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屍者の帝国 の商品レビュー

3.5

159件のお客様レビュー

  1. 5つ

    21

  2. 4つ

    40

  3. 3つ

    49

  4. 2つ

    11

  5. 1つ

    4

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2019/08/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

フライデーは意識…魂を得るんだよね?いつ?いつなの? それだけが見たくてなんとか読み終えた。 話の流れはわかったけど、たぶん、肝心なところが理解できていない。 けど、 ワトソンの「言葉」によって意思を得たフライデー というのが答え。ということでいいのかな… エピローグの「ありがとう」からのあとがきでグッときた。 このはなし自体がフライデーの手記であり、ワトソンはその時点で物語になった。ということ?

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2019/08/20

2009年に逝去した伊藤計劃氏。 『虐殺器官』『ハーモニー』に次ぐ一冊。手掛ける途中にあの世へ旅立ち、円城塔氏が引き継いだ。 屍者復活技術が用いられ、労働力として死者を活用する。歴史改変ものにカテゴリされるSF作品。 ただ、題材が屍者だけに、キリスト教義やイスラム教義と宗教...

2009年に逝去した伊藤計劃氏。 『虐殺器官』『ハーモニー』に次ぐ一冊。手掛ける途中にあの世へ旅立ち、円城塔氏が引き継いだ。 屍者復活技術が用いられ、労働力として死者を活用する。歴史改変ものにカテゴリされるSF作品。 ただ、題材が屍者だけに、キリスト教義やイスラム教義と宗教的、哲学的要素が多分に溢れる。 イデア論の講義でも受けてるようでした。 人は生前と死後直後では重さが21g軽くなる、と。 魂の重さはつまり21g. ただ、この屍者のワードをAIに変えるとあながち...怖い一冊でした。

Posted byブクログ

2019/08/19

伊藤計劃三部作のラストは未完の書を盟友円城塔が完成させた力作。伊藤の世界観を崩さず円城さんの良いところが出た力作となっていた。屍を労働力として受け入れている歴史改変小説なので、色んな歴史上の人物が登場してきておもしろい。Mの弟って確実にホームズで、本書の主人公のワトソンは、あのワ...

伊藤計劃三部作のラストは未完の書を盟友円城塔が完成させた力作。伊藤の世界観を崩さず円城さんの良いところが出た力作となっていた。屍を労働力として受け入れている歴史改変小説なので、色んな歴史上の人物が登場してきておもしろい。Mの弟って確実にホームズで、本書の主人公のワトソンは、あのワトソンだね。ダーウィンとかフランケンシュタインとか出てきてびっくりですよ。

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2019/08/03

屍者技術が発達したスチームパンク世界での歴史改変SF。 言葉と意識を中心に描いた伊藤計劃先生と言葉と語りを中心に描いている円城塔先生の共作です。その答えが”書くこと”で描かれるのは膝を打ちました。 ストーリー展開としてはヴィクターの手記という究極の屍者技術をめぐる冒険活劇もので...

屍者技術が発達したスチームパンク世界での歴史改変SF。 言葉と意識を中心に描いた伊藤計劃先生と言葉と語りを中心に描いている円城塔先生の共作です。その答えが”書くこと”で描かれるのは膝を打ちました。 ストーリー展開としてはヴィクターの手記という究極の屍者技術をめぐる冒険活劇ものですが、魂を追い求める主人公は切実さと悲痛さがあります。そして旅の先々で出会う屍者を利用方法。驚き、叫び、そして主人公の執念が刺さる作品となっています。 歴史改変SFとしての楽しさも十二分にある作品です。 ※映像化もしている本作。映画版は若干の改変があるもののよくまとめたなという印象。なによりキャッチコピーの”求めたのは21グラムの魂と君の言葉”がかっこよすぎます。

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2019/04/20

ただでさえ栄光なれど陰鬱な印象のあるヴィクトリア朝ロンドン、それが、スチームパンク的世界観と屍者(ゾンビ)の使役で光と影と霧が一層濃くなったようなどろりとした世界観。 最初からとても引き込まれた。ただ、スチームパンク的な世界観や屍者技術の背景は一貫しているものの、途中からそうい...

ただでさえ栄光なれど陰鬱な印象のあるヴィクトリア朝ロンドン、それが、スチームパンク的世界観と屍者(ゾンビ)の使役で光と影と霧が一層濃くなったようなどろりとした世界観。 最初からとても引き込まれた。ただ、スチームパンク的な世界観や屍者技術の背景は一貫しているものの、途中からそういった世界観は脇役になり、内面的というか概念的な話が主となってくる。 その雰囲気はまさに円城塔の文字渦。 たまたま少し前に読んでいたからよかったけれど、そうでなければ頭がかなり混乱していたんじゃないかとも思う。 統一した世界観に基づいたきちんと組み上げられたSFでおもしろかった。次は伊藤計劃が最後まで書き上げた小説も手にしてみたい。 それはそうと、本作品を原作としたアニメがあったので視聴開始してみた。まだ三分の一ぐらいしか見ていないけれど、屍者の動きはおーこんな感じっぽいと感心したけど、あとは世界観の雰囲気と登場人物を借りてきた別物だった。ストーリーが全然違うし、世界観や各登場人物の行動に整合性がいまひとつ感じられない。 勢いで雰囲気を楽しむタイプのファンタジーとしてみれば残り三分の二も楽しめるかなあ?

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2019/04/02

屍者(死者)を道具として扱い、戦争も行われる時代が舞台。屍者の謎に迫りながら世界各地を飛び回り、その真相に迫っていくというようなストーリー。 かなり間を空けつつ読んでしまったので、ストーリーがうまく頭に入りきらずに読み進めてしまった感が否めない。 読み進めていくうちに回答に近づい...

屍者(死者)を道具として扱い、戦争も行われる時代が舞台。屍者の謎に迫りながら世界各地を飛び回り、その真相に迫っていくというようなストーリー。 かなり間を空けつつ読んでしまったので、ストーリーがうまく頭に入りきらずに読み進めてしまった感が否めない。 読み進めていくうちに回答に近づいていく感じはあるけど、テーマとして哲学のようなものを扱ってるので、謎が解けてスッキリ!というものはない。好き嫌いは分かれそう。

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2019/03/23

スチームパンクで19世紀末の社会に「死者を復活させ思うがままに操る」技術が確立され、さっそくクリミヤ戦争などに用いられる。語り手はシャーロック・ホームズの語り手として有名なワトソン。基本的アイデアとしては『地球の長い午後』。『虐殺…』でも見られた言語への関心が“もっとも根本的な言...

スチームパンクで19世紀末の社会に「死者を復活させ思うがままに操る」技術が確立され、さっそくクリミヤ戦争などに用いられる。語り手はシャーロック・ホームズの語り手として有名なワトソン。基本的アイデアとしては『地球の長い午後』。『虐殺…』でも見られた言語への関心が“もっとも根本的な言語は何か”すなわち「アダムの言語」がカギとなり人類の始原につながる、「なぜヒト以外は復活させられなかったか?魂がないからだ」西欧的発想と言える。“自我はどこから来るのか”という疑問を仏教では《中心的自我はない》という根本教理で解明

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2019/01/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

伊藤計劃の遺作プロローグを引き継いだ完成させたという背景情報と切っても切れない関係の小説。なんやかんや言いながらもきっちりと伊藤計劃らしさを出しているのは見事だし、ここまでの文量に仕上げる熱量もさすがと言うしかない。時代改変としての面白さや小ネタの使い方が非常に巧みで、文章遊びはさすがの手練。ただ、円城塔を消し去ることはできず、ページを経る毎にまったくもって冗長で小難しくなっていく文章はSFエンターテイメントではなく、SF=Speculative Fictionとしての性格を強くしていくのがご愛嬌。正直、分かったような分からんような(おそらく自分の理解レベルはバーナビーだろう)感想だが、エピローグ+あとがきを読むことで完成される感情は、合作としては出来過ぎ。

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2018/12/29

誰もが知ってる著書の「要素」をミルフィーユみたいに重ねてくいわゆるリミックスものが好きで(主語が長い)、この作品はまさに筆頭。おまけに大英帝国のみならずロシア、アフガン、日本まで巻き込んで自在に調理しちゃうのがすごい。作品自体は衒学的といえなくもないけど、それを越えるスリルと面白...

誰もが知ってる著書の「要素」をミルフィーユみたいに重ねてくいわゆるリミックスものが好きで(主語が長い)、この作品はまさに筆頭。おまけに大英帝国のみならずロシア、アフガン、日本まで巻き込んで自在に調理しちゃうのがすごい。作品自体は衒学的といえなくもないけど、それを越えるスリルと面白さ。

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2018/12/25

 伊藤計劃のあとをついで円城塔が書き上げた。非常に長くて山を登るように読んだ。  情報量が多い割にカタルシスが少なく、盛り上がりにかけるので最後の方は辛かった。この小説に出てくる驚くべき情報は、本当かどうかわからないのも分かりにくさに拍車をかけている。物語としての面白さが少なく感...

 伊藤計劃のあとをついで円城塔が書き上げた。非常に長くて山を登るように読んだ。  情報量が多い割にカタルシスが少なく、盛り上がりにかけるので最後の方は辛かった。この小説に出てくる驚くべき情報は、本当かどうかわからないのも分かりにくさに拍車をかけている。物語としての面白さが少なく感じた。  主人公はホームズに登場するワトソンで、まだホームズには会う前の話だ。そのほかにもカラマーゾフだとかヘルシングだとか創作の人物が出てくる。実在の人物としてはバーナビーやフョードロフも出てくる。なので創作物や歴史に詳しい方が面白く読めるだろう。ハダリーが、ホームズに登場するアイリーンになって、フライデーがモリアーティになるのは無理矢理だけど、けっこう面白そうな感じがするので続編として書いて欲しいな。  19世紀、屍者を労働力として使う世界。伊藤計劃が、ここからどのような物語を書くのか気になる。円城塔は死が薄れている世界で、死とは何か? 魂とは何か? という事を書いた。ザ・ワンは、人に菌株がいてそれが意思を決める、というような事言った。屍者を増やすと菌株の拡大派が増長して、世界は屍者しかいなくなり、生者も生きながら屍者になる。この辺りの話はややこしいし、確定していないので、よく分からない。  全体的に本筋や目的を提示していないので、エンタメ作品としての魅力が無い。情報量に見合う興奮が無かった。ヘルシングは菌株のことを言葉と言い換えてもいいといった。これは虐殺器官からの引用と見てもいい。円城塔が亡き伊藤計劃に対してのメッセージが本文にはあるのかもしれないが、それを読み解こうと思うほどの熱量を持てる物語ではなかった。  円城塔については他の小説を読んだことがないのだが、著書を読んで癖を知らないと、この作者については分からないかもしれない。文章からはそんな印象を受けた。

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