営繕かるかや怪異譚 の商品レビュー
色々な怪異に対して霊力とかお祓いとかではなく修繕と言う手で解決していくというのは現実的ながらも珍しい手法な気がした。不気味な出来事も営繕屋の尾端が冷静に処理していく姿が面白い。装画の漆原さんの絵で漫画ができたらいいなと思った。
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工務店にとってクレームは財産だ、などというけれど、本当は無いほうががいいに決まっている。 閉めても開いてしまう襖、音がする屋根裏、路殺に門を作ってしまった…というのは、直せばいいじゃないか、といいたいところだけれど、ただ直しても、よくなるとは限らない。 だって、それは、見えな...
工務店にとってクレームは財産だ、などというけれど、本当は無いほうががいいに決まっている。 閉めても開いてしまう襖、音がする屋根裏、路殺に門を作ってしまった…というのは、直せばいいじゃないか、といいたいところだけれど、ただ直しても、よくなるとは限らない。 だって、それは、見えない連中の、魔のしわざだから。 キャー! もう怖くて、古い家を買ってリノベーション、なんて無理! いやでも、古い家ばかりが対象ではない。建て替えでも、そう、新築でも起こってしまう。 そこで、主人公(にしては、出番が短いが)の営繕かるかやが登場する。若い大工であり、霊能力者でもなんでもない。超能力で魔物を倒したりもしないし、もちろん大工道具でも戦わない。 ただちょっとした営繕で、「彼ら」の行く道を変えたり、元の鞘に収めたりする。 家づくりというのは、魔物はともかく、オカルトが満載の業界だ。まあ、オカルトでも、大工事ではなく、営繕でなんとかなるなら、それでいいではないか。 大袈裟にしない、という姿勢がよいのだ。
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表紙が漆原さんだってので手にした1冊。 後になってゾワゾワ・・・としてくる。 是非 営繕屋の尾端さんからのお話が読みたい。長編で!
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毎日を暮らす家。 どんな家であっても、そこが一番落ち着ける。 はずなのだ。 『檻の外』 シングルマザーの麻美の周りでは不可解な出来事が起こっている。 車が壊れたり、シャッターが勝手に降りてきたり。 古いから、中古だから仕方がない、と言い聞かせるが、それと同時に小さな子供の姿が...
毎日を暮らす家。 どんな家であっても、そこが一番落ち着ける。 はずなのだ。 『檻の外』 シングルマザーの麻美の周りでは不可解な出来事が起こっている。 車が壊れたり、シャッターが勝手に降りてきたり。 古いから、中古だから仕方がない、と言い聞かせるが、それと同時に小さな子供の姿がぼんやりと見えるようになってくる。 そしてか細い声で言う。 ママ、と。 親が子供を思っているほど、子供は親を思っていない、は本当だろうか? 逆に子供の方が、特に幼い頃の方が親を思っているように思う。 不安でたまらない時、さみしい時、強い時、嬉しい時、いつでも彼らが気にしてほしいのは、見て欲しいのは親である者に対してだ。 我が子を見てそれがわかるようになった。 熱が出たから、「トイレ」が言えるようになったから、お絵描きができるようになったから。 親が頑張っているのを手伝いたいから、一緒に何かしたいから。 だから泣くし喚くしいたずらをする。 でも、私はそれに十分応えられているだろうか? 人は一人でもう一人の面倒を見るようにはできていない。 だから見る側が疲れてしまって悲劇が起こることもある。 それを減らすのは、みんなの「意思の力」ではないだろうか。 ほか五編。 営繕屋はどれも後の方でしか出てこないが、人とあやかしが丁寧に書き綴られている。 悲しみも、喜びも。
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小話形式ですが、それぞれに営繕かるかやが関わって解決するパターンでした。 家にまつわる怪異ですが、ぞっとするものも多く、しばらくお風呂のふた開けるのが嫌になったり、天井裏が気になったりしました(笑)。 古い家屋にはそれだけで陰だとか暗闇だったりがあるのですが、それが小野主上になる...
小話形式ですが、それぞれに営繕かるかやが関わって解決するパターンでした。 家にまつわる怪異ですが、ぞっとするものも多く、しばらくお風呂のふた開けるのが嫌になったり、天井裏が気になったりしました(笑)。 古い家屋にはそれだけで陰だとか暗闇だったりがあるのですが、それが小野主上になると、それは陰鬱な澱みとなって生臭い匂いまでしてきそうなものに変わるのです。 そしてどの話も、現れたものが『何か』はわからないが、建物を改装したり元に戻したりすることによって、とりあえず落ち着かせるという方法をとる、というところが目新しかったかなと思います。住んでいる人に害がなければとりあえずよし、といった感じですね。 いずれ忘れた誰かがまた同じように掘り出したり捨てたり暴いたりすることはあるのかもしれないなと思いました。 祀ってあるところは、それなりの理由があるのだからむやみやたらに触るな危険、ということですね。
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古い民家に起こる怪異。なにも、だれもいないところから現れているように見えるそれらの顛末を綴った短編集。 過度におどろおどろしすぎず、背筋をすっと逆なでされるくらいの恐ろしさ、気味悪さが全体に漂います。それらはただきもちわるいのではなく、いわれがしっかりとあり、それがはっきりとする...
古い民家に起こる怪異。なにも、だれもいないところから現れているように見えるそれらの顛末を綴った短編集。 過度におどろおどろしすぎず、背筋をすっと逆なでされるくらいの恐ろしさ、気味悪さが全体に漂います。それらはただきもちわるいのではなく、いわれがしっかりとあり、それがはっきりとすると、実は恐ろしいのは生身の人間なのだ、ということをうそ寒く感じてきます。 ガレージの幽霊しかり、袋小路の女性しかり…。真実がわかってしまえば、ただ哀れさを誘います。そういう意味で、品をたもった日本的な怪異小説だとも思えました。
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こんな営繕屋さんが身近にいたらどれほど心強いだろう笑。 最初の短編を読むと流れが分かってしまうため、 読み進むにしたがって恐ろしさは薄れてしまうけれど、 読み始めのぞわぞわと背筋が寒くなる感じは小野さんの真骨頂。面白かった。
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息苦しく怨霊さまよい出ると噂される曰く付き物件達が、今、匠の手により息を吹き返す! 今回のテーマは霊との共存。ちょっとした一工夫で彼らにも家主にも住み良いバリアフリー物件に!
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怖くない。ホラーではない。ユーレイ的なものが絡む家の修繕話。 …わりと好きな話ではありましたが、浅い。 星3つ。読みやすいので5点。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
古い家には何かしら、曰くがあるようで、いろんな事情でそんな家に住むことになった人達が巻き込まれる、怪奇な出来事を、家の営繕屋さんが解決する、という短編集です。 解決するといってもこの営繕屋さん、むやみに霊を追っ払うなではなく、霊はどうして欲しいのか、をさぐり霊に納得してお引き取り願うという、親身に霊に寄り添う様に好感が持てるのです。 また霊に悩んでいる人達も心底怯えているわけではないのですね。昔、おじいちゃんが言っていた、何も悪いことをしていなければ、怖がることはない。ということでしょうか。 ということで、怖いお話にはかわりないのですが、今回のは、ちょっとライト?な小野不由美作品でした。
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