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ストーナー の商品レビュー

4.6

138件のお客様レビュー

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2022/10/30

読む者誰しもが通る道 何者にもなれなかった人生をストーナーを重ねることで見つめなおす。 人生における何度かの岐路についてあいまいに、また棚上げに、うやむやにしてきた日々の自分と重ねる。 虚無感がつのる悲しい内容もあるが日々淡々と生きることの慎ましさも同時に感じることができる...

読む者誰しもが通る道 何者にもなれなかった人生をストーナーを重ねることで見つめなおす。 人生における何度かの岐路についてあいまいに、また棚上げに、うやむやにしてきた日々の自分と重ねる。 虚無感がつのる悲しい内容もあるが日々淡々と生きることの慎ましさも同時に感じることができる。 10年に一度自分の立ち位置を知るために読み直すべき羅針盤的な書である。 人生とはなんなのか。

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2022/11/05

苦難に見舞われつつも、運命を常に静かに受け入れ、限られた条件のもとで可能な限りのことをして、黙々と働き、生きてゆく。何者にもなれなかった人生の話ではなく、自分のやるべき事をやった1人の男の話。

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2022/10/22

貧しい農家に生まれたストーナーは、農学を修めるためにミズーリ大学へ進学し、英文学と出会い魅了される。ひとりの学者の、地味で波乱に満ちた一生を描いた小説。 「完璧に美しい小説」という謳い文句に惹かれ手に取ったが、たしかに光や風景の描写がとても美しかった。静かで、哀しくて、幸福な人...

貧しい農家に生まれたストーナーは、農学を修めるためにミズーリ大学へ進学し、英文学と出会い魅了される。ひとりの学者の、地味で波乱に満ちた一生を描いた小説。 「完璧に美しい小説」という謳い文句に惹かれ手に取ったが、たしかに光や風景の描写がとても美しかった。静かで、哀しくて、幸福な人生のお話だった。 ふたつの世界大戦中の、アメリカ人の話という点でも、自分にとっては新鮮だった。

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2022/10/19

淡々とストナーの生涯が語られる物語 暖かみがあり、どこか悲しみもある 様々な教訓を与えてくれる内容 読み終わってから、沸々と込み上げるものがある 人生は悔い、反省の刹那的連続であり、また喜びも同様だと思う 幸せだったかどうかは人が決めるものではないが、私はストナーが幸せな人生だ...

淡々とストナーの生涯が語られる物語 暖かみがあり、どこか悲しみもある 様々な教訓を与えてくれる内容 読み終わってから、沸々と込み上げるものがある 人生は悔い、反省の刹那的連続であり、また喜びも同様だと思う 幸せだったかどうかは人が決めるものではないが、私はストナーが幸せな人生だったのではと願う

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2022/10/18

主人公ストーナーは英文学を教える助教授で実直な人柄だが、理解し合えない妻、異様に自分を憎む同僚、大学という閉鎖的な社会などと向き合いながら歳を重ねていく。 様々な局面で、彼がその性質ゆえに損をしているのではないかと思えることがあり歯痒さを感じるが、存外彼は自分の本当にやりたいこと...

主人公ストーナーは英文学を教える助教授で実直な人柄だが、理解し合えない妻、異様に自分を憎む同僚、大学という閉鎖的な社会などと向き合いながら歳を重ねていく。 様々な局面で、彼がその性質ゆえに損をしているのではないかと思えることがあり歯痒さを感じるが、存外彼は自分の本当にやりたいことは譲っていないのかもしれない。彼が人生に見出していく諦めにとてもよく似た悟りが私にも湧き起こってくるのだ。 また、ふと驚かされるのは作者の状況を表現する力だ。風景や人物の描写とも言わず、心の機微などでもなく、"状況"の表現力なのだ。人物が置かれた物質的・心情的状況を物語の中に自然に存在させている。時代をも蘇らせるのだ。こんな領域に達していた作家が半世紀前にいたことがおそろしい。これこそストーリーテリングなのか。 主人公は生涯真面目に働いてきた。教壇で、研究室で、図書館で、恋人の部屋で、彼は文学の世界を見つめ続けてきた。終わりのない学問の世界を、だからこそずっと楽しんできた。そのことは、私を大いに励ましてくれる。生きる上でどんな不条理があろうとも、自分を楽しませるものに挑み続ければ不幸にはならないのだと、そう思える気がするのだ。

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2022/10/09

雨の日に読んだからか、裏表のない主人公ストーナーの人柄、そして清新な文章が雨粒のように目に沁み入った。 ミズーリ大学英文学科助教授ウィリアム・ストーナーの一代記。(大学名・人物名ともに架空) このストーナーという人物がとにかく純粋!一途! あと、恋に落ちやすいタイプってやつ?例...

雨の日に読んだからか、裏表のない主人公ストーナーの人柄、そして清新な文章が雨粒のように目に沁み入った。 ミズーリ大学英文学科助教授ウィリアム・ストーナーの一代記。(大学名・人物名ともに架空) このストーナーという人物がとにかく純粋!一途! あと、恋に落ちやすいタイプってやつ?例えば大学の講義では英文学を、学部長宅のパーティーでは令嬢イーディスを瞬く間に見初めているのだから。 本書で最も彼に影響を与えた出来事は、やはりイーディスとの結婚生活だろう。異性に不慣れな2人が良い家庭を築かんと努力するも、気持ちが噛み合わない。(これがまた、どちらの気持ちもよく分かるんだよなぁ…) やがて自分が惚れた相手だからと言わんばかりに、ストーナーは次第に不安定になる彼女のために身を尽くすようになる。一人娘から遠ざけられても反撃に出なかったのは口惜しいけど、それが彼なりの責任の取り方だったのかも。誰かが気づいて説得しても「心配ない」と笑って聞かなかっただろうな。 周囲がコロコロと変化を遂げる一方でストーナーは転がる石にはならず、ただそこに佇む石であり続けた。 何か功績を残したわけではなく、老齢ながら助教授から昇格してもいない。 ただ何事にも一途(悪く言えば頑固/不器用)で、やりたいこと・正しいと思ったことは決して曲げなかった。 実家の農家を継がずに教師を目指したこと・前述の妻子への対応・真面目に論文制作に取り組まない院生への処置・一女性講師との交流・シラバスや指定図書を無視した講義etc. 今までのアクションを振り返っても、それは首尾一貫している。自分には彼が不器用どころか、誠心誠意人々や物事に尽くしているように映った。 「自分の人生は値するものだろうか、値したことがあっただろうか」 懸命に生きていても、ストーナー含め誰しも人生のどこかでこう思ってしまうだろう。 本書が本国アメリカで出版されたのは1965年。著者の存命中にヒットしなかったのは、本書がアメリカ人好みの華々しいサクセスストーリーではなかったからだという。ストーナーを「ほんとうの意味での英雄」と評する著者の言葉を理解するのに、半世紀要したわけか。 彼の一生を「悲しい」と言う人もいるみたいだが、自分はそうは思わない。 何かを成し遂げていなくても、 砕けず自分であり続けること。それを最後の日まで完遂してみせた彼は、ほんとうの幸せに秀でた英雄なのかも。あぁ…感動が目に沁みるぜ。

Posted byブクログ

2022/10/02

人生はどうしようもなくままならず、そして美しい。 一瞬一瞬を実直に生きる男の、取るに足らないが尊い生涯を描いた作品。 精緻な筆致と鮮やかな翻訳に感嘆する。 この平凡な人生に意味などないのかもしれない。 けれどもなぜ、その生の高揚に、落胆に、そしてその終焉にこれほどまでに打ち震...

人生はどうしようもなくままならず、そして美しい。 一瞬一瞬を実直に生きる男の、取るに足らないが尊い生涯を描いた作品。 精緻な筆致と鮮やかな翻訳に感嘆する。 この平凡な人生に意味などないのかもしれない。 けれどもなぜ、その生の高揚に、落胆に、そしてその終焉にこれほどまでに打ち震えるのだろう。 死ぬ前にもう一度読みたい、あたたかでどこか寂しい、素晴らしい作品だ。

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2022/09/21

ウィリアム・ストーナーという、真面目で不器用な男の人生。もし誰かに説明するとしたら、そう話すだろう。けれど、それだけでは読後感のこの感覚を正しく表現できてはいない気がする。 大学で学ぶ機会を得て、そこで文学と詩に魅せられた男は幸運にも大学の教員としてのポストを得て、そこで研究と...

ウィリアム・ストーナーという、真面目で不器用な男の人生。もし誰かに説明するとしたら、そう話すだろう。けれど、それだけでは読後感のこの感覚を正しく表現できてはいない気がする。 大学で学ぶ機会を得て、そこで文学と詩に魅せられた男は幸運にも大学の教員としてのポストを得て、そこで研究と授業を行いながら、一生を過ごしていく。 研究が好きな男だったが、とある女性に一目惚れして結婚し、女児も授かった。すべては順調に見える。何も持たない者から見たら、ストーナーの人生は幸福そのものだ。職があり、妻がいて、娘がいる。食いっぱぐれることもなく、極端な貧乏を経験することなく暮らしていける。 ここまで書いていて「人生」というものの偉大さ、虚しさ、悲しさ、そしてあたたかさに胸がいっぱいになる。「STONER」で書かれているのは、「人生」という抽象的で、各人にとっては具体的な言葉の本当の意味を知るためのきっかけだ。 そしてその上で、ストーナーの人生はとても美しいと感じた。彼の人生に特段なにかがあったわけではない。もちろん、些細な印象深い思い出はたくさんある。小説にしては地味なそうした出来事のひとつ一つが人生を彩り、形作っているということが読者にはわかるから、彼の人生は素晴らしく、そして美しいと感じられた。 今はとにかく、親しみをもって彼におつかれさまと言いたい。たくさんの物事が起きた自分の人生を振り返ることなく、まずはゆっくり休んでと。

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2022/12/08

ストーナー 作品社 ジョン・ウィリアムズ 東江一紀 翻訳 ジョン・ウィリアムスという検索しにくい作家名で、寡作だが、著作3冊はストーナーの高評価もあって邦訳済み。 読書メーター繋がりの方に紹介してもらって読んだのが8年前、それ以来、この本は最高に大好きな海外文学の1冊になって...

ストーナー 作品社 ジョン・ウィリアムズ 東江一紀 翻訳 ジョン・ウィリアムスという検索しにくい作家名で、寡作だが、著作3冊はストーナーの高評価もあって邦訳済み。 読書メーター繋がりの方に紹介してもらって読んだのが8年前、それ以来、この本は最高に大好きな海外文学の1冊になってます。 今回久しぶりの再読だったのですが、前と変わらぬ印象、歳を重ねた分、より寄り添える小説になったかも。これからもずっとおすすめの1冊にできるのは良かった!! ある男の一生が著されており、彼の人生はさざ波のように揺れ動いている。そんな人生にもいくつかの煌めく光の瞬間が生じる。 自分の人生、良いこと全然ねえよってという愚痴はよく言ったり聞いたりするとおり、ストーナーの人生は鈍い色の悲しみに綴られている。その上に小さな喜びが控えめにぱらっと舞い落ちる。 それなりの人生という思いが浮かぶなか、彼にとっての刹那的な最高の幸せが訪れた瞬間、開けたページはダリアのように花開き、読む者の気分を高揚させる。夏が訪れた! それを経験する瞬間の鮮やかな憧憬は、私の読書人生の最高の悦びと絶えまぬ読書への糧になっています。 兎にも角にもとても良い小説です。 以下は、読書メーターへの投稿(2014年)から移記。 悲しみがさざ波の様に寄せてくる、と解説にあったけど、読書の間、あまり悲しみは感じず、どちらかというと幸せな感情を随所に感じた。やりたい仕事がそれなりにできたこと、恋愛の素晴らしさを経験できたこと、子を持つ喜びがあったことなど、人生とは平凡ながら数奇であり、ストーナーだけの特別なドラマにのめり込んだ。 「恋は終着点でなく、ひとりの人間が別の人間を知ろうとするその道筋」 という文は忘れられない。絶筆となった訳者のご冥福を祈ります。とても良い本を訳してくださりありがとうございました。

Posted byブクログ

2022/01/05

「人は誰でも一冊、とても面白い小説をかくことができる」と、誰かが言っていた。 それは「自分のこと」。 ことによると「この小説より私の半生の方が波乱万丈で面白い」と変な自信をもつひとも。 但し、すばらしいと感じてくれるのは身近なごくわずかの人。 多くの人が「美しい小説」と評価さ...

「人は誰でも一冊、とても面白い小説をかくことができる」と、誰かが言っていた。 それは「自分のこと」。 ことによると「この小説より私の半生の方が波乱万丈で面白い」と変な自信をもつひとも。 但し、すばらしいと感じてくれるのは身近なごくわずかの人。 多くの人が「美しい小説」と評価されるこの物語は、揺るぎない信念や不屈の闘志、だれもが認める正義感や溢れ出る愛情、などとは無縁。物語の主人公であるストーナー自身は寡黙で地味。でも、感情の揺れや孤独感を自身の「目に映った」ことで表現されて、不思議に読み留まることはない。 また、やや「悪役」的な登場人物ローマックスやイーディスの側から物語を描いたら、ストーナーはずいぶん身勝手で冷たい人になるだろう。 そんなところが、ストーナーが「普通の人」(わざわざ小説で主人公とすべきところがない)と評価される点でもあるのか。 そして、エンディングまでの数十ページ、ストーナーの「これまで」を良くも悪くも許容してしまうような人生の締めくくりが、なぜか胸を打つ。 さらに「訳者あとがきに代えて」が追い打ちをかける。 訳者自身が死の淵にいながら、ストーナーの最後を見事に訳していると思うと、エンディングで描かれたストーナーの人生が決して悲劇ではなかったことが、訳者自身の人生と重ねて思い浮かべていることに気が付く。 そして、「自分のこと」もそうあるだろうと漠然と思い浮かべる……。 東江一紀さん、本当にありがとうございました。

Posted byブクログ