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営繕かるかや怪異譚 の商品レビュー

3.9

218件のお客様レビュー

  1. 5つ

    39

  2. 4つ

    86

  3. 3つ

    54

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2014/12/22

静かな筆致で淡々と語られる住まいに関わる怪異譚が六編。じわりと冷たいものが沁み入ってくるような怖さのある怪談に、その解決がもたらす爽やかでしんみりとした読後感がよい。 とある城下町、自宅で起こる怪異に悩む住人たちは営繕屋さんに相談を持ち込む。霊能力者は出てこないし、謎解きや快刀乱...

静かな筆致で淡々と語られる住まいに関わる怪異譚が六編。じわりと冷たいものが沁み入ってくるような怖さのある怪談に、その解決がもたらす爽やかでしんみりとした読後感がよい。 とある城下町、自宅で起こる怪異に悩む住人たちは営繕屋さんに相談を持ち込む。霊能力者は出てこないし、謎解きや快刀乱麻の解決があるわけでもない。営繕屋は端役として登場し、起こっている現象を取り除くのではなく、住人が困らずに生活できる方法を提案する。 主人公はあくまでも住人たち。怪異が現れる過程や住人らの心情の変化がとても丁寧に描かれ、自分にも怪異が迫ってくるような感覚を覚える。 解決役がいるにも関わらず、その存在感は抑えられており、解決までを含めた一つの実話怪談であるかのような雰囲気が出ているのが面白い。このバランスが非常によくできている。 住居を題材としたことや、実話風怪談から少し飛び出しつつその雰囲気を残したような作り方は、前の作品『残穢』の次の試みとして狙ったものなのでしょうか。似たような題材で、さらに読み物としての面白さを追求したのかなと思うと興味深いです。 六編とも完成度高くそれぞれ味わいがあります。淡々とそこにあるだけの怪異から、脅威として危機感を感じるものまでありバリエーションも豊か。緊迫感ある「雨の鈴」が特に好みです。 まだ連載が続けられるようなので続編も楽しみにしています。

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2014/12/16

城下町に水路などなど、怪異が集まりやすいお家に住んでる人達が主人公。 で、その障りをサラッと改善していく営繕屋さん。 営繕かるかやの名が出ばってるのは題名だけww あとは、そっと登場して物語が終わる。 6つのお話しが載ってるから、落しどころも色々で楽しめるし、まだまだ『幽』ってい...

城下町に水路などなど、怪異が集まりやすいお家に住んでる人達が主人公。 で、その障りをサラッと改善していく営繕屋さん。 営繕かるかやの名が出ばってるのは題名だけww あとは、そっと登場して物語が終わる。 6つのお話しが載ってるから、落しどころも色々で楽しめるし、まだまだ『幽』っていう雑誌でこの物語を掲載中とのコト。 また続きが読めるんだぁーって思うと嬉しくなっちゃう☆

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2014/12/15

真冬の小野不由美。 くそ熱い電車の中でも不思議と肌寒い。 久しぶりの小野不由美。久しぶりの“怪談”。 でもただの怪談じゃ終わらないのが小野不由美。 いっそ怪談を語って“怪談”でなくしてしまう感じ。 いわゆる“怪談”というのは途中にある話なんだなあとわかる。 もっともっと読みた...

真冬の小野不由美。 くそ熱い電車の中でも不思議と肌寒い。 久しぶりの小野不由美。久しぶりの“怪談”。 でもただの怪談じゃ終わらないのが小野不由美。 いっそ怪談を語って“怪談”でなくしてしまう感じ。 いわゆる“怪談”というのは途中にある話なんだなあとわかる。 もっともっと読みたい。 タイトルを持っていった営繕かるかや、 がほぼ出オチ。

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2014/12/14

小野主上のホラー新作。 短編なのでさらりと読み易く、ゴーストハントや残穢と比べたらそこまで怖くはないかな。 とか思ってたけど、怪異の起こる場所が家という身近すぎるものなので、夜になるとじわじわ怖さが効いてくる感じです。家が路殺になってないか確認した人絶対多いと思うよ!夜に冷蔵庫開...

小野主上のホラー新作。 短編なのでさらりと読み易く、ゴーストハントや残穢と比べたらそこまで怖くはないかな。 とか思ってたけど、怪異の起こる場所が家という身近すぎるものなので、夜になるとじわじわ怖さが効いてくる感じです。家が路殺になってないか確認した人絶対多いと思うよ!夜に冷蔵庫開けるのちょっと怖いよ! けど、怖いもの=悪いもの、と決めつけて家から追い出したり消し去ろうとするんじゃなくて、そこに残ってしまっている人の思念をくみとって、昔住んでた人と今住んでる人と両方に良い道を示してあげられるのがすごく素敵だなあ、と思った。 怖いと同居は嫌だけど、ちょっとの不思議と同居なら微笑ましいで済ませられる、と、思う。うん。 表紙イラストは「蟲師」の漆原さん、装丁はゴーストハントから引き続き祖父江さんと本編以外も豪華です。 祖父江さん、漆原さんの落ち着いたイラストに蛍光イエローぶっこんでくるなんてさすがのセンス。

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2014/12/14

「残穢」を書いたことで、怪談のその後、怪談を怪談でなくするための手立てまで描くことにしたのかなぁ?なんにせよ、事象があって結果がある。ブラックボックスはブラックボックスのまま、手段は提示してもそれが事象に対する救いであるかはわからないまま、淡々と始まり終わる。それがこの本の良さな...

「残穢」を書いたことで、怪談のその後、怪談を怪談でなくするための手立てまで描くことにしたのかなぁ?なんにせよ、事象があって結果がある。ブラックボックスはブラックボックスのまま、手段は提示してもそれが事象に対する救いであるかはわからないまま、淡々と始まり終わる。それがこの本の良さなんだろう、とは思いつつ、少し物足りなさも感じた。

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2014/12/07

祓うでもなく、見てみぬ振りをするでもなく。ただ、あるものがあるように。家に暮らす者が日常を営めるように。 障りの部分をどうすればいいのかを営繕屋の尾端が修繕する物語。 人に害を為そうとする所謂悪霊の類いは一切出てこず、そう言う意味ではホラー色は弱めかと。害を成すわけではないけど...

祓うでもなく、見てみぬ振りをするでもなく。ただ、あるものがあるように。家に暮らす者が日常を営めるように。 障りの部分をどうすればいいのかを営繕屋の尾端が修繕する物語。 人に害を為そうとする所謂悪霊の類いは一切出てこず、そう言う意味ではホラー色は弱めかと。害を成すわけではないけど、描写はそれなりにゾクッとする部分がありました。ただ最後には尾端の修繕で怪異は解決して、良かったなぁと何処か心暖まる終わり方が素敵です。

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2014/12/06

内容紹介 ◎亡くなった叔母から受け継いだ町屋。あるとき一人暮らしの私は気がつく。ふだんまったく使わない奥座敷に通じる障子が、何度閉めても――開いている。(「奥庭より」) ◎古色蒼然とした武家屋敷に住む母親は言った。「屋根裏に誰かいるのよ」。最初は息子も嫁も孫娘も見えなかった。し...

内容紹介 ◎亡くなった叔母から受け継いだ町屋。あるとき一人暮らしの私は気がつく。ふだんまったく使わない奥座敷に通じる障子が、何度閉めても――開いている。(「奥庭より」) ◎古色蒼然とした武家屋敷に住む母親は言った。「屋根裏に誰かいるのよ」。最初は息子も嫁も孫娘も見えなかった。しかし……。(「屋根裏に」) ◎袋小路の奥に建つ古屋を祖母から受け継いだ。ある雨の日、鈴の音とともに喪服姿の女性が隣家の玄関先に立っているのを見掛けた。一目で、見てはいけないものだと分かった。(「雨の鈴」) ◎亡くなった祖父の会計事務所を継ぐため、家族で郷里に帰った父。思春期真っ只中の真菜香は、何もかもが嫌だった。あるとき、見知らぬ老人が家の中のそこここにいるのを見掛けるようになった。(「異形のひと」) ほか全6篇を収録。 ※初出:「幽」(KADOKAWA)vol.015(2011年7月1日発売)、vol.016(2011年12月16日発売)vol.017(2012年7月2日発売)、vol.018(2012年12月17日発売)、 vol.019(2013年7月1日発売) vol.021(2014年7月4発売)に掲載。 【営繕】の意味 建造物の新築と修繕のこと。(三省堂『新明解国語辞典』第四版より) 一般的には模様替(リフォーム)なども含む。 【かるかや】の意味 山野に自生する多年草。葉はイネに似て、秋、ムギの穂に似た小さい花を葉のわきにつける。高さは1.5メートルくらいに達する。(三省堂『新明解国語辞典』第四版より) 内容(「BOOK」データベースより) この家には障りがある―住居にまつわる怪異を、営繕屋・尾端が、鮮やかに修繕する。心ふるわす恐怖と感動の物語。

Posted byブクログ

2014/12/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ホラーよりも怪談寄り。 原因を追及してなくして対峙してしまうような派手な話ではない。 もっと、身近な感じ。 背筋を冷たい指で撫でられるようなぞっとする描写が随所に入っていて、それでいて深刻でなく、小粒だけども読み応えのある短編集。 表紙の作者名や、各章の扉などちょっとしたデザインがにやりとできてとてもいい。

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