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ストーナー の商品レビュー

4.6

138件のお客様レビュー

  1. 5つ

    80

  2. 4つ

    35

  3. 3つ

    10

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2023/12/28

★5つでも足りない。 間違いなく2023年に読んだ小説の中でもトップクラスの作品。 ストーナーという一人の男の生涯。 派手さはなく、苦しさや寂しさの方が多かったのではないか。 多くの場面で、常に何かに手を伸ばし続けている男を感じた。手に入りそうで手に入らない。何かを求め渇望し続け...

★5つでも足りない。 間違いなく2023年に読んだ小説の中でもトップクラスの作品。 ストーナーという一人の男の生涯。 派手さはなく、苦しさや寂しさの方が多かったのではないか。 多くの場面で、常に何かに手を伸ばし続けている男を感じた。手に入りそうで手に入らない。何かを求め渇望し続けている姿。 そういうものなのかも知れない。

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2024/01/14

よかった。 特に劇的なことが起こるわけでもない、多分平凡な男ストーナーの一生。 不思議と味わい深く、読んでいてとても面白かった。 それはおそらくディテールが細かいからで、自分とは関係のない人の関係のない人生でも、繊細微妙な感情が手に取るように描かれていたらそれはとてもリアリティを...

よかった。 特に劇的なことが起こるわけでもない、多分平凡な男ストーナーの一生。 不思議と味わい深く、読んでいてとても面白かった。 それはおそらくディテールが細かいからで、自分とは関係のない人の関係のない人生でも、繊細微妙な感情が手に取るように描かれていたらそれはとてもリアリティを持って立ち上がる。 『東京の生活史』とか『大阪の生活史』に通じるものがある気がする。普通の人の普通の暮らしや人生に思いを馳せた時の感慨というか。 それと、夫婦関係がここまでうまくいかないまま死んでいくさまが小説で描かれることは少ない気がした。 小説におけるうまくいかない夫婦関係は、大抵離婚したり何かが起こって修復に至ったりする気がする。 でも世の中の仲のよくない夫婦は、不和やすれ違いを抱えたまま人生を続けて、そのまま終わっていくのがほとんどなんじゃないかなと思った。まさにストーナーのように。 人生のままならなさと切なさ。

Posted byブクログ

2023/12/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

挫折本 P50まで 農家生まれの主人公が大学で農学をまなぶ 授業の中で進路変更し大学講師になる。 やがて戦争がはじまり、友人を戦場に送りだす。終戦へ。

Posted byブクログ

2023/10/13

美しさとは何か、なぜ、それを感じたのか。 ここにあったのは、共感性。人間として直面する壁とそれを乗り越えるための努力。それでも起きてしまうと過ちや後悔。これらはワンセットで誰にでも起こる事。これが起きた時に、どう乗り越えるかで、人生が多様化していく。器用に生きるか不器用に生きる...

美しさとは何か、なぜ、それを感じたのか。 ここにあったのは、共感性。人間として直面する壁とそれを乗り越えるための努力。それでも起きてしまうと過ちや後悔。これらはワンセットで誰にでも起こる事。これが起きた時に、どう乗り越えるかで、人生が多様化していく。器用に生きるか不器用に生きるか。不器用というのは、他人との関係性に対する自己調整機能が弱い事。譲れない思想がある場合も不器用になる。 器用に他人に合わせる人生には、憧れない。自我を感じないし、そもそも物語がない。真面目に一生懸命である事の美しさはあるのかも知れないが、そのドラマは抑揚なき複製品だ。 ストーナーという、ファーマーの息子として生まれた男の一生。静謐ながらも、その生き様には静かなドラマがあり、多くの共感がある。派手なイベントや緩急つけて読ませるエンタメ小説ではない、純文学。考えさせられる美しさがあった。

Posted byブクログ

2023/10/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

生きるうえで、避けられない悲しみや辛さが、こんなにもまっすぐ書かれているのに、文章の美しさにひきこまれてしまって、スイスイ読んでしまう。 主人公のストーナーは特別な人間ではない。 世界に貢献したり、誰かを生涯幸せにしたり、そうした素晴らしいことはできないまま、生きて、死んでいく。 しかし、彼の忍耐力や、内面に抱える葛藤、ふとした瞬間に人生の美しい面にふれたときの喜びは、読んでいる私にとてつもない感動を与える。 それは彼の人生の表面をなぞるだけでは得られない感動である。 小説という形で、人の内奥に深く迫れるメディアだからこそ得られる感動だと思う。 一方で、現実の世界の人々もまた、彼と同じように表面には顕れない思いを抱えているということに、気付かされて、そこにもまた心を強く揺さぶられた。 私たちは他者の表面しか見ることができない。 きっとストーナーのことも、現実世界で出会ったら、アルコール中毒に苦しむ娘も、生育過程で傷を負って不安定な妻も救うことができず、自分は若い女性と浮気をしたどうしょうもない奴と思っていたんじゃないだろうか。 しかし、ストーナーの内面をダイレクトに受け取りながら、人生を共に生き切ったあとで、そんなふうにはとても言えない。 彼には数多くの悲しみと苦しみがあり、葛藤があり、そんな中で、ほとんど誰にもその気持ちを理解されることなく、人生を孤独に生きていた。 現実世界に生きる人たちも同じように、他者に理解できない苦しみを抱えたまま孤独に生きている。 そのことに思い至ると、どんな他者をも軽んじることはできない、と強く思い知らされる。 思いやり、と簡単に口にするし、他人の気持ちを慮って行動しよう、とスローガンは巷に溢れている。 私たちは、そう思うあまり、他者の気持ちは推し量れるもの、と思い上がっているのではないだろうか? どれだけ親しく近しい人であっても、他者の心を垣間見ることはできない。 理解できない他者であるからこそ、1人1人が抱える宇宙のような無限の広がりを、敬い、尊重できるようになりたい、と強く思った。

Posted byブクログ

2023/09/17

ストーナーというある男の生涯の話。話の全編に渡って横たわる荒涼とした寂しさを感じながら読む本だった。 第9章(ちょうど全体の半分あたり)から物語に一つの大きな動きが生じて、そこから深夜にも関わらず一気に読み切ってしまった。 特に今の自分にとっては子供と妻への愛情の持ち方を振り返る...

ストーナーというある男の生涯の話。話の全編に渡って横たわる荒涼とした寂しさを感じながら読む本だった。 第9章(ちょうど全体の半分あたり)から物語に一つの大きな動きが生じて、そこから深夜にも関わらず一気に読み切ってしまった。 特に今の自分にとっては子供と妻への愛情の持ち方を振り返るきっかけになった。どれだけ愛情を注いでも注ぎ足りることはない気がするが、後で後悔はしたくない。

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2023/09/16

耐えるばかりの人生を送ったある男の一生。 嫌な登場人物ばかり出てくる。 一気に読んだけれど読んでいる最中も読み終えた直後も憂鬱な気分になった。 名作なのかもしれないが好みじゃない。暗すぎる。

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2023/08/14

中西部の州立大学の英文科で教える一教員。その地味な生涯を滋味あふれる筆致でつづる良作。出版年は1965年ですが、21世紀に入って再発見されたというのも納得できます――ルシア・ベルリンの作品がそうであったように。 決して裕福とはいえない農家の一人息子で生まれ、大学進学など考えても...

中西部の州立大学の英文科で教える一教員。その地味な生涯を滋味あふれる筆致でつづる良作。出版年は1965年ですが、21世紀に入って再発見されたというのも納得できます――ルシア・ベルリンの作品がそうであったように。 決して裕福とはいえない農家の一人息子で生まれ、大学進学など考えてもいなかったところに、同州の大学で農学部が設置されたことに伴い進学することになったウィリアム・ストーナー。そこで出会った英文学が思いもよらず彼の職業となり、大学教員として40年以上にもわたって母校で勤めることになります。 ストーナーの歩む人生には、他人からすればさざ波程度に思えるかもしれない小波乱が幾度となく起こります。読者は、この小波乱が起こるたびに少なからずハラハラし、ドキドキするでしょう。学業、研究、恋愛、結婚、不倫、そして学内政治・・・どの出来事もよくある出来事である一方で、それでも読ませてくれます――そう、ほかの多くのレビューでも称賛されているように、読ませてくれるのです。

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2023/08/02

外国文学が得意じゃない人にも、ぜひこの作品は読んでみてほしい 主人公の生き方を通して、自分の人生を考えることになる

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2023/07/23

何かで紹介されていて図書館で読んだ。評判通りのすばらしい小説だった。 主人公の大学教師ウィリアム・ストーナーが闘病後の最期のシーンで「自分は何を期待していたのだろう?」と問い続けながら、自分の著書を残せたことだと気付いて事切れるところが主題と思う。読者は自身に当てはめて考えるとこ...

何かで紹介されていて図書館で読んだ。評判通りのすばらしい小説だった。 主人公の大学教師ウィリアム・ストーナーが闘病後の最期のシーンで「自分は何を期待していたのだろう?」と問い続けながら、自分の著書を残せたことだと気付いて事切れるところが主題と思う。読者は自身に当てはめて考えるところだろう。自分はまだよくわからない。   文章が解りやすい上にテンポも非常に良い。著者ジョン・ウィリアムズの文章力にほれぼれする。冒頭3ページだけでストーナーが生まれてから大学入学までを充分に描けているし引きつけられた。また口頭試問の対決シーンではページを繰る手が(比喩でなく本当に)止まらなかった。

Posted byブクログ