木暮荘物語 の商品レビュー
アパートの木暮荘に住む人々の性と人間模様などを描いた作品。狭い空間の中に、様々な年齢層、境遇、職業、男女の関係を持つ人たちが暮らし、男女の関係について思想の異なる人達から見えてくる人間模様や、性に関する考えの違いなどはピンク系も出しているがいやらしくなくて面白い。それぞれの生き方...
アパートの木暮荘に住む人々の性と人間模様などを描いた作品。狭い空間の中に、様々な年齢層、境遇、職業、男女の関係を持つ人たちが暮らし、男女の関係について思想の異なる人達から見えてくる人間模様や、性に関する考えの違いなどはピンク系も出しているがいやらしくなくて面白い。それぞれの生き方が違い、思っていたイメージとはまた違う生活感も出してして、濃密な生活ぶりが出されていると感じる。色々な事情を抱え、木暮荘で壁が薄いことによる生活音が気になりつつも健気に生きている姿が良く、彼らの今後も気になる。
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世田谷代田のぼろアパート、木暮荘の大家さんと住人達を描いた、連作短編集。 一つ一つの話がつながりを持っていて、一つの大きな作品を読むのと同じような充実感がある。 巻末の角田光代さんのことばを借りれば、登場人物たちはどこか「過剰か、欠落」した人たち。 (それは、私も同じだ。) そ...
世田谷代田のぼろアパート、木暮荘の大家さんと住人達を描いた、連作短編集。 一つ一つの話がつながりを持っていて、一つの大きな作品を読むのと同じような充実感がある。 巻末の角田光代さんのことばを借りれば、登場人物たちはどこか「過剰か、欠落」した人たち。 (それは、私も同じだ。) その人たちを通して描いているのは、「セックス」のこと。 濡れ場の、煽情的な描写なんて、まったくない。 例えば、大家の木暮さん。 長年まじめに勤め上げ、人生の終わりを意識するようになり、ふと、しかし強烈に「セックス」への渇望に気づく。 しかし、長年連れ添った妻からは、照れ隠しなのか、本気なのか分からない形で拒まれる。 そこで木暮さんは怒りや焦燥感の中で、自分の人生とは何だったのか、と自問せずにはいられない。 卵子を作れない体に生まれた女子大生、光子は、家事もせず、一時に何人もの男とつきあうような生活を送っている。 ある時友人に赤ちゃんを押し付けられ、世話をする中で、産めない自分が小さな命を慈しむ力を豊かに持っていることに気づく。 写真家の瀬戸並木は、恋愛とセックスがうまく結びつかない。 こんなふうに、どの人物も、その人の人生の相似形として、セックスの問題が浮かび上がってくる。 テーマ的には切ない話が多いけれど、そこが三浦作品というべきで、どこかおかしさが漂う。 甘くて、辛くて、酸っぱくて、でも後を引く食べ物のような感じ、だろうか。
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角田さんの書評(?)のとおり。出てくるのはどこか変な、面倒な人間がほとんどだが、なんとなく共感できてしまうところもある。性に関する話は共通しているが、いやらしくはない。でも少し胃もたれする。 ミネの話が一番よかった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ひとつのアパートにまつわる人々を短編で描く ・元カレが転がり込んでくる若い女性 ・セックスしたい年配の男性 ・ヤクザと仲良くなるトリマー ・夫が浮気している花屋/喫茶店の店主 ・男をとっかえひっかえする女性を覗く男性 ・友達から子供を預かる、妊娠できない女性 ・女性の部屋に転がり込むカメラマンの卵
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連作短編集。 何となく、ほのぼのとした人情物語なのかと思っていたんだけど、ちょっと違う。 そこにあるのは、セックスという生々しいもの。 それぞれの住人が、それぞれの事情で、極端な話、セックスについていろいろ思いを馳せる。 それは、住人同士の繋がりだったり、まったく関係なか...
連作短編集。 何となく、ほのぼのとした人情物語なのかと思っていたんだけど、ちょっと違う。 そこにあるのは、セックスという生々しいもの。 それぞれの住人が、それぞれの事情で、極端な話、セックスについていろいろ思いを馳せる。 それは、住人同士の繋がりだったり、まったく関係なかったりするんだけど、妙に気になったりする。 不思議な読後感なんだけど、多分、数ヶ月後か数年後には内容を忘れてしまうような気がする。
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面白かったです。 思わぬ展開に、すこしばかり赤面しながら読了。 一番好きだったのは#ピース 友人の赤ちゃんをあずかることになった女子大生のお話。 赤ちゃんに振り回され、彼女が次第にママになっていくのが微笑ましかったです。 後は、妙なきっかけでヤクザと知り合いになったトリマーの恋...
面白かったです。 思わぬ展開に、すこしばかり赤面しながら読了。 一番好きだったのは#ピース 友人の赤ちゃんをあずかることになった女子大生のお話。 赤ちゃんに振り回され、彼女が次第にママになっていくのが微笑ましかったです。 後は、妙なきっかけでヤクザと知り合いになったトリマーの恋物語も。 登場人物の人間くささが、妙にせつなかったり、 どこか人肌のぬくもりのようなものを感じる短編集でした。 それにしても、人間という生き物は面倒くさい生き物ですね。 煩悩を抱え悶々としていながら、生半可なプライドが邪魔をして素直になれない。 それに比べて、ジョンのなんとお気楽なことか。 あぁ、羨ましい。 ちなみに、シャンプーされたら毛の色が変わって、柄が出てきたジョン。 どれだけ汚れてたんだ!(笑)
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三浦しをんの小説を初めて読んだ。どんな話なのか、予備知識無しで、きっとほのぼのして小さな感動が詰まってるんだろうと期待してた。途中から、共通項は小暮荘というアパートだけではなく下ネタ、いや「性」なのか、とびっくり。もしかして、電車や喫茶店でこの本を読んでたら、恥ずかしい本?て思い...
三浦しをんの小説を初めて読んだ。どんな話なのか、予備知識無しで、きっとほのぼのして小さな感動が詰まってるんだろうと期待してた。途中から、共通項は小暮荘というアパートだけではなく下ネタ、いや「性」なのか、とびっくり。もしかして、電車や喫茶店でこの本を読んでたら、恥ずかしい本?て思いながら読み進めた。 とても読みやすくて面白いと思った。でも、好きか嫌いかと言えば、好きではない。話が急転直下な感じがするし、そんな人いるわけないじゃん、って人が登場したり。ごった煮な印象が強くて、余韻があまり無かった。でも、またこの作家の小説は読んでみようと思う。
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日々の疲れている時に、 ほっこりさせてくれる一冊。 ほのぼのーつーか、まったりつーか 気構えなくてサッと読める。 小暮壮住人の近辺のお話、 とありがちな構成でありますが、 キャラがたっていていい感じ。 大家の小暮さんの話で笑い ラストの並木ではしんみり。
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★3.5。 映像化されることが容易に想像できるほど映像的小説。複数のキャラを交錯させる連作は現在の流行りですかな?なかなかグッドなエンターテインメントであります。 でもちょっと世界が狭いのかな?ここのところ日本人的感性を疑わせる事件というか出来事が多いため余計にそう感じたのかもし...
★3.5。 映像化されることが容易に想像できるほど映像的小説。複数のキャラを交錯させる連作は現在の流行りですかな?なかなかグッドなエンターテインメントであります。 でもちょっと世界が狭いのかな?ここのところ日本人的感性を疑わせる事件というか出来事が多いため余計にそう感じたのかもしれませんが、手の届くような身近とも思えるお話に身を浸すだけではいかんと思う今日この頃。
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小暮荘に住む人たちの、ほのぼのとした日常を描く短編集 …かと思いきや! どの話の底にも、性的な感覚とかやりとりとか、そういうのがあって、でも、それが全然いやらしくないかんじであって、たぶん、日常ってそういうことなんだろうなと思った。 夫が浮気をしていた喫茶店の夫婦の話は、普通に...
小暮荘に住む人たちの、ほのぼのとした日常を描く短編集 …かと思いきや! どの話の底にも、性的な感覚とかやりとりとか、そういうのがあって、でも、それが全然いやらしくないかんじであって、たぶん、日常ってそういうことなんだろうなと思った。 夫が浮気をしていた喫茶店の夫婦の話は、普通に腹が立ったけど、最後は受け入れるんだなぁ、と思った。なにが正しいのかは分からないけど。 あと、一番最初の話に出てきた、海外からかえってきた男の子(並木くん)は、1話めではなかなか魅力的で、颯爽と去っていったけど、あとから、未練たらたらで別れた女の子の回りにいた、とかいう話も、なんとなくリアルだと思った。
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