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ヤモリ、カエル、シジミチョウ の商品レビュー

3.4

76件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    27

  3. 3つ

    24

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    4

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2018/03/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

装丁が素敵で一目で気に入り、わくわくして読み始めました。装丁ってやっぱり大事なんですね。 江國香織さんの本を読んだのは何年ぶり?ってくらい久しぶりでしたが、ああ、やっぱりいいなぁとしみじみ思いました。読んでいる間も、読んだ後も。 Amazonレビューをざっくり読んで、びっくりしました。「ひらかなだけの文章が読みづらかった」というコメントがいっぱいあって。 読みづらいなんて全然思わなかった。むしろ、ひらかなだけの文章に入ると、拓人の耳に聞こえる世界、拓人の目に見える世界を一緒に聞いて、見ることができて、ああそうか、そうだった、私も知ってる、と思い、そして、こういう風に見える世界を知らないわけじゃないのに、どうしていつも私は無視しているんだろう、と改めて思いました。 小さな子が使う語彙じゃない、というトンチンカンなレビューもありましたが、あれは江國さんが言葉を介しない拓人の世界を言葉に翻訳しているからで、もちろん私は全然違和感はなかったです。(本人のモノローグならば一人称のはず) 実は読みながらずっと、「いつか拓人も、普通の人のペースに自分を合わせなくちゃいけない時が来るんだなぁ。どうなっちゃうんだろう。ひどく傷つけられるようなことがないといいけど」と、どきどきしながら読んでいました。なので、最後の最後で、ひらかなから普通の漢字まじりの文章にするっと変わったとき、ほっとする一方で、大切なものを手放す時がとうとう来てしまった、という切ない喪失感で胸の奥が少し痛みました。 いや、予感していたようなバッドエンドではなく、シームレスに成長したようで、ほっとしたんですけどね。 拓人の言う、「話せる」人も、けっきょくのところは話せない人と同じなんだということ、逆に、いつも話せないし聞こえない姉がときどき「聞こえる」ということ、その両者の大きな違いに拓人は大人になって気づいたのかなぁ。 大人に成長する過程で、「聞こえる」人、あるいは「聞こうとする人」と出会えているといいなぁ、なんて、話の「続き」を想像してしまいます。 続編(拓人青春編みたいなもの)を書いてもらいたいと思いました。

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2016/02/20

読メ500冊目メモリアルは人生半ばにして本の世界に復活するきっかけとなった久しぶりの江國さんをチョイス。 失礼ながら彼女の年齢でこの伸びしろは驚愕に値する…それほどまでの鮮烈な感性の連続に貪るように一気読み、改めて江國香織の素晴らしさを知ることになった孤高の一冊。 児童文学あり、...

読メ500冊目メモリアルは人生半ばにして本の世界に復活するきっかけとなった久しぶりの江國さんをチョイス。 失礼ながら彼女の年齢でこの伸びしろは驚愕に値する…それほどまでの鮮烈な感性の連続に貪るように一気読み、改めて江國香織の素晴らしさを知ることになった孤高の一冊。 児童文学あり、詩情あり、狂おしいほどの恋情ありのオムニバスはこれまでの作品の集大成とも言ってよくエクニストランキングでもトップクラスと断言出来る。 そんな力があるのだからいい加減に昨今流行りのゲス不倫ネタはもうやめて欲しい、そしたらまた熱狂的なファンに戻ろうと思います

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2016/02/17

拓人の目線を借りて、本当に幼い子どもの頃特有の世界観を自分も覗き込ませてもらったような感覚がして、その色彩や感覚の豊かさ・情報量にひたすら圧倒されました。 回りの人間模様やいずれ失われる世界観・命達のことを考えると淋しくなりましたが、物語の終わりが近づいていても、「本当に美しくて...

拓人の目線を借りて、本当に幼い子どもの頃特有の世界観を自分も覗き込ませてもらったような感覚がして、その色彩や感覚の豊かさ・情報量にひたすら圧倒されました。 回りの人間模様やいずれ失われる世界観・命達のことを考えると淋しくなりましたが、物語の終わりが近づいていても、「本当に美しくて、心地の良いこの世界観にいつまでも浸っていたい」という気持ちでいっぱいでした。

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2016/01/16

とても好き。 一見して読み飛ばすかな〜と思ったたくとの所があまりに素敵で、ひらがなだから流し読みは出来なくて、おかげでとても丁寧に読めた。 両親が不安定な中、子どもたちがあまりにも安定していることが不思議。 私がたくとの年だった時、もうすでに私は”せかい”ではなかった。 ずっと...

とても好き。 一見して読み飛ばすかな〜と思ったたくとの所があまりに素敵で、ひらがなだから流し読みは出来なくて、おかげでとても丁寧に読めた。 両親が不安定な中、子どもたちがあまりにも安定していることが不思議。 私がたくとの年だった時、もうすでに私は”せかい”ではなかった。 ずっと、「だいじなのはそこに”いる”こと、ようすもきげんもとるにたらないもの」なら、生きていくのは楽だろうな、と思う。

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2016/01/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

同じ時間を共有しながら、思うことはみんなそれぞれで 知らず知らずのうちに、日々変化していることは貴重なこと。 結婚を取りやめにしたピアノ教室の先生の千波。 千波の母志乃には思いを寄せていた人が今もひそかに存在する。 女癖の悪い夫耕作に執着する奈緒。 賢くて弟思いの長女の育実。 虫と会話ができる弟の拓人。 常に女性関係を持っていないと不安定な耕作。 耕作の今現在の愛人の真雪。 霊園の管理人の無口だけど拓人に好かれる児嶋。 テレビがお友達の老女倫子。 虫と会話ができる拓人のところが 全部ひらがなで読むのに苦労した。 苦労したけれど拓人のところが一番おもしろかった。 育実がいいと言う、カエルの葉っぱが可愛いかった。 彼女たち姉弟が成人して葉っぱを食べたよねって 思い出話しする最後がまたよかった。 オチとかないけど雰囲気がすごい良い。 妻と愛人が会う場所がホテルのラウンジっていう定番なところもいい。 過ぎ去れば良いことも悪いこともすべてが思い出。)^o^(

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2016/01/04

江國香織さんの作品は本当に大好きなのだけれど、どうしてもこれは受け入れられなかった。 虫たちと会話をする「言葉の遅い幼稚園児」拓人とその姉育実を軸に、幾人かの大人たちのストーリーがそれぞれに進んでいくスタイルで、大人たちのストーリーに関しては江國さんらしいなぁと思う。 ただ、拓人...

江國香織さんの作品は本当に大好きなのだけれど、どうしてもこれは受け入れられなかった。 虫たちと会話をする「言葉の遅い幼稚園児」拓人とその姉育実を軸に、幾人かの大人たちのストーリーがそれぞれに進んでいくスタイルで、大人たちのストーリーに関しては江國さんらしいなぁと思う。 ただ、拓人の章はぜんぶひらがななので読み進むのにかなり苦労したうえ、ラスト近くの育実の“殺戮”の表現はあまりにもグロテスクで、必要なシーンだったとはいえ気持ち悪さを長らく引きずってしまった。ちょっと苦手だ…ごめんなさい。

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2015/10/10

今年の谷崎賞を取ったということで読むことにした。 子供や虫、小動物が出てくる話はあまり得意でない。 大人の出てくるパートと平仮名で書かれた拓人のパートが同じペースで読めず、おもしろかった。ちょっとイライラしたりして・・・  静かな小説だった。でも、ザワザワする小説だった。 登場人...

今年の谷崎賞を取ったということで読むことにした。 子供や虫、小動物が出てくる話はあまり得意でない。 大人の出てくるパートと平仮名で書かれた拓人のパートが同じペースで読めず、おもしろかった。ちょっとイライラしたりして・・・  静かな小説だった。でも、ザワザワする小説だった。 登場人物それぞれの孤独が、私自身の孤独と重なり合い、季節も関係するのか、寂しい気分になったり、ザラっとしたりした。

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2015/09/13

江國香織さんの最新刊。浮気されている妻、浮気している夫、小学生の娘、幼稚園児の息子、夫の浮気相手の女、妻の家族の隣に住むテレビ好きの女、娘と息子のピアノの先生で婚約相手と婚約を解消することになる女、霊園で働く男など多くの登場人物のオムニバス。それぞれの登場人物の物語がパラレルに進...

江國香織さんの最新刊。浮気されている妻、浮気している夫、小学生の娘、幼稚園児の息子、夫の浮気相手の女、妻の家族の隣に住むテレビ好きの女、娘と息子のピアノの先生で婚約相手と婚約を解消することになる女、霊園で働く男など多くの登場人物のオムニバス。それぞれの登場人物の物語がパラレルに進み、交差し、昇華して、収束していく。すごくすっきりするラストだったし、江國香織さんの作品で1番好きかもしれない、と思った(これが2番なら、1番は『きらきらひかる』)。

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2015/08/30

読むことはないであろうと思っていた作家さんである 小池真理子さんの『沈黙のひと』を読んだように、 今回、江國香織さんの作品を読んでみた。 統合失調症気味のテレパスな幼稚園児と 大人の疲れた恋愛模様を多視点でハイブリッドさせた日常小説であった。 私とそりが合わない作家さんだと確認で...

読むことはないであろうと思っていた作家さんである 小池真理子さんの『沈黙のひと』を読んだように、 今回、江國香織さんの作品を読んでみた。 統合失調症気味のテレパスな幼稚園児と 大人の疲れた恋愛模様を多視点でハイブリッドさせた日常小説であった。 私とそりが合わない作家さんだと確認できたことが今回の収穫。 ごめんなさい。 2015 年 第51回 谷崎潤一郎賞受賞作品。

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2015/08/08

言葉でなく虫とコミュニケーションができるって、なんかわかる。こどものときってそういう感覚あるんじゃないかな。この世界をどんなふうに感じてどう反応していくのか。この本の感覚。なんか好きです。

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