水声 の商品レビュー
読み終わったあと「水声」というタイトルがさらさらと体の中を走り抜けて、なんとも清々しいきもちになった。ていねいに、ていねいに、自分の、そして誰かの「好き」のきもちを大切に抱いて生きていく話。人や物はもちろん。景色や想い出や時間や言葉。自分が「好き」と感じたものに正直に、緊張感を忘...
読み終わったあと「水声」というタイトルがさらさらと体の中を走り抜けて、なんとも清々しいきもちになった。ていねいに、ていねいに、自分の、そして誰かの「好き」のきもちを大切に抱いて生きていく話。人や物はもちろん。景色や想い出や時間や言葉。自分が「好き」と感じたものに正直に、緊張感を忘れずに寄り添っていく。その想いさえあれば少しのつらいことや哀しいことは乗り越えていけるのかもしれない。 川上弘美さんの文章を読んでる時間がたまらなく好きだ。ファンタジーのなかに真実があって、やさしくてかなしくて。この本を読みながら年を越せてしあわせだった。
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川上弘美作品を読むと、映像が流れる。 家や、鳥や、階段や、シーツや、雑多なものを、部分的なピンナップでみているこころもちになる。 間取りを、人となりを、行為を、俯瞰してみているこころもちになる。 そうやって見ていてちょっと「やだな」と思うことも、「痛いな」と思うことも、川上弘...
川上弘美作品を読むと、映像が流れる。 家や、鳥や、階段や、シーツや、雑多なものを、部分的なピンナップでみているこころもちになる。 間取りを、人となりを、行為を、俯瞰してみているこころもちになる。 そうやって見ていてちょっと「やだな」と思うことも、「痛いな」と思うことも、川上弘美作品の中ではゆらゆら浮かんでは沈み、善悪の判断を迷わせる。 泳いだ後の思わぬ疲労感と、からだの重さと、さっきまで死に近いところにいたんだという潜在的恐怖からの脱却による安堵と、何故か感じてしまうそこはかとない残念さ。死に近づけなかった悔しさ、でも近づいた誇らしさ。読了後のわたしのからだにまとわりつく雫。
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好きだった… でも好きって何? わからない… どうして執着してしまうのか 水の煌めきの様な文章に、たゆたう時間。父母の関係と姉弟の関係。本当の父。それぞれの人が生き切った歴史が、紡がれている。 文章が透明。
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呼吸をするように、相手を愛した。 彼、彼女を愛することは、生きることと同義だった。 差し挟まれる戦争や実際の事件・天災が、人生の不安定さ、その上で生き続ける人間の逞しさを裏打ちしていた気がする。 彼女ら、彼らは、なぜ、彼、彼女を愛したのだろう。 生を繋ぎ留めたかったのかなあ。
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不思議な雰囲気を纏った作品。上手く理解する事が出来ないががむしゃらに食らいつき、なんとか読了。川上弘美の作品を読む時っていつもこんな感じだなと思う。エッセイと作品はまるで別人的な。『家族』というカテゴライズにとらわれず、思ったままに素直に人を愛せたら楽なのかなと思ったり。しかし、よくわからない。難しい問題である。
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川上弘美さんの作品は初。読了。 テーマは大きく言うと「家族と愛」かな。 親子、兄妹、姉弟、世代を超えた因縁とか、いろいろ。 どっぷりそのまま感情移入というのはできなかったけれど もしかしたら、こういうのもあるのかも。と思わせるあたり、やっぱり実力のある作家さんなのかなと思います。
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皆さん書かれていますが装丁が素敵ですね。 水の声?と思ったのですがなるほど、読むとそういうことねとわかりますね。造語なのでしょうが絶妙のタイトルですね。 話を過去と現在を行きつ戻りつ書かれる物語はたくさんありますが、章立てせず平の文章の流れのみで綴っていくのは並みの力量ではできないことと、この手のスタイルの文を読むといつも思います。(雑誌で連載していた 山田詠美さんの「賢人の愛」を読んだ時もすごい力量と改めて思った過去現在行ったり来たり系文体でした) 川上さんは、中だるみもせず緊張感を持った文体で「家族」の関係性を最後まで描き出していきます。 いやほんとすごい。文章うまいなぁといつもながら思いました。 大切な人を失うと、確実に「その人以前」「その人以後」に記憶は分かれます。ここに書かれたことはみんなおそらくそうであるのに案外気づかれていなかったそのことをなぞっているのだと思いました。 あまりにも大切な人を喪ったばかりに、絶対に失くせないものは何なのかということが痛いほど突きつけられてきて、そのあまり倫理など関係なくなってしまうのでしょうか。倫理、という言葉が薄情に感じられるほどの姉弟の関係です。 でも、弟の側から描いたら微妙に違う物語が展開されそうな気もします。痛い…切ないなと思いつつ、わかるその感じと思いつつ、最終的には姉弟の愛の物語というところに乗り切れなかった自分。現在は五十半ばである姉弟が振り返るにしては生々しいというか若々しいというか何だろう、違和感をちょっと感じ…というところで故に星三つ。
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都と陵の不思議な姉と弟。亡くなった母親にとらわれる都、地下鉄サリン事件で死を感じた陵。さらに東日本大地震。生を不思議な感覚で描かれている。
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装丁に一目惚れして購入。カバーを外しても素敵だし、本体を邪魔しない帯もナイス。 なんだかとても不思議な空気が流れている小説でした。 よくよく考えると近親相姦の部分もありますが、拒絶するというよりも、「そういうのもこの世界ならアリなのかもしれないな」と思わされてしまいました。 マ...
装丁に一目惚れして購入。カバーを外しても素敵だし、本体を邪魔しない帯もナイス。 なんだかとても不思議な空気が流れている小説でした。 よくよく考えると近親相姦の部分もありますが、拒絶するというよりも、「そういうのもこの世界ならアリなのかもしれないな」と思わされてしまいました。 ママのキャラクターが強烈だし、周りの親戚や友達も謎キャラだらけだし、一度読んだだけでは咀嚼しきれず。
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そこはかとなくよしもとばななさん的な、静かな物語。この作品のテーマは何なんだろうと考えつつ読んだ。カルマ?
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