ストーナー の商品レビュー
人生は一度しか歩むことができない。しかし、優れた文学に没入する時間は、あたかも自分自身の記憶として深く刻まれるような、濃密な人生の疑似体験を可能にしてくれる。 『ストーナー』が描くのは、決して順風満帆ではない、不幸も重なる男の生涯だ。だが、その乾いた日々の中に、学問への純粋な愛...
人生は一度しか歩むことができない。しかし、優れた文学に没入する時間は、あたかも自分自身の記憶として深く刻まれるような、濃密な人生の疑似体験を可能にしてくれる。 『ストーナー』が描くのは、決して順風満帆ではない、不幸も重なる男の生涯だ。だが、その乾いた日々の中に、学問への純粋な愛、指導の喜び、娘への静かな配慮が確かに存在していた。客観的な成功とは無縁でも、それら一つひとつの実感が、彼の人生を内側から豊かにしていたのではないか。 特筆すべきは、ワンシーンごとの描写の美しさだ。まるで情景絵画を眺めているかのように、物語の背景にある光や影、空気が鮮やかに想起される。その筆致が、救いのない現実にさえも、ある種の気高さを与えている。 作中、彼の著書が「忘れ去られた」と記されるシーンがある。しかし、それは敗北ではない。たとえ世界が忘れても、その本は彼が確かに生き、愛し、思考した「生きた証」そのものだ。 #ストーナー #ジョン・ウィリアムズ #読了 #海外文学 #静かなる傑作 #一生モノの一冊
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主人公を子供の頃から死ぬまでを通して描いた小説はいくつもあるが、これは珠玉の小説であった。主人公と関わる人々が目の前に生き生きと浮かび上がるような力のある文章であった。人生も晩年になる頃に、この作品に出会えてよかった、と本当に感謝。
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ストーナー氏の生涯を小説にしたものです。 貧しい田舎で生まれ、大学に入り、友が出来、結婚し、子供が生まれ、助教授として生涯を終える。その人生の中で彼が経験し感ずるする様々な思い感情が肌身で感じる事が出来て、最後にはなんとも言えない幸福感を味わう事が出来ます。 小説とはこうであると...
ストーナー氏の生涯を小説にしたものです。 貧しい田舎で生まれ、大学に入り、友が出来、結婚し、子供が生まれ、助教授として生涯を終える。その人生の中で彼が経験し感ずるする様々な思い感情が肌身で感じる事が出来て、最後にはなんとも言えない幸福感を味わう事が出来ます。 小説とはこうであると思わされます。
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本当に美しい素晴らしい小説でしたね。本を読んで美しいと思ったのは初めてです。60年前の小説ですが全く色褪せませんし、最後数頁の描写なんて、鳥肌が立つくらい素晴らしいです。 人生上手くいく事もあれば、いかない事もある。ストーナーさんの最後美しかったなぁ。
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この小説って何が面白いんだろ。 わからん。 よくありそうな男性の人生を、とくに波瀾万丈あるわけでもなく書いてあるだけなのに。 どこかしらに共感することがあるから? 分からないけど好きだったな。 特に最初らへんが好きだった。言葉も綺麗で。 知らない単語ばかりでした。 翻訳するの凄い...
この小説って何が面白いんだろ。 わからん。 よくありそうな男性の人生を、とくに波瀾万丈あるわけでもなく書いてあるだけなのに。 どこかしらに共感することがあるから? 分からないけど好きだったな。 特に最初らへんが好きだった。言葉も綺麗で。 知らない単語ばかりでした。 翻訳するの凄いなぁ。 難しいんだけど、読みやすいの。 日本語ってこんな表現できるんだぁ。素敵だなぁって。 翻訳された、変な日本語の読みづらさがなくて。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
強い野心も高い目標も無くごくごく普通な男性ストーナー、に見えるけど、ひとめぼれでイーディスを妻にした所はちょっと変だなと思った。農業の勉強をするつもりが英文学に目覚めて大学で教師になるところはよかった。大学内で派遣荒相に巻き込まれるのは気の毒に感じた。妻イーディスがどこか精神的な問題を抱えてるようで、娘もかわいそう。でもこの物語で一番かわいそうなのはストーナーかもしれない。一見、つまらん男の不幸な物語なんだけど、文章がうまいのかかなり読ませる。
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ストーナーという一人の大学教員の一生を描いた物語です。この主人公は不器用で受け身で困難が降りかかってきても、ただひたすらに耐える忍耐の人。良い意味で小説の主人公らしくない人物像なので、まるで実在する人の人生を描いているかのような生々しさを物語から感じられました。 話の展開として...
ストーナーという一人の大学教員の一生を描いた物語です。この主人公は不器用で受け身で困難が降りかかってきても、ただひたすらに耐える忍耐の人。良い意味で小説の主人公らしくない人物像なので、まるで実在する人の人生を描いているかのような生々しさを物語から感じられました。 話の展開としては、心が揺さぶられような劇的な展開があるわけではありません。ただ、さざなみのように静かに訪れる温かさや悲しみ、そして美しい文章(翻訳)によって、この小説でしか発することのできない空気感が全体を纏っていてグッときます。 あとは、頑張っていれば良いことがあるとか、努力は必ず報われるとか、ストーナーの人生をそうした綺麗事で済ませていない点も、実際の人生と同様のリアルさがあって良かったです。 そのため、この本を読み終わって本を閉じた後に、ストーナーの人生は果たして幸せだったのか?非常に考えさせられました。そして、自分自身の人生における幸せとは何なのか?ということも深く考えさせられました。 正直、地味な小説ではあるんですが、そのように考えさせられる小説って多くはないのかなと思います。ですので、私はこの作品には星5を付けたいなと思い、付けさせていただきます。
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ストーナーの一生を眺めて、愛しくも悲しくも感じた。 一発逆転も奇跡もない、ままならない感じが人生であり日常だよな。 あとがきで訳者が病床で翻訳をされていたことを知り、さらに感動が増したし、小説全体を包む哀愁の正体がわかった気がした。 読み終わってしばらく経ってから、これって「春に...
ストーナーの一生を眺めて、愛しくも悲しくも感じた。 一発逆転も奇跡もない、ままならない感じが人生であり日常だよな。 あとがきで訳者が病床で翻訳をされていたことを知り、さらに感動が増したし、小説全体を包む哀愁の正体がわかった気がした。 読み終わってしばらく経ってから、これって「春にして君を離れ」の夫側の話ではと思った。侵襲妻と諦念夫の組み合わせって世界共通なのかな。
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主人公は努力もするが生き方が器用ではなく、人には時に恵まれ、また恵まれず。大波続きではないものの日々さざ波がつきまとう。舞台照明は間接的で衣装も書割もすべてモノクロ仕立て、ただただ悲しい物語。
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感嘆のあまりうまく言葉にできない。 学生時代は弟のように心配で、助教授時代は兄のように心配で、最後は父のように心配だった。 静かな悲しみが何度も何度もさざ波のように寄せては返し、読後は、もう二度と会えないと知って別れた友の背中を見送るかのような寂莫の感に包まれた。
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