虐殺器官 新版 の商品レビュー
読んでる際に、言語学のスティーヴン•ピンカーとチョムスキーが浮かんだ。虐殺器官は生成文法とかそれに準じたものだと思う。それとともに、チョムスキーのアメリカ批判を思い出した。確か、アメリカが武器輸出で儲けるために、意図的に敵対者を作り出して、民族同士で争わせているというものだった。...
読んでる際に、言語学のスティーヴン•ピンカーとチョムスキーが浮かんだ。虐殺器官は生成文法とかそれに準じたものだと思う。それとともに、チョムスキーのアメリカ批判を思い出した。確か、アメリカが武器輸出で儲けるために、意図的に敵対者を作り出して、民族同士で争わせているというものだった。虐殺器官の話は、フィクションかと思えば、現実の社会を、このような捉えきれない現実をどう描いたら良いか、という問いを仮託したものなのではないかと思った。見たくない現実を巧妙に隠したなかで、豊かさという幻想を大衆が享受しているという。
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読み慣れていない軍事ものだったこと、物語の中盤の哲学的思考を自らのなかに咀嚼し、落とし入れることに少し苦労した。しかし、物語が終盤になると主人公の葛藤が明確に感じることができるようになっていき、上記の苦労もだいぶ和らいでいったと思う。 結論としては、全体的には面白い印象ではあ...
読み慣れていない軍事ものだったこと、物語の中盤の哲学的思考を自らのなかに咀嚼し、落とし入れることに少し苦労した。しかし、物語が終盤になると主人公の葛藤が明確に感じることができるようになっていき、上記の苦労もだいぶ和らいでいったと思う。 結論としては、全体的には面白い印象ではあったが、虐殺の文法に関する説明が少し曖昧だったのが物足りなく感じたところ…..
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「地獄はここにあります。頭のなか、脳みそのなかに。...地獄からは逃れられない。」このフレーズが1番印象的だった。 人によって大切だと考える物は違い、それのためなら人はどこまでも非情になれる。 私はウィリアムズの考えに共感してしまった。 「この世界がどんなにくそったれかなんて、彼女は知らなくていい。...油っぽいビッグマックを食いきれなくて、ゴミ箱に捨てる世界を守るとも」
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小説を読むきっかけとなった本。独特のSFチックな単語があるが、個人的にはこれほど読みやすい小説は見たことがなく、伊藤計劃シリーズは全て手にしているが一番好き。
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やっと読み終わった。伊藤計劃さんの作品はハーモニーを読んだことがあったのだけど、やっぱりSFと言うこともあって世界観を受け入れるのに時間がかかってしまった。あと所々言葉の本質とは何かみたいなところが私には難しかった(т-т)。でもやっぱり面白かったし、所々考えさせられたりもして読...
やっと読み終わった。伊藤計劃さんの作品はハーモニーを読んだことがあったのだけど、やっぱりSFと言うこともあって世界観を受け入れるのに時間がかかってしまった。あと所々言葉の本質とは何かみたいなところが私には難しかった(т-т)。でもやっぱり面白かったし、所々考えさせられたりもして読んで良かったと思う。 人は自分とは関係の無い誰かが殺し合うのを目撃することで初めて己を規定する。故に戦争は必要だ。 という考え方が出てくるのだが、残酷な考え方なのに共感する自分がいてしまった。今、ロシアとウクライナの戦争が続いている。かつて世界は第二次世界大戦や冷戦などを体験して戦争は悪であるということを学んだはずであった。しかし、今は世代も変わり、戦争を経験した人がごく少数になったことで、また同じ過ちを犯している。そして他の国は自分とは全くでは無いが関係の無い人達が争ってるのを見て己を規定している気がする。これは20年弱くらい前の作品かつSFなのに現在にも通ずるないようなのが素晴らしいと思った。 また、最後の主人公がジョン・ポール(敵)の役割を代わって行ってるのを見て少し胸が痛くなってしまった。(ただし目的は少し違う。敵は自分の愛する人々を守るためなのに対して、主人公はおそらく自国に嫌気がさしていたのもあってか、自国を犠牲にして他国を助けようとその役割を全うせんとしていた風に私は受け取った。) 正直虐殺の文法とは何かなどもう少し深めてほしいところはあったものの読んでよかったと思っている。また、伊藤計劃さんは闘病生活で苦しかったはずなのに、残り少ない期間(3年ほど)を小説に費やしてくださったことは本当に感謝しかない。SFでこの難しい設定を作り一貫性を持たせ、それだけではなくメッセージ性を添えるのは本当に天才だと思う。 最後の解説前にインタビュー記事があるのだが、そこでの発言は私の頭からは出てこない発想と語彙で満たされていて改めてすごい人だったのだと感じた。
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きっかけはNetflixの映像作品。 あとからMGS4のノベライズした人だと知る。 映像を見て、本作を読んで。 結果スッキリしないまま読了。 何回か読み返したらわかるようになるだろうか。 武器とかの設定は細かくて メタルギアをプレイした事がある人は クスリとくるところもあっ...
きっかけはNetflixの映像作品。 あとからMGS4のノベライズした人だと知る。 映像を見て、本作を読んで。 結果スッキリしないまま読了。 何回か読み返したらわかるようになるだろうか。 武器とかの設定は細かくて メタルギアをプレイした事がある人は クスリとくるところもあって。 ミリタリー小説としては面白かった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ハーモニー同様悪役にも共感できてしまう。 ジョンポールの行動理念や結末などのおおまかな話は理解できた。 一方で、主人公と母親のくだりとか言語に関する話とか一度読んだだけでは理解できていないところも多々あるので、また読み直したい。
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続編『ハーモニー』を読んだので『虐殺器官』も読み返したくなってしまって再読しました!『ハーモニー』でいうところの〈大災禍〉のきっかけの物語です。何度か読み返してますが、この2冊を立て続けに読んだのは初めてかも。読み比べると主題の共通点もよりはっきり見えてきて面白いです…が、メンタ...
続編『ハーモニー』を読んだので『虐殺器官』も読み返したくなってしまって再読しました!『ハーモニー』でいうところの〈大災禍〉のきっかけの物語です。何度か読み返してますが、この2冊を立て続けに読んだのは初めてかも。読み比べると主題の共通点もよりはっきり見えてきて面白いです…が、メンタルが元気な時に読んだほうがいいですね(笑) 舞台は9・I I以降の、テロによって超監視社会に移行した世界。主人公は米軍の暗殺部隊の実行部隊メンバー。虐殺が行われる後進国に赴き、虐殺行為の中心人物を暗殺していくなかで、常に虐殺に関わる人物ジョン・ポールを追うことに。SFともミステリとも言える、読みだしたら止まらない一作です。読んだの3回目くらいなのに、また深夜2時まで読んでしまったぜ…。 あらすじから分かる通り、作中の表現はかなりグロテスクでキツイです。そしてそれ以上に登場人物たちの受ける心理的衝撃も相当にキツイ。まぁ、でも、デジタルデータは、大切なものを取りこぼすこともあるんだよなぁ、なーんて思ったり。 それにしても、昔に読んだ本を再読するって面白いですね。あぁ〜、私がこういう考え方するのって、この本の影響だったかぁ〜って思ったり。…って、『虐殺器官』の感想でこんなこと書くのヤバいですね(笑)。
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うまく表現できないし、解釈も間違っているかも知れないし、理解もできてないかもしれないけど、とにかく、なんかわかる!と思いながら読みました。 久々に誰かにしっかり、面白いから読んでみてと言いたくなる作品でした。 虐殺器官というタイトルも好きです。
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ハイテクノロジーにも関わらず、結局は好きな女ひとつで人がコロッと変わるその縮尺がシニカルだ。 ずいぶんとグロテスクな描写が多いためぞっとすることも多い。 私たちは普段あまりに綺麗な世界で生きているのかもしれないと感じた。
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