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ストーナー の商品レビュー

4.5

142件のお客様レビュー

  1. 5つ

    81

  2. 4つ

    36

  3. 3つ

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2023/09/16

耐えるばかりの人生を送ったある男の一生。 嫌な登場人物ばかり出てくる。 一気に読んだけれど読んでいる最中も読み終えた直後も憂鬱な気分になった。 名作なのかもしれないが好みじゃない。暗すぎる。

Posted byブクログ

2023/08/14

中西部の州立大学の英文科で教える一教員。その地味な生涯を滋味あふれる筆致でつづる良作。出版年は1965年ですが、21世紀に入って再発見されたというのも納得できます――ルシア・ベルリンの作品がそうであったように。 決して裕福とはいえない農家の一人息子で生まれ、大学進学など考えても...

中西部の州立大学の英文科で教える一教員。その地味な生涯を滋味あふれる筆致でつづる良作。出版年は1965年ですが、21世紀に入って再発見されたというのも納得できます――ルシア・ベルリンの作品がそうであったように。 決して裕福とはいえない農家の一人息子で生まれ、大学進学など考えてもいなかったところに、同州の大学で農学部が設置されたことに伴い進学することになったウィリアム・ストーナー。そこで出会った英文学が思いもよらず彼の職業となり、大学教員として40年以上にもわたって母校で勤めることになります。 ストーナーの歩む人生には、他人からすればさざ波程度に思えるかもしれない小波乱が幾度となく起こります。読者は、この小波乱が起こるたびに少なからずハラハラし、ドキドキするでしょう。学業、研究、恋愛、結婚、不倫、そして学内政治・・・どの出来事もよくある出来事である一方で、それでも読ませてくれます――そう、ほかの多くのレビューでも称賛されているように、読ませてくれるのです。

Posted byブクログ

2023/08/02

外国文学が得意じゃない人にも、ぜひこの作品は読んでみてほしい 主人公の生き方を通して、自分の人生を考えることになる

Posted byブクログ

2023/07/23

何かで紹介されていて図書館で読んだ。評判通りのすばらしい小説だった。 主人公の大学教師ウィリアム・ストーナーが闘病後の最期のシーンで「自分は何を期待していたのだろう?」と問い続けながら、自分の著書を残せたことだと気付いて事切れるところが主題と思う。読者は自身に当てはめて考えるとこ...

何かで紹介されていて図書館で読んだ。評判通りのすばらしい小説だった。 主人公の大学教師ウィリアム・ストーナーが闘病後の最期のシーンで「自分は何を期待していたのだろう?」と問い続けながら、自分の著書を残せたことだと気付いて事切れるところが主題と思う。読者は自身に当てはめて考えるところだろう。自分はまだよくわからない。   文章が解りやすい上にテンポも非常に良い。著者ジョン・ウィリアムズの文章力にほれぼれする。冒頭3ページだけでストーナーが生まれてから大学入学までを充分に描けているし引きつけられた。また口頭試問の対決シーンではページを繰る手が(比喩でなく本当に)止まらなかった。

Posted byブクログ

2023/07/06

ウィリアム・ストーナーという青年の一生を描いた物語。 大きな事件が起きるわけでも、主人公にカリスマ性があり物語を引っ張っていくわけでもない、どこまでも地味な小説。 どこにでもいるような男の物語だからこそ、どこか読み手と重なる部分がありその生涯に惹かれてしまうのではないか、そう感じ...

ウィリアム・ストーナーという青年の一生を描いた物語。 大きな事件が起きるわけでも、主人公にカリスマ性があり物語を引っ張っていくわけでもない、どこまでも地味な小説。 どこにでもいるような男の物語だからこそ、どこか読み手と重なる部分がありその生涯に惹かれてしまうのではないか、そう感じた。 穏やかでありきたりな一生を繊細で綺麗な文が綴っていく、そんな素敵な一冊だった。

Posted byブクログ

2023/05/11

 すごく特別なことが起こるわけではないのに、ずっしりと心の奥深くにいつまでも余韻が残る一冊でした。  貧しい家に育ったストーナーは、両親の懸命な助けにより大学に入ります。そこで文学と出会い、ついには大学で文学の先生になります。 教育者となったストーナーのその後の人生が、淡々と語...

 すごく特別なことが起こるわけではないのに、ずっしりと心の奥深くにいつまでも余韻が残る一冊でした。  貧しい家に育ったストーナーは、両親の懸命な助けにより大学に入ります。そこで文学と出会い、ついには大学で文学の先生になります。 教育者となったストーナーのその後の人生が、淡々と語られます。  この本を特別なものにしているものは何なのか?物語を反芻しつつ、目を閉じて考えていました。誰の人生にも起こりうる生々しい苦悩や悲しさ。それも、多くの場合、そうした苦悩は努力で取り除くことが難しく避けられないものであることが多い。生き生きと面白く力強く語られる物語ではなく、ストーナーに降りかかるリアルな苦慮を、読書も我が事のように感じ、しかし、辛い中にも温かな時もあり、それだけにその幸福感も読者にとっても特別なものになる。読者がストーナーの心に寄り添い、我が人生の経験ともなぞらえ、一緒に生きているような気にさえなるようでした。  文章も素晴らしく、無駄がないのに美しい。そして、訳が、時にやや独特な言い回しなどがあるのだけれど、それが聞いたことがない言葉であってもおおよその意味はわかり、そして、数回読み返すと、その言葉でなくては物足りないと思わせるようなエッセンスを携えているところがすごい。 例えば次のような文は、とても印象深かったです。 ○人生43年目にして、ウィリアムストーナーは、世の人はずっと若い時に学ぶことを学びつつあった。恋し初めた相手は恋し遂げた相手とは違う人間であること。そして、恋は終着点ではなく、ひとりの人間が別の人間を知ろうとするその道筋であること。  装丁も素敵です。控えめな白に、よく見ると本棚に並べられた本が見え、STONERの字体も美しい。私が手にした本は、県の図書館の本ですが、残念なことに置かれていた場所に陽が強く当たっており、変色していました。せっかくの淡く上品にくすませた白が変わり果てていて、残念です。  劇的な人生を目指したり、より上手く生きようとしたり、そんな事はしなくても良い。ただその時その時に向き合って生きていること自体がもうすごいことなのだ、と思わせてくれるような、温かく励まされる一冊だった。

Posted byブクログ

2023/02/11

素晴らしい本でした。 ストーナーというある1人の教師の生涯を書き綴った物語。読むほどにストーナーのことがもっともっと知りたくなって引き込まれ、まるでストーナーのすぐ側でその人生を見守っているかのような錯覚に陥りました。誰もが経験したことのある感情に既視感を覚え、歓びや哀しみ、期待...

素晴らしい本でした。 ストーナーというある1人の教師の生涯を書き綴った物語。読むほどにストーナーのことがもっともっと知りたくなって引き込まれ、まるでストーナーのすぐ側でその人生を見守っているかのような錯覚に陥りました。誰もが経験したことのある感情に既視感を覚え、歓びや哀しみ、期待や憤り、とにかく色々な感情の波に何度も襲われました。結末は悲しかったけれど、それでもどこか穏やかで静かに心切なく、温もりを感じる物語だったと最後にそう感じたのは、ストーナーの人柄からだと思います。 翻訳で使われる言葉がとても美しく、海外作品を訳してこんなに美しい日本の言葉、語彙が使われていることに感嘆せずにはいられませんでした。なんて自然で物語に正確な翻訳なんだろう。知らなかった語彙があれば意味を調べながら読み、一層深くこの物語の世界に浸ることができました。素晴らしいストーリーを生み出したジョン・ウィリアムズと、東江一紀さんが翻訳するこの本にもっともっと早く出会いたかったです。

Posted byブクログ

2023/02/04

 アメリカで1965年に刊行され、その後2006年に復刊、海外翻訳から徐々に評価が高まったという本書です。  裏表紙短評の「美しい」の言葉、日本翻訳大賞「読者賞」受賞! の見出しにも惹かれるものがありました。  確かに読み進めて感じるのは、時代背景もありますが、主人公の貧しい生...

 アメリカで1965年に刊行され、その後2006年に復刊、海外翻訳から徐々に評価が高まったという本書です。  裏表紙短評の「美しい」の言葉、日本翻訳大賞「読者賞」受賞! の見出しにも惹かれるものがありました。  確かに読み進めて感じるのは、時代背景もありますが、主人公の貧しい生育歴とどこか寂しさを感じさせる風景描写、受け身の性格からか地味な雰囲気が漂い、孤独と忍耐が似つかわしく、物語の展開への期待感は余りもてませんでした。  しかしながら、静かなモノクロ映画を観ているような錯覚を覚えます。主人公である大学助教授・ストーナーの一生が、静謐な日々の連続として淡々と描かれ、詩情がにじむ雰囲気があるのです。東江一紀さんの和訳も素晴らしいと感じました。  人生の中にある些細な喜びと哀しみ、平穏と苦悩、後悔と諦念‥、これらの対比は、誰の日常の中にもあるものでしょう。身近に感じるが故、知らぬうちにストーナーの人生と自分を重ねて読んでいました。自分の人生、ドラマチックなことが起こらなくとも、この程度でいいのかな‥と。  多分に、年齢を重ね、より多くの経験を積んだ方ほど、本書のよさが響くのではないでしょうか? ストーナーの一生は、平凡や憐れではなく、幸せだったと言えるのではないか、と思わせてくれる著者の温かな眼差しを感じさせる秀作だと思いました。

Posted byブクログ

2023/01/30

こんな小説を読みたい、と思う気持ちに応えてくれた小説。 ストーナーがどうなっていくのか、気になって中断していても時間があればすぐに手にとる、の繰り返しで二日で読む。その度ストーナーの世界にすっと入れるのは、ひとえに東江一紀さんの翻訳が素晴らしいからだろう。 東江さんの翻訳はあまり...

こんな小説を読みたい、と思う気持ちに応えてくれた小説。 ストーナーがどうなっていくのか、気になって中断していても時間があればすぐに手にとる、の繰り返しで二日で読む。その度ストーナーの世界にすっと入れるのは、ひとえに東江一紀さんの翻訳が素晴らしいからだろう。 東江さんの翻訳はあまりに読みやすいので超訳かと思ったら、元の文章に沿ってきちんと翻訳されているのに驚いたと他の翻訳者の解説を何かで読んだ。東江さんの功績は大きい。文学としての価値を損なわないで読むことができた読者の私たちは幸せだと思う。 最後の数ページをご自分の最期に訳されていたのだということを後書きで読むと、ストーナーとご自分が重なっていたのではと思われ、感慨深い。 個人的な話だが、連れ合いとストーナーを度々重ねて読んだ。 自分の力で何かを変えようとすることにはさほど情熱を傾けず、今あるものをそのままの大きさで受け入れる姿勢。自分を過大評価しないで、淡々と、しかし決して手を抜かず日々過ごし、それが感受性の欠如や諦めの早さと受け止められても、他人の評価でその姿勢を変えることはしない。誠実ではあるが、受け身の多い、変化の少ない硬質な人間性。 そんなありようの人間が持つ深い味わいを小説という形で浮き上がらせて見せてくれた作者に、感動と感謝の気持ちが湧いてくる。 これぞ人間。これぞ小説。 この小説を紹介してくださった皆さんに感謝します。

Posted byブクログ

2022/12/13

あるきっかけで学問の道に進んだ男の一生。 まず、東江一紀氏の日本語訳が本当に本当に素晴らしい。 多彩な表現力と比喩力で、情景が浮かび上がってくるし、儚い、切ない。 全てのできごと、そこから主人公が感じた感情が痛切に読者に伝わってくる。こんなに素晴らしい表現力はどうやったら身につ...

あるきっかけで学問の道に進んだ男の一生。 まず、東江一紀氏の日本語訳が本当に本当に素晴らしい。 多彩な表現力と比喩力で、情景が浮かび上がってくるし、儚い、切ない。 全てのできごと、そこから主人公が感じた感情が痛切に読者に伝わってくる。こんなに素晴らしい表現力はどうやったら身につくのだろうか… ストーリーもまた、切ない。 決して不器用すぎるわけでもなく、他人に興味がないわけでもなく、人を愛せないわけでもなく 真面目に自分に正直に生きた結果が大いに切ない。 しかし多彩な表現力で、最後の最後はとても美しい終わり方だと思った。 小説の終わり1,2ページの、きれいな情景で締めにかかるパターンはどれも好きだが、この本は別格だと感じる。

Posted byブクログ