1,800円以上の注文で送料無料

鹿の王(下) の商品レビュー

4.2

537件のお客様レビュー

  1. 5つ

    202

  2. 4つ

    169

  3. 3つ

    99

  4. 2つ

    14

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2026/04/22

【短評】 死地を求める戦士団<独角>の頭目であるヴァンは、気鋭の帝国・東乎瑠(ツオル)との戦争に敗れ、岩塩鉱の奴隷に身を窶していた。突如として岩塩鉱を襲うは、死病を媒介する黒狼の群れ。辛くも一命を取り留めたヴァンは、同じく生き残った幼子・ユナとともに当てもない放浪の旅に出る。時を...

【短評】 死地を求める戦士団<独角>の頭目であるヴァンは、気鋭の帝国・東乎瑠(ツオル)との戦争に敗れ、岩塩鉱の奴隷に身を窶していた。突如として岩塩鉱を襲うは、死病を媒介する黒狼の群れ。辛くも一命を取り留めたヴァンは、同じく生き残った幼子・ユナとともに当てもない放浪の旅に出る。時を同じくして、深学院の天才・ホッサルも蔓延の兆しを見せる謎の死病の調査に乗り出しーー。 「病」を通じて、命の在り方を紡ぎ出す一大ファンタジィ巨編。 「続きが…続きが読みてぇ…」 強烈な渇望に従い、満点評価である。嗚呼、素晴らしかった。 世界設定が練り込まれており、容赦なく浴びせられる専門用語に慣れるのに少々苦戦したものの、一旦"入って"しまうと、もう抜け出せない。東乎瑠を、アカファを、トガを、飛鹿(ピユイカ)に跨って、西へ東へ大冒険である。 医療、詳細に言えば、ある種のウイルス共生論という屋台骨がしっかりとしており、色々な土地、様々の人が入り乱れるなか、物語が散逸しなかったのは見事の一言。 ミステリィとしても非常に良く出来ており、同化政策の在り方のようなマクロな観点から「動機」を推理する愉しみもあった。かと言って、よくある戦記物のような一歩引いた目線に終始するのでは無く、彼の地を生きるミクロな人々も実に魅力的に描けていたと思う。 個人的にはやっぱりヴァンが好きだなぁ。渋くてカッコいい。一挙手一投足が「重い」人って、説得力が違う。ずんと響く男である。 「病」或いは「医」の観点から、国や人を語る。興味深い試みだ。 実は祭事医たちの言うことも分かったりする。医療の限界を認め、限られた生を如何に生きるかに目を向けることも間違ってはいないだろう。倫理観を欠いた医療はモンスターな訳だし。この辺りの議論には未だ決着が付いていない。だからこそ、続きを、彼らの今後の歩みに触れてみたいと思うのだ。 【気に入った点】 ●ヴァン。飛鹿大好きおじさん。奴隷になったり、病気に苦しんだり、子守に勤しんだり、大変なお人なのだが、兎に角頼りになる。卑近な表現だが、亡国の知識で無双する感じは大好物である。 ●下巻の中盤以降が兎に角手に汗握る。驚きの展開の連続で、本を閉じる機会を失った末、敢え無く一気読みだった。ヴァンとホッサルというニ軸で展開していた物語が怒涛の収束を見せる様、二転三転する物語は必読である。「一体、何が目的なんだ…」そんな呟きが思わず漏れる。 【気になった点】 ●嵐のような専門用語。感覚的な描写と相まって、やや読み辛いと感じる箇所はあったが、慣れれば問題無いし、実際慣れた。 本当に、本当に、本当に続きが読みたい。 この記憶と感動が鮮明なうちに、次巻に手を伸ばさねばなるまい。

Posted byブクログ

2026/04/07

主人公たちが会ってからの会話と展開にはワクワクさせられる。そしてラストにかけてはとても良かった。 ただ、やはり、長い。 冗長に感じる箇所もわりとある。 登場人物が多く、民族の名前と関係性がわからなくなってくる。カタカナの民族名は混乱した。 ユナ、かわいい。

Posted byブクログ

2026/04/05

とても面白かったけど…私の個人的な問題ですが、ストーリー以上に恐怖を感じてしまう部分が多くてちょっとしんどかった…(泣) とても感情が揺さぶられます。血の繋がり以上の家族。素敵でした。再会を祈ります。最終巻だけど続編が出たら読みたい!

Posted byブクログ

2026/04/02

ファンタジーって入り込むまでに時間がかかるけれど、一度入り込めればとても現実と乖離させられた気分になって、早く読みたいなと思わせられる。 まあ最後は綺麗に終わらせたなーって感じはするけれど、無理はないし、これをコロナ前に書かれたという事が一番の衝撃。 そして、そんなコロナが当たり...

ファンタジーって入り込むまでに時間がかかるけれど、一度入り込めればとても現実と乖離させられた気分になって、早く読みたいなと思わせられる。 まあ最後は綺麗に終わらせたなーって感じはするけれど、無理はないし、これをコロナ前に書かれたという事が一番の衝撃。 そして、そんなコロナが当たり前になった世の中を見ると今作の結末にも通じていると思うと、尚光り輝いて見える。

Posted byブクログ

2026/03/14

壮大な物語。医学に裏打ちされたロマン大作。狡猾なせめぎ合い、厳しい自然と政治の駆け引き、あらゆる要素が詰まった新鮮な傑作!

Posted byブクログ

2026/01/03

もう一度読み返す必要がある。途中で、細かいところがわからなくなった。もう少し理解できればまた違う感想も出てくるかもしれないけど、いろんな生き物の生命についての物語だった。私が特に読んでよかったと思ったのは、「子どもをたとえ産めなくても子どもを産む人たちと同じようにその一生は尊いも...

もう一度読み返す必要がある。途中で、細かいところがわからなくなった。もう少し理解できればまた違う感想も出てくるかもしれないけど、いろんな生き物の生命についての物語だった。私が特に読んでよかったと思ったのは、「子どもをたとえ産めなくても子どもを産む人たちと同じようにその一生は尊いものである」ことの考え方が出てきたとき。外伝も読まなきゃ

Posted byブクログ

2026/01/01

残念。合わなかった。 登場人物も多くて、国の名前? 人の名前?鹿の名前?ダニの名前? ずっと混乱。 途中から相関図を書くも頭に入って来なかった。 ファンタジー作品。頭は活性化されたと思う。記憶に残る作品。

Posted byブクログ

2025/12/19

凄く良かった。 異世界を旅しながら物語を追っていくような感じ。 成瀬やカフネに感じたような、直球の面白さではないが読んでて旅をしているような、そんな本だった。 ファンタジーと思いきや、黒狼病に関する設定の細かさに感心した。ダニを経由することや、2つの麦が混ざり毒麦になり食物連...

凄く良かった。 異世界を旅しながら物語を追っていくような感じ。 成瀬やカフネに感じたような、直球の面白さではないが読んでて旅をしているような、そんな本だった。 ファンタジーと思いきや、黒狼病に関する設定の細かさに感心した。ダニを経由することや、2つの麦が混ざり毒麦になり食物連鎖から広がると言う経緯は実際にその病が存在したかと思うくらいだった。 もう少し、ヴァンとホッサルの絡みを見たいと言う気持ちがあったが逆にこれくらいアッサリな方が良かったかもしれない。 終盤も、色々と想像が出来る余白があったのも良かった。 下巻になっても相変わらず用語が頭に入って来ない作品だったのがちょっとマイナス。

Posted byブクログ

2025/12/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

東乎瑠の侵攻により、アカファやその辺境の村々はその支配下に追われた。主人公・ヴァンは、抵抗勢力の長として奴隷になってアカファ岩塩鉱に囚われていた。ある日、岩塩鉱に何頭もの犬がなだれ込み、囚人や看守たちを襲った。その数日後、そこにいたほぼ全ての人が死んだ。生き残ったのは、ヴァンと赤ん坊だけだった。アカファ岩塩鉱の事件に黒狼熱が絡んでいると睨む若き医術師・ホッサルと2つの視点で壮大な物語が展開していく。2015年本屋大賞受賞作。 スケールでっっっけーーーーーーーー! 久方ぶりに読んだど真ん中ファンタジー。独特な読み仮名や世界情勢に何度も頁を戻ってルビを確認し、人物表を読んで関係性を思い出し、でもそうやって手間を惜しまずがっぷり組み合ったからこそ、複雑に作り込まれたこの物語の構造を正確に掴みきれたのだと思う。どこかで手間を惜しむと簡単に置いていかれる、異世界として独立した世界観。読んでいる間はここは日本じゃなかった。 正しさは「王」が決める。 ホッサルと祖父・リムエッルとの会話で突きつけられた。ホッサルは、まだ民間療法のような治療法が主体のこの世界で現代に非常に近い先進的な医療行為をしてきた。予防接種や感染予防など、この世界ではまだまだ異質であるにも関わらず。しかし、その正しさ故に、ミラルを筆頭に彼の医療を支持する者は多い。その中に与多瑠もいたからこそ、ホッサルは自分の医療を追求できたのだ。権力者が否と言えば、物事の真偽は容易に覆る。物語を通していつも正しくて余裕があったカッコいいホッサルがまだまだ青いんだと突きつけられた印象深いシーンだった。 ヴァンが独りで消えるラストじゃなくて良かった。 役目を終えた少し老いた雄が、群れを逃がす為に敵の前にその身を投げ出すことがある。その老いた雄を「鹿の王」と呼ぶのだという。黒狼熱から人々を守るためにキンマの犬を引き連れて手の届かない所に行こうとするヴァン。彼こそが鹿の王という終わりかと思ったのだが、ユナが、サエが、トマが、それを許さない。晴れやかな表情であたりまえのようにヴァンの後を追う人々が頼もしい。人には人の在り方がある。人は鹿の王になんてなる必要はない。彼らが無事にヴァンをこちら側に連れ帰ってくれるよう祈っている。

Posted byブクログ

2025/11/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読むのに時間がかかってしまったけれど、『香君』と並んで何度も読み返したい作品。特に今は。 〈生命賛歌〉と言われれば、本好き(物語好き)な人はみんな一つや二つ思いつく作品があるだろうけど(※個人の意見ですが)、私にとってはこの作品です。 タイトルにもなっている「鹿の王」について。この作品では、人間視点で「自己犠牲を払って群れを守る」とも言うべきこの存在を単純に英雄視しないんですよね。ずっと後、ヴァンは父との思い出としてこう語ります。 「馬鹿な奴だ、と、父は言ったよ。いかに強かろうと、何頭もの狼に囲まれたら逃れられん。自ら窮地に跳びこんで、自分の命を危険に晒すなど、馬鹿がやることだ、と。  おれたちは若かったからな、むっとしたよ。そんなことはない、群れを守るために我が身を犠牲にするなんて、凄い。それこそ、群れを守る〈鹿の王〉だ、そう口々に反論した」((中略) 「そうしたらな、父は笑った。ーおまえらも馬鹿だ、と。  ひとり、ひとりを指差して、父は言ったよ。おれは英雄になれる。氏族のために命を捨ててみせる、とでも思っているんだろうが、思い違いも甚だしい。(中略)」 「そういう鹿のことを、呑気に〈鹿の王〉だのなんだのと持ち上げて話すのを聞くたびに、おれは反吐がでそうになるのだ、と、父は言ったよ。弱い者は食い殺されるこの世の中で、そういうやつがいるから、生き延びる命もある。たすけられた者が、そいつに感謝するのは当たり前だが、そういうやつを、群れをたすける王だのなんだのと持ち上げる気もちの裏にあるものが、おれは大嫌いなのだ、と」(下巻P.440~441より)  久しぶりに読み返してえらく刺さったシーン。このシーンを経た後でヴァンたちの決断を見ると、ことのほか心に沁みる。生きるということに、意味はないし意味を持たせることもないのかもしれないけれど、それでも各々できるやり方で命を全うするだけだよな、と。 (もっと色々語れることがある気がするけれど、どうまとめていいか分からなくなったのでここまでにする。また読み返そう…!)

Posted byブクログ