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すべて真夜中の恋人たち の商品レビュー

3.5

616件のお客様レビュー

  1. 5つ

    104

  2. 4つ

    171

  3. 3つ

    195

  4. 2つ

    59

  5. 1つ

    12

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2022/05/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

心が嫌な感じに動かされる、女性特有の関係性の描写がとても上手い本。 風景や人の考え感情の描写も細かくて上手。 ただ細かいというのは直接感情を書いているのではなく、登場人物の行動や他人とのやり取りの中で伝える描写が多い。 恋愛を描いているのだろうけど、それだけじゃない他の部分の描写が強く心に残る。 主人公がいつもお酒を飲んでいる状態で好きな人と会っているのが不思議。鞄の中に日本酒を入れて持ち運んでいるのも不思議。 人と関わるのが怖いから、それを忘れるために飲みながら会うようしてるみたい。 そして、主人公が大切にしていたであろう 昔仲良かった中学の友達との思い出 そして社会人になってから出会えた友人。 そういう人達が、周りからあるいは自分から主人公との関係性を壊すような発言をしたり聴いたりする部分が心が痛い。 主人公があまり自己主張しないタイプなので、本人がどう感じているかも行動の描写で感じ取るしかないので、すごく気になる。心を痛めているのか、あまり気にしていないのか。 主人公以外は発言をしっかりするので、思ってること考えが分かりやすいのだが、主人公は本当に分からない。 唯一分かるのが、恋をしているという事実。 他のことはあまり気にしていない様子で執着もないけど、その人の事になると自分の今までの生活も変わるくらいの影響を受けてる。 そんな自分がわからなくなる恋はあまり出来ないと思うから、とてもいいよね。 恋は成就することはなく終わり、ぶつかっていた友達ともきちんと腹割ったせいか元の関係性に戻り、なんて事ない日常に戻る最後となる。 直接的な書き方をしないので、色んな事が想像の余地があり、余韻が凄く残る作品だと思う。 私は女性の関係性の部分の曖昧な書き方が上手すぎて、そこが心を抉った。

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2022/05/30

タイトルに惹かれて読みました。 孤独に身を置きながらも、どこかで誰かとの繋がりを求めていたり、、、そういう不器用な人って結構多いんじゃないかなと思います。 人と人との繋がりが希薄になりがちな現代だからこそ読みたい作品。 著者の作品を初めて読みましたが、とても繊細で綺麗な文章でした...

タイトルに惹かれて読みました。 孤独に身を置きながらも、どこかで誰かとの繋がりを求めていたり、、、そういう不器用な人って結構多いんじゃないかなと思います。 人と人との繋がりが希薄になりがちな現代だからこそ読みたい作品。 著者の作品を初めて読みましたが、とても繊細で綺麗な文章でした。

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2022/05/29

表現が繊細やあ 近づいてこうとすると離れてく感じでまさにこのストーリーの体現的な感じだ 乳と卵とはまた違ってて楽しめた 所々出てくる登場人物たちの長めの熱弁、また読みたい この人の本は今のところ女対女でジェンダーの話をしてるのがおもろいな

Posted byブクログ

2022/07/01

1回目に読んだときの新鮮な気持ちを残す。 電車の中で足を大きく広げている人がいると、なんで足を閉じてスペースを作らないんだろうって思ったり、足を擦ってコツコツ鳴らしながら歩く人を見ると、なんでわざわざうるさい音を鳴らして歩くんだろうって思ったりする。なんだか自分には人よりも敏感な...

1回目に読んだときの新鮮な気持ちを残す。 電車の中で足を大きく広げている人がいると、なんで足を閉じてスペースを作らないんだろうって思ったり、足を擦ってコツコツ鳴らしながら歩く人を見ると、なんでわざわざうるさい音を鳴らして歩くんだろうって思ったりする。なんだか自分には人よりも敏感な部分が多いのかなって途方もない気持ちになることが多いまま生きてきた。それを時折、自分は生きづらい人間だなとか他の人はどうして気にしないでいられるのだろうとか思ったりしたこともある。でも考えても考えてもぐるぐる回るばかりで答えは出なくて、結局闇雲になってしまっていた。そうしているうちに、誰かに自分の本当の気持ちや考えを伝えるのが苦手になって、勝手に壁を立てて、勝手に孤独になっていった。感情を露わにするのはエネルギーを使うから大変だし、拒絶されたら怖いし、だったら表に出さずに、にせものの、つくりものの気持ちで繕っていれば自分は傷つかなくていい。そんな自分には聖の言葉がひどく刺さった。この本にはそんな自分に近いような、自己投影できるような、そんな生きづらさを抱えた主人公がいて、でもそれでいてどこか明るさや清々しさがあった。自分も救われた気がした。人間には、言語化できない部分が多いと思っている。それを乗り越えたくて、自分の思考を言語化したくて、映画を見たときにレビューを書くようにし始めた。そうすると自分の語彙のなさに嫌気がさして、読書を始めた。読書には映画には違う言語化されたものが詰まっていたから、そんな不純な動機から始まった読書に今は夢中になっている。だからこそ、この本の自分の感情は何かからの引用だって言葉も、それすらも引用かもって言葉もって言葉もどこか深く刺さるものがあった。映画や本や芸術に触れた自分のこの気持ちを言語化しようと記すとそこにまた別の要素が入って自分の純粋な気持ちが濁ってしまう。じゃあ自分の思いってどう表せるんだろう。そもそも自分を自分たらしめるものはなんなんだろうって。この本には言語化できないと思っていたはずの部分がきちんと、包み隠さずに言語化されていた。目で見た以上の情景も、単にふと思っただけことも、分からないことが分からないとも。難しい言葉で飾るだけが表現することではなかった。ひらがなと漢字まじりなことでそこに人間味が溢れ出てた気もする。合間合間に挟まれる描写が詩的だから頭の中で考えるのは難しかったけれど、何度も何度も反芻する楽しさも覚えた。こういう経験を通じたときに、自分の中に生まれる気持ちや考えは、上に述べたように他人の引用なのだろうかな。今記しているこの感想も引用なのかな。たしかに引用なのかもしれない。でもそんな引用が混ざり合って、それが透徹していなくても、むしろ濁っているからこそ自分の色になってくれるんじゃないかな。だからこそ人の人生って十人十色で多様な経験によって分岐して同じ人が二度同じ人でないように、「ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。」というように自分は絶えず変化し続けているし、そんな色んなものが混じって自分が唯一の自分なんだろうなって。自分が触れてきたものが引用したものが自分を自分たら占めるんだろうなって。そんな色んな気持ちが自分の頭の中を回り回っているけど、それは決してモヤモヤした気持ちでなくふわふわした心地良いぐるぐるで、そのぐるぐると一緒に夜の散歩に出たくなった。

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2022/05/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

恋のストーリーより、響との友情の深化の方に心動かされてしまったかも 笑。 彼は向き合ってくれなかったのは残念だけど、でも、冬子が真剣に恋したり行動したことに悔いはなさそうで、そこがまず大切なことだよなぁと心に小さな火が灯る読後感。

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2022/05/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自分でも気付かないほどの不安が少しずつ少しずつたまっていって(たんだと思う)、流れるようにアルコール漬けの毎日になっていく主人公の描写が恐ろしい。それでも友達になりたいと泣いてくれる人が近くにいる人生はきっと素敵だ。

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2022/04/09

描写が丁寧な小説。 冬子の気持ちにも思わず入り込んでしまって一気に読んでしまった。 「・・・なんだかね、たとえばさ、うれしいとか悲しいとか、不安とか、色々あるじゃない。テレビみて面白いなあとか、エビ食べておいしいなあとか、なんでも。でもね、そんなのっていつか仕事で読んだり触れた...

描写が丁寧な小説。 冬子の気持ちにも思わず入り込んでしまって一気に読んでしまった。 「・・・なんだかね、たとえばさ、うれしいとか悲しいとか、不安とか、色々あるじゃない。テレビみて面白いなあとか、エビ食べておいしいなあとか、なんでも。でもね、そんなのっていつか仕事で読んだり触れたりした文章の引用じゃないかって思えるの。何かに対して感情が動いたような気がしても、それってほんとうに自分が思っていることなのかどうかが、自分でもよくわからないのよ。いつか誰かが書き記した、それが文章じゃなくてもね。映画の台詞でも表情でもなんでもいいんだけど、とにかく他人のものを引用しているような気持ちになるの」

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2022/03/29

大人の恋愛小説が読みたいと思って購入。170Pあたりでギブアップした。とにかく物語のペースが遅すぎると思う。主人公が恋におちる男性に出会うのが約100Pあたり。それまで延々と主人公の退廃的な日常を読むことを強制されるのが本当に苦痛だった。 主人公のキャラクターもあまり好きになれ...

大人の恋愛小説が読みたいと思って購入。170Pあたりでギブアップした。とにかく物語のペースが遅すぎると思う。主人公が恋におちる男性に出会うのが約100Pあたり。それまで延々と主人公の退廃的な日常を読むことを強制されるのが本当に苦痛だった。 主人公のキャラクターもあまり好きになれなかった。受け身で主体的に動かず、かといって能力が極端に低いわけでもないので仕事はそこそこでき、一日中ビールをあおる主人公。ある意味人間っぽいなと思うけど、このキャラクターをもっと知りたいとは到底思えなかった。 ゆったりと時間をかけて小説を楽しみたいという人には刺さるかも。すくなくともエンタメ系の小説を期待する人にはおすすめできない作品。

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2022/03/29

余韻がすごい。会社で読み終えたくなかった。。 景色や色や音の描写がとてもきれいで好きだった。空間がゆっくり流れてじっくり感じられるような気がした。すごく好きだった表現は「スニーカーの中で雨を踏む」ずぶ濡れのスニーカーとそれを踏む足の感覚が伝わって音も感じた。お話は全体的に切なく...

余韻がすごい。会社で読み終えたくなかった。。 景色や色や音の描写がとてもきれいで好きだった。空間がゆっくり流れてじっくり感じられるような気がした。すごく好きだった表現は「スニーカーの中で雨を踏む」ずぶ濡れのスニーカーとそれを踏む足の感覚が伝わって音も感じた。お話は全体的に切なくて寂しくて、終わりもその感覚が続いていく感じだった。でも人の優しさも感じられた。別の話も読んでみたい。

Posted byブクログ

2022/03/06

辺りはシンとして、静まり返った夜に読みたい本 綺麗な文字の連なりにうっとり… 登場人物たちに感情移入はできなかったけれど なんだか、分からないけど心が洗われた。

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