、若く、長身?で、切れ者?で、そして鼻眼鏡だか縁なし眼鏡だかをしょっちゅう磨いていたような(眼鏡萌えだったのかもしれない)。あとなんといっても名前が素敵。エラリー・クイーン。説明が前後したが、これは20世紀アメリカの推理小説作家名=従兄弟同士の二人の共作のためのペンネームであり、作中の探偵役(ややこしいことに職業は推理小説作家)の人物の名前でもある。 それで急に、果たして探偵エラリー・クイーンはかっこいいのか、つまりそう書いてあるのか、そしていまの自分が読んでもかっこいいと思うのか、を確認したくなり、何を読もうか検討した結果、未読の中期の長編『災厄の町』(1942発表、訳:越前敏弥[2014])にしてみた。これは"ライツヴィルシリーズ"と呼ばれる作品群の第一作で、ライツヴィルというアメリカの架空の田舎町が舞台だ。 やはりはっきりと「美形」とは書いていなかった。というか容姿はおろか年齢も明らかでない。発表時点でもうじゅうぶん知られたキャラクターだったから、しかたない。でも、事件の関係者である若い娘とあれよあれよという間にいい感じになり、「あなたってハンサムだわ」と言われたりはしている(とはいえ出会う女性の誰もが多少の好意を寄せる、みたいな「モテ」感はない)。またあるときは「彼女は昨晩出かけましたよ、そしてマティーニを飲んだ。なぜわかるか?彼女とキスしたからです。――僕には僕のやり方があるんですよ」こんな感じだ。 いや、これはこれで、昔読んだときの印象とは違う…もうちょっと硬派だったような…。いろいろと世の言説を読むと、初期("国名シリーズ"も含まれる)と中期以降ではエラリー像が変化しているというのは定説のようだから、「昔憧れたエラリー探し」は改めて初期作品の再読によって行った方が良さそうだ。ということがわかった。 (あ、いま突然思い付いたけど、「昔憧れたエラリー」は、今ならオノナツメさんの【大きい人】絵がとても似合うイメージ!) 肝心の事件、謎解きに関しての感想は割愛。ネタバレせずにコメントするのが難しいという理由もあるが、世評のとおり、この作品は犯罪のトリックや推理手腕の見事さよりも、田舎町の名家に起こった凄惨な事件がその町の人々の人間性を剥き出しにする様子が、見所かなあと思う。

Posted byブクログ

2020/12/30

ライツヴィルの名士の家で起こった毒殺事件。夫が資産家の妻を殺そうとしたという実に単純な、しかし考えてみれば奇怪な事件にエラリイ・クイーンが挑むミステリ。 事件が起こって以降のライツヴィルが本当に嫌です。まあミステリではありがちなんですがこういう閉鎖的な村だとか町だとか。疎外されて...

ライツヴィルの名士の家で起こった毒殺事件。夫が資産家の妻を殺そうとしたという実に単純な、しかし考えてみれば奇怪な事件にエラリイ・クイーンが挑むミステリ。 事件が起こって以降のライツヴィルが本当に嫌です。まあミステリではありがちなんですがこういう閉鎖的な村だとか町だとか。疎外されてしまうほうからすればたまったものじゃないなあ。そんな中でジムの無実を証明しようとするライト家の人々とエラリイ。とはいえ傍から見ればジムが犯人で全然おかしくない、むしろそれ以外にどんな真相があるというのか、と決めつけたくなる気持ちもわかりました。だからこそその事件の後で起こる悲劇と明かされる真相にはやりきれないものが。 わかってみれば手掛かりはいろいろあったのだけれど全然気づけなかった……登場人物のさまざまな発言の裏に隠された真実にも愕然。ものすごーくシンプルな謎だと思っていたけれど、これは解けません。完敗。

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2020/08/16

・厄災の家がライツヴィルという田舎町に広がるミステリー。 ・女性記者ロバータが隠しているものは何? ローラが隠しているものは何?って思いながら読んだ。 ・ジムの証拠が揃いすぎてる気がしたが。それは。 ・498pあるけど400pすぎてもいったいだれが犯人なのか不明だった。 ・...

・厄災の家がライツヴィルという田舎町に広がるミステリー。 ・女性記者ロバータが隠しているものは何? ローラが隠しているものは何?って思いながら読んだ。 ・ジムの証拠が揃いすぎてる気がしたが。それは。 ・498pあるけど400pすぎてもいったいだれが犯人なのか不明だった。 ・時々参加している朝カフェ読書会でよんで紹介したら、懐かしい!!といわれた。有名なのね。でも新訳と旧訳では違うところあり、旧訳読んだ人はちょっと混乱するかもって解説あり。 ・ミステリー苦手かなって思ってたけど、楽しく読めた。 ・作者が作中に同名でててくるとことか。町の人の噂好きというかミーハーで流されやすいとことかみてて怖くなった。それが1940年代のアメリカなのかなぁ。全体主義的な町。 ・あの種明かしはわからん。 ・なんでジムはノーラとの最初の結婚のときいなくなったのか?なんで戻ってきたのか。 ・ちょっと設定が無理やり感ある。 ・お手伝いは何人だったんだろ。ジムは何歳くらいだったんだろ?書かれてたっけかな?

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2020/06/25

bookmarkの書評で新訳がおすすめとあったので購入。 名作の新訳ということで期待して読んだけれど… これは2度目の方が楽しめるかもしれない。一度目はは物語がどの方向に向いているのか最後までわからないので退屈に感じる部分もある。

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2020/03/07

ライツヴィルの民衆の怒りが中盤恐ろしい敵としてヘイト家へ襲いかかってくる。真相で明らかにされた、この町の住人から侮辱を受けることを心底恐れ重婚の事実を妻ノーラに告げたら自殺しかねないと考え、そのことを告げられない夫ジムから伺い知れるように、ライツヴィルという田舎の町が第2の主役に...

ライツヴィルの民衆の怒りが中盤恐ろしい敵としてヘイト家へ襲いかかってくる。真相で明らかにされた、この町の住人から侮辱を受けることを心底恐れ重婚の事実を妻ノーラに告げたら自殺しかねないと考え、そのことを告げられない夫ジムから伺い知れるように、ライツヴィルという田舎の町が第2の主役になっている。 ただ、ここまでライツヴィルを描いていても、重婚を知らせられないがでも妻から金の無心はできる夫というのが理解できない。金を無心することは重婚を知らせることより罪が軽いのか? この部分は本編の真相の根幹をなす部分で、ここがなんだか納得いかないため、ラストの推理の部分も一気に疑問が氷解した、ということにはならなかった。

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2019/10/22

久しぶりにエラリイ・クイーンを読んだ。 ほんとに誰が犯人なのかなかなかわかりませんでした。 地方の名門一家に起こる不思議な殺人事件。 結末は・・・ なかなか面白い筋書きで楽しめました。

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2016/12/10

国名シリーズは若かりし頃に良くよんだが、この名作はよんでなかっので、新訳ということで、手にとって見たが確かに面白い。謎の部分は、どこかで見たか、読んだかしているのに、最後まで引っ張られ、やはり、ライツヴィルという田舎町自体を描いている部分もあり、その上、法廷物も兼ね備え、ミステリ...

国名シリーズは若かりし頃に良くよんだが、この名作はよんでなかっので、新訳ということで、手にとって見たが確かに面白い。謎の部分は、どこかで見たか、読んだかしているのに、最後まで引っ張られ、やはり、ライツヴィルという田舎町自体を描いている部分もあり、その上、法廷物も兼ね備え、ミステリーの古典というにふさわしい。ただ、エラリイって、なんかこんなに女性と絡んだっけ?

Posted byブクログ

2016/04/13

これはエラリー・クイーンの傑作のひとつですが、最近新訳が出たというんで、ウン十年ぶりに読んでみました。 やっぱり読みやすいですね。 この作品のポイントは、ライツヴィルという架空の田舎町を舞台に設定したことでしょう。 それまでのクイーン作品は、30年台のニューヨークが舞台でし...

これはエラリー・クイーンの傑作のひとつですが、最近新訳が出たというんで、ウン十年ぶりに読んでみました。 やっぱり読みやすいですね。 この作品のポイントは、ライツヴィルという架空の田舎町を舞台に設定したことでしょう。 それまでのクイーン作品は、30年台のニューヨークが舞台でした。それはそれで非常に魅力的で、特に「Xの悲劇」なんかは、今と同じぐらい活気に満ちたニューヨーク、地下鉄の代わりに市電が縦横無尽に走っているニューヨークを、うまくミステリーの舞台として描き切っていましたが、本作の舞台のライツヴィルは、典型的な田舎町ですから、町中の人が皆知り合いなわけで、それだけに殺人事件を通じて、人間関係の歪みが露骨に浮かび上がってくる様は、クイーンの円熟の筆致と相まって、見事な舞台設定になっていると思います。単なるパズラーではありません。 今、改めて読んだ感想としては、横溝正史の「本陣殺人事件」とか「八つ墓村」とかの舞台設定に似てるなぁと思いました。どうやら、田舎の村というのは、どこの国でも同じような習性を持つものらしい。 それから、登場人物一人一人を丁寧に描き分けているのも良いですね。特に、三姉妹の性格の違いを描き分けている点は素晴らしい。 ミステリーとしては、エラリーが全く名探偵らしく無い、という点が不満かもしれませんが、しかし、トリック自体は、よく出来ていると思います。同じクイーンの「Yの悲劇」のバリエーションといっても良いかもしれません。

Posted byブクログ