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営繕かるかや怪異譚 の商品レビュー

3.9

222件のお客様レビュー

  1. 5つ

    39

  2. 4つ

    87

  3. 3つ

    55

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    1

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2018/01/16

始めて読む作家さん。古い家屋に潜む霊~それらと上手く付き合っていくようなリフォームを提案する営繕屋の話で短編6つからなる。 人を祟ったり恨んだりする霊ではなく、むしろその場所に縛り付けられて出ることができない、というような哀しい霊たちの話だった。そう、怖いというより読んでいて哀し...

始めて読む作家さん。古い家屋に潜む霊~それらと上手く付き合っていくようなリフォームを提案する営繕屋の話で短編6つからなる。 人を祟ったり恨んだりする霊ではなく、むしろその場所に縛り付けられて出ることができない、というような哀しい霊たちの話だった。そう、怖いというより読んでいて哀しいと感じるような。営繕屋の尾端は、人も霊もその巧みなリフォームで救ってくれる。怪奇譚なのだが読後感は良い。

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2020/06/03

【内容】 家で起こる不思議な現象。 営繕かるかやが関わることで、 『障りになる疵は障りにならないよう直す、残していい疵はそれ以上傷まないように手当して残す。—それが仕事なのだと言う。』 少しずれた形で収まる話。 【感想】 人と人との関係のように、完璧に直すのではない人と家との物...

【内容】 家で起こる不思議な現象。 営繕かるかやが関わることで、 『障りになる疵は障りにならないよう直す、残していい疵はそれ以上傷まないように手当して残す。—それが仕事なのだと言う。』 少しずれた形で収まる話。 【感想】 人と人との関係のように、完璧に直すのではない人と家との物語。 「屋根裏に」の中で河童の話が出てきたが、あれは出身地の大分県中津市にある「河童」がモチーフなのだろうか?と実際に、中津市の円応寺の河童のお墓を見て思ったが、その由来が小説に出てきた。 身震いするほどの感動が背中を襲った。

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2017/10/17

家にあらわれたり、おとずれたりする怪異と向き合い繕っていくお話し。タイトルの営繕屋は、怪異が起きた時だけふらりと現れ、怪異が収まったと同時にいなくなる。その足取りの軽さと手際の良さに拒絶ではないスタンスと、装画の漆原友紀のせいで蟲師の、いやギンコのイメージが尾端にはまります。 ...

家にあらわれたり、おとずれたりする怪異と向き合い繕っていくお話し。タイトルの営繕屋は、怪異が起きた時だけふらりと現れ、怪異が収まったと同時にいなくなる。その足取りの軽さと手際の良さに拒絶ではないスタンスと、装画の漆原友紀のせいで蟲師の、いやギンコのイメージが尾端にはまります。 「雨の鈴」が怖さ抜群。ただそうであるべく存在しているものであるからこそ、相容れない。その二つが重なり合ってしまう、逃れられないというのは怖いです。しかも、その瞬間を来ることを知覚してしまう、という。このパターンの怪異譚には安定しておびえてしまいますね。 怪異が発生した時のおそろしさと、解決した時のしんみりした気持ち。救いのあるしんみりではないけど、尾端の対処・態度が救いになることが多いです。 そこもギンコっぽいんだよなぁ。

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2017/10/15

さらっと始まり、じわじわと進行し、クライマックス! そして普通の日常へと戻る。そんなパターンだが、 それがなによりも怖いホラー。 やぁ怖い。 坂の多い城下町に潜む、怖さ。 家の障り・・・それを修繕する尾端。 なんて爽やかに解決することか。 そして、人との縁の良さを感じさせられた、...

さらっと始まり、じわじわと進行し、クライマックス! そして普通の日常へと戻る。そんなパターンだが、 それがなによりも怖いホラー。 やぁ怖い。 坂の多い城下町に潜む、怖さ。 家の障り・・・それを修繕する尾端。 なんて爽やかに解決することか。 そして、人との縁の良さを感じさせられた、 そんな連作でした。

Posted byブクログ

2017/09/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「営繕」という言葉を初めて知りました。建物の修繕を行う仕事のようです。その営繕屋の尾端が登場する短編集。 怖いけれど救いがある話で面白かったです。表紙のイラストが漆原さんなこともあって、どこか蟲師と同じような雰囲気です。

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2017/09/14

十二国記から入った小野不由美は、突拍子もない物語性に面食らって、その後の読み進められていなかった。今回営繕かるかや怪異譚を読むことになり、少しそんな恐れをいだいたのも否定できない。 しかもやっぱり古い家の怪しげな部屋から物語がスタートし、よくそんな家に住むなという印象は、(私の...

十二国記から入った小野不由美は、突拍子もない物語性に面食らって、その後の読み進められていなかった。今回営繕かるかや怪異譚を読むことになり、少しそんな恐れをいだいたのも否定できない。 しかもやっぱり古い家の怪しげな部屋から物語がスタートし、よくそんな家に住むなという印象は、(私の中の)以前の小野不由美を彷彿とさせた。しかし、営繕かるかやの登場の仕方はなんというか若者の趣味的な世界でひょっこり現れ、淡々と対応していくことでそのおどろおどろしさを見事に払拭している。 全般的にストーリーの中止はホラーなのだが、かるかやの尾幡さんのキャラクターでさっぱりとしたホラー、あるいはなんとなく納得感のあるホラーという感じで落ち着く。読み進めていくに従い、もっと尾幡さんを出してほしいなんて気持ちにもなってくる。そのストーリー性が重要なんだろうから、そうはいかないとはおもうのだが。いつか尾幡さんをスピンアウトさせ、尾端さん視点のかるかや繁盛期なんてのもおもしろいかも。そもそも営繕かるかやという題名だから、すでにそうなのかもしれないが。

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2017/05/04

残穢に続く家にまつわる怪異。城下町の町家を舞台にした短編だ。すべてお祓いで済ましてしまうのではなく、怪異と共存してゆく、おっかなびっくりだけど、少し温かく感じる物語でもある。情景描写や設定のすべてが好みでとても好きな作品だ。続編に期待したい。

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2017/03/15

小野不由美さんのどこの誰にでもあるような日常の ふとした違和感を書くような文章が本当に好き。 残穢も読んだけど、あれと同じような お化けが飛び出してくるリングとか、 ゾンビに襲われるバイオとかみたいなホラーじゃなくて こういう身近にありそうで 気づいてしまうと忘れられないホラーが...

小野不由美さんのどこの誰にでもあるような日常の ふとした違和感を書くような文章が本当に好き。 残穢も読んだけど、あれと同じような お化けが飛び出してくるリングとか、 ゾンビに襲われるバイオとかみたいなホラーじゃなくて こういう身近にありそうで 気づいてしまうと忘れられないホラーが好きな私にはうってつけだった。 障りのあるところをなおす…なるほどなぁと思った。

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2017/03/01

小野さんの描く怪異は、日常の延長としてある怪異、という印象。 怖しいけどなんだか不思議で、わかってしまえば切ないような、でもやっぱりさらりと怖くて後を引く。「異形のひと」の長持みたいなのって… 連載中とあったので、またいずれ本になるのでしょうか。楽しみです。

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2017/02/19

……夜遅くに読んでしまい、ちょっと後悔しました。怖いよ! ずっと住んでて何にもないし!とか思ってても、ふと襖が開いてたらどうしよう、とか思ってしまいます。 お祓いをしたりする訳ではなく、住人にも何かにも寄り添い、淀まないように修繕をしていく。 尾端さんについては語られなかったけ...

……夜遅くに読んでしまい、ちょっと後悔しました。怖いよ! ずっと住んでて何にもないし!とか思ってても、ふと襖が開いてたらどうしよう、とか思ってしまいます。 お祓いをしたりする訳ではなく、住人にも何かにも寄り添い、淀まないように修繕をしていく。 尾端さんについては語られなかったけれど、何者なんだろうか。

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